- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622079637
感想・レビュー・書評
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第二次世界大戦も終盤、戦場に駆り出された17歳のヨハンは左手を失って村へ戻り、郵便配達をしている。戦場からの家族の便りを待ちわびる人々。時として戦死を告げる「黒い手紙」も届ける。ヒトラーの号令の元繰り広げられる戦争。巻き込まれる人々。賛同する人とその家族、批判的な人、捕虜として連れてこられれた人。様々の人に郵便を配達するヨハン。そんななかで出会った美しいイルメラとの恋。徐々に終戦へと近づいていく。
イルメラは、両親を探してヨハンの元から離れる。再会を誓って。そしてヒトラーは自殺し、戦争は終わる。イルメラに会いに行こうとするヨハンは、ナチスに傾倒している自慢の息子とヨハンを時々混同してしまう認知症の傾向のある婦人の家を訪れる。そこでヨハンが出会うのは…。
伏線は細かく張り巡らされていたのですが、最後の最後に「ああ…」と思わされるラストに衝撃でした。
何が真実で、何が正義なのか、戦争は愚かです。 -
雑な終わり方を強いるなよと身体の中で声が出た。そして嗚呼これが戦争の不条理と諭してるのだと息を吐く。七つの村を廻る配達人と村人は人間味と四季に溢れてた。一瞬で変わり果てる残酷さ。思考不能の戦争よ無くなれ。
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「ロシア戦線で左手を失い、故郷の山あいの村で郵便配達人として働く17歳のヨハンを主人公に、同じ年でドイツの敗戦を経験した作者が自分の生きてきた時代が犯した過ちを正面からみつめ、誰もが等しく経験せざるをえなかった「戦争の本当の姿」を渾身の力をこめて描く。」
戦時下で教育を受けたヨハンは、「年長の少年たちが祖国を守るのは当然の義務だ」という先生の話を信じ、入隊を心待ちにしていた。ところが戦地について二日目に左手を失い、除隊。今では郵便配達人の仕事をしている。郵便の中には、「黒い手紙」と名付けられている戦死通知の手紙がある。国は英雄的な死というが、家族にとっては身内・家族の死。それを届けるのは重い仕事で・・。
「戦争は、個々人の気持ちより、国家を優先するのです。国民は国家が勝つための道具にすぎない。それが戦争です。」(『10代のためのYAブックガイド150!2』の紹介文より抜粋) -
翻訳の問題なのか読み慣れないだけなのか、地名と人名が多くて登場人物を把握し切らない&街の描写が少なくてイマイチイメージが掴みにくい&何故か小説の起伏を数カ所に纏める(なぜこの起伏とこの起伏を被せた?!が読み終わっても理解できないものが多い)のがうーん...というポイント。
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4.15/180
『ナチス・ドイツのポーランド侵攻によって始まった第二次大戦。その終盤、間に合わせの訓練を受けただけでロシア戦線に送り込まれた17歳のヨハンは、左手を失って故郷の山あいの村へ戻り、郵便配達人として働いている。
ある時は戦地の夫や息子、兄弟と彼らの帰りを待ちわびる家族をつなぎ、ある時は〈黒い手紙〉によって彼らの死を知らせるヨハン。臨月のおなかをかかえて夫を待つ妻、意気揚々と出征していった十代の息子を案じる母、総統が最終勝利をもたらしてくれると熱狂的に信じる娘。戦争に、ヒトラーに批判的な者もいる。ヨハンとおなじく傷病兵として帰郷した若者、ポーランドやウクライナからの強制労働者。そして、ヒトラー・ユーゲントのリーダーからSS隊員になった孫の戦死を受け入れられず、訪れてくるヨハンを孫オットーだと思い込むようになる老女……
若いヨハンの誠実さ、温かさは人びとの心を開かせる。みながヨハンに不安、悲しみをあずけ、それをヨハンは受け止める。恋人イルメラとのつかの間の幸福、ドイツ降伏に続くささやかな平和。その後にヨハンを待っていたものは……
自分の生きてきた時代が犯した過ちを正面からみつめ、戦後生まれの世代、21世紀に生まれた若い世代に向けて書きつづけてきたパウゼヴァングの最新作。』
(「みすず書房」サイトより)
原書名:『DER EINHÄNDIGE BRIEFTRÄGER』
著者:グードルン・パウゼヴァング(Gudrun Pausewang)
訳者:高田 ゆみ子
出版社 : みすず書房
単行本 : 248ページ
発売日 : 2015/12/22 -
結末に思わず声が…。しかしながら、この結末がまさに戦争の深い哀しみ、不条理を表しているかのようで、かなりこたえた…
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あ~~なんてこと!!
タイトルにわしずかみされ
表紙に惹かれ
1年ほどの期間
厳しい冷たい激しい冬を超え
驚きも
喜びもあり
これからって時に
まさか、なんてこと!!!!