本で床は抜けるのか

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  • 本の雑誌社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860112677

感想・レビュー・書評

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  • 本を大量に所有しているため気になって読んでました。

  • 本で床が抜けるのかという心配から始まり、実際に床が抜けた人の話や、抜けかけた人への取材。それで終わるのかと思ったら、地震対策、本をたくさん持っていた方が亡くなった後の蔵書の話、自炊(電子化)の話など、部屋に本が大量にあることにまつわる話が取材ベースで展開される。取材ベースというところに引き込まれた。大学の時に大阪の千林商店街で薬屋の2階の床が抜けた話もしっかり書かれていた。
    それにしても、この本を読むと自分の部屋の床も心配になってきて、傾いているような気がしてきた。

  • 本で床は抜けまーす!

    前に[「あなたの本好き、病気じゃないですか?」](https://shimirubon.jp/columns/1674261)というコラムを書いたことがあります。
     その中で、本をあまりたくさん溜めこみすぎるのはまずいと反省し、蔵書の一部を処分したことを書きました。その後も気をつけていて、これまでのように書店で見つけた本を衝動買いすることは控えるようになりました。衝動買いしちゃった本って、買っただけで満足して、読まずに積み上げたままになることが多いんですよね(笑)。おかげで、毎月、本の購入にかかっていた出費が、かなり減りました。
     ところがですね、つい先日、久しぶりにやっちゃったんですよ、書店で見つけた本の衝動買い。
     だって、こんなタイトルの本を見かけたら、買わずにはいられないでしょう!?



    :book:386192:本で床は抜けるのか:


     タイトル通り、「本で床が抜ける」ということについて、徹底的に調査し、考察した本です。
     著者の西牟田靖さんはノンフィクション作家。2012年、それまで仕事場に使っていた鉄筋三階建てのシェアハウスから、木造二階建て四畳半のアパート(築50年)に引っ越しました。しかし、運びこんだ大量の本が床を埋め尽くし、足の踏み場もなくなったことから、「床が抜けるのでは」という不安にかられます。
     そこでツイッターやフェイスブックに、こんな文章を書きこみました。

    > 【緩募】よく「本の重みで床が抜ける」という話をききますが、実際に体験した人に会ったことがありません。もし実際に経験した人、観たことがある人がいたら連絡ください。(後略)

     するとたちまち反応が。〈当時いた2階の部屋の床は抜きました〉〈家が傾いたことがあります〉〈父の兄の嫁さんがぶち抜きました〉といった報告が次々に寄せられたのです。新聞を調べると、床が抜けたせいで住人が負傷した事件も何件もあったことが判明。どうも本で床が抜けることは、日本各地で起きているらしいんです。
     著者は本格的な調査を開始します。たとえば床はどれぐらいの重みに耐えられるのかを建築士に訊ねます。一般的な住宅の積載荷重は1平方mあたり180kgだとか。畳半畳で144kgぐらいですか。ちょっと本を積み上げたら、あっさり超えてしまいそうな数値です。
     実際に床を抜いてしまった人たちにも取材します。アパートの床を抜いてしまった人は、数百万円の弁済金を払わなくてはならず、いっぺんに貧乏になってしまったとか。お気の毒……と言いたいところですが、よく考えたら自業自得ですね。
     さらに著者は、東日本大震災の時に、蔵書家の自宅や図書館にどんな被害があったかも調査します。このへんは僕も他人事じゃありません。1995年の阪神淡路大震災の時に、本棚が7つ倒れて数百冊の本が散乱し、復旧するのに何日もかかりましたから。
     また、蔵書家が亡くなった時に、その本を遺族がどうやって処分すればいいのかという話。どこかに寄贈するにせよ、古書店にまとめて売るにせよ、かなりの手間がかかります。遺族にとっては頭の痛い問題です。
     そして、必然的に出てくる「自炊」をめぐる問題。
     作家の中には、自炊代行業に強く反対している人も多いです。確かに本を丸ごと電子データにコピーするというのは、著作権法的におおいに問題はあります。
     ただ僕は、自炊を代行して欲しい人の心理も分かっちゃうので、やみくもに反対もしたくないんですよね。家が広くて、本の収容能力にまだ余裕があるなら、自炊は必要ないはず。それに、本の冊数がそんなに多くなければ、自分の手で少しずつ自炊するでしょう。それなのに他人に代行を頼む人というのは、何千何万冊もの本を所有しており、なおかつ急を要する事態──早く蔵書を電子化しないと、まもなく床が抜けてしまうような状態にまで追い詰められてるんじゃないかと思えるんです。
     自炊代行が禁じられているために、本の重みで床が抜けてしまう人がいるかもしれません。床が危険な状態になっている人に関しては、特例として認めてあげてもいいような気がします。著作権よりも人命の保護の方が優先事項でしょうから。

