機械との競争

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822249212

感想・レビュー・書評

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  • A4用紙数枚レベル、およそ誰もが思っていることばかりでした。

  • 日本人の労働者一人あたりの所得はこの15年で毎年下がり続け、100万円以上も下がっている。
    その中で史上最長の好景気の期間が入っていることと矛盾している。
    これは物まね工業の限界と少子高齢化による高度成長の行き詰まりという日本独自の事情によるものかと思ったが、どうも米国でも同様らしい。
    GDPは増え続けているのに、所得に格差が大きくなって、中央値はむしろ下がっている、という。
    本書ではその原因は、IT等による仕事の効率化に人間がついていけなくなっているため、と説く。
    2000年までは、機械化がされて、人が余ってくると、その元になった技術で新分野が開拓され、それに余った人が労力として吸収されて、全体の生産(GDP)も増え、個人あたりの生産性も向上して所得も向上する、という循環だった。
    それが、今世紀になってから、主にIT技術によって、例えば、一般小売りがAmazon.comに取って代わられる等で、小売業の余剰人員が他の新しい業種へ移行するのが間に合っていない。
    僕がうすうすそうではないか、と思っていたことが、本書で裏を取って示された。
    本書ではその対策として、やはり新規事業を立ち上げることを優先し、その支援を行政が行うべき、としている。また、スキル開発を進める組織改革と規制緩和が重要と行っている。
    でも、僕はほんとうに、そんなことで、対応できるのか疑問を感じる。本書末の法政大学の教授の解説でも同様なことを述べていて、結局、抜本的な対策は不明、という印象を受けた。
    数パーセントのほんの一握りの人が所得のほとんどを持って行ってしまうしまう格差社会は今後、世界的な大問題になっていくと思う。

  • 19個の提言とSTEAM(➕アート)の発想は説得力があった。

    機会との競争において、あくまでもオプティミスティックな発想が印象的な一方で、むしろ人間側の価値に可及的速やかな転換を求める内容は、自分自身への戒めになった。

  • コンピュータが人間の領域を浸食する事により、雇用は減り、その減った雇用は、高所得を得られる創造的な職場と、低賃金の肉体労働に二極化する。
    これに対して、著者は組織革新を推進し、人的資本の形成を促進すれば良いのだと述べ、さらに、教育、起業家精神、投資などについての十九項目の具体的な提言を行っている。
    そして結果的に「人類も世界もデジタル・フロンティアで豊かになる
    」と述べている。

  • コンピュータが労働力を置き換える不安を考える本。技術の発展する速度が速すぎて、新たに生まれた雇用の数よりもコンピュータが人間の仕事を奪った数の方が大きい。過去の出来事を振り返ると、蒸気機関や電気の普及などの革命的な技術が生み出されたときは、今と同様に労働者達は不安を抱えていた。でも実際には雇用の数は増えたし生活は良くなった。現代のインターネットの普及やコンピュータ技術の革新も、これまでの技術革新と同様に新たな雇用を生み出すのか。また、どういう仕事ならコンピュータに置き換えられないか。どうすれば機械と人間は共存できるのか。こういう議論が興味深く読める。
    法政大学の小峰教授が書いた最後の解説が上手くまとまっていてかなり読みやすい。

    メモ:労働者が失業の不安から機械を壊したラッダイト運動と同じような運動が今もあってそれはネオ・ラッダイト運動ていうらしい。

  • 一部で話題の本。途中まで読んでいたのをやっと読了。

    著者は昨今失業率が回復しないのは、デジタル技術の進化に人間がついていけなくなった結果、職を失っているからであるというショッキングな仮説をデータとともに突きつける。

    指数関数的に進化する技術によって、従来人間しかできないと思っていたことが機械によって可能になってきているので(車の運転や翻訳など)、パターン認識などのコンピュータが得意とする分野では雇用が減っていく。
    ただ、人が勝っている、クリエイティブな分野、何かを創ったりすることと、肉体的な労働においては、当分コンピュータが追いつけないので、雇用も残るだろうと。

    著者は悲観しているわけではなく、組織革新の推進と人的資本への投資が対応策であると言い、また、これからに向けての教育や投資等19の提言も示している。

    結局のところ、技術を使いこなす側になる、すなわち努力や工夫によって自己の成長を促すことを継続しないと、付加価値を高められず、低所得や失業という事態を招くということ。
    いつの時代もそうなのだろうけど、指数関数的に技術が進化するということは従来よりも増々スピードがあがり、今後更に早くなるということ。(ムーアの法則が続けば、、、だけどね)

    アニメ「ウォーリー」に出てくるような未来で人間が楽してる社会は決して訪れなそうだなぁ。。。

  • 「フラット化する世界」を読んだ時点で到来が予想できた
    デジタルによる経済・産業の革命による労働生産性向上が
    賃金や雇用に反映されず、資本や技術に重きがおかれることを
    書いている。所得再分配機能も機能しないと。
    でも前向きに技術を使う人は今後もあかるいと!!

