よるのばけもの

著者 :
  • 双葉社
3.37
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感想 : 339
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240078

感想・レビュー・書評

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  • 読了 2017/9/15

  • 図書館で借りた本。主人公の中学生の少年が夜になると外出して散策したり飛んだりできるバケモノになる。ある日夜の学校に行き自分の教室を覗いたら、いじめられっ子の矢野さんがいた。彼女はバケモノに変身した自分が誰なのかに気付く。それから毎晩夜になるとバケモノ姿の自分と矢野さんは会話を通して親近感を抱いていく。日中の矢野さんはいじめられっ子。吃りっぽい話し方や大き過ぎる声、空気を読めない性格等、いじめられる要素は多々あるが…

    全体を通して、要所々でクラスメートや他にも謎の部分がたくさんあるが、最後まで解明されずじまいになってるのが話が中途半端だと感じる要素。バケモノvs良心の呵責。打算に勝った良心は強い心になっていくのだろう。

  • #15 17.5.16

  • 話題の作家さんの本なので読んでみた。
    うーん、雰囲気。。。かなぁ。放りっぱなしの話も嫌いではない方なのですが。もうちょっと腑に落ちる感が欲しかった。
    自分がもっともっと若いときに読めば、あるいはもっと違った感じを持てたかも、といった感想。

  • 同級生へのいじめに対する罪悪感と自分を守るために周囲に同調せざるを得ない現実との葛藤に夜になるとばけものに変身してしまう主人公が、夜の教室でいじめの被害者である女生徒と夜な夜な交流する、という裏の設定は新鮮だが、いじめの元となった行為の原因や女生徒がいる夜の校舎にまつわる諸々の不明点(というか伏線か)は回収されずに終わってしまう。

  • 「明けない夜はない」
    辛い思いをしてる人によく言われるこの言葉。
    私も言ったり思ったりしたことある。
    いつかは今悩んでる事から解放されて
    明るい気持ちで朝を迎えられる日が来るよ
    そんな意味で。
    この言葉を読んでこんなに辛いと思ったことなかった。
    同じような意味で
    「止まない雨はない」
    って言葉聞いた時に
    土砂降りの雨に打たれて
    寒くて辛くて涙なんだか雨なんだか分からない
    そんな心の時にこんな事言われても
    雨に濡れて震えてる「今」がとにかく辛くて耐えられないんだ!!
    って思ったこと思い出した。
    *
    この本は中学生とか高校生とか
    「仲間意識」に囚われてる渦中の人達のための本かな。
    私はいまだに「仲間意識」が苦手で
    つい自分から距離をとってしまうけど。
    *
    住野よるさんの本は、私には読み進めるのが少し難しいというか、独特の文体に慣れるのに時間がかかる。
    前作の『君の膵臓を食べたい』の時も。
    でもそこを乗り越えて慣れてくると面白い本。

  • 今、10代を生きる子達を思うと苦しかった。

    以前、保健室の先生が
    「子ども達の思春期は10歳頃から始まります」と言っていた。

    私が中学生の頃の
    人間関係の複雑さを今の小学生はすでに持っているのだそう。

    大人になるのが早いかというとそうではないので、
    心のしんどい時期が長いのかなぁと思ったりする。
    この複雑さは早く始まったからといって早く終わるわけでない。

    「生き延びてほしい」と思う。
    大人になってもいろんなことはあるけれど。
    しかしまぁ、教師の存在がちょっとねぇ。

    ばけものは誰もが持っている、
    矛盾した心の片方、という気がした。

    窓ガラスを割るものは?靴を汚したものは?笠井は??と
    いろんなことが明かされないままだったけれど、知りたかった。

    学校生活はまだまだ続くということなのかな。

    大人になるということは
    「やり過ごす方法を身に着ける」ってことなのかもね.
    ちょっと寂しいけれどね。

  • 表紙と設定からは全く予想のつかない内容。

    ある中学生男子がある日、真夜中にだけ化け物に変化できる能力を手に入れた。
    その能力を使って、ひょんな理由から深夜の学校に忍び込む。
    そこで出会ったのは1人の少女。その彼女はクラスのいじめられている子だった。
    その日を境に深夜の学校通いが始まり、昼の生活と夜の生活が始まるが、自分の心と表面的な態度の乖離に心悩まされるようになる。

    正直、設定の伏線が回収されていなかったり、設定の説明づけがなかったりで、あれ?と思う点はあるけど。
    そんな事抜きにしても、とても重く、読むのが辛い本だった。

    実際に起きていることではあるが、子供の狭い世界の中での残虐さは大人のそれよりも残酷だ。視野が狭い分、自分たちが正当と思ってしまうのだろう。
    読み進めるたびに人の持つ残酷さに辛くなるが、いじめられている子の深い洞察と寛容で自己犠牲的な清い心のコントラストが少し救いになる。

    他から干渉されないからか。正しいことをすることが間違いであるかのような世界には容易になっていく。

    でもその中でも正しいことをやらないと、人として死んでいく。最後に主人公はとても勇気がありました。

    辛い本でしたが、読む価値はありました。

  • 前半から中盤にかけての言葉が好き。
    本を書ける人は凄いなぁと思った。自分には出てこない言葉だと思う。それか凄く長い時間考えて一語一語選ぶのか。
    中学生の頃に読んだ「敵という名の怪獣〜教室は四角いジャングル〜」という文章を思い出すような設定(その文章は自分の中高6年で最も印象に残ってる文章だ)。
    ラストも刺さるし、凄く良いんだけど、この本を映像化するなら違うラストのほうが良かったんじゃないかと思った。

    セリフは能登先生の「難しいことはいい〜」も良いけど、矢野さんの「はず、いね」が最高過ぎた。

    あと、この本は「学校のいじめ問題」が題材の本なのか?もっと普遍的なことが言いたいんじゃないのだろうか。
    「あれ?」と自分の感覚では思いながらも社会的な立ち位置と照らして行動してしまうのは人間誰しもあるんじゃないのか。
    この本が「いじめテーマで重いっす」ってなることはもったいないと思う。

  • ある日、
    夜になると化け物になってしまうようになった主人公の安達。

    変わり者で、
    ある出来事をきっかけにいじめられるようになった矢野さん。


    普段のクラスでは
    矢野さんを積極的にいじめることはなくても
    無視をする安達だったが、

    二人は夜の学校で出会い、
    話をする仲になる。


    夜の会話を重ねるうちに

    化け物の安達は
    クラスの「矢野さんへの仕打ち」に疑問を持つようになる。

    一方で

    「矢野さんをいじめる流れ」から外れたくないと感じる普段の安達。


    本当に『化け物』なのは

    普段の自分なのか?
    夜の自分なのか?


    いじめの問題をファンタジーの世界観で鋭く描いた良作だと思いました(*^^*)

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著者プロフィール

高校時代より執筆活動を開始。デビュー作『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなり、2016年の本屋大賞第二位にランクイン。他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『この気持ちもいつか忘れる』『腹を割ったら血が出るだけさ』がある。カニカマが好き。

「2023年 『麦本三歩の好きなもの 第二集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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