坂の上の坂

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591126578

感想・レビュー・書評

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  • ★2013年1月6日読了『坂の上の坂』藤原和博著 評価B+
    いわずと知れたリクルートを退社して、杉並区立和田中学の校長を5年間務めた人物の人生論。彼の主張は、明治時代の人たちには、人生50年しかなく、ひとつの人生の坂を上りきると、司馬遼太郎の作品のとおり、坂の上には雲しかなかった。しかし、寿命が80まで延びた現代では、会社人生、子育て人生の坂を上りきった後に、まだ坂があるというもの。
    その二つ目の坂を上っていくには、会社とは違うコミュニティで、素の一個人として、自分を語れるものを早めの段階から準備に入り、用意しておかなければならない。また、その坂は、一人で上るよりも、二人で上ることも想定してもよいかもしれないと語る。
    なぜ私企業から区立中学の校長に転じたのか、きになる存在であった彼の考えを初めて知り、全面的とは言えないまで成程と思える部分も多々あり、50歳を超えた私にとり、示唆に富む著作であることは確かである。

    中でも気になった部分の見出しを書き出してみると、、、、、

    第一章 世の中を信じる

    第二章 幸せは自分の中にある
     自分なりの豊かさを定義してみる
     自分を不幸にしているものに気づく

    第三章 ”いい子”はもうやめる
     いい子を降りると手にはいるものがある
     正解のない時代になっていることに気づく

    第四章 会社を利用し尽くす
     組織にたな卸しされる前に、自分のたな卸しを
     生きた証は会社ではなく、家族に記憶される
     外国人にも理解できるよう、履歴書を書いてみる
     肩書き、会社ではなく、何をしてきたか?!

    第五章 消費の作法
     海外のブランド物より日本の文化と技術
     投じるのは資本ではなく、気持ち
     愛情ある投資がものの価値を育てる
     タダでやっておいたほうがいい仕事がある
     
    第六章 コミュニティをシフトする
     まずは、名刺を出さない練習から
     印象を残すにはあえてマイナスの話をする
     得意分野の力を発揮できるコミュニティを選ぶ

    第七章 パートナーと向き合う
     二人主義を早めに始める
     奥さんのことはわかっていないと認識する
     夫婦で地元のいいお店探しをする

    第八章 死とお金を考える

    第九章 本当に必要な備えをする
     いざというときの疎開先を見つけておく
     第二の故郷作りは土地に根付くことから
     貢献することが自立につながる
     インターネット上にも居場所をつくる
     生ツイッター、生フェイスブックのすすめ
     身体を動かし体の資産づくりをする
       坂の上の坂を上っていくには、治療される病人から病気を予防するプチアスリートになっていくことが必要、そのためにも一生続けられるスポーツを始めておく事は大切

    おわりに 坂の上の坂世代の大事な役割、孫育て
     孫世代が生きる未来について真摯に考える どうすれば豊かな人生を歩んでいくことができるか、孫といっしょに考えてみること、少なくともやがて生まれてくる孫たちの世代に恥ずかしくない人生を歩む努力をすること。孫世代にかっこいいところをみせようとする。それが生きがいにもなるのではないか?!正解主義から踏み出して、福島原発が撒き散らした放射能と復興のための国債という負の遺産。孫たちへの借りは大きい。それを新しい時代に立ち向かえる教育でお返しするという対応はどうか?
    脱正解主義。

  • 2012年11月25日読了。
    以前聞いた藤原さんの講演と同じことを言っている。確かに、50代位の方がターゲットになっているが若い人も早いうちにこの考え方には触れた方が良い。答えがない成熟社会は、それぞれ一人という時代。そこでの安易な拠り所に頼るのではなく自分の幸せな人生をマネジメントしていく上で哲学を持って生きることが大事。パリの人は心の拠り所のツールとして宗教を捉えているというのは発見。
    メモ。
    タテヨコの関係だけでなくナナメの関係が大事、自分でストーリーを付与する、5年おきに自ら危機を演出する、コミュニティを複数持つ(土曜の寺子屋ドテラ)、大事なことは相談しない(責任を自分で)、パートナーとの時間を大事にする、もともと二人は分かり合えない人物(いかに、それを分かって寄り添えるか)。

  • 今年の一冊目は、藤原和博さんの著書から。

    「定年を迎え、いざその時地域に加わろうとしても入っていけない。」
    には同感。特に男性は。
    あとは家族、特に妻との関係や会社は自分の能力研鑽場であるというのにも、なるほど。

    まだ先だけれど、そろそろ私も定年が坂の上に見えてきたかな。

    13/01/03-1

  • 藤原氏の講演で、本を買うようにと言われたのでその場で購入。サインももらえて、握手もしてもらった(笑)

    まあ、藤原氏の口車に乗せられたわけなのだが、買ってよかった本だ。
    少々、ターゲットは高めで、40,50代~くらいだと思う。

    タイトルは、どこかで見たような感じだが、そう、司馬遼太郎の「坂の上の雲」

    私は読んだことはないが、その時代は人生は一山。その坂を上り終えたころ、つまり人生のほぼ頂点か、それを少し過ぎたくらいで死が訪れる時代。だが、今は普通に生きていたら、一山を下り終えてくらいから死が訪れ
    る。下り坂では問題がたくさん発生する。

