ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822248178

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらずの調査量と実例の豊富さに驚かされる。
    ただ注意したいのは、衰退の五段階は確かにそうだと思うが、後知恵バイアスが多大に働いている可能性だ。
    「後から第三者が見たらそうだよね」ということで、この衰退サイクルを歩んでいる中、当事者たちはそんなことに気付けなかっただろうし、じゃあ、気づくにはどうすればいいの?という解決策も特にない。この辺は経済学者っぽいなぁと思うし、集団の中で実践に移すのはかなり困難だろう。
    この本の教訓を活かせるとしたらむしろ、個人のキャリアに対してだろう。リスクと問題の否認に陥っていないか等、定期的に自分に問いかけてキャリア選択をすると良い。

  • 成功より失敗から学ぶことが多い。
    ウォルマート経営者の好奇心には屈服。

  • 強大な企業がいかに衰退していくか,それを 5 つのステップに分解して説明。(1)成功から生まれる傲慢,(2)規律なき拡大路線,(3)リスクと問題の否認,(4)一発逆転策の追求,(5)屈服と凡庸な企業への転落か消滅,となっている。
    私が特に気になったのは (2)規律なき拡大路線と,(3)リスクと問題の否認。売上げや利益という「会社の規模」に関する話題が増えてきたら,「規律なき拡大路線」と背中合わせなのではないか? と感じた。また世の中の変化に気付かない (気付いていても認めない) というのは「リスクと問題の否認」に繋がる。
    その会社の価値観として何を大事にするか,そして素直な目で物事を見られるか? あたりがポイントと感じた。

  • 衰退の五段階は、企業人なら常に念頭におくべき、忘れてはならない原則。定期的に見直すべき本。多分、不思議の衰退はないのだろう。一連のビジョナリー・カンパニーシリーズで最も重要ば巻だと思う。

  • ビジョナリー・カンパニー1と2で取り上げられたエクセレントカンパニーのうち、
    衰退した企業を取り上げて法則を導きだした本。
    偉大な企業には法則があり、衰退する企業にも法則がある、というお話。
    昔よんだ時はつまらなかったけど、今は面白く読めるという不思議。

    ◯衰退の5段階_人材採用と教育
    企業や事業成長とともに育った人は、「意図的な人材育成」の必要性が理解できない。
    結果的に、人が足りないというよりも、変革してくれる人材がいないという問題にぶちあたる。
    これが組織衰退のメカニズムである。
    売上はすべてを癒す。それは間違っていない。しかし売上を上げたり、事業を急拡大させているなかで変革してくれる人材の採用・教育を忘れてはいけない。

    ○衰退の五段階とは
    第一段階:成功から生まれる傲慢
    第二段階:規律なき拡大路線
    第三段階:リスクと問題の否認
    第四段階:一発逆転策の追求
    第五段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅

    ○第一段階:成功から生まれる傲慢
    ・主要な弾み車の無視
    ・本業への熱意と回転が不足すると危険
    ┗ 指導者が外部にある脅威や冒険、機会に関心を奪われ、主要な弾み車を無視するようになる
    ・指導者の学習意欲の低下

    ○第二段階:規律なき拡大路線
    ・組織の利害より個人の利害を優先
    ・主要なポストのうち、適切な人材が配置されているものの比率の低下

    ○第三段階:リスクと問題の否認
    ・指導者は悪いデータを小さくみせ、良いデータを強調し、曖昧なデーター都合よく解釈する
    ・組織再編への固執は意味がない。問題解決のための組織再編は解決にならない。
    ┗ 組織再編やリストラを行うと、生産的なことをしていると思うがそれは大いなる錯覚。悪い兆候に対して組織再編を戦略や戦術に使っているようでは、否認の段階にはいってる可能性が高い。組織再編の戦略は、幹部が外的な条件ではなく、社内政治に注意を払うようになる

    ○第四段階:リスクと問題の否認
    ・「ゲームを変える」買収、新戦略への一貫性のない飛躍、興奮を呼ぶ技術革新など、劇的で大きな動きによって素早く突破口を開こうとする傾向
    ・救世主のような指導者への期待
    ・新しい計画、新しい文化、新しい戦略という新しい体制を象徴する言葉として、「革命」や「抜本的」変化といった言葉が使われはじめたら危険
    ・業績より売り込みの優先をするようになったら終わり。業績はすべてに優先され、売り込みは二の次で良いはず

