知性の磨きかた (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569553405

感想・レビュー・書評

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  • 読書録「知性の磨き方」5

    著者 林望
    出版 PHP新書

    P92より引用
    “頭のさして良くない人であってもね、何か営々孜々として怠ら
    ずに努めれば、必ずそれなりの功績はある。”

    目次から抜粋引用
    “知性とはそもなんであるか
     良き研究者とよき教育者
     「良い読書」という幻想
     本はすすんで汚すべし
     精神の遊びと個人主義”

     書誌学・国文学者である著者による、学ぶことの愉しみについ
    て記した一冊。
     知的であるということについてから歌を歌うことについてまで、
    読者に語りかけるような文章で書かれています。

     上記の引用は、本居宣長の著作を引用しながら学びについて書
    かれた項での一文。学問を目指す人には、とても希望を与えてく
    れる一文です。学問を目指していなくても、自分の無力さを嘆か
    なくてよくなりそうなので、私にとってもいい慰めになる一文で
    す。
     何事もさっさとやめてしまうことなく、続けて生きていくこと
    で、つまらないことでも面白くなるかもしれません。結果が出る
    までが長いので、焦らずゆっくりと取り組みたいものです。

    ーーーーー

  • •まず絶対に一つのことに邁進しなさい。しかも十年間一つのことをじっくりと修行して、揺るぎない方法というものをみにつけなさい。それによって将来、どういうふうにでも応用がきくから。
    •私ということをちゃんと考えて、学ぶべきことをきちっと身につけた上である職業につく。身につかなくても、少なくともそういうものを身につけようとして努力しながらある職業につく。そうすれば、学校を出てからも、自分自身を継続して高めていける。

  • 口語体が面白く、サクサク読み進めた。
    読書がいかに自由かを説明していた。

  • きっかけ: ReadingHacks
    目的: 読書入門として

  • 実に読みやすい本である。
    文体がしゃべり言葉になっていて、まとめたはなしたものを、
    エッセイにしたものであろう。
    この人は、1949年生まれ、慶応出身。
    わたしと同世代の人で、いっている視点が、結構おもしろい。

    今までいわれていることに対して、「そうではない。」と強調し、
    違う視点を提示する。おもしろいことである。

    する事に対して、知性があるということは、
    「主体」がかかわっているかにあるという。
    素人の書いた旅行記が、主観的で通俗な「おしゃべり」に終始しているのは、「客観的認識」を基底とする「発見」がないからだ。
    それを、知性の欠如という。

    知性とは、「方法を身につける」ことである。
    なにも教えないで教える。つまり、自分自身で学んでいく。

    <知識を教えても仕事はよくならない。方法を教えることにある。
    わたしのやっている方法を教えている。>

    日本の職人の世界は弟子にいっさい教えないというのが原則である。
    親方は、弟子に対してやり方を秘密にする。
    むしろできるだけ見せないようにする。
    教えない方が、弟子が淘汰され、意欲あるものだけが残ってくる。
    教えないで、どれほど隠しても、何とかして親方の技を盗もうというくらいでないとその弟子はのびない。

    カルチャーセンタ-は、「学問の促成栽培」にすぎない。
    「結果」を教えてくれるしかない。
    学問というものは、そのように効率的に遂行されるべきものではない。歩留のわるいものである。

    「そんなものばかばかしいから最初からやめとけ」
    といわれるが、おびただしい無駄の中に、鉱脈にいきあたる場合がある。

    結果と評価の関連

    会社の中の仕事でも、きちんと結果を出すところまで努力をして、
    そしてその成果が、正当に評価されれば、
    どんなことでも決してつらくはないと思うのです。

    その仕事の結果が現れて、それがパッと人に評価されたときに、
    その長くて苦しい時期も楽しい思い出と変わる。
    結果は出したけれども、その結果は少しも評価されないわけです。

    まして、失敗したときに、人間は努力したことは、
    全て意味のないものとして評価されてしまう。
    何のために苦労してきたのか。
    という疑問にどう応えるのかということです。
    本当に評価されない努力だからおもしろくない。