    その下り坂に向かう前に、人生にもう一山、もしくはそれ以上、山脈のように、坂の上に更に坂を作ろう、という意味でこのテーマらしい。

    内容的には、そのように変容しつつある世界、そして人生においてどのように生きていくか、様々な点で筆者の考えが述べられる。
    教育に関しての記述がたくさんあるかと思ったら、それはかなり少なかった。

    ただ、自分はまだ実感がわかないが、いつか来る下り坂を早め早めにイメージし、その前に新たなる上り坂のすそ野をたくさん用意したいと思った。

  • 著者の公演を聞いたこともあるが、パワフルで反権威主義で非常に面白かった。
    その時の公演でも話しをされていた、被災地に700個のロールケーキを届けらたら、800人いるからといった理由で拒否されたというエピソードは非常に印象に残っている。(本の中でも後書きに記述されている)
    如何に、皆が正解主義で事なかれ主義に陥ってしまっているのかという典型例だろう。
    如何、気にった点をメモ。
    ・会社と対等に付き合おう。利用しよう。今の立場を捨てる変わりに○○をやらせて欲しいといった交渉をしよう。
    ・権力↔個人、お金↔お金以外のマトリックスで自分がどこに向かいたいのか考えよう。
    ・組織内自営業者を目指そう。
    ・地域コミュニティーに40代から所属しよう。教育的な関わりをしよう。
     コミュニティをシフトさせよう。
    ・夫婦でできることを考えよう。一緒に地元の美味しい店をさがそう。共通の趣味をもよう。テレビを消して、一緒に飲もう。そして妻を理解しよう。
    ・女性に盛立てられることで男性は強くなる。父親をリスペクトしよう。夫婦で褒め合おう。(世の中の親の学歴が向上し、先生をリスペクトしなくなったから先生の権威がなくなってしまった。)
    ・からだを鍛えよう。
    ・人生の盛り上がりは一つの山ではなく、複数の山を連ねよう。
    ・ブランドを求めるのではなく、自分だけのお気に入りをもとう。
    ・Yes,But(できるが条件がある)で考えよう。

  • 和田中の民間出身校長を務められた藤原さんの著書ということで読んでみたけど、まだちょっと早かったかな。
    坂の上の坂、というのは年代のことを言っていて、定年退職後、しっかり坂を登り切ったあとで待ち受ける坂をどうするか、ということなので、もちろんいつかはその時が来るのだけど、20代でそこを見据えるのはなかなかしんどい。
    とはいえ、同期など同世代とはちょっと違う生き方をしている自分にとっては、共感できるところが多かった。
    25の時ぐらいから悟っているのが、「結局幸せは自分にしか決められない」ということ。国際的なリーダーになることが幸せと思うならそこを目指せばいいし、仕事は平凡でも家庭第一にしたいならそこを目指せばいい。そういうことなんじゃないかな。

  • 人生80年の時代の現代は、退職後の生き方が問われる時代でもある。
    その時を見据えて、何をどのように準備すればよいのかを書いている。

  • 坂の上の坂は、いわば第二の人生。どんな坂の上の坂を迎えるかを考え、準備しておくことが必要ということ。

  • この本石巻に持ってきたのも何かの縁かもしれない!!

    定年まで登りつめて、その後は下って行くのではなく、また登り、最高な人生の締めくくりを迎えられるか。
    平均寿命も伸び、定年迎えても何十年も生きる現代。その時を迎えるに当たって、きちんと準備ができているか?考えさせられることが多くて、すごく面白かった!
    オススメしてくれた人に感謝だし、読んだことない人にはさらにオススメしたい!!

    ちなみに、なんで石巻持ってきたのを縁と感じたかというと、藤原さん自身が震災復興支援で、石の生産が盛んな石巻の雄勝地方の支援をされていたから。雄勝の石を使った時計を製造販売し、その収益金を使って雄勝の文化を元に戻す取り組みをしたり。
    大学の頃は意味もなくボランティアに燃えていた頃もあったのに、最近すっかり遠のいたその世界。
    新たなコミュニティに入りたいなーって思うようになったから、何か探してみようと思います。

  • 読書は読み手のその時の状況によって、得るものが違うと思う。
    この本は、40代でいいか、というのと、中身はあくまで著者の具体例に基づいたアドバイス集。その前提で読めばいい本です。自分には相入れない部分も多数。

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著者プロフィール

藤原和博(ふじはら・かずひろ)
「朝礼だけの学校」校長。1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリーの創業も手がける。1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003~08年、杉並区立和田中学校で義務教育初の民間校長を務める。2008~11年、橋下大阪府知事の特別顧問。2014年から佐賀県武雄市特別顧問。2016~18年、奈良市立一条高等学校校長を務める。

「2021年 『「人生の教科書」コレクション全10冊セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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