風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569843889

感想・レビュー・書評

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  • 戦国時代に天正遣欧使節と一緒に少年天才絵師俵屋宗達がローマまで行ったという壮大な冒険物語の下巻です。長崎からマカオ、マラッカ、ゴア、喜望岬通過してセントヘレナ、リスボン、マドリード、フィレンツェ、ローマと風任せの船で約3年かかってローマ教皇に謁見した。奇しくも読んでる時にローマ教皇が来日された。
    Googleマップで訪問地名を見ながら、楽しく読んだ。
    マドリードで宗達がスペイン国王に謁見する場面では涙がこぼれた。
    マハさんの世界にどっぷり浸れる物語でした。
    いつか、物語の中にも出てきたがレオナルド・ダ・ヴィンチを題材にした物語を書いてほしいと思う。
    印象に残った文章
    ⒈ 宗達だけが部屋の入り口に棒立ちになったまま、いつまでも動けずにいた。
    ⒉ 汝の父は、幸せ者だな。汝のような勇敢な息子を持って
    ⒊ すべては、おもしろき絵を見るために。この国のすばらしき絵師にまみえるために。

  • とても壮大なスケール!史実だとすればとても素敵な話ですね。話中に出てくる作品、見たいなー。

  • こんなにも、胸が熱くなる本があったのか。

    ついに下巻も読み終わった。
    私の心に残るのは残念さだ。

    この物語が終わってしまうのか。悔やむ。

    原マルティノと俵屋宗達、そしてカラヴァッジョの長く短い夢物語をもっと、もっと見たかった。

    彼らが老いて、その人生を終える瞬間に
    誰の顔がよぎったのか。

    遠く文化も言葉も違う1人の友人を思ったのか。
    その友人が生きる地に人生をかけて行った最良友を思い出したのか。


    本当のところは誰もわからない。

    ただ思うのは、俵屋宗達と原マルティノ、カラヴァッジョが本当に繋がっていたら私は彼らに挨拶をしたい。

    あなたたちの素晴らしい絵は、何百年もの時を越えて見るものを得体の知れない感情にしてくれると。

    命を燃やして描いた絵は、
    誰かの心を焦がすほどに情熱的で愛されていると。

    織田信長の時代から豊臣秀吉の時代では、生きる人たちはすごく大変だったと思う。
    良いと言われたものを禁止され、殺されたり、隠し通したり、宗教で人生を左右された時代。

    そんないっときの外交的な交友だったかもしれない。
    けれどその思い切りと度胸があったから、

    今の時代は豊かで素敵なものなんだと。

    また見に行こう。建仁寺の風神雷神図屏風を。

    そして3人に思いを馳せよう。

    親愛なる絵師と宗教家に愛を込めて。

  • 面白くなかったわけではないけれど、私の好きな原田マハ作品はカッコ良い女性が活躍する話なので、今回の話はあまり響かなかったかも。ただ改めて歴史や美術史やまたキリスト教に対する興味が湧きました。あとイタリアに行きたくなった。本来なら昨年の夏に行く予約までしてたはずなのに…必ずやリベンジして、私もシスティーナ礼拝堂でミケランジェロの絵を見上げたいと思いました。

  • 天正遣欧使節団(1582-1590)に天才少年絵師・俵屋宗達が随行した史実はありませんが、艱難辛苦の航海を生き延びてポルトガル、スペイン、イタリアに至るまでの西欧文化と奇跡のア-トに圧倒されたことは想像に難くありません。レオナルド・ダ・ヴィンチの<聖母子像>と<最後の晩餐>、ミケランジェロ・ブオナローティの<天地創造>、ミケランジェロ・メリ-ジ・ダ・カラヴァジョとの邂逅がフィクションであるにせよ、読む者を励まし、読みすすめるうちに涙が込み上げ、たまらなく心が震える夢と冒険の物語です。

  • 面白かったけど、少し夢物語な感じがして、最後の方は興醒めしてしまった。最初に出てきた現代の話がもう少しあるのかなと思ったけど、最初と最後だけであっさりしていて、もう少し現代と結びつけて話が進んでも面白かったかなぁと思う。

  • 下巻は、上巻から少し時間が遡ったところから始まります。
    でも、本の帯はいらなかった。見ない方が読んだ時の驚きは増します。
    下巻も、うまく史実を曲げずに辻褄を合わせてきています。
    そして、ハイライトと言える出会い。
    最初のエピローグの伏線がうまくいかされていました。

    上下巻読んだ後は、壮大な歴史の波の中を泳ぎ切った感じがします。
    そして、本から「やってやるぜ」という力をもらいました。
    感動の作品でした。

  • 天正遣欧少年使節団の美術ミステリー。

    洋画に精通している作者ならではの視点でのもしも的な物語でした。
    俵屋宗達と原マルティノがヨーロッパ各地で名画に感動するなども美術紹介としてもうまいと思いましが、
    プロローグで名前の出てくるあの画家が最後のミラノで二人と遭遇するという、、
    歴史のピンポイントでの史実にはない奇跡的な出会いは歴史好きにも鳥肌が立ちました。(帯がネタバレですが)
    例えるなら、幕末の黒船来航時に江戸にいた有名人たちが出会うという感じでしょうか。
    俵屋宗達な王道的な物語が柳広司さんの作品とすれば、歴史小説的には変化球であるもののよくできた作品だと思います。

  • マハさんのアート的想像力が爆発の1作!
    なんせ遣欧使節団と一緒に若かりし俵屋宗達がイタリアまで旅をしてローマ法王に謁見。
    その後ミラノでこれまた若かりしカラヴァッジョと相まみえて、お互い凄い絵を後世に残すこと固く約束して画家同士の友情を結んで来るというロマン溢れすぎ物語り。
    でも、フィクションだとしてもこの話が全部フィクションだという絶対的証拠もないわけで、そうなるともしかしたら本当にあった話かもしれない。
    むしろこの話が史実だったと言う熱い想いを読後は抱かずには居られないアート胸熱ストーリーだった。

  • 織田信長の命を受け、俵屋宗達は天生少年使節団と共にローマへ行っていた。というフィクション。前後に現代の話があるのみで、あとは俵屋宗達と使節団4人のローマへ行く旅が描かれていた。この時代にイタリアへいくことがどれだけ命がけかわかり、3年もの間に芽生える厚い友情と俵屋宗達の活躍に一気読みしてしまった。
    でももっと風神雷神を掘り下げるのかとおもっていたので、そこは少し期待外れだった。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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