ハルムスの世界

著者 : ダニイル・ハルムス 増本浩子 ヴァレリー・グレチュコ

• ヴィレッジブックス (2010年6月20日発売)

感想・レビュー・書評

[kