おやすみラフマニノフ (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 6-3)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796685825

感想・レビュー・書評

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  • 芸術系の大学、専門学校に進む多くの若者。ただ、そのほとんどが道半ばで挫折し、入学当初とは全くベクトルの違う職場で芸術以外の職能で生活の糧を得ている。よほどの才能と運がなければ芸術では飯を食っていけない。冷徹で厳しい世界がそこにはある。将来に対する不安や焦燥に苛まれながら何の役にも立たない助走を延々と繰り返さなけれならない。決してグラウンドには呼び出されず、控室の隅で黙々とストレッチを続けるアスリート。あまりに無意味で滑稽で切ない。そんな尊い犠牲あればこそ、我々は芸術を楽しませてもらえている。あらためてそんなことに思いを至らせた。

  • どんでん返しありきで読み始めるからか、一人一人の言動が気になって、ワクワクというかドキドキというか…
    なのでこれがとても楽しくて、中山七里さんはやめられない。

    苦学生の苦労があまりにも半端なくて切なかったのと、豪雨の夜に奏でた一曲のクラシックがこれほどまでに人の心にしみわたるのだと感銘を受けたのが、とても印象深い作品となった。

  • ラフマニノフの名曲多数ににチャイコのVnコンチェルト、好きな曲のオンパレードで、ドキドキしました。大好きな本です‼️読むたびに曲を聴き直したくなります。本当に、音の曲の表現力といったら。

  • 読み終わってから知った。単行本で一度読んでた。どうりで既視感が。
    そのときはたいして評価していなかったようだ、私ったら。
    音楽も間接的に楽しめるし、フーダニット、ハウダニットも味わえる。このシリーズ読み進める価値あり!!とまあ、勝手に太鼓判。
    二度読み、図らずもしてしまった自分への言い訳。

  • 【あらすじ】
    音大の保管庫から時価2億のチェロが姿を消す
    第一発見者の初音 恋心?を抱く主人公バイオリニストの城戸晶

    主人公の晶は母子家庭で育ちバイオリン一筋、
    学費滞納のためバイトと学業の両立で大変
    音大祭でコンマスになり特待生にならないとピンチ

    片や初音は初音は学長 柘植彰良の孫
    一人ぐらしだが費用は親が払っている

    音大祭では学長が引くピアノと一緒に演奏が出来るため
    かなりの実力者でないと出場出来ない
    晶、初音は出場出来るのか?
    チェロはどこに行ったのか?

    【感想】
    前回のドビュッシーとほぼ同時進行のストーリー
    前回の登場人物や内容も邪魔しない程度に絡んできてにやにやしてしまう
    相変わらず専門用語は不明だが面白い
    題名も完璧

  • 中山七里さんの音楽ミステリーは初めて手にしてみたが、これもまた心を鷲掴みにされるほどの最高傑作だと思えた。もちろんミステリーであるが、まるでコンサートホールにいるような、オーケストラを身近で聞いているような錯覚になる。作品そのものがオーケストラのように強弱をつけて物語っていて、読み終わった時にはラフマニノフの生オーケストラを時間をかけて堪能した気分になれた。また新たに中山七里さんの世界観を味わえたことが嬉しい。

  • ■密室で消えた2億円のストラディバリウスを追え!

    秋の演奏会を控え、第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管されていた、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれる。脅迫状も届き、晶は心身ともに追い詰められていく。さらに彼らの身に不可解な事件が次々と起こり…。メンバーたちは、果たして無事に演奏会を迎えることができるのか。ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」がコンサート・ホールに響くとき、驚愕の真実が明かされる。

  • いやー、心打たれました。音楽シーンに。さよならドビュッシーと一緒で、やっぱりミステリー部分は軽いなーと思わざるを得ず、音楽青春スポ根としておもしろい。出てくる曲を聴きながら読むと、その表現力に吸い込まれ感動が増幅する。後書きのピアニストの方も言ってるけどCDつきにすればよいのに。

  • ミステリーとしては1冊目ほどの驚きはない。ですが、音楽関連の描写はさらに磨きがかかっている印象です。クライマックスとも言えるオーケストラ演奏は、当然ながら演奏が聞こえてくるわけではないけど、その疾走感はまるで本当に演奏を聴いているかのような錯覚すら覚えます。
    クラシックに興味がある人にも、ない人にも読んでほしい1冊です。

  • 最後の最後にいつもびっくりさせられる。
    音楽の描写がすごい。

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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