風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569843889

感想・レビュー・書評

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  • 待ちに待った下巻!(図書館で上巻と一緒には借りられなくて)

    何か月も船出の風を待つ少年たちの想いに重ねて待つことができたのもまた良し。
    少年たちの一言ひとことに、それまでの苦難を超えてきた想いが乗っていて、たくさん泣かされた。今年最も心に残った作品になりそうな予感。

  • カラヴァッジョまで出てきてしまって若干興醒め。

    それでも上下巻、読ませる展開を楽しみました。

  • 拙作

    とにかく拙くて、雑で、薄っぺらい。

    そもそも俵屋宗達を出す必要があったのか?
    いったい作者は何をやりたかったんだ?
    この作者、ぼやっと上っ面をとりつくろっとけば、それでいいと勘違いしてないか?

  • 私も彩と同じようにマルティノや宗達たちと旅をしている気持ちになった。想像もできないほど辛い旅だったと思うけれど、なぜか爽やかな風が吹いた。
    カラヴァッジョ、キター!

  • 歴史や美術に興味が無くても
    引き込まれる圧倒的なスケール感

    年始に一気読み

    今すぐ美術館に行きたくなる作品です

  • まるで宗達とマルティノたちとともにヨーロッパを駆け抜けたかのようなリアルさと疾走感。本の厚さ的に時間がかかるかと思ったけれど、読み始めるとあっという間にエピローグにたどり着いている。

    下巻ではとうとうヨーロッパの玄関口であるポルトガルに到着し、そこからスペイン、フィレンツェ、ローマ、そしてバチカンへ、時の教皇グレゴリウス13世に謁見する。そして宗達は信長から託されていた〈洛中洛外図屏風〉を教皇に披露する。その反応は日本で信長やパードレたちに披露した時と同じく、言葉にできないほどの感動であった。
    ここまで読むと、この本は風神雷神というよりむしろ天正遣欧使節の物語なのでは?と思ってしまうが、最後に宗達は奇跡に出会いを起こす。それはかの有名なバロック画家、カラヴァッジョである。驚いたことに彼はちょうど天正遣欧使節がミラノに滞在していたころに工房の弟子として働いていた。そして宗達、マルティノ、そしてカラヴァッジョはダ・ヴィンチの〈最後の晩餐〉が飾られている教会の一室で運命の出会いを果たす。東の大家俵屋宗達と、西の大家カラヴァッジョ。まさに風神雷神が屏風で相見えるかのような、胸を打つような出会いである。まだ大家として名を馳せていない若い絵師たちはある約束を交わし、その日を限りに出会うことはなかった。しかし宗達は父からもらった風神雷神の描かれている扇をカラヴァッジョに渡し、そこから上巻のプロローグへとつながる構成になっている。なるほどー!!これは胸熱すぎるー!!とページをめくる指が止まらない。物語は宗達と天正遣欧使節がジェノバを旅立つ場面で終了するが、その後日本にたどり着いた彼らの立場を想像すると少し苦しい。信長は暗殺され、秀吉や家康によってキリスト教は禁教とされ、まさしく行き場のなくなってしまった彼ら(とくに使節の4人)。だからこそ最後に宗達が4人に「京に行こう」と言う場面は切ない。

    彩が言うように、俵屋宗達は謎に包まれた画家だ。のちの琳派の画家のように多くの史料が残っていない。しかしだからこそいろんな考察ができる。想像の余地がある。扇屋の息子が信長の推挙により天正遣欧使節に同行したという発想はぶっとんでいるが、マハさんの手にかかると本当なんじゃないかと思わされる。そして宗達の人間像をまざまざと思い浮かべることができる。そして彼とともに多くの名画を目にした原マルティノの誠実さにも胸を打たれる。この物語のMVPは紛れもなくマルティノだ。

  • 冒険ものを読むなら指輪物語で十分だろう。今まで読んだ原田マハの小説はあたかもその時代を見て来たのかと見紛うくらいにリアリティなものだったがこれはあまりに想像を発展し過ぎて些か冷めてしまうものだった。
    それでも星3つにしたのはアートはタイムカプセルだという件がすごく気に入ったから。
    絵画からその時の時代を空想する、考察する事ができる。その流れでこの小説が生まれたのも分かるから。ただ、マハさんにこれは書いて欲しくなかったかなぁ

  • 一年九ヶ月の歳月をかけインドのゴアへ辿り着いた一行は、ある日、ヴァリニャーノが急遽インド管区長に封じられた為ローマへの道行きに同道出来なくなった事を告げられ激しく動揺するが、それぞれの使命を静かに諭され気持ちを切り替えてリスボンを目指す。そして、最大の難所・希望峰を無事回り込み、セントヘレナを経てついにヨーロッパへの入り口・ポルトガルの地を踏むのだった。

    新約聖書の東方の三賢者に擬えられた使節団は、各地の権力者から最大限のもてなしを受け、壮麗な宮殿、豪華な調度品や美しい婦人達に度肝を抜かれるが、中でも宮殿や館の壁という壁に掛かる見た事の無い絵画に四人は言葉を失うのだった。

