- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594067496
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
かなり頭が良いと感じる文章です。そして言い方悪いかもしれませんが、俯瞰して観てるなという印象を受けました。
-
なぜ学歴もあるゆしゅうな若者が犯罪者となってしまったのか?これを読むと少しは分かる気がする。
-
日本を震撼させた世に言う『オウム事件』。本書は教団の元ナンバー2として深くかかわり続けた上祐史浩氏が特別指名手配犯全員逮捕という『区切り』を受け、17年の歳月を経て明らかにした『真実』です。
実をいうと僕は大学時代、オウム真理教時代に書いたと思われる彼の著作を2.3冊読んだ事があります。その後の生活環境の激変から、そういった事実を忘れておりましたが、本書を読んだことで、当時の記憶と、いまだに生々しい世に言う『オウム事件』の映像が浮かび上がってきました。
2012年に長年にわたって逃亡を続けていたオウム特別手配犯―平田信、菊地直子、高橋克也が相次いで逮捕され、事件に一定の区切りがついたところで上梓された本書は『ああいえば上祐』の異名(本人にとっては揶揄)でワイドショーで広報担当として自説を展開し、麻原の側近として、教団のスポークスマンとして『活躍』していたことで知られ、その後は教団の土地取得に絡んだ偽証罪などで逮捕され、広島刑務所などに約4年間勾留、服役のち、出所し、オウム真理教の後継団体である「アレフ」の代表に就任するも、2007年に脱会し、現在では自らが設立した「ひかりの輪」代表を勤める上祐史浩氏が、17年の歳月を経て自らが深くかかわった教団の内幕と、さまざまな事情が絡んで、話すことのできなかった『真実』を初めて告白し、白日の下に晒したものです。
いや…。何というのか…。一読をした直後はあまりの重さに何も考えることができず、ただただ、呆けてしまうばかりでした。この事件や教祖である麻原彰晃は無論、重罪を犯し、死刑になった最高幹部や、刺殺された村井…。彼等に対して僕からの問いはたった一つ。何故日本の最高学府を優秀な成績で卒業。もしくは在籍していた人間たちが、オウム、そして麻原彰晃の『教義』に共鳴し、本書でいうところの『盲信』を深めていき、やがては日本社会に反旗を翻すようになってしまったのか?このシンプルにして根源的な疑問は教祖である麻原彰晃の精神が崩壊してしまっているそうなので、本人の口から『真実』を聞くことはおそらく永遠にかなわぬことでしょう。しかし、彼の元で長年仕え、教団のナンバー2とまで言われた彼がここまでの重い告白を本書でしてくれたということは、『オウム事件』の闇を何割かでも明らかにしてくれた、という意味でもその是非は別として、本当にありがたいと思います。
まかり間違っていれば、彼もまた、死刑の刻を待つほかの最高幹部と同様、教団を率いて最後まで戦い、死刑に値する重罪を犯してしまっていたという可能性は十分にあったのですから…。本書の中では自分の半生をかけて『盲信』し続けてきた麻原と、その麻原への『帰依』を離れて『自立』するまでの長い長い精神的な彷徨と、自らの家庭環境、特に両親のことについても積極的に語られていたことは、とても印象的でした。
さらに、巻末には長年にわたって「オウム事件」を取材してきたジャーナリストの有田芳生氏との対談も収録されており、とても示唆に富んだ内容となっておりました。無論、『オウム事件』および教団の最高幹部として深くかかわってきたことは上祐氏の中で生涯背負わなければならない『十字架』であることは疑いようもありませんし、そのことは本人が一番よくわかっているのでしょう。ただ、僕は上祐氏がその事実と生涯にわたって向き合い、そしてどのようにして『贖罪』を果たしていくかはこれからも見守っていきたいと思っておりますし、ことの是非については上祐氏がこの世から去ったあとで、歴史が判断すればよいと考えております。とにもかくにも、本書は『オウム事件』を語る上での貴重な資料であるとともに、一人の人間の重い『告白』であると、僕は考えます。 -
面白いとは書けないが、読み易かったのは間違いない。