    一人っきりでも平気な独立の気概というものができてくるといじめられなくなる。
    日本人の社会というのは、個人主義ということを基本的に認めない。
    「個人主義的行動というのは、協調性に欠ける。」とみられている。

    遊びと仕事はどこが違うのか

    遊びっていうのは、現象的にそれが遊びに見えても、必ずしも遊びになっていない。逆に、仕事に見えても実は遊びだということもある。
    それは、個人としての、独立した心の持ちようなんです。
    本当の趣味となるためには、プロになれるほどの努力と腕前がなければだめ。

    読書の楽しみ

    本を読む楽しさを知らない人は、
    楽しさがわからないから読もうという気がおこらない。
    読もうという気がおこらないから読まない。
    読まないから楽しさがわからない。
    自分で読んでおもしろかったなあという本が書棚にたまっていくということは、その人の人生の軌跡である。

    名著は、時代の流行である。
    その時代の問題意識というものが常にある。
    「されどわれらが日々」という者も、時代の問題意識が文学化された。

    知性のある生活。オトナの気分。
    おしゃべりではなく、カンナクズのような言葉ではない。キチンと読者に伝わる言葉がいる。

    • だいさん
      >親方は、弟子に対してやり方を秘密にする。

      この秘密は、
      弘法大師のおことばに「いわゆる秘密には二義」あり、
      の秘密と同じ意味の秘...
      >親方は、弟子に対してやり方を秘密にする。

      この秘密は、
      弘法大師のおことばに「いわゆる秘密には二義」あり、
      の秘密と同じ意味の秘密ではないでしょうか?
      2013/02/16
  • 講演ノートのようで、読みやすくもあり、分かりやすくもあり。
    知性を磨くとは?主観的な表現だ。他者の手助けは必要か?あり。教えるということ、先哲に学ぶことになる。暗黙知は、独学である。読書が身近な方法である。暗黙知=方法を学ぶことは、学問として知識は必要でない。現代風に言えばコーチングである。
    遊-自由-知
    思想にも栄枯盛衰がある。

  • 学問の方法が大切。
    読書に関して,著者と同じ考え方です。

    読んでいて,とてもしっくりしました。

  • 安っぽいタイトルなんだけど、読書の意味、本と個人の関わり方についての見解に共感。
    ・個人の内発的な動機による読書。
     内的動機がないのに、意味や価値を押し付けても本はその  人の人生の楽しさとして、位置づけられない。
     その人にとっての意味が必要
    ・ダニエル・ぺナック読者の権利10箇条
    1.読まない権利
    2.飛ばし読みする権利
    3.最後まで読まない権利
    4.読み返す権利
    5.手当たり次第何でも読む権利
    6.ボヴァリズム(本の中のことに染まりやすい)の権利
    7.どこでも読んでいい権利
    8.あちこち拾い読みする権利
    9.声を出して読む権利
    10.黙っている権利

  • おなじみ頑固おやじな頑固な仕事と人生観。

  • 個人主義的、個性を重んじる考え方や集団行動に対する考え方など、共感できる主張が多かった。国語の授業で本を読めばいいという主張は、まさしくその通りだと思った(ダニエル・ペナック「奔放な読書」)。

    前半は飛ばし読み。

    ・池袋リブロの品揃えは志が感じられる。

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著者プロフィール

1949年東京生。作家・国文学者。

慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Pコーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で、国際交流奨励賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能作・能評論等著書多数。『謹訳源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞。2019年『(改訂新修)謹訳源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻。ほかに、『往生の物語』(集英社新書)『恋の歌、恋の物語』(岩波ジュニア新書)等古典の評解書を多く執筆。『旬菜膳語』(岩波書店・文春文庫)『リンボウ先生のうふふ枕草子』(祥伝社)、『謹訳平家物語』全四巻(祥伝社)『謹訳世阿弥能楽集』(檜書店)『謹訳徒然草』(祥伝社)等著書多数。

「2021年 『古典の効能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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