    だが行く先々で目にする絵画に少々飽きを感じていた宗達は、次第に絵師と会いその製作過程を見たいという欲求が膨らむが日程に余裕がない為叶えられない。二ヶ月を経て首都マドリッドに到着した一行は、これまでの街並みとは比ぶべくもない都の壮麗さに再び言葉を失う。

    一行は、スペイン国王との謁見の際の、宗達が父から贈られた扇を巡る命がけのやり取りが伝わり、各地で更なる歓待を受ける。
    トスカーナに入りフランチェスコ一世の宮殿で、これまで目にした絵画とは一線を画す肖像画と出会った宗達とマンションは、高貴な老人から、その絵がブロンヅィーノという絵師の手による物だと教えられるが、その老人・コジモ一世はとうに亡くなっている事を知り愕然となる。

    ピサを経てフィレンツェに到着した宗達は、芸術の庇護に情熱の全てを傾けた「メディチ家」によって育てられた、イタリア最高峰の絵師達の至高の作品を目にし、その虜となる。
    そして、そのメディチ家の礼拝堂で見せられた
    未完成の聖母子像を前に、ただただ涙が止まらなくなる宗達だった。
    その母子像の生みの親は…レオナルド・ダ・ヴィンチという絵師だった。


    三年の歳月を経てついに長い旅の終着点・ローマに辿り着いた一行だったが、教皇との謁見を控えて体調を崩したジュリアンは、一人謁見を禁じられる。その裏にある教会の思惑…東方より訪れる賢者の数…に思い至ったマルティノは衝撃を受ける。
    教皇・グレゴリウス十三世との謁見にあたりシスティーナ礼拝堂に案内された一行は、祭壇から四方の壁、そして天井を埋め尽くすフレスコ画に天国(パライソ)を見、随喜の涙を流す。
    そして、ダ・ヴィンチに勝るとも劣らない天才・ミケランジェロ・ブォナローティの手による「天地創造」は宗達の魂を抉るのだった。
    宗達は、なんとしてもその絵師との対面を熱望するが、ダヴィンチ同様鬼籍に入っており願いが叶わぬ事を知り打ちひしがれる。

    三人の使節が無事教皇との歴史的対面を果たした後、いよいよ信長の命…永徳と宗達の心血を注いだ「洛中洛外図」の献上か行われる。

    ゆっくりと開かれる屏風…
    そのあまりの美しさに言葉を失う教皇の瞳には涙が滲む。
    だが、そのグレゴリウス十三世も、その謁見の僅か十八日後にこの世を去るのだった。
    そして、新教皇の戴冠式に出席する栄誉を果たした後ローマを後にした一行は北上し、ヴェネツィアを経てミラノに到着する。

    果たされていない、自身の最大にして唯一の目的… イタリア最高峰の絵師に会う為に、宗達は自由行動をロドリゲスに懇願するが許可を得られない。
    マルティノの窮余の策・・・ダヴィンチがイタリアを去る前にミラノ滞在していた事から、その絵の存在を確信していた宗達は、その絵を見る手筈を整えてもらう約束を取り付ける。
    果たして…
    マルティノと二人、案内され訪れたサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の煤けた厨房の奥…振り返った二人の目に飛び込んできたのはあの・・・

    最後の晩餐  だった。

    イエスが、まさに自分を陥れる裏切り者を予見する瞬間に同化してしまうマルティノ。
    そして宗達は、今までどうしても理解できなかった「神」の存在がストンと心に落ちるのだった。

    その時一人の少年が姿をあらわす。
    神から与えられし才能を持ちながら、不遇を託つその少年こそミケランジェロ・メリージ…
    そう、カラバッジヨその人だった。
    出会った瞬間にお互いを理解する二人。

    その邂逅がこの物語の序章へと繋がって行く…



    いみじくも…?(笑)

    マハさんが上巻の私の疑問に応えてくれるかのように、彩に語らせている…

    夢物語と


  • 笑っちゃうくらい夢物語なんだけど、あぁ、この芸術家たちは本当に同じ時代に生きてたのか〜と思うと、この妄想もあながち間違ってないかも、という気にもなってくる
    この黄金時代にタイムスリップしてみたいけど、戦国の世は無理

    この2人が本当に出会ってたら、ものすごいことになるだろうな〜なんて素人の私でも夢見てしまう位だから、アート専門の小説家がこんなに妄想繰り広げるのも当たり前のことだな、と思う

    夢が詰まってて本当に楽しかった

    レオナルドダヴィンチの絵、いつか見てみたい
    ヨーロッパの超ド級絵画は厳しいけど、狩野派と琳派は本物を見に行こうと思った

  • あまり期待しないで読んだが、「楽園のカンヴァス」と同じくらい面白かった。日本の美術には興味がなかったが、俵屋宗達見直したくなりました。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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