- Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592145233
作品紹介・あらすじ
三月町の夏まつりで島田と初めて出会い、あかりと林田は、思いがけずそれぞれに転機を迎えることに。8月に開催される真夏の戦い・東洋オープンで、二海堂は“宗谷を倒した男"になるべく負けん気をたぎらせる。彼の指す将棋の駒音が、零や宗谷や滑川達、他の棋士達の胸中にまで響き渡っていく。
2017年9月刊。
感想・レビュー・書評
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すごいてんこ盛りな感じの巻だった。
てんこ盛りだったから、最後のすき焼きの残り汁の話で一息つけた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再々再々読?
脇役達(失礼)によるお話。
でも全員好きだから嬉しい。
二階堂×名人
あかりさんの恋バトルetc…
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この巻はなんといっても二階堂。巻を追うごとに魅力が増していく二階堂。宗谷名人と相まみえることになったときの、その気持ち、めっちゃ良かったです。
個人的にはスミスに心で語りかける田中棋士もツボでした笑 -
映画もアニメも見ていないけど、今とっても評価の高い羽海野さんの作品を初めて、まとめて読んだ。
映画の予告編で散々見てきたので、物語は、事故で家族を失った零の少年期から始まり、幸田家での葛藤が前半になるとばかり思っていたら、最初から川本家でのお話になっていたのでびっくり。
途中で零の小学校・中学校の孤独な闘いを挿入する。作者は、実に綿密に作品世界を構築してから始めたことが分かった。
しかし13巻までなると、もう開始の頃の想定物語は無くなって、自由に登場人物たちを動かしているように思える。
もともと将棋ファンだったのかは知らない。羽海野チカは、かなり専門的に将棋を知っているように思えた。宗谷は当然羽生だろうし、二階堂は村山聖がモデルと思える。加藤一二三のモデルもいそうだし、柳原は大山名人だと監修者が証言している。
そして、現実がマンガに追いついた。藤井少年という中学生棋士が現実に踊り出てきて、零と見紛うかのような活躍を今年はした。藤井棋士が体験した将棋の世界を、このマンガで余すことなく見ることができた。
零は、雨のイメージがある6月町から川本姉妹のいる3月町を訪れ、やがて住み着くようになる。3月のライオンとは、そういう意味なのだろう。川本ひなたのイジメ克服の話を通じて、このマンガ世界が、人生を肯定的に見ることの大切さを語っていることに了解する。
いっき見に充分耐えうる作品だった。
2017年11月22日読了 -
バチダンの響きとスピード感。もうこれって、台詞いらないんじゃない?音だけで、テンション上げられてしまって、どんどんのめりこんでいけるんじゃない?という熱量の二階堂と宗谷名人の一局。
ん?この漫画って「3月のライオン」だよね?「ハチワンダイバー」じゃないよね?このテンションの持っていかれようときたら、「ハイワンダイバー」のそれだ。
羽海野作品のコマ間に挿入されるモノローグや、登場人物の言葉回し。それが作品の魅力の一つで、今回の一戦も二階堂の言葉の端々から、緊張と憧れと挑戦の気概を十二分に伝えてくれていて、その熱量がどんどんどんどん高まって沸騰していくのがたまらないんだ。
それはわかっているんだけど、その上で言葉なんていらないんじゃない?と思わせる二人の戦い。
いや、すごいわ。ほんとにすごい。
その熱さゆえに、自分を焼き尽くしてしまう二階堂。きらめきと危うさの同居するみんなの人気者。悲しい結末はやめてくださいね、お願いだから。
あかりさんを巡る島田八段と林田センセ。
銀座のお店での出来事が、林田センセ目線で描かれるのが本当にしんどい。でも、あの苦しみを共感できるから、おもしろいと思えます。
圧倒的な疎外感に身を焼かれながらも、そこにいることを選択してしまう。だって、オレの知らない物語が始まってしまうよりずっといいから。
