- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822249212
感想・レビュー・書評
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雇用の減少を引き起こしている要因はAIだとする説を提唱した本。具体的にAIがどのようにして雇用を奪っていくかと現在急速に起こりつつある変化を説明し、今後の問題と対応策を述べている。AI問題を取り上げている本の中ではかなり有名かつわかりやすいものであるが、本書内に記されている解決策が有用だとは思えなかった。大前提としてアメリカで実行可能な解決策だというのもあるし例えそれを考慮したとしてもこれらの案にあまり期待はできないと感じる。
だが問題提起と現状分析は詳細で優れている。AIにまつわる諸問題を知り心構えをする上では必読ではないだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
☆3.5
失業はしたくないぞ。でも、産業大改革進行中の変化が激しい面白い時代にちょうど良く生きていることを、とても嬉しく思う。AIには苦手で私に得意な部分の力をつけられるように仕事をしていこうと思ったよ。
関連書籍を読むための取りかかりの本として、主張が明確なよい本だよ。 -
MITスローン・スクール教授による、短いが衝撃的な本。 ITの加速度的な進歩により従来人間だけができた仕事が侵食されつつあり、機械に人間の雇用が奪われてゆく。 この変化を理解するうえで提示される二つの法則が分かりやすい。一つは半導体の集積度が18ヶ月毎に2倍となるムーアの法則。もう一つは米粒が倍々に増える「チェス盤の法則」。指数関数的な変化は気づいた時には想像を絶する大きさになり、まさにITのインパクトはこれに当てはまると著者は主張する。 「ワーク・シフト」と並び、未来の社会と働き方を考える上で面白い。
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リーマンショック後のアメリカで設備投資が回復しているにも関わらず雇用が回復していない状況から、テクノロジーが人間の雇用機会を奪っていることを指摘している本。
「ホンシェルジュ」に記事を寄稿しました。
http://honcierge.jp/users/646/shelf_stories/25 -
機械というかテクノロジーの進歩により雇用が減ってこの先大変よ、でも多分大丈夫ってな話でした。
大多数の人々は大丈夫だと思えないけれど…
とりあえずぼーっとしてたらダメだってこたぁわかりましたよ(ってかわかってましたよ)
しかし読みづらい本でした。なんでこんな硬い紙使うのかなぁ。未だに電子書籍より紙の本がいいと思ってるけどこの本に関しては内容含め電子書籍のがいいかもね。 -
米国商務省経済分析局が設備投資の対象に「情報技術」を加えたのが1958年。この年をIT元年だと考え、ムーアの法則により、集積密度の倍増ペースが18ヶ月毎だと仮定すると、32回倍増したのは2006年。すなわち、つまりその年にチェス盤の32マス目に到達している。2015年は38マス目。指数関数的な進化が我々を驚愕させるのはまさにこれから。
未来のコンピューターは、パターン認識能力、問題解決能力から人類の脳そのものの感情や、知性までカバーするようになる。
統計は平均値ではなく、中央値で見ること。
1983年から2009年にアメリカで創造された富の100%”以上”が世帯の上位20%で生じており、残り80%の世帯では富が”減って”いる。それも、富の正味増加分の80%以上が上位5%の世帯に、40%以上が上位1%に集中している。つまり、「GDPが増えても国民の大部分は貧しくなっている。」
2000年以降、雇用が激減しているが、それは解雇の増加ではなく、雇用の喪失。欠員1件あたりの募集頻度がこの10年で激減した。つまり、雇用主は労働者を必要としていない。
オークンの法則が通用しなくなっている。デジタル技術の高性能化と普及に伴い、GDPが回復しても雇用が回復しなくなった。テクノロジーが雇用に与えるインパクトはとても大きい。
オークンの法則:
雇用されて生産活動に貢献する労働者が増えれば実質GDPが高まり、逆に失業率が高まり生産活動に従事しない労働者が増えると実質GDPは低下するので、両者の間に負の相関関係が生じる
産業革命の”初期"までは立派に雇用されていた者の数が、20世紀初めにはほぼ消滅した。それは「馬」である。役馬の数がイングランドでピークに達したのは産業革命からしばらく経った1901年で、325万頭が使われていた。
2002年以降の経済成長の65%を世帯の上位1%が手にしている。
GDPに占める企業収益の比率は過去50年で最高水準に達した一方、労働者に対する報酬は賃金と福利厚生を足した総額で見ても過去50年で最低の水準となっている。パイの取り分は資本家が大きく、労働者が小さくなっている。
モラベックのパラドックス
35年に及ぶAI研究で判明したのは、難しい問題が容易で容易な問題が難しいということである。我々が当然なものとみなしている4歳児の心的能力、すなわち顔を識別したり、鉛筆を持ち上げたり、部屋を歩き回ったり、質問に答えたりといったこと(をAIで実現すること)は、かつてないほど難しい工学上の問題を解決することになる。…新世代の知的機械が登場したとき、職を失う危険があるのは証券アナリストや石油化学技師や仮釈放決定委員会のメンバーなどになるだろう。庭師や受付係や料理人といった職業は当分の間安泰である。最も解明が難しい人間のスキルは「無意識」。
現時点で世界最強のチェスプレーヤーは、人間でもマシーンでもなく、「マシーンを使った人間」。そして、「弱い人間+マシーン+よりよいプロセス」の方が「強い人間+マシーン+お粗末なプロセス」よりも強い。
十分に活用されていない機械を見つけて活用すること、もっと上手く活用出来る人材やスキルを発掘して活かすこと、供給が途絶えた時に使える余剰在庫の存在を知っておくことなどは、優れた新技術に関する知識と同じくらい社会にとって役立つ。
イノベーション力を高めるには、これからは「STEM(科学、技術、工学、数学)」ではなく、「STEAM(+アート)」である。
1992年、クリントン大統領が全米から最高の頭脳を集めて将来の経済について議論させた時、インターネットに言及する者は誰一人いなかった。
貧困国における携帯電話の普及は、産業を様変わりさせるだけではなく、世界を変える。
雇用の二極分化が進む。どうしてもコンピューターに置き換えるのが難しい雇用は2タイプ。
1. 創造的な仕事。今まで誰も考えつかなかった事を想像する事。
2. 肉体労働。
21世紀に成功するのは、組織革新とスキル開発を最適な形で実現できる経済。
組織革新を推進し、人的資本の形成を促進する事。 -
機械に雇用を奪われているという産業革命後のような状況が
近年のアメリカ経済の停滞から推測出来ると筆者は主張する。
こうしたテクノロジーの発展により雇用を奪われるのは
ブルーカラーではなく、ホワイトカラーの可能性が高いと警鐘を鳴らす。
ロボットの運動能力は未だきわめて原始的で、2足歩行ロボットも階段の登り降りにも一苦労している段階だ。
ウェイターや看護士、配管工などの仕事は高度な問題解決能力を必要とし、機械はこの作業を苦手とする。
IT技術は指数関数的に発達する(ムーアの法則)ので、油断ならない。
IT技術が駆逐する領域を見極めることが大切。 -
機械に仕事を奪われる。昔からよく言われることだが、これまでは機械化による産業全体の効率化のおかげもあって、新規事業が生まれ、そこが雇用を吸収するという流れがあった。しかし現在のテクノロジーの発展はあまりに速いため、全体最適化の前に雇用が失われる事象が発生する。
本書の指摘はそれほど新しいものではないが、具体的に機械に祖語とを奪われない職種が、実は肉体労働だというのは面白かった。