- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862381606
感想・レビュー・書評
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とりあえず、「すべてのことを同じ論理(論法)で説明できない。だからガチガチに考えを固めない」っていうことだけが読みとれればいいと思っている。そしてそれは大事なことだと思う。
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ブログの冊子化。共感できる文章もありできない文章もあり。
「どうしたら良いのかわからないけど何かしないと大変なことになるということは確実なとき」に適切な対応ができるためには?
が大きなテーマです。その主語は個人家族日本学校大人子供etc
さて、これを読んで私は“適切な対応”がとれるようになったのか?
…そうやって、ここで感じたものを糧としてもう一度自分と言うもののあり方を問い直すことができるのが、この本の成果であり目的でしょう。
蛇足。小学生向けに書いたと言う文章は、確かに難しすぎでした笑 -
著者のことは全く知らず(名前からは男女差絵も判別つかず)タイトルからオカルトチックな内容だろうと勝手に判断し、たまにはいいかと購読しました。中身と いえば邪悪なのとは、この世の中なの?という感じの感じるままの随筆集。斬新な発想には脱帽。とても興味深く最後まで一気に読めた気がする。おもしろかっ たのは、グローバライゼーションの否定。国内に十分な母国語リテラシーを持つ読者が1億人以上いるというだけで十分に飯を食っていける状況でどうしてグ ローバルに目を向ける必要があるの?という問いには、うっ、と答えに詰まってしまう。現代日本が変える課題を笑い飛ばす発想こそが真のグローバリズムかも しれないと感心した次第。もう1回読みなおそう!
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不透明な時代を生きるための裏テキスト。
作者ならどうするか。
見つけた答えは「ディセンシー」(礼儀正しさ)、身体感度の高さ、オープンマインドということであった。
ルーティンなことを好む人はたくさんいる。
なぜならば、同じ事を繰り返すことによって、「快」の感覚が生じるからなのである。
その究極が死であるということに驚いた。
愉悦の本質には読書というものがある。
既視感と全能感が発生し至福の体験ができる。
これからも活字を追い続ける中毒者でいたいと思った。 -
推薦理由:
現代社会における呪いについて語り、裁判員制度の問題点を指摘し、常識とは何かを説き、婚活について述べ、草食系男子を論じる。身の回りの様々な出来事について示される独創的な見解が興味深い。
内容の紹介、感想など:
「邪悪なもの」とは何か。それは、出会った時に「どうしていいかわからない」けど「何もしないで手をつかねておけば必ず災厄が起こる」というものであり、そういう状況である。本書は、「邪悪なもの」に出会い、どうしていいかわからない時に、正しい選択をして生き延びるための知恵だと著者が考える事についてのエッセイである。
第2章の「モラルハザードの構造」では、倫理観の欠如により「狡い事をして自分だけ得をしようとする人」は、「自分のような人間が他には居ない事」を望むのであり、それは「彼自身の消滅を求める呪い」となると戒め、第3章の「人を見る目」では、「人を見る目がある」とは、その人が「これまでにしたこと」に基づいて下される評価の精密さのことではなく、その人が「これからするかもしれない仕事」についての評価の蓋然性のことであると説き、第4章の「内向きで何か問題でも?」では、日本人が内向きなのは、「内向きでも飯が食える」からであり、闇雲に世界標準を目指す必要はないだろうと述べている。このエッセイは、科学的に証明できる事や客観的根拠に基づく事より、観念的、感覚的なものに重きを置いて語られているようだ。「日本は、アメリカに呪いをかけられていると思い込んでいる」という観点で日本の対米外交を論じた文章など、思わず「なるほど、そうだったのか」と納得したくなる面白さだ。「こんな考え方もあるのだ」と驚いたり感心したりしながら内田樹ワールドを楽しんで欲しい。 -
ジャムの瓶のラベルに書かれた文字まで舐めるように読んでしまうという活字中毒の内田先生が師事しているレヴィナス老師が文章を書く前に必ず『ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日』(マルクス著)を読んでいたという情報をこの本で得た。どうやら、この『ルイ〜』を読むと、レヴィナス老師は論理的な文章が書けるらしいのだ。論理的な文章がなかなか書けない私としては、それは試してみる価値アリだなと思う。よし、今度読んでみよう。
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タイトルだけみたらなんじゃこりゃ?なんですが、著者が内田樹先生だったしたまたま家にあったので読みました。
中身はブログ「内田樹の研究室」にあがってる記事を編集しただけです。つまり、まえがきとあどがき以外は全部ネットで読めます。こんなんで金とるのもどうかと思いましたが、まぁ順番入れ替えてテーマごとにまとめる程度には編集してあるし、この手の本はよくあるし、(自分で買ったわけじゃないし)、そこいら辺を突っ込むのはやめときましょ。
ここの記事はそんなに分量がないので、暇つぶしに読むにはもってこいでした。
そういう「考え方」(方法論としての)もあるのかーって感心することも結構あります。
いかんせん内容にまとまりがないのがアレですが、まぁそこはしゃあないですね…。
あとこの程度の分量の本だったら、もう少し薄くしてほしいです。行間広すぎ。持ち歩くには結構邪魔になるでかさでした。 -
日本辺境論など多くの著書がある内田樹がブログ等の文章をまとめたエッセー。
少し前に「最近の若いもんはカンが鈍い」という会話の時にこの本が話題になったのだが、この本の主題はまさにそれなのである。
理論立てて答えを出すのではなく、直感が先に答えを出してその後に理屈がついてくる。世の中のたいていのことは事実であるというよりは了解である。呪いや霊的なものへの対処の仕方はまさにそれが必要だろう。この本では家族や教育など様々なテーマが出てくるが、ほとんどがこの土台を基に考えられている。それは後書きで「知っていることを書くのではなく、書くことによって知見にたどり着く」と書かれていることからも感じられる。
この思想は「日本辺境論」でも触れられている通り、内田が武術を長年修行しているところから来ているのではないかと思う。勉強(修行)をしていけばしていくほど、考えるというよりは直感的に思考する(動ける)様になる感じと言えばいいだろうか。
この感覚は分かる人には分かるし、分からない人にはとことん分からないのかもしれない。それが最初の「最近の若いもんは...」になったのだろうと思う。
そういった意味では多くの人に読んでもらいたい一冊。