センセのいう通りです。
勝負はふたを開けてみないとわからない、とはいうけれど、たいていは予想通りに事が進んだりしてしまうもので。だからといって、最初からあきらめるなんて大人ぶったことはできないわけで。可能性はゼロではないなんて、信じてもいないことを必死の足掛かりにして挑む勝負もあるわけですよ。負けたと思うまで、負けてない。
あぁ、桐山が学校へもう一回行こうとした気持ちって、こういうことなのかな?逃げなかった記憶がほしいっていうのはさ。
ごめんなさい、林田センセに失礼なことばっかり決めつけちゃってます。
この3人の物語の始まったばかり。どちらがあかりさんがハートに巻いてしまった包帯をほどくことができるのか、ですよ。
『いい思い出と悪い記憶は複雑に絡み合っていて いらない所だけを切り取って捨てられる そんな都合いい機能はない』というのなら、悪い記憶へと絡みつかないようないい思い出を増やせばいいんですよ。捨男がかかわる記憶よりも、これから楽しい思い出を増やせばいいんですよ。どちらの男性を選んだとしても、きっと増やしてくれますよ。悪い記憶が出てきても、そばで寄り添ってくれますよ。
あかりさんもわがまま言っていいんですよ。 -
癒し系テレパシーおじさん田中七段の笑顔に癒される一方、島田八段と林田先生の照れた顔に見惚れてしまう。そして、哀しみ感情を揺さぶられる香子の表情。あるいは二階堂と宗谷名人の本気の表情。13巻、さまざまな「顔」に魅了されてしまった。
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もう最高です!!
星が五つしかないのがもったいないです
どの人もこの人もみんなみんなすてき!
一所懸命に生きている
あーすごいな!羽海野チカさん!
さいこうです!
バッグ付いたの買いました
見せびらかします
≪ なだめつつ 川面を見つめ また渡る ≫ -
群像劇を見ているように、それぞれの視点でそれぞれの登場人物の気持ちが描かれている。
自分はかつて、この登場人物たちのように心を震わせたり、何かを羨ましいと思ったり、超えてやりたいと思ったことがあっただろうか。
この巻だけではなく『3月のライオン』という作品は、毎回自分の熱くなれない部分を浮き彫りにさせてくれる、だから気づかされる。
本気になるということの美しさと、楽しさを。
全力で向き合うことの根気強さと、熱さを。
僕の中のMVPは間違いなく二階堂くんでした。
拍手。 -
みんなの恋とか目標とか、二階堂くんが主役の巻。いい意味でも不安な意味でも。
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…書評を書くのが何年ぶりなんだって感じですが…いい加減整理つかなくなってきたので…じわじわと。積読よりも読み終わってるのに書評書いてないのがまた読み終わった当時の熱はとうに無いものだから、かといってざっと読み返すと直後とは違うけどそれなり思うところはあるので、ひとまずそれを書き留めるとして。
こちらは刊行ペースがゆっくりなので、置いておいても何冊もたまることはない。のでここから攻めていこうと思ったけど、そういえば原画展も行ったなぁなどと思いつつ。原画展で思ったのは、ハチクロと3月を並べると明らかに掲載誌を意識しているんだなぁと感じたのが一番。書き込み方とかぜんぜん違う。ネームから完成までの工程がものすごくてもはや同じものをまるごと3回以上描いているようなものなのじゃないかと思って、それに加えて専門分野の裏取りとかもやらなきゃで、この人は一体どれだけの作業をどれだけのスピードと質量でこなしているんだと唖然としたり。
…書評です。
いろいろじわじわ進んでいますが、大きくは二階堂回か。みんなのアイドル宗谷の罪深さよ。ただひたすらに主人公が勝ち進むわけではなく、時には負け、時には別の者が勝つリアリティ。それは登場人物ひとりひとりが誰であってもただの「キャラクター」ではなく、一個人として日々を「生きてる」感覚があるからこその自然なのだと思う。
コメディとシリアスが毎度いい具合で混ざり合って、読後はニュートラルな気持ちと食べ物のイメージが残るのがまた気負わず読めるけど満足度が高い。