    ○金言
    ・偉大な企業は壊滅的な破局にぶつかったときですら、回復して以前より強くなる能力をもっている
    ・偉大な企業は決して屈服しない、戦術を変え続ける
    ・偉大な企業を築くというアイディアを決して放棄しないことこそ、偉大な企業を築く
    ・自分の企業文化を特徴づける原則を大切にする
    ・損失を受け入れ、痛みに耐え、一時的に自由を失う意思をもたなければならない。だが、いずれかならず勝利するとの確信は決して放棄してはならない
    ・リーダー1人が会社を成長させたり立ち直らせる事はできる訳ではないが、リーダー1人によって会社を潰す事が出来る
    ・真に偉大な人物は好奇心と学習意欲を特徴としている
    ・最優先事項はビジョンではなく、もっと基本的な活動
    ┗ 主要ポストに適切な人材を配置、収益性の回復、顧客本位など
    ・企業はイノベーション不足より、リスクを取りすぎて転落するほうが圧倒的に多い
    ・本業への熱意と回転が不足すると危険

    ○まとめ
    ・はずみ車を無視するな
    →「どの回転もそれまでの努力によるものであり、努力の積み重ねによって加速度的に回転が速まって行く。1000回転、10000回転、100000回転になり、重量のある弾み車が飛ぶように回って止めようがないほどの勢いになる。」勢いに乗ったら、勢いを保ち続けろ。回転が早くなったらチャンス。捨てるな。100000回転までいける事業は超少ない
    ・平時からやるべきことをやり、危機においてもブレるな
    ・リスクは少なくできるのであれば少なくしろ。ハイリスクをとればハイリターンがあるなんて言葉を浅はかに理解するな。潰れるぞ

    偉大な企業は確かに大きな賭けを行う。しかし、喫水線以下に大穴を開けかねない賭けは避けている。
    データが曖昧、矛盾している状態でハイリスクの賭けの決定を行う場合は3つの問をたてろ。
    1.良い結果になったときに何が得られるのか
    2.極めて悪い結果になったときにどのような打撃をうけるのか
    3.その打撃に耐えられるのか、本当に耐えられるのか

  • 決して屈服してはならない!
    衰退の五段階
    成功から生まれる傲慢
    規律なき拡大路線
    リスクと問題の否認
    一発逆転策の追求
    くっぷくと凡庸な企業への転落か消滅


  • 衰退の五段階
    第一段階 成功から生まれる傲慢
    ・成功は当然だとする傲慢
    ・主要な弾み車の無視
     当初に偉大な業績をあげるようになったときと同じ徹底した創造性を発揮して若返りをはかろうとはしない。
    ・何からなぜへの移行
     成功を謳歌する見方をするようになり(我々が成功しているのは、これこれのことをしているからだ)、深い理解と見識(我々が成功を収めているのは、これこれのことをする理由と、それが通用しなくなる条件を理解しているからだ)が忘れられる
    ・学習意欲の低下
     真に偉大な人物は好奇心と学習意欲を特徴としている


    第二段階 規律なき拡大路線
    ・持続可能な成長の追求と、大きさと偉大さの混同
     成功を収めるとさらなる成長を求める圧力が生まれ、期待の悪循環がはじまる。(拡張しすぎ)
    ・関連しない分野への規律なき飛躍
     以下3つのうちどれかにあてはまらない分野に劇的に進出する
     1.情熱をもって取り組める分野、会社の基本的価値観に一致する分野
     2.その活動で世界一になれるのか
     3.経済的原動力、経済資源の原動力を強化する活動なのか
    ・主要なポストのうち、適切な人材が配置されているものの比率の低下
    ・官僚制による規律の破壊
     自分の仕事を責任によってではなく、肩書きで考える見方が強まる。
    ・組織の利害より個人の利害を優先

    ◼︎メルク、モトローラ、HPは基本路線をわすれ拡大することを目的としてしまった。

    第三段階 リスクと問題の否認
    ・良いデータを強調し、悪いデータを小さくみせる傾向
     悪いデータを小さくみせるか説明し、会社の何かがおかしくなっているとは想定しようとしない。
    ・事実の裏付けがない大きな賭けと大胆な目標
    ・曖昧なデータに基づいて、とてつもないリスクをおかす動き