     ちなみに著者は、この本の執筆中に離婚しているそうです。妻との関係が壊れた一因は、やはり本が多すぎたことだとか。
     僕も本が好きです。でも、酒を飲みすぎると害になるように、本も多すぎると害になるということも事実です。本によって人間関係が壊れたり、床が抜けて負傷したり、あるいは大損害を出して貧乏になったりする前に、増加する本のことを真剣に考えなくちゃいけないんじゃないでしょうか。
     ちなみに、僕の仕事場は鉄筋なので床が抜ける心配はないんですが、木製の本棚が壊れかけてきてるんですよねえ。うーん、やっぱり1段に2列の本を並べちゃだめなのか……。

  • タイトル通り、本当に『本で床は抜けるのか』がちゃんと取材して、体験談をもらって検証していく感じでした。
    抜けない人もいれば、本当に床が抜ける人も様々…。さすがに建築士の方や施工業者の方のお話があって、個人的に面白かったです。
    結果的に電子書籍に出来るものはそちらに移行して、お気に入りで持ちたい作品は、紙媒体で持っているのが良いんだなって思いました。持ちすぎは床や家にも悪いし、紙媒体が好きな人々にはかなり苦渋の選択ではあると思うです…特に好きな作品とか。そういう所も考えさせられる良い機会だなって痛感しました。

  • 本がいっぱいあると、生活スペースが圧迫され、精神衛生上、よくない。

    本を裁断したり、スキャンして電子化することを自炊という。これは著作権法的にグレーである。

    一般的読者と本を書くために収集する人とでは、買い方や集め方や読み方が違う。楽しそうだから、流行っているから、というよりも必要だから読む。これは、学生時代のレポートを書くために読むのと、似てると感じた。

  • 978-4-86011-267-7
    C0095¥1600E

    本で床は抜けるのか

    2015年3月10日初版第1刷発行
    2015年5月11日初版第4刷発行
    著者:西牟田靖(にしむた やすし)
    発行所:株式会社ほんの雑誌社

    本書はウェブ・マガジン「マガジン航」に連載された「底抜け」シリーズ(2012年4月~2014年7月)を加筆・再構成したものです。

    はじめに
    1 本で床が埋まる
    2 床が抜けてしまった人たちを探しにいく
    3 本で埋め尽くされた書斎をどうするか
    4 地震が起こると本は凶器になってしまうのか
    5 持ち主をなくした本はどこへ行くのか
    6 自炊をめぐる逡巡
    7 マンガの「館」を訪ねるー前編
    8 マンガの「館」を訪ねるー後編
    9 本を書くたびに増殖する資料の本をどうするか
    10 電子化された本棚を訪ねて
    11 なぜ人は書庫をつくってまで本を持ちたがるのか
    12 床が抜けそうにない「自分だけの部屋」
    おわりに
    参考文献
    ------------

    手にした理由
    コレクションというよりは、捨てられずにたまってゆく本。
    おもしろそう⇒ 買う⇒ 持ち帰る⇒ 読む⇒ 本棚へ 
    時々、特に雑誌は捨てる。
    時々、本棚を眺めて、シリーズっぽくなってくると、欠番を埋めたくなる。

