この世にたやすい仕事はない

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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本棚登録 : 1997
感想 : 296
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171360

感想・レビュー・書評

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  •  久々に読破した作品
     内容としては以前の仕事に行き詰った主人公がその仕事を離れて他の様々な仕事を経験することで自分と働くことについて見つめなおすという内容、各章は所々でつながっており個人的には2章の話が面白かった。また出てくる仕事というのは実際はあるのかわからないが、どれも耳にしたことのないものだったので楽しめた。
    しかし描き方が曖昧で私は最後のほうまで主人公の性別を勘違いしていた。
    私もこんなことを感じる日が来るのだろうか、その時私はどうするのか考えさせられる一冊。

  • 最後の四行にこの小説のタイトルの意味と、それまでの全てが込められているのだろうけれど、そこまでに辿り着くまでが長くてくどい。
    たとえば“大林大森林公園”は次からはそこは“公園”でいいじゃない?!というふうに、一事が万事そんな感じ。

    前職に疲れ戻れるまでの経験や回り道、悟るまでの時間としてその長さが必要だったのかもしれないが、くどくて長過ぎると逆に心に残らない。
    お陰でこの世にたやすい仕事がないのはよーくわかったけど。

  • 最初はわけのわからない仕事を網羅した変な本なのかと思って読んでいましたが、大変失礼いたしました。一話目はともかく、それぞれの仕事に向き合う主人公の姿勢が共感できてよかった。この方の本は初めてだったけど、また探して読んでみたいと思います。最後に自分のやってきたことに戻っていくあたりがいろいろかんがえさせられる。菅井さんの逃避の気持ちも共感できる(そこまでのめり込んでる趣味がないのでその点は理解できないが)働くって本当にたやすくはないんだよと自分の周りのたくさんの人達に主張したい。

  • いろんな仕事について起こるエピソードを
    連作短編集としてまとめたもの

    主人公は最初男性だと思っていて読み進めてしまった。

  • 「お仕事ファンタジー」と呼ばれているようです。芸術選奨新人賞受賞作。
    5つの連作短編。医療ソーシャルワーカーとして働いていた30代独身女性がバーンアウトし、職安の紹介で契約社員として赴くのは、どこもちょっと不思議な仕事ばかり。

    多分、良い話なんです。でも私には合いませんでした。
    何と言えばいいのだろう。
    気に入った人から見れば「抑えが効いた表現で、上質のユーモアを醸し出す」という感じなのでしょう。しかし私には、ちょっと変わった仕事にまい進する主人公の感情の「振れ」とか「ざらつき」と言ったものを、押しつぶして擦りあげて妙にのっぺりとヌルヌルに仕上げたように感じるのです。多分津村さんの文体が私に合わないのでしょうね。

    ちなみに2017年4月にNHKでドラマ化されたみたいです。

  • 個人的には割と好きな作品だった。

    様々な仕事を転々としていく中で
    仕事に対しての考え方や受け入れ方が
    変わっていく主人公を見ていくのが
    面白かった。

    一番気に入ったのはおかき編。
    展開のテンポが良くて面白かった。

    仕事との愛憎関係という部分では
    自分も似たようなタイプだと
    感じてるので、主人公と同じ視点で
    読めたかなと思う

  • 仕事を辞めてまた始めるまでの変わったお仕事小説.そのなかで着実に癒され人間的にも成長していく.私は2番目のバスのアナウンスの仕事が面白かった.不思議な先輩江里口さんが最後にも登場してなんだか嬉しかった.

  • この世にたやすい仕事はない…もっともだ。
    前職で燃え尽きた主人公が、一風変わったお仕事を転々とする話。確かに暇すぎるのは苦痛ですが、3番目のおかき会社の仕事なんかは、そんなことで辞めてしまったらどんな仕事もできないのでは…と思った。自分が主人公の立場だったら、どの仕事も長続きしないという焦りと自己嫌悪がすごいと思うんだけど、この主人公はどこか悠々としている。それは、いつでも前職と同じ業界に戻れるという思いがあったからなのかな。また働き出すためのリハビリと思えばそれでいいのかもしれない。働く元気が沸くような話を期待してたけど、そういう感じじゃなかったので★2。

  • 文学

  • 前の職場でバーンアウトして、ドモホルンリンクルの雫を見守るような仕事を、と言う主人公のオーダーに答えた相談員の正門さんの回答は...、売れない小説家のモニターでの監視、バスの停留所の宣伝文を考える、おかきの袋のちょっとした文を考える、ポスターを張り替える、森の中の小さな小屋での事務、と言うラインナップ。どの仕事にもやりがいや適性みたいなものはあるものだ、と思いつつ。燃え尽きたことがある身の主人公としては、仕事に愛憎を持ちのめり込みそうになると身を引いてしまうところはありつつも。「だいたい何をしていたって、何が起こるかわからないってことについては、短い期間に五つも仕事を転々としてよくわかった」というラストは希望を感じさせるもの。ああ、正門さんに一度面談してもらいたいと思ったり。/「さびしくない人はいないんだ、それをそういうものだと思えるかどうかだ、と。みんながみんなさびしいとして、そのさびしさを誰とどの深さの関わりで埋めるか、もしくは埋めないのかは、本人の自由なのだ」

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津村記久子の作品

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