ひとめあなたに… (創元SF文庫) (創元SF文庫 あ 1-2)
- 東京創元社 (2008年5月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488728021
感想・レビュー・書評
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一年一年がとても長くて、恋にしろ失恋にしろ十分した気がしている。失敗や成功もくっきりとしていて、諦めたり喜んだり、行動的ですぐ立ち直り、絶望もやってくるが、希望がすぐ取って代わる。
だから、はたちの頃って、もう人生を味わいつくしたような気がしているのよね。
本当はそれからが人生長く、機微に溢れ、苦しけれ、楽しいのだけれど。
そのみずみずしさがここには書かれている。新井素子さんの20歳の作品だそうだから、そのまま生のまま。
恋しい夫を食べてしまったり、バイクでひき殺したり、いや、地球に隕石がぶつかって破壊されてしまうなどと涼しい顔でいわれてもねぇと思うが、そんなことも有りと平気に思う若さがわからないでもない。
現実味が無いとなじることなかれ、了解していることと飛躍は共存する。若さはどんな不自然をも凌駕するのだ。
「ひとめあなたに…」逢いたかった!
それがすべての「その時」を惜しむ。
誰かが夢みているわけでもなく、夢がさめるわけでも消えるわけでもないのだ。
隕石がぶつかって地球がなくなるのではなく、新たな地球が登場するということ。
何を隠そう私も23歳、恋が実って結婚したらば人生、後は平坦と思った口である。思いたかった口である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
同級生に薦められて読みました。最後に食べるなら何を食べるかとふと考えることはあっても所詮は想像の範疇であって、地球がなくなるとすれば果たして自分は何をするのだろうか…100年ほど前にハレー彗星が地球に接近するときに地球上の空気が消滅してしまうので浮き輪やタイヤのチューブに空気を入れて備蓄したという話を何かの資料で読んだ事がある。この本が刊行された昭和60年といえばパソコンも携帯電話もないアナログな時代なので、情報も乏しい世の中だけどその反面、想像、空想、妄想がふくらむ本が多かったように感じた一冊でした。
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初めて読んだのは40年近く前ですが、何年経っても何度読んでも大好きな作品です。
あまりにこの本が好きすぎて、練馬から本と同じルートで鎌倉に連れて行ってもらったことがあるくらいです。バイクではなく車ででしたけど。
SFかと問われると返答に困りますが、ラブストーリーとしても人間ドラマとしてもおすすめできる本です。 -
読んだのはこの版じゃなかったけど、これを登録しておこう。
昔、従兄から何冊か借りて読んだ新井素子の本のうち、
唯一ちゃんとストーリーを記憶している作品。
人類滅亡の日が間近に迫って、最後に何をしたいかといったら、
ヒロインは鎌倉にいる元恋人に逢いたい一心で、練馬から歩いて行こうと決意。
途次、やはり世界の終わりを前に
心の箍が外れてしまった女性たちと接触する。
どうしても「チャイニーズスープ事件」が話題になりがちだけど(笑)
私はさほど猟奇的とも恐ろしいとも思わなかった。
もう後がないってわかっていたら、
そのくらいやらかしちゃう人ってのも、いるかも……なんて、
変にリアリティを感じたものだった。
むしろ、一番まともそうなヒロインが、
相手に受け入れてもらえる確証もないのに、
ひたすら目的地に向かって突き進んでいくっていうのが怖かったなぁ。 -
「滅びの前のシャングリラ」の対談で知ってから読みたいと思ってました。
古い本だから本屋では見つからないかなーと思ってたら、重版かかったみたいでよかった。
ストーリーは無理よりの無理だろ、みたいなとこあるけど、大事なのはそこではない。
独特の文体が苦手でなければ、ぜひ読んでください。 -
初新井素子作品読了。
独特な文体で最後までテンション落とさずに書き切るのはすごい。1Q84だ、これ。 -
内容(「BOOK」データベースより)
女子大生の圭子は最愛の恋人から突然の別れを告げられる。自分は癌で余命いくばくもないのだと。茫然自失する圭子の耳にさらにこんな報道が―“地球に隕石が激突する。人類に逃げ延びる道はない”。彼女は決意した。もう一度だけ彼に会いに行こう。練馬から鎌倉をめざして徒歩で旅に出た彼女が遭遇する4つの物語。来週地球が滅びるとしたら、あなたはどうやって過ごしますか。
来週地球が滅びるとしたら、私は圭子の行動が1番理解出来るかも...お互いに幸せな気持ちで死ねるのなら それは理想な終わり方だと思いました。
いざその時になったら 死にたくない!とジタバタするのかもしれませんが 人間はいづれ死ぬものだと言う事は歳とともに強く思う事でもあります。
幸せなだったと感じながら死にたいです。
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なかなか独特な文章で、入りにくかったけど、クレイジーな奥様の話が面白くてそこからは一気に読めた。
世界の終わりって設定だから、自分ならどうするだろう、人類はどんな行動をするんだろうとか考えた。暴動、虐殺、理性を捨てて本能をむき出しにするのか、大切な人とゆっくり過ごすのか。日本人は最後まで仕事してそうだな、警察とか。でも単身赴任とか遠距離の人はつらいな〜。交通機関だけは動かして欲しいなとか、考えだすと止まらなくなる。
ただ、出来れば途中で彼氏と出会うようにして欲しかった! -
あなたのためにチャイニーズスープ…と歌う彼女。
どれだけ経っても忘れられない小説です。