地下鉄サリン事件当時、自分は小学生だったため詳しくはこの事件を理解していなかったが、ずっと関心は持っていた。また昨年の「たかじんのそこまで言って委員会」に上祐氏が出演された時に、パネラー全員から総攻撃にあっていたにもかかわらず、至って冷静に対応する姿に不思議なものを感じたし、その時にこの本を出版すると聞いていたので是非読んでみたいと思っていた。無論氏が自己弁護に終始していないかという疑念は拭えなかった為、初めから批判的に読むつもりだった。
特筆すべきは最後の方の章、上祐氏の生い立ちと彼の両親についての話。これは始めて語られることなのではないか。彼がアレフを脱会してひかりの輪を設立する、且つ麻原への妄信を断ち切る要因となったのもこの章に於いてよく知ることが出来る。
対談部分は余り興味はなかった。有田芳生という人物も江川昭子という人物もオウム事件当時は有名なジャーナリスト(?)だったのかもしれないが、その当時の事は私はよく知らない上に、今現在の彼らについては思想的にも全く信用ならぬ人物として見ているため、話を聞きたいとも思わないからである。 -
オウム真理教かつての「広報」担当、現「ひかりの輪」代表である上祐史浩氏のオウム総括本。
ただ1995年までの各事件(坂本弁護士一家殺害、松本サリン事件など)は、早川紀代秀『私にとってオウムとは何だったのか』や、降幡賢一『オウム法廷』の方が詳しい。
むしろこの本で見るべきは、上祐氏自身が自らの家族関係に一章を割いている点であろう。
また上祐氏出所後の教団の内幕(アレフとひかりの輪の分裂のいきさつなど)が書かれている書籍は少ないように思うので、その点で一読に値するとおもう。
しかし、やはり直接犯行に加わっていない為なのか、時間が経ちすぎているためなのか、オウムの起こした事件については終始何処か他人事のように書いているように思えた。 -
地下鉄サリン事件から17年目。オウム特別指名手配中の3人が逮捕されたことをきっかけにオウム教の最高幹部だった上祐史浩氏がオウム真理教時代の自身を告白する。ちなみに彼は現在、懲役刑を終えて出所、「ひかりの輪」という組織を作り、オウム事件の損害賠償や元オウム信者たちの社会復帰を手助けしている。オウムの後継組織「アレフ」とは縁を切っているようだ。
本の中で、上祐氏は当時の自分が麻原を心の底から崇拝し、世間へ虚偽発言を繰り返していたと告白する。さらに自らの生い立ちと両親のことを語り、オウム時代の自分は間違っていたと反省する。
彼の言葉の真偽をどう判断するか。私はサリン事件をはじめ、オウムによって被害を受けてはいなので、甘いかもしれないが、彼の反省は真実であり、もし「オウム教=アレフ」が反社会的な行動を起こしたときの防波堤を担ってくれると信じたい。 -
オウムについて改めて整理できて良かった。あと自分の創った『ひかりの輪』という宗教(サークルのようなもの)の宣伝と自分と親との関係についてと対談という内容。
-
「-」
元オウム真理教広報上佑文浩氏が語るオウム。
今まで、体系的にオウムを学んだことがなく、
当時の幹部がオウムについて語る点に興味をひかれ、
この度は読んでみようと思いました。
宗教に嵌る人を弱いというのは簡単ですが、
宗教を糧によりよい結果を残している人がいることも事実です。
日本では、宗教=危険と思われがちですが、
正しい宗教教育も必要だと思います。
ただし、何が正しいのかが非常に難しいのだと感じます。 -
オウムの広報担当だった上祐が、自分が麻原を「盲信」してしまったのは何故なのか、あるいは、麻原を「盲信」してしまった自分とは何なのか、を自分なりに考え整理した書である。そしてこれから自分が何をしなければならないか、について語っている。
麻原と自分の分析については、ありがちな心理学の論法にあてはめているだけのようには見えるが、それが今の彼の実感なのだろう。それはそれで重要な証言ではある。
そうした分析よりも、主に前半に語られる、上祐が見てきた麻原周辺のエピソードのひとつひとつがやはりおもしろい。
そして自身の責任については、率直に反省しつつも弁解がましくなるのはやむを得ないところだろう。
ただ、後半は自身が主宰する「ひかりの輪」の宣伝になっている。本人もそう受け取られるのは重々承知で、その書きぶりは慎重なのだが。
通読して改めて「頭のいい人」だなと思う。自分なりにきちんと反省し、押さえるべき所は押さえていると思う。なのに、なぜか軽い感じがする。簡単には信頼できない感じがする。
他のオウム幹部たちの手記も読んでみたいと思った。