船乗りサッカレーの怖い話

  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652079591

感想・レビュー・書評

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  • 前作と違い船乗りの話ということで、パターンが似通うのではないかと思ったが、サイコホラー有り幽霊譚有り怪物の襲来有りとバラエティに富んでいました。
    最後のオチの付け方ももの悲しさが漂い良かったです。

  • シリーズの第1巻から読んでいるが、怖さは増しているようだ。原題と雰囲気が違う和題に少し戸惑いを感じる。ピロスカは絵からロシアン人形のようだ。イレズミではTATOOではなく日本語を採ったところからアートの意味であると解釈した。(刺青にはたぶん著者も知らないであろう歴史がある。)最後の描写は目に映るようであった。ボートの乗った少年あたりからだんだんと怖くなってきた。サルの意表をつく結末が一番面白かった。泥ではホフマンを想起した。スクリムシャーは第1作の“盗む”事を思い出す。最後にトリカブトで短編集の結末を全体として締めている。

  • シリーズ第2弾。
    父が留守中の嵐の日に兄妹の元にやってきたサッカレーが聞かせる怖い話は海が舞台。
    前作の『モンタギューおじさんの怖い話』よりも怖さが増しててゾクゾクゾクとしたけど、こういう話とても好き。
    デヴィッド・ロバーツの挿絵がマッチしてて恐怖の世界観をひき立てている。

  • 嵐の中、崖の上の宿屋で父親を待つ兄妹。そこに訪れた船乗りのサッカレーが、彼らに聴かせてくれる船にまつわるさまざまな怖い話。児童向けだけれどかなりぞくぞくさせられるホラーです。
    船乗りの生活ってとかく怪談が生まれそうです。どれもこれも怖い……というより嫌です。物語としては魅力的なのだけれど、船乗りの生活はしたくないなあ、と切実に思いました。海ってわけのわからないものがいっぱいいそうっていうのもありますし。とにかくいろんな怖いものが出てきて、本当に嫌。
    お気に入りは「サル」。船乗りたちを襲う謎の怪物を巡る物語。なのだけれど、このラストではとんでもなく驚かされてしまいました。しかもタイトルがこれだし。騙されたー! 怪物ホラーとしては「カタツムリ」もとんでもなく嫌だなあ。
    そして「黒い船」の展開はまだ予想通りだったのだけれど、「トリカブト」でやられました。まさかそういうことだったとは。読み終えると、「嵐」を読み返したくなります。だけれどこの終わり方はちょっと素敵でほっとさせられました。

  • 途中でアザーズが頭をよぎる。
    やっぱり…ね。視点を変えて、生者が死者を恐れるように、死者も生者を恐れると考えるようになったら、大抵のホラーは平気になる。一番怖いのは生きてる人間。
    最終章トリカブトのモンタギューは、やっぱりモンタギューおじさん?!

  • 大人も楽しめる

  • 前作「モンタギューおじさん」に比べると、語られるお話に血とか痛い表現が多いです。
    大嵐の中たった二人で父を待つ兄妹と、そこに突然現れた船乗りサッカレー。
    飄々とした語り手のサッカレーの態度と、兄妹の兄が抱くサッカレーへの不信感が物語の怪しさを深めています。
    思わず「そうきたか!」と言ってしまうようなオチも良かったです。

  • 岸壁に建つ宿屋。
    そこには母親を亡くした兄妹と妻を亡くして以来精神が荒んだ父親が三人で暮らしていた。
    3日間、嵐の吹き荒れたある夜、一人の男がその宿屋にやって来た。
    折しも父親が留守のその夜、突然やって来た男の名前はサッカレー。
    ずぶ濡れのサッカレーは嵐の中助けてくれたお礼にと二人に話を話し始める。
    船乗りだからこそ知っている怖ろしい話を-。

    まず最初にサッカレーが語ったのは一種の恋物語「ピロスカ」
    移民団を乗せた船の若い船乗り、リチャードは移民の娘に心奪われる。
    彼女の名前はピロスカ。
    ピロスカはリチャードに船を降りて、自分たちと共にアメリカで新しい生活を始めようと誘う。

    「ピッチ」
    嫌われ者のハーパーに何故か好かれ、ハーパーへの憎しみを募らしているトム。
    ある夜、トムはハーパーを船からつき落とす。
    その様子を一部始終見ている者がいた。
    それはハーパーの愛していた猫のピッチだった。

    日本のナガサキに寄港した際、怪しげな彫師の女にイレズミを入れてもらった船乗り、人食いカタツムリ、双子の片割れに憑りつかれる男・・・。
    海という場所を舞台にした海ならではの怖い話。
    どれも独特な雰囲気が漂います。
    そしてそれに拍車をかけているのが細い線で描かれた挿絵。
    この絵がさらに不気味で腺病的な雰囲気をかもしだしています。

    全11話の中で私が最も印象的だったのは「ボートに乗った少年」という話。
    ローバック号という船の船乗りは大海原にぽつんと漂うボートを見つける。
    ボートにただ一人乗っていた少年は保護され船乗りたちに愛されるようになる。
    所が少年が船に乗ってから船の上での事故が相次ぐ。
    そして何より恐いのはいつもは無表情なその少年が人が傷つく様を見て、これ以上面白い事はないというように笑い始めたこと。
    さらにその少年を誰も注意しないばかりか、彼の愛らしい笑みに自分たちも笑ってしまうこと。
    そんな話で何とも不気味だった。
    また全て読み終えた後、最初の「嵐」を読むと、なるほど・・・と思う本でもあります。

    これは全3冊のシリーズ物の1冊で、発売順に「モンタギューおじさんの怖い話」、「船乗りサッカレーの怖い話」「トンネルに消えた女の怖い話 」となりますが、全て独立しているのでここから読んでも全然問題ありません。
    全てちょっと謎めいた語り部が登場して怖い話を子供に話して聞かせるというパターンは一緒です。
    普通シリーズ物は続編ほどつまらなくなる傾向がありますが、このシリーズでは一番新しい「トンネルに消えた女の怖い話」が最も面白いと個人的に思ってます。
    児童書なので文字が大きめで読みやすいです。

  • ホラーだが切なさ漂うの短編集。大人でも十分楽しめる。

  • プリーストリーによる「怖い話」第二弾。

    今回の語り手は、嵐の晩にふらりと現われた、いかにも怪しげな風体の船乗りサッカレー。
    彼の語る船乗りや船の乗客にまつわるお話は、どれも陰惨で、ゾクゾク度満点。しかも、一つ一つの話に怖さがみっしりつまっていて、より楽しめる。

    前作同様、枠物語なのだけれど、静かな余韻を感じさせるような枠の閉じ方も素敵。

    イギリスでは昨年10月に、第三弾『Tales of Terror from the Tunnel's Mouth』が出版された模様。
    初めて一人旅に出ることになった少年を乗せた汽車が、トンネルの入口で立ち往生。復旧までの間、乗り合わせた謎めいた白衣のご婦人が、少年にお話を聞かせてくれるという設定らしい。
    翻訳されるのが、楽しみ楽しみ。

      Tales of Terror from the Black Ship by Chris Priestley

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