実践 行動経済学

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  • / ISBN・EAN: 9784822247478

感想・レビュー・書評

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  • 請求記号 331/Th

    「市場と感情の経済学」と同じ著者。似た内容かと思いましたが、言いたい内容はずいぶん異なっています。

    人は必ずしも常に合理的な行動がとれるわけではない。また、短慮が熟慮にまさってしまうこともしばしばである。100の選択肢を与えて自らに最高にマッチする1つを選択してくれると期待するよりも、良心的な事前の絞り込みを行ったうえで提示するのがよいし、明示的な参加表明を求めるよりは、参加をデフォルトとし辞退表明もできる手段を同時に与えるのがよい、といった具合。

    全体として納得しつつ面白く読むことができました。

  • nodge 注意や合図のために人の横腹を特にひじでやさしく押したり、軽く突いたりすること
    リバタリアン・パターナリズム 個人の選択・拒絶の自由(リバタリアン)をみとめながら、選択アーキテクトにより人々の行動に影響を与える(パターナリズム)戦略
    「ヒューマン」と完璧な経済人「エコノ」 現実にはエコノなんて少ない
    エコノはインセンティブに主に反応し、ヒューマンはインセンティブとナッジの両方に反応する
    現状維持バイアス 惰性 デフォルトの選択肢に強く従う傾向
    パターナリズムへの反対
    前提:「ほとんどすべての人が、ほとんどすべての場合に、自分たちの最大の利益になる選択をしているか、最低でも第三者がするより良い選択ができる」
    誤解1「人々の選択に影響を与えないようにすることは可能である」
    誤解2「パターナリズムには常に強制が伴う」
    人はどうしてこれほど頭が良くて、これほど頭が悪くなれるのだろう。

    バイアスと誤謬

    脳の二つの認知システム
    自動システム 本能的
    熟慮システム 意識的

    考え過ぎる危険性 時間をかけて自動システムに頼れるようになる
    三つのヒューリスティクス

    経験則ヒューリスティクスと体系的なバイアス
    アンカリングと調整 アンカー(自分の知ってるもの)が意志決定プロセスに関わってくる アンカー≒ナッジ

    利用可能性ヒューリスティクス
    事例をどれだけ簡単に思いつくか≒現実に起こる可能性と考える 保険加入数

    類似性ヒューリスティクス代表性representativeness
    類似性と頻度のズレ=バイアス
    リンダ 銀行の窓口係 銀行の窓口係でフェミニスト運動家
    ホットハンド バスケ

    「平均以上」効果 非現実的な楽観主義
    損失は獲得満足の二倍 損失回避性
    現状維持バイアス ∵注意力のなさ
    フレーミング 言い回し

    シカゴのレークショアドライブ


    「誘惑」の先回りをする

    誘惑と思慮の欠如
    興奮の効果を過少評価している
    ローウェンスタイン「ホット-コールド感情移入ギャップ」
    心理会計 家計が予算を評価し、管理し、処理するシステム ハウスマネーは別会計
    目的会計


    言動は群れに従う 社会的影響力がなぜ、どのようにして作用するのか
    エコノ:流行に左右されない
    ヒューマン:頻繁に他社にナッジされる
    社会的影響力=情報/仲間からの圧力(ピア・プレッシャー)
    1950's 社会心理学者ソロモン・アッシュ 同調実験easy 線の長さ
    1930'sムザファー・シュリフ 同調実験difficult 民間部門、公的部門問わず、首尾一貫した揺らぐことのない主張をする人は、集団や活動を自分の思い通りの方向に動かせる

    集団的無知が集団的保守主義の問題となる
    集団的無知:集団の全員あるいは大部分が他の人はどう考えているかを知らない状況
    スポットライト効果 他人は自分が何をしているか注視していると考える
    体重を増やす最も効果的な方法は他人と一緒に食べること
    食事の相手が一人居る時は、一人で食事するときより35%食べる寮が多くなる 四人75% 7人以上96%
    ロバート・シラー 2008年金融危機 不安定な市場における心理的要因「今回や過去の投機ブームを理解する上で最も重要な要因は、ブームがきているという見解の社会的伝染であり、株価の急騰が広く観察されることを媒介として広がる」
    「投機バブルのあいだには、『株価−ストーリー−株価』のループが何度も繰り返される」結局のところ、バブルははじける運命にある。バブルは長期的に持続できない社会的判断に依存しているからだ。
    同調性と納税協力 ミネソタ当局
    珪化木の保護 
    非飲酒の社会科←利用可能性ヒューリスティクス モンタナ市民
    笑顔としかめっ面と省エネ カリフォルニア州サンマルコス

    プライミング ほんのわずかな影響を受けると、特定の情報を思い出しやすくなる アイデアや概念をそれとなくほのめかすだけで、連想が誘発されて、活動が促進されることがある。こうした「プライム(先行刺激)」は社会的状況でおこり、驚くほど強力な効果を生むことがある。
    どうするつもりであるか質問するナッジ クルトン・レヴィン「チャネル効果」


