- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575240078
感想・レビュー・書評
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胸が痛いなぁ
他人を傷つけたくない気持ちと、自分を守りたい気持ちはどちらも本当なのにね。
それに気づいてばけものではなくなって、ぐっすり眠れて、でもこれからはクラスの中で虐められる対象となっていく。
こんなの変だよね。きっとみんな分かってるのに違う行動にでられない歪んだ小さな社会。
でもこれが今の普通の学校生活の姿。
歪んでるよまったく。
そして大人になって、自分の子供たちに「いじめはだめだ」なんて言うんだろうね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「周りの求める自分でありたい」「気を遣わずに自由に過ごしたい」どっちも本当の気持ち。
じゃあ、どっちの気持ちのときが本当の姿なの?
矢野さんがまっすぐに見つめて問いかけてくる。 -
好きになれない世界観、挫折してしまった
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中学3年の僕のクラスで起きている、陰湿な行為。いじめ、という言葉で表現したくないむごいあれこれ。
その対象の矢野さんと夜の時間を過ごすことになった、化け物に変わった自分。
どちらが本当の自分なのか、自分はどうありたいのか、どうしたいのか、重苦しさを感じながら読み終えた。
そうか、膵臓の人か。あれよりは読んでよかったと思えたジュニア小説かな。 -
ずーーーっとあっちーは、いじめは嫌だけどいじめられたくない、皆の標的になりたくないって考え続けてた
昼のあっちーは、いじめられたくないあっちー
夜のあっちーは、いじめが嫌なあっちー
のんちゃんの言葉とか、矢野さんの言葉とかで2つの矛盾する自分、無理して合わせている自分に気づいた
トトロのキーホルダーを付けなくなったいぐっちゃんとか、最後に工藤があっちーから机を離したこととかは、自分を含め周りの環境とかも変えたい!って思っても、人は変えられないし、結局自分が変わるしかないんだなってことをどうしようもない事だから受け入れな?って言われてるみたいだった
自分も実際に中高生の頃に比べて、大学で自由になった感覚はあったし、今中学生に戻れるとしても戻りたくない
この本みたいに陰湿だったわけじゃないけど、多かれ少なかれ近しい感情はクラス全員にあった
人間関係の難しさをひしひし感じる
大人になったら多少は自由になれるけど、完全に人間関係の問題から足を洗えるわけじゃない
ずっと自分の気持ちと人にどう見られてるかを意識しながらしか生きられないんだよ -
私は少し苦手な内容だった
ぐるぐると色んな感情が渦巻いて苦しくなった -
評価を星5にしたい。
でも、安易に面白かったというのは憚られるような感想を持った。
矢野さつきはクラスメイトからいじめを受けている。
それなのに、矢野は笑ってへらへらしていて、主人公の安達にはそれがとても理解できない存在のように映る。
主人公安達はあくまでも傍観者だ。
ただ、積極的にはいじめないが、矢野側でないことを証明するためには、躊躇せず加害者側に回る。
安達はいつからか、夜になると化け物に変身してしまうようになっていて、ある夜から学校で矢野と会うようになっていく。
「化け物って、本当はなんのことだ。」が一つのキーワード。
このばけものは、きっとどこにでもいる。
終盤になっても、安達がいじめの全容について把握することはない。
それが明らかになれば、もっと違う展開になるはずだ。
でも実際、当事者たちであっても、いじめの全容を把握することってできないと思う。
積極的加害者は明らかでも、その周りの傍観者たちは、「誰々があの立位置だから」とか、「誰々が靴を隠したらしい」とか、憶測で空気を探り合っているだけだ。
結局、みんなが被害者を、あるいは互いをどう思っているのかなんてはっきりしない。
そこから辿り着く結末だから、どこか受け止めきれない部分がある。
それが安易に面白いといえない理由。
では安達がいじめの全容を把握して、解決に立ち上がり、ハッピーエンドで終わればよかったのかというと、それは違う。
そんなのただのファンタジーだ。
この作品が見せてくれるのは、現実的な一歩。
「いじめ」が大きなテーマではあると思うが、僕は「普段の自分は本当の自分で人に接しているか?」と問いかけられているような気がした。
いろんな自分がいていいと思う。
友人、恋人、上司、部下など、それぞれに対して違う自分がいるのが普通だ。
でも、空気に流されたり他人に押し付けられて形成された自分は、きっと本当の自分とは違う。
そのずれは意識しないと修正することもできない。
かくいう僕も、もし矢野に「どっちが本、当?」と聞かれたら、なんとなく掴めていても、答えに詰まるかもしれない。
そう考えると、いじめを肯定する気はまったくないが、積極的加害者も裏のあるあいつもすぐ裏切るあの子も、何かままならないものがあって態度を決めかねているだけなのかもしれない。
自己と他者に向き合って、1つの決断を下した安達を評価したい。 -
痛みを伴いながら生活していた当時の事をひたすら思い出しながら読了。
もし人生をやり直せると言われても、
私は中学時代には絶対に戻りたくない。
誰もが繊細で、傷つき傷付き合っていたあの時期。
一言で表すのならば、まさに『混沌』。
その感じが良く出ていたと思う。
自分の事を思い出しつつ、我が子たちの事も思う。
いつかは彼女、彼らにもこんな時期がきてしまうのか。
親として、私は子供たちとどう向き合っているのか。
願わくば、いらん傷なんて作っては欲しくない。