(005)音 (百年文庫)

  • ポプラ社
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本棚登録 : 193
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118870

感想・レビュー・書評

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  • (図書館本)
    音にまつわるはなし

    幸田文…台所のおと
    気の難しい料理人(男)が床にふせ
    聞こえてくる妻の台所の音にいろいろと思い馳せてるみたいなやつ。
    料理人目線が中心。
    時代もあるのか…ちょっと上から目線が
    気に障る(笑)
    音はタイトル通り

    川口松太郎…深川の鈴
    さくさくと読みやすい。
    ちょっと艶やか場面あり。
    主人公信吉の師匠の円玉…に
    おいおい、って突っ込みたくなった。
    お糸さんが気丈で強い…
    音は鈴の音

    高浜虚子…斑鳩物語
    京都奈良に仕事にきた?男の話。
    宿で出会った機織りをする女の子を気になり…
    なんか、よくわからなかった。
    旅エッセイみたいな感じ?
    音は機織り機(筬)

    一番読みやすかったのは深川の鈴

  • 幸田文 『台所のおと』
    妻が台所をする際の描写が、とても丁寧で、自分も病気に伏している夫のように
    目の裏に調理の情景が浮かんでくるような文章だった。
    会話文が多く説明描写は少ないが、その中で登場人物がどんなことを
    思っているのか、きっとここでは内心涙を堪えているのだろうなといったことが
    読者に伝わってくるような温かみある言葉のやりとり。

    川口松太郎 『深川の鈴』
    腕に鈴をつけたまま行為をする……艶っぽい
    懸賞に当選した時、お糸は主人公の背中に顔を押し付けて泣き出すが、
    それは愛するものの努力が報われたという喜びだけではない。
    後に、実はその瞬間に、お糸は主人公のためを思って身を引く覚悟を
    決めていたことがわかる。
    その涙を意味を考えると、切ない物語だなと思う。

    高浜虚子 『斑鳩物語』
    風景描写がとても緻密。文章で写生を行っているようである。

  • 特に幸田文が良かった。リズム良くすっと染み込んでしまうような文章、これはもう名人。

  • 実に、音が鍵になっているお話ばかりだった。

    「台所のおと」
    特にこの作品は、音の細やかさが際立っていた。
    全体を通して、音がこの作品を包み込み、あふれ出し、行間から聞こえてきた。その音のたたずまいまで、ありありと感じることができた。
    作者は、なんと繊細な感覚の持ち主なのだろう。
    丁寧に生きてきた作者の人となりが、見てもないのにはっきりとわかる。
    素晴らしい小説だ。
    さすがだ。

    「深川の鈴」
    江戸っ子とはこんなに粋なんだな、と、感心した。
    お糸のさばさばして、真っ直ぐで、すっきりした強さは、読んでいて心地よかった。
    夜にお母ちゃんにそばにいてほしかった子どもたちは、ちょっと不憫だったけれど。

    「斑鳩物語」
    実に田舎らしい、そんな風景にあふれていた。
    窓から見える景色も、塔のなかのほこりっぽさも、
    話す声も、夜の音も。
    通りすがりの旅人が、そこの生活に触れる、その感覚が伝わってきた。

  • ・幸田文「台所のおと」△
    同シリーズ「水」「青」と読んできて、日本人作家のは「また病気ものか…」とちょっと辟易。病気好きだね日本人。
    夫が床に伏せてじぶんの代わりに台所の妻がたてる音に耳を傾ける。台所の音から心までお見通しのような美文。
    しかしこうも美文であると最後にはうっとうしいのだ。

    ・川口松太郎「深川の鈴」◎
    第1回直木賞作家。「大衆小説は描写じゃない。筋であり、物語である」
    江戸!人情!
    江戸っ子なだけに江戸っ子の書くものはどうも好きなようだ。そういえば色川武大もそうか。
    芸道もの世話人情ものってのも気になる。

    ・高浜虚子「斑鳩物語」×
    「『写生』という俳句理論を継承・発展させ、それを散文にも適用した人物」
    へー。わかんなかったや。

  • 音をめぐる味わい深い3品。

  • 110422読了

    最初のがすごいよかったなあ
    音の描写がとても丁寧なのと、心理描写とかおしとやかでこまやかでとてもよかった
    ほか二つも穏やかなかんじで、読んでて心地よかったなあ

  • カバーも美しくてタイトルも美しくて、カバーを外しても美しくて。もうどうしてくれよう、この本。
    中身は言うまでもなく。文豪の名作を少しかじるにはもってこいです。活字も大きくゆったりとしたレイアウトなので、この手の作品が苦手と思っていた人でもすぐに馴染んで読めるのではないでしょうか。
    150頁の本にしては、ちとお値段が。で、星一つ減らしてます。

  • 深川的铃是真话?我不知道、不过、好。屢数屡々(often?),凭凭(lean)。日本语和中文同意。但是,悯悯(中文)=不悯(日文)。

著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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