    ◼︎偉大な企業は成功しない可能性もある小さなアイデアを大量に試す。
    ◼︎大量の事実が積み上がって、成功を収められると見られるようになってはじめて、大胆な賭けに出ている。
    ◼︎現実には事実が明確に判断できるとは限らない。状況は複雑でどちらにも解釈できる。
    ◼︎データが曖昧か矛盾している状態で高リスクの賭けか決定を行うとき、3つの問いをたてるべき。
     1.良い結果になった時に何が得られるのか。
     2.きわめて悪い結果になった時どのような打撃となるか
     3.その打撃に耐えられるか。確かに耐えられるか。
     (NASAのOリング)

    ・経営陣の健全な行動様式の衰退
    ・外部要因への責任の押し付け
    ・組織再編への固執
     幹部は外的な条件ではなく、社内政治に注意を集中する

    第四段階 一発逆転策の追求
    ・特効薬の追求
    「ゲームを変える」買収、新戦略への一貫性のない飛躍、興奮を呼ぶ技術革新など、劇的で大きな動きによって素早く突破口を開こうとする傾向がある。失敗するたびにこれを繰り返し、一貫性のない行動をいつまでも続ける。

    ◼︎最優先事項はビジョンではなく、もっと基本的な活動
    (主要ポストに適切な人材を配置すること、
     収益性を回復すること、
     キャッシュフローを増やすこと、
     顧客本位の姿勢を回復すること)
    ◼︎一歩ずつ足元を固める堅実な方法をとり、既存の強みを活かすことを基本とするべき。
    ◼︎何もしなければ死ぬ。しかし第四段階の初めにはあと一歩で破綻する状態にはなっていない。

    ・救世主のような指導者への期待
     外部からCEO招聘はうまくいかない
    ・抜本的な変化と「革命」の喧伝
     「革命」や「抜本的」変化といった言葉が使われる
    ・混乱と皮肉な見方
     組織の存在理由は何なのかを従業員が簡単に語ることができなくなる

    第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅


  • 衰退の5段階

    1.成功から生まれる傲慢
    2.規律なき拡大路線
    3.リスクと問題の否認
    4.一発逆転策の追求
    5.屈服と凡庸な起業への転落か消滅

    ビジョナリー・カンパニーの前2作が重厚な傑作だったのに対し、本書は分量はあまり多くない。

    役に立つ話であると思う反面、
    時代の流れを読むことの難しさを思う。

  • ・偉大な企業が衰退に向かう時、次の5段階を経ることが多い。

    ①第1段階「成功から生まれる傲慢」
    衰退への第1段階が始まるのは、企業が傲慢になった時。成功したことにより、自分たちの長所と能力を過大評価し、その結果、当初に成功をもたらした真の基礎的要
    因を見失ってしまう。

    ②第2段階「規律なき拡大路線」
    傲慢から生まれるのが、規律なき拡大路線である。規模を拡大し、成長率を高め、世間の評価を高めるなど、経営陣が「成功」の指標と見なすものは何でも貪欲に追求する。

    ③第3段階「リスクと問題の否認」
    拡大路線を続けていると、様々なリスクや問題が生じる。だが、外見的には業績が良いことから、良いデータを強調し、悪いデータを小さく見せたり、都合良く解釈したりする。つまり、問題を直視せず、リスクや問題を否認する。

    ④第4段階「一発逆転策の追求」
    衰退が誰の目にも明らかになった時、問題は、指導者がどう対応するかである。一発逆転狙いの救済策にすがろうとすると、衰退への道を急速に進むことになる。

    ⑤第5段階「屈服と凡庸な企業への転落か消滅」
    一発逆転狙いの方策に何度も頼るほど、悪循環に陥る。財務力が衰え、士気が低下していく。その結果、身売りを決める場合もあれば、衰退して凡庸な企業になる場合もある。極端な場合には企業が消滅する。

  • 衰退への五段階が怖い程、説得力があります。
    ただ、悲観ではなく大いなる教訓として読みたい本です

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著者プロフィール

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』(Built to Last、ジェリー・ポラスとの共著)をはじめとする世界で1000万部超のロングセラー『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの著者。米コロラド州ボールダーの研究ラボを拠点に四半世紀以上にわたって偉大な企業を研究、経営者から絶大な支持を集める。2017年にはフォーブス誌の『現代の経営学者100人』にも選出された。著書に『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(Good to Great)、『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』(How the Mighty Fall)、『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意思で偉大になる』(Great by Choice、モートン・ハンセンとの共著)。

「2021年 『ビジョナリー・カンパニーZERO』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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