    一度に読める本は一冊だけなのに、読み返すことはほとんどないのに、時々読み返すことも(稀に)あるために、まあいいかと処分を先送りする。

    読んだはずの本の背表紙を見て、何書いてあったかな?どんな話だっけ?程度の記憶力でしかないのに、なぜか本が好き。

    他の人はどうしているのだろうな?と思って手にしました。
    仕事で(文筆業とか学校の先生とか)使う人は要不要がはっきりするでしょうけど、果たして・・?
    ----------------------------
    #本で床が抜ける

    やっと、読み終わり、もう十年前の記事なのだなぁと日付を見た。
    事の起こりは、たくさん本があって、都会では家賃もままならず保管にも利用にも不便だ。他の人はどうしているんだろう。で、なんだかんだ自分に甘く、問題に対して手をこまねいていたら、家族まで失った。という話である。(自炊本や建築基準のはなしもある)
    失った家族は、特に子どもは成長し、今では自分の意思もあるだろうから・・。
    ま、この本の趣旨はそうではないので、後味の悪さはひとまずにして。

    自分が思うに、自分が現在住んでいるところに本は何冊あるだろう?一人住まいなら、全部自分の本ってことだし、家族がいるなら、自分以外に持ち主がいる本も当然ある。
    自分が買ってきたけど、他の人も読む本ってのもある。
    面倒なのは、買ってきたときはデータであったり、作品であったりしたものが、モノであるがゆえに、思い出になるから処分に困る。
    実際、子どもと一緒に楽しんだ絵本は捨てれない自分がいる。

    また、本棚(それに並ぶ本)はその人の脳みそを見ているようだと、感じる自分がいる。友人、知人の部屋に行ったときに、「へ~、こんなの読んでるんだ・・・」とか
    「あぁ!私もそのシリーズ持ってる!」とか。この本にできてきた、高尚なものではないにせよ、その感覚は理解できる。

    この本は、大量の本をどうしよう?ってことだけど、著名でも物書きでもない自分でさえ捨てられない本がたくさんある。この現実に対して、さて、「処分を加速させなければ」というのが、私の答えである。
    著名な人でさえそうなのだから、これらの大量の本(さらには、そのほかのガラクタを含む)の処分を逆に任せられたら、辟易するだろう。丸っと捨てるにしても、体力も時間も勿体ない。であるならば、「今まで私の書架にいてくれてありがとう」って思えるうちに処分するのがいいんだろうな。

    「本が読みたい」 ではなく、「作品を読んでみたい」ならば、紙媒体なら図書館へ、データで良ければ電子書籍ってこともアリ。
    選べる時代に感謝せねば。
    個人的には紙媒体が圧倒的に好き。でも、ここに居られなくなったときには(避難所暮らしとか、病院とか、施設とか)電子データでも本を持っていきたいと思うし、量的には電子データの方が圧倒的な量が手軽に持ち運べる)

    著者さんは、床が抜ける心配をしていたところからスタートなので、床が抜けないようにすればいい。という結論で解決方法として、強固な建物、床の補強。広いスペースの確保などの解決策もあるけれど、私個人としては、最終的には「残されても・・」ってものしか持ってないから、ジャンジャン読んで、自分の中にためて、だんだん忘れて、時々読んだ記憶を引っ張り出して、モノは減らさないとな。
    書架に数冊なら、「これを読んでいたのか・・」ってことにしてもらえるかな?

    「本」ではなく、「思い出」なのか、「データ」なのか「作品」なのか分けないと。

    実際、今自分は、何冊くらい持っているのかな?
    一時期流行りの「捨てろ捨てろ」ではないので、嫌悪感はないものの、
    考えさせられる一冊でした。
    P91 「本棚は父の脳内世界です。自分にはわかりようがない」
    P183 年を取ってくると昔、何を読んだのか思い出せなくなってくる。現物を目にしていれば記憶を刺激する機能は多い。モノで持っている強みというものがある。電子データにすると検索ができる。探す手間はなくなるが、出合う偶然を味方にすることはなくなる。出会わなければ、検索もかけれない。

