水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562045419

感想・レビュー・書評

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  • 弟(上)に借りた本。
    怪奇推理小説。
    久しぶりに面白い推理小説を読んだ。
    シリーズ物のようだが、前作を知らなくても読める本。

    阿武隈川からの事前の話。
    正一が体験した、満州での、引き揚げ途中での、舞台の村での話。
    そして刀城言耶が体験することになった事件。
    それぞれがどう結びついてくるのか。

    ホラーは苦手だが、そこまで気にならなかった。
    日本の伝承の中で息づいているような話が多かったからかもしれない。
    増儀や減儀の話、苅女、神男の話なんかは大学時代に受けた伝統文化論とかその辺りの講義ともつながりそうで、おもしろく楽しめた。

    機会があれば、このシリーズの他の本も読んでみたい。

  • シリーズ中いちばんおもしろかったかもしれないです。
    犯人はうすうす感じてはいましたが・・・
    次の作品にも期待です。

  • 最初はよみにくかったけど、途中からはすらすら。

  • 「刀城言耶」シリーズ第五弾
    幻想小説家が全国各地を放浪する際、地元の伝説と密接に絡み合った奇怪な事件に出会う。
    龍神伝説が残る四つの村。それぞれ龍を祀った神社がある。雨乞い儀式の最中に、宮司が衆人環視の中で殺される。それをきっかけに、他の神社の宮司たちも次々と殺されていく。
    土俗的な風習とホラー、本格ミステリーがこのシリーズの特長です。読後、あのクールそうな水庭家の跡取りのリュウ魔が、○○子を説得しくどきおとしたのか?と後日談を読んでいろいろ想像しました。

  • 刀城言耶シリーズ第5作。
    2010年このミス第7位、本ミス第3位。
    土俗的な風習の残る閉鎖的な村で起こるホラーな事件が特徴のこのシリーズだが、今回も珍しい雨乞いの儀式を見に行った言耶の前で事件が起こる。衆人環視の湖上の船での殺人、さらに儀式の関係者が次々と殺されて…
    冒頭の3人での説明部分は少々浮いている気がするが、関係者の少年視点の家族の物語が始まると俄然面白くなる。ミステリ的なサプライズよりも、水魑を祀る神社の宮司たちが治める村の特殊性がなかなかに恐ろしくてよかった。

  • 前二作に比べるとなんとなくいろんな要素がうまくまとまっていないような気がします。
    とはいえ、増儀、減儀やらの設定はなんだか面白いし、なんのかんの言っても一気に読んでしまったので読んで損をするということはないと思います。
    でもなんだかモヤっとしたものが残ってしまったのも事実。
    文庫になったら加筆を期待してまた読んでしまうかもしれません。

  • 戦後の背景とか若干のホラー要素とか、なかなか味があっておもしろかったです。
    最後の犯人当てのところが、あくまで推測で終わってしまって当人からの独白もなく終わってしまうところがスッキリしなくて残念でした。

  • 奈良県蛇迂郡の波美地方で珍しい雨乞いの儀が行われるという情報を聞いた刀城言耶は編集者の祖父江偲とそこを訪れる。
    村の水源である湖に棲むという水魑(みづち)様に供物を捧げる儀式である。
    そこは4つの村(五月夜村・物種村・佐保村・青田村)からなり、それぞれの村にある4つの神社(水使神社・水内神社・水庭神社・水分神社)がもちまわりでその儀を受け持っていた。
    増水の時の減儀よりも渇水の時の増儀のほうが恐ろしいといわれているが、この度の増儀は五月夜村の水使神社と決まった。
    一同が見守る中、儀が始まり儀式を行う神男を乗せた屋形船が湖を進んで行くが、船が戻ってこない。
    不安になった船頭が中を覗き叫ぶ。「神男が死んでる!!」。
    衆人環視のなか、どうやって殺人が実行されたのか?13年前の神男の死とも関連があるのか?

    三津田さんの新刊は、待望の刀城言耶シリーズ新作長編でしたぁ。
    この年末にきて、今年ようやく満足のいく本格が読めました。
    もう少し早く出されていたら、各種ランキングに間違いなく入れたはずなのに。という出来。
    しかも今回はとても読みやすくなっており、安定感も出てきました。
    村の地形とか想像しやすかったですしね。
    読みなれたせいばかりではないはずです。

    『首無』の時のような新鮮味は薄れましたが、今回も二転三転するロジカルな謎解きは健在。
    そして名作『獄門島』の名台詞にも匹敵するような、ある人物の台詞のダブルミーニング。
    素晴らしい。
    しかしなにより度肝を抜かれたのはあの神饌の真の意味。
    ・・・ぞっとしました。。。
    これらのおかげで真の真相の驚きがそれほどでもなくなったほど。

    いくつか投げっぱなしの部分があり、それらが気になり素直に「やられた!」と思えない気持ちもあるのですけど、ラストの大団円にもおおむね満足。
    あ、あと悪役がそのまま最後まで悪いヤツだったのもよかった。
    途中で変に改心したり、実は皆の為を思ってやっていた、とかでは興ざめでしたでしょう。

    やっぱりこういう和モノの怪異のほうが「ホラー」よりも好みだわ。
    堪能しました。ごちそうさまでした。

  • やっぱり三津田信三だ。
    という感じでミステリーの面白さと緊張感そしてラストの二転三転。
    さすがだなあ。
    ただ、ホラー風味がだんだんこのシリーズでは装飾になってるような。

  • 前作で、行くとこまで行ってしまったから、今回は非常に読みやすい。

    ホラー色も薄いし。これはお勧めします。
    仕掛けもいっぱいあるし。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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