    ナッジはいつ必要なのか
    ツケ 困難度 頻度 フィードバック 嗜好
    選択アーキテクチャー
    良い選択アーキテクチャーを作る6つの原則
    iNcentives(インセンティブ)
    Understand mappings(マッピングを理解する)
    Defaults(デフォルト)
    Give feedback(フィードバックを与える)
    Expect error(エラーを予期する)
    Structure complex choices(複雑な選択を体系化する)
    刺激反応的合成 押し戸、引き戸と取っ手
    「RECAP(価格の記録・評価・比較)」
    選択を体系化する エイモン・トバスキー「属性値による排除」
    価格とインセンティブ 「顕著性」が重要 選択者は自由市場ではインセンティブに気づくが重要なケースでは気づかない

    第2部 個人における貯蓄、投資、借金
    貯蓄/年金
    社会保障 1889年ドイツ ビスマルク政権が初めて社会保障制度を整備
    初期 確定給付型が多かった 登録しやすい 最低雇用期間働く必要がある
    現在 多くが確定拠出型 登録が最初のステップ/掛け金が税控除、事業主の付加拠出(マッチング)から、ネックはそれほどない

    SMarT(Save More Tomorrow)プログラム セイラー、シュロモ・ベナルチ 賃上げがあるごとにあらかじめ決めておいた拠出率の引き上げを行うことを約束させる 1998年中規模の製造会社に実施されたのが初めて
    資産配分決定 「リスクに対する姿勢は、投資家がポートフォリオをモニターする頻度に左右される」
    分散ヒューリスティクス:疑わしきは分散せよ n分の1ヒューリスティクス:n個の選択肢があるときには、資産を選択肢に均等に分けよ

    借金
    市場が複雑化すると、洗練されていない教育水準の低いローン希望者は特に不利になる
    サブプライム・ローンの長所:他の手段では借り入れが出来そうにない人々に信用を供与して、貧しい家庭やリスクの高い家庭が住宅所有者(もしくは事業所有者)になれるようにすること 教育されていない 簡易表記による誤解 古く不適切な法律
    クレジットカードに潜むデフォルトオプション

    第3部 社会における医療、環境、婚姻制度
    社会保障制度の民営化 スウェーデン・プラン プロチョイス(選択権尊重)
    ホーム・バイアス:投資家は自国の株式を購入する

    薬剤給付プログラム アメリカ国民 処方薬剤費を自費または主に事業主が提供する医療保険を通じて支払わなければならない
    2003年ブッシュ・プラン メディケアを消費者のニーズに適応させるため、選択肢からチョイスする形に「パートD」外来処方薬剤費給付プログラム →簡素化を求める悲鳴

    臓器提供の同意 ルーチン的摘出 推定同意 命令的選択(運転免許証への登録事項を一つ増やす)

    環境保護 インセンティブとフィードバック
    ヨーロッパではアメリカと違い、グリーン税制への関心が高い
    「キャップ・アンド・トレード制度」(炭素排出量取引制度) 市場原理に基づいて汚染をコントロールするインセンティブが生まれる
    EU ETS(排出権取引制度)EU域内の温室効果ガス排出量の約四割をカバーする
    アメリカ 1990年改正大気浄化法の酸性沈着削減プログラム 排出権取引制度が酸性沈着(酸性雨)削減の柱に 汚染の削減を現金かできる
    情報フィードバック 市場のメカニズム 指揮統制型APより低コスト
    政治のメカニズム チェルノブイリ原発事故以後「有害化学物質排出目録制度(TRI)」連邦政府に企業や個人は潜在的な危険性をもつ有害化学物質の貯蔵量や環境への排出量を報告→排出量の大幅な減少
    トヨタプリウス成功の理由 cf.カムリ ハイブリッドカーしか作らなかったこと 顕示できる
    クライブ・トンプソン エネルギーは目に見えないため、たくさん使ってもそれがわからないことが問題になる エネルギー消費の”見える化”

    1991年EPA「グリーンライト・プログラム」個人消費者ではなく大企業と小規模企業を支援する自主参加型プログラム 当局は誰にも何も要求せず、望ましい環境効果を与えると期待される一定の基準に従う意志があるかどうかを企業に問う 営利企業、非営利企業(病院、大学を含む)の両方と自発的に協定を結び、企業は照明のエネルギー効率を高めることを誓約 1992年「エネルギースター・オフィスプロダクツ・プログラム」プリンター、コピー、コンピューター、電気機器全般に的を絞る 参加企業にロゴ使用を許可

    結婚を民営化する
    結婚の便益 税控除 、権利の保障(家族医療休暇法など)、死亡時の相続などの優遇措置、所有権、意思決定の代行、秘匿権限
    公的な結婚のメリット?シビル・ユニオンでもいいのでは。

    第4部 ナッジの拡張と想定される異論
    ナッジサイトの例示
    異論
    止まらない滑り坂
    ←メリット有無が抜け落ちる オプトアウト(拒絶の選択)による傾斜の軽減 ナッジは避けられないならば活用するべき
    間違う権利
    ←注意を促す標識としてのナッジ
    中立性(強者から弱者への再配分は不必要)
    ←選択しないことを選択する自由
    公知性の原則とサブリミナル広告
    ←大義に反しないのならば タバコに汚れた肺の写真 ハンバーガーショップに痩せて見える鏡
    民間部門、公共部門の中立性 私的な利益を図るリスク
    ナッジを与えるものがナッジを受ける者とって何が最善であるかを上手く推測出来るか