    チェスにコンピュータに勝てなくてもコンピュータと人間
    チームは実際に勝てているようにと。

  • RACE AGAINST THE MACHINE・・・
    機械に!
    そう、コンピュータに!
    雇用が!!
    奪われる!!
    という恐怖の本・・・

    2008年に発生した大不況・・・
    とは言っても企業は回復した・・・
    のに・・・
    雇用が回復しない・・・
    失業率がなかなか下がらない・・・
    なぜか?
    それだけハイパーな落ち込みだったのさ・・・
    いや、そうではなくて、イノベーションやら生産性を高める能力、技術の進歩がついに停滞しちゃったのさ・・・
    いやいや、そうではなくて、新興国との競争が激しすぎるのさ・・・
    いやいやいや、そうではなくて、技術の進歩が速すぎて、人間とコンピュータが置き換わっていくのに、対応しきれてないからさ!!との説を主張するのがこの本・・・

    機械が人間の仕事を奪い去る、職がなくなるという恐怖は実はそんなに新しいものじゃなく・・・
    自動織機を壊しまくったラッダイト運動という、1811年まで遡ることができる・・・
    でも、その恐怖は杞憂に終わってきた・・・
    もちろん無くなった職もあるけれども、機械化が進み、生産性が上がり、新しい産業が生まれ、逆に新しい職(雇用)が生み出され、経済が拡大し、所得も伸び、多くの人たちがその恩恵を受けてきたのに・・・
    今回は・・・
    今まで人間にしかできないと思われていた多くのことをコンピュータがこなせるようになってきている・・・
    そのスピードたるやハンパない・・・
    ムーアの法則とチェス盤の法則を考えると末恐ろしい・・・
    ドンドン加速していく!!
    速すぎて、人間が新しいスキルを身につける前に、コンピュータがドンドン進歩していって追いつけない!!
    実際、アメリカは経済成長を着実にしてきたのに、生産性はシッカリ伸びて、なのでGDPはずっと拡大してきているのに・・・
    所得が伸びない!!
    世帯所得が伸びない!!
    富はものすごく増えた・・・
    が、ごく一部の人に集まっている・・・
    中間層の富は減っている!!
    中間層の労働者がコンピュータとの競争に負けつつある・・・
    スキルの高い労働者は富を増やす・・・
    スーパースターは富を増やす・・・
    資本家は富を増やす・・・
    普通の人は職や富を失っていく・・・
    こういう図式が出来上がりつつある・・・
    一方で、庭師とか美容師とか、配管工とか看護士とか、ヘルパーだとかレストランのウェイターだとか、肉体労働系は機械になかなか置き換えられないので、労働需要を減らしていない・・・
    しかし、いずれにせよ中間層が溶けていく・・・

    途方もなく強力で高度なデジタル技術の時代が到来しても、人間のある種のスキルはこれまで以上に価値が高まるだろう・・・
    ただし、それ以外のスキルは価値が無くなるだろう・・・
    では、どうしたらイイか?
    その対応策が書かれているし、著者は意外に楽観的である・・・
    けども、対応策読んでみても・・・
    正直・・・
    ・・・
    さて、人間の未来は・・・?

    この恐怖の本はオススメ・・・

  • ジャケ買いしたけど、いざ開いてみたら紙質やデザインが凝り過ぎてて読みづらい。。。
    中身はアメリカ中心にテクノロジー失業について。

  • 技術革新が雇用に与える影響についてまとめられたシンプルな内容。
    機械が雇用を奪ってしまうのではないかという憂慮に対し、「新たな雇用機会が生まれるから大丈夫」とする楽観的な考えに待ったをかける。

    爆発的な勢いで加速する技術進歩に、雇用創出が追いついていないというのだ。

    高度なスキルを持つ者や肉体労働者の仕事は未だ機械に浸食されていないが、賃金中央値の仕事は厳しい状況。

    所得格差はある意味自然な流れだったのかもしれない。

    ただ、解決策は見えている。
    …組織革新とスキル開発だ。

    まさに「人間」の底力が問われているというべきか。

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