翼がなくても

著者 :
  • 双葉社
3.54
  • (36)
  • (124)
  • (138)
  • (15)
  • (5)
本棚登録 : 754
感想 : 131
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240146

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初めての中山七里さん。
    東京大会を意識して書かれたパラリンピアンの話だと思ったら殺人事件が起きて、ミステリーか!と思ったらやっぱりパラリンピアンの話だった。

    沙良の足を奪った泰輔が死んだ時は正直溜飲が下がった気がしたが、犬養のセリフに「罪は正当に償われなければならない」という内容のものがあって反省した。
    最近世間からのバッシングによって被疑者が体調を崩すことがあるけど、それは正当に償ったとは言えない。
    加害者が法に則り贖罪をすることを望まなければいけないなと思った。

    義足や障害者についての描写が細かく、丁寧に取材されたのがわかる。
    でも、この作品はパラスポーツへの啓蒙的な意味が強くて、本当は他にもっと得意な題材があるんだろうなという印象。

  • ついついサスペンスであることを忘れてしまう内容だ。障がい者スポーツについて丁寧に書かれている。また沙良が走るシーンでは同じようにドキドキしながら読んでしまった。ラストスパートは息ができなくなるほどだった。
    今までパラリンピックには興味がなかったが、今年はぜひ観戦してみようと思った。

  • 酒を抜いた日の夜半には本屋に赴き、オモロイのないかなと物色する。中山七里、彼の作風イメージと異なるタイトルと表紙だ。オビを読むと…ぬわぁにぃ「御子柴礼二の姿がちらつく」とな!読まねば。うむむむ、ミステリーとしての質を問うても仕方ない。御子柴ファンとしては彼の冷徹さと正酷を得た振る舞い、そして犬養刑事との応酬に酔いしれる。展開は、池井戸潤作品を読んでいるようだ。泰輔さぁ、それほど分別をわきまえていながらどうしてだよ。

  • 御子柴と犬養刑事のコラボではないですか。とめっちゃテンション上がったんだけど、内容はいまいちでしたかね。

    事件の部分より、沙良の義足の話が大部分だったからかな?沙良のトレーニングや肉体改造は読んでいてもそんなに面白くなかったので。

  • 将来を有望視されたアスリートの沙良は、ある日出勤途中に居眠り運転の車に轢かれ、左足を切断せざる得ず、アスリート生命を絶たれてしまう。加害者は隣に住む幼馴染の泰輔。その泰輔は、ある日自室で遺体で発見される…あらすじだけ見ると、シリーズものではなく、読まないでおこうと思ったけど、読んでみたら、犬養も出てくるし、何と泰輔の弁護人として、御子柴まで登場する。でも、今回はその2人の出番はあまりなく、どちらかと言うと沙良の障害者アスリートとしての再生がメインで描かれる。犬養も御子柴もいるのに、本格的な推理は少し控えめで、物足りない感じがするけど、ラスト20ページぐらいで、犬養と御子柴の対話で明かされる真実に思わず涙…また御子柴に泣かされてしまった。

  • スポーツものもすごい!突然脚を失ってしまった女性アスリートの絶望、そして再起が描かれた作品。息の止まるような200mの疾走。再びトラックに戻ることを決めた沙良の原動力が最後に明らかに。
    ミステリー要素+スポーツもので読み応え抜群の1冊でした。

  • 私も昔、陸上の200メートル走をやっていたので、興味深く読めた。弁護士を介してるからといって、保険金がああいう形で使えるものなのかな…と、不可解であったが、主人公の頑張りを応援する思いで完読した。
    また、ちょっと出てきた弁護士が主役の御子柴礼司シリーズがあるとわかり、これから読むのが楽しみ。

  • ラストが心地よかった。
    どんなラストかを怖々読んでいただけに…。
    主人公の心の強さが凄いと思った。

  • 面白い!
    スポーツが絡んだ殺人事件も面白いな。

  • 犬養、御子柴両氏が登場しますが、この本では彼らは完全なゲストです。将来を嘱望されていたスプリンターが幼馴染による事故で左足を切断することに。彼女の絶望や周りの反応、そして変化。障碍者がアスリートとして世界を狙うということの現状。殺人事件とお金の出どころというミステリを絡めて(といってもこちらもおまけ程度ですが)ぐいぐいと最後まで読まされてしまいました。最後に明かされる登場人物たちの気持ちは胸が抉られます。私たちはもっともっと障碍者スポーツについて、知らなくてはいけませんね。

全131件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山七里の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×