    リバタリアン・パターナリズムに留まる理由
    目的:人々が可能な限り低コストで思い通りに行動出来るようにすること

    ----------
    社会的状況の一見すると小さな特徴が人々の行動に非常に大きな影響を与えることがあり、私たちの目に見えなくても、ナッジはどこにでもある。選択アーキテクチャーは、良いものも悪いものも、広く浸透し、避けることができず、私たちの意思決定に強く影響する。
    ----------
    ----------
    リバタリアン・パターナリズムは撞着誤報ではない。選択アーキテクトは、選択の自由を守りながら、人々の生活が良くなる方向にナッジ出来る。
    ----------

  • ■心理
    1.ものを失う痛みは得る喜びの2倍。
    2.人はあなたが思っているほど、あなたを注意してみていない。

  • 結構、誘導されて物事決めてるかも。何かを決断する際、よく考えて判断してると思いきや、些細なことに影響されているということ。でも怖い話ではなく、ちょいとしたこと、ナッジをするだけでみんながいい方向にいくと教えてくれます。
    仕事でも他でも何かをするとき、こういう気を配っていこう。

  • ブックオフで1200円だったので購入

  • nudge

  • どこかで読んだ内容だな。
    デフォルトの話はなかなかだ。
    デフォルトを悪用する商売ってあるよね。めんどくさい手続き踏んで解約しないと毎月小さい金額が自動で引き落とされていくみたいな。
    デフォルトの罠と名付けよう。

  • ・アニマルスピリットはマクロ系の印象 この本はミクロ系の印象が強い
    ・フレーミング + 損失回避 →日本破綻説とかも同様か?(恐怖で不要な物を買わせる)
      a)省エネ対策すると、年間350ドル節約できる
      b)省エネ対策しないと、年間350ドル損する
      →aよりbの方が効果的に人を説得できる

    ・首尾一貫した主張をする人は集団や活動に強い影響を与える(自分の思い通りの方向に動かせる) 
      主張を変えない人 →信用される
      主張を変える人  →信用されない
    ・納税率、年金納付率、投票率について  ※同調効果
      参加者が少ないという情報が広まる →参加率が上がる
      参加者が多いという情報が広まる  →参加率が下がる
    ・利用可能性ヒューリスティクスにより、参加率が低いという誤認が広まった場合の対策
      統計事実を広める + フレーミング
    ・不合理な消費者を守る為には、「競争」が必要
      不当に高い(カモ用)価格→裁定機会(競争)→合理的な価格に落ち着く
    ・確定拠出年金の普及(アメリカ2006年、ニュージーランド2007年、イギリス2012年から実施)
      自動加入方式
      デフォルトの拠出率、投資対象 ←変えない人が多い
      事業主のマッチング拠出
    ・確定拠出年金の加入率UPする方法 →6章
    ・投資を開始する人のポートフォリオは直近リターン(=開始タイミング)に影響される + 現状維持バイアス(一度決めたポートフォリオを変更する人は少ない)
      →確かに自分も影響されている(リーマンショック後、安全資産の比率上昇)
    ・人はしばしば選択しないことを選択する

    【以下の話は、アプリのユーザインターフェースにも通じると感じた】
    ・刺激反応適応性 →ルック&フィール
    ・選択アーキテクチャ
      デフォルト(人は最も抵抗の少ない経路を歩く)
      エラーを予期する
      フィードバックを与える
      など

    【以下、思いつき】
    ・利用可能性(可用性)バイアス ←人生経験?
    ・楽観主義 + 自信過剰 →「平均以上」効果 →起業
    ・学資保険
      流動性   …低い(自由に引出せない)
      リターン  …低い(ヘタすると目減りすることも)
      取引コスト …高い(毎月の支払いが面倒)
     →エコノ(経済的合理的=特殊な人)には魅力のない商品
     →ヒューマン(経済的に不合理=普通の人)には魅力的な商品
       上記事項はデメリットではなくメリット(大人版のブタの貯金箱)
       無駄な支出(誘惑)を抑える仕組み(自制装置)
     ※お金に色はない(エコノの思考)、しかし、色をつけた方がうまくいくこともある(ヒューマンの思考、心の会計という習性をうまく利用する)

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著者プロフィール

米シカゴ大学経営大学院教授。1945年米ニュージャージー州生まれ。74 年米ロチェスター大学で経済学の博士号取得(Ph.D)。米コーネル大学、米マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院などを経て95年から現職。行動経済学の研究で、2017 年にノーベル経済学賞を受賞した。著書に『行動経済学の逆襲』(遠藤真美訳、早川書房)、『セイラー教授の行動経済学入門』(篠原勝訳、ダイヤモンド社)などがある。

「2022年 『NUDGE 実践 行動経済学 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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