  • 住宅関係者の方から、書籍の重量が家に負担を掛けるという指摘を頂いたので、気になって読んでみました。興味があった部分は以下。
    ・一般的な木造住宅の積載荷重は180キログラム/平米。
    ・木造住宅の場合は、幅80cm×奥行30cmとして、1段あたり10kgと仮定すると、本棚自体の重さを考えると、4段以上積んでいるとNG。
    ・部屋の真ん中か、壁際かによって、耐荷重が異なる。
    ・鉄筋コンクリートや鉄骨の家であれば強度は高い様子。

    自宅の書籍の整理をせねば。

    こちらの話、最後の予想外の展開に切ない気持ちになりました。。。

  • 物を部屋に置きっぱなしにしていると、「床が抜けるよ!」とよく言われたが、実際に抜けるまでいったことはない。そもそも、抜けるなんてあり得るのか?と思っていたので、タイトルに惹かれて読み始めたのがきっかけ。

    友人の建築家の観点から、一平米あたりの積載荷重は、木造住宅等一般住居の場合180キロ、オフィスなら300キロ、図書館は600キロ、と書いてあったり、本当に床が抜けた人に話を聞いたりと、気にはなっていたことに論理的に答えていく本になっている。

    「自炊」についても、著者自身の本を自炊したり、自炊を依頼した業者に取材に行ったりと、詳しく書かれている。自炊は少なからず需要があって今後流行るだろうと思っていたので、震災などの経験から他者のためにと活動している業者でさえこんなにも不安定な状態にあるとは知らなかった。新しい業界だからこそ、出版業界と話し合って法整備を早く整え、正当な業者が報われるようになってほしいと思う。
    自炊は屠殺に似ている、というのもかなりわかりやすいイメージで、なかなか自分で自炊に踏み切れないのがうまく言語化された感覚だった。

    わざわざ本で買ったものを自炊する理由がよくわからなかったが、自分が買った本はやはりその時点で少し他とは異なってくる。長年使用して書き込みをしたりしたらなおさら、という気持ちもよく理解できたし、自分の読書スタイルは一読者で、貴重な資料などではないので、作家のように膨大な紙の資料を読む人の本の管理方法、という視点で読めた。

    仕事上、どうしても電子書類などを読むことになりがちだが、紙にくらべて記憶に残りづらいと感じていた。それは自分が電子書籍に慣れないせいなのかと思っていたが、作家の中でもやはり可読性は紙のほうが、と考えている方も多くて少し安心した。紙を捲る感覚、無意識に感じる匂いなど、電子書籍がどれだけ普及しても紙はなくならないと思う。

    遺体が見つからないほどの蔵書や、書庫を持つほどの蔵書ってどのくらいの量なんだろう、とも気になった。

    妻子との別居となり、自分だけの部屋からの再出発を目指すという意外な結末だった。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • タイトル通りの内容だが、実物本(電書が一般化してきた今となってはややこしい表現だが)を多数所持している人ならば、興味を惹かざるをえない一冊。
    これを読んで「まだいける」と思うか「金持ちにならないと本持ちにすらなれないのか」と思うかは人それぞれ。

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著者プロフィール

フリーライター。1970年(昭和45年)大阪生まれ。旅・現場・実感にこだわった作品を発表し続けてきた。近年取り組んでいるテーマは、日本が抱える国境離島の問題と防衛のあり方、さまざまな親子のかたちと共同親権、入管法改正案や移民の是非など。こうした賛否の分かれる国内の政治的な課題について、イデオロギーに追随しない、まっすぐで公平な取材・執筆にこだわっている。旧日本領のその後を訪ね歩いたルポ『僕の見た「大日本帝国」』(2005年、情報センター出版局)、書斎の床が本で埋まった体験を出発点に本と人の共存を考えた『本で床は抜けるのか』(2015年、本の雑誌社)、爆発的な経済成長を遂げた中国を四半世紀ぶりに回った『中国の「爆速」成長を歩く』(2020年、イースト・プレス)など話題作多数。

「2023年 『誰も国境を知らない 令和版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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