- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834000207
感想・レビュー・書評
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日本では1964年、原書は1956年発行の古典とも呼べる作品ですが、その内容は全く古びることなく、普遍的楽しさに満ちあふれており、読むと思わず、家族愛の素晴らしさを感じさせられる絵本です。
ハリーは黒いぶちのある白い犬で、何でも好きだけど、お風呂だけが大嫌いで、ある日、お風呂にお湯を入れる音が聞こえた時、その後に何をされるか察したのだろう、ブラシをくわえて逃げ出し、なんとそれを、裏庭に埋めてしまうという・・しかし、この素直で分かりやすい拒絶反応を見るだけで、彼の人柄(犬柄?)が窺えて、決して悪いやつではないことが推測出来る。
その証拠に、ハリーは、いろんなところで遊びまくって泥だらけとなった後も、もっと遊びたいと思ったけれど、家族の皆に本当に家出をしたと思われることを心配し、家へ帰ろうとすることからも、実は彼にとって家族の存在とは、こちらが思っている以上に、とても大きく、かけがえのない大切なものなのである。
本書のテーマは『白と黒』の対照性だと私は思い、それは、ハリーが泥だらけとなるにつれて、彼の体を構成する色が逆転することによる、見た目や物語の展開の面白さとは対照的に、それが悲劇を巻き起こしてしまう点にも、よく表れているし、それは「マーガレット・ブロイ・グレアム」の描く、泥だらけの要因となった『煤の黒』と、ある意味、彼を救った要因となった『石けんの泡の白』との対照性もそうである。
それから、絵本の構成が密かに物語を盛り上げているといった、縁の下の力持ち的な要素として挙げたいのが、扉絵が二度ある独自性の高い構成であり、それは、まずハリーがブラシをくわえる絵と、その次の見開き一面で描かれた、ハリーがブラシをくわえたまま、風呂場から逃げ出す絵であり、それらの絵から得られる情報として、別に二枚に分けて描かなくてもいいのではとも思えるのだが、ここで敢えて二度に分けて強調したかったことは、ハリーがお風呂に入るのが、どれだけ心底嫌だったのかということである。
そして、それが後半の、自ら考え出したオリジナルの芸当を披露するくらいの必死さに繋がることで、本書の物語で伝えたい思い、ハリーはこれだけ家族の皆のことを想っているんですよ、ということが、より切実さを増して読み手の心に響いてくるのだと思い、そう思ったとき、改めて、二度の扉絵の押しの強さが効いてるなと、再読したときに感じられるのであり、原題は『HARRY THE DIRTY DOG』だが、決してハリーの心までは汚れていないのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今日は夫の読み聞かせ(*^^*)かわいくて楽しい!大好きな本です。弟が小さかったとき、お風呂に入るのを嫌がると、母がよく読んでいました(笑)
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子どもも私も、好きな絵本。
絵本を読んだ後に表紙の絵を見返して、その意味がわかりスッキリしました。 -
元気に遊んで、汚れていくハリーがとっても可愛い! 「ぼくが ハリーなんだよ」アピールも可愛い! お風呂が好きになりますように。
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くろいぶちのある、しろいいぬのハリーはおふろがだいきらい。
ブラシをかくしてにげだし、遊んでいるうちにしろいぶちのあるくろいいぬになってしまいます。うちに帰ってもだれも気づいてくれず、いろんな芸をしますがやっぱり気づいてもらえず、かくしたブラシを持ってきて洗ってもらい、ようやくハリーだと気づいてもらえます。
なかなか気づいてもらえないハリーがいっしょうけんめい芸をする姿。
気づいてもらうために自分から洗ってくださいとアピールするところ。
やっと気づいてもらえて安心して眠りますが、しっかりブラシをかくしているところがおちゃめでかわいい。
にげだして、どろんこになって遊んでいるところは、読んでいる子もいっしょになって遊んでいる気になれます。 -
昔飼っていた犬のことを思い出しました(その子もお風呂が好きじゃなかった) ハリーの安心しきって眠っている表情を見ていると心がポカポカになる
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2歳で読んだ際はよくわかってなかったですが、3歳になってハリーが泥や煤で汚れて模様が逆転したことを理解した様子。遊んで汚れる描写から洗ってキレイになるラストまでお話を楽しんでいました。(3歳5ヶ月)
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名作の一冊、昔から知ってはいたが、読んだことはなかったので子供と一緒に楽しんだ。
時代背景的に色んな化石燃料が登場して面白い。昔は石炭関連のものがもっと身近に色々あったんだなぁ。まぁ今でも煤やアスファルトは使われているけども、あまり身近ではないかも。そこに疑問を持ってもらえる点もまぁ良い部分か。
「なぜハリーが急にお風呂に自分から入ろうとしたのか」という点について家族が疑問に思わないままに終わってしまう点にはちょっとモヤっとした。