- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750517667
作品紹介・あらすじ
《村井理子さん、推薦!》
ずっと苦しかった。泣きたい気分だった。
そんな私の気持ちを受け止めてくれた一冊だ。
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──時代が変わっても、家事はラクになっていない!
なぜ家事は女性の仕事だったのか?
明治から令和まで、家事と仕事の両立を目指してきた女性たちの歴史、それぞれの時代の暮らしと流行を豊富な資料で解き明かし、家事に対する人々の意識の変遷を読みとく。
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●メディアが広げた“幸せな”性別役割分担
●「本当は自分でやるべき」に縛られる
●育児をレジャー化する「名ばかりイクメン問題」
●令和の食卓における効率化と趣味化
●一汁一菜ブームが見落とすもの……etc.
家事のモヤモヤをときほぐし、共働き時代の新しいパートナーシップのかたちを考える。
感想・レビュー・書評
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カジュアルなタイトルと見た目に反して、イラストの一切ない文字だけの300ページ超の大作。
内容は家事のノウハウやコツを伝えるような、よくある家事本では全くない。
むしろ「家事の社会学」というようなタイトルの方が適切じゃないかと思える。
家事の歴史的、社会的、政治的背景を紐解きながら、家事の偏在する大きな負担の理由を説明し、そのよりよい在り方を検討している。
対象読者は、日々家事に追われている人、その中でも家族があり、ケア(育児や介護)も家事の一つである方と想定している。現在の日本では大多数が女性でしょう。
女性が会社や社会などの公的エリアから家庭に追いやられ、家事を1人で抱えこまされ、男性が家事に関与しないのはなぜか。それはそれぞれの個人的な要因というよりは、家事がそういうものだとしてきた親、会社、社会、制度の関与がある。それぞれが長い時間の中で複雑に絡み合っているので根が深い。
具体的に家事負担の軽減として目指す方向は、家事の総量を減らすことと、それをほかの家族とシェアすることだ。シンプルだが重要であり、その具体例もまとまってはいないがいくつも紹介されている。制度や考え方も徐々によい方向に変化してきており、これからもきっと変わっていけるだろうという著者の姿勢も嬉しい。
女性が日々家事に苦しめられ、悩んでいることに対して、労いたい、共感したい、肩の荷をおろしてあげたい、助けたい、と思う著者の温かいケアの気持ちが真っ直ぐに伝わってくる本である。
そんな大変な思いをしている女性はもちろん、家事の大変さに気づいていない男性(夫、会社の管理職の方、官僚、政治家)の皆さんも、読んで頂きたい本です。 -
読むのに時間を要したが、内容はほぼ毎日妻に聞かされる愚痴に酷似。つまり、これまで愚痴と感じていたことが、心からの訴えであったと理解できた。まずは自分の得意な家事からやっていこうと思う。
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多くの家事の悩みが共通していることからわかるように、家事は家庭内の私的なことに見えるが、本当は「あるべき姿」が社会の中で規定されてしまっている。
「愛情は女性の本能だから」とかいうよくわからん理屈で、ケア労働・家事・育児を女性に押し付けてきた(労働派遣法と第三号被保険者制度)一方で男性は長時間労働ができる労働者として駆り出されてきた。というシステムが資本主義。
女性が経済的自立を望むとき、「じゃあ男性と同じように長時間労働できるよね、もちろん家事は女性の担当ね」になるのが謎で、ちょっと私たちは聞き分けのいい都合のいい存在でありすぎるよね。そこそこ働けばちゃんと生活できる社会とか、家事育児ケアワークと両立できる持続可能な働き方ができる社会にしたい。順応するのではなく、いまの社会構造を疑っていきたい。
人に生活を押し付けて担ってもらわないと回らない労働ってなんなんや。生活のための労働なはずなのに、労働に生活が侵食されてるってなんなんや。
生活も家事もケアも間違いなく面倒なことではあるが、奪われてしまっていることをむしろかわいそうに思う。
「ケアを引き受けることが弱みになる社会」であることが恥ずかしいし悲しい。長時間労働できること(=労働力になれること)が価値とされる社会なんて虚しい。
「職場は生活を支えるために働く場所で、政治は人々が暮らしやすいシステムを整えるために行われる」というのを忘れたくない。忘れない。 -
そうだそうだと頷きながら読んだ女性は多かったのではと思う。
家庭科の授業ではこういったことも取り上げて欲しい。 -
家事やケアが女性に押し付けられてきた歴史や社会構造を紐とき、あるべきパートナーシップのかたちを展望。
男性の意識改革をはじめ、社会的な状況の改善には前途多難だと思ったが、個人的には、家事をシェアしていく上でのヒントや他山の石となるような話がいろいろあり、参考になった。
既発表の文章を複数収録しているということもあるかもしれないが、本書の構成としては、同じような話が何回も出てきたり、内容があっちへ行ったりこっちへ行ったりという感じで、ちょっと読みづらかった。 -
第6章 ケアと資本主義 1 『モモ』が描いたケア、が興味深かった。
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「インフラが整った中で、手のかかる家事をふやしていった専業主婦たちにとって、家事の趣味化は自然な流れだったかもしれない」家事の趣味化…言い得て妙だな。
https://...
https://toyokeizai.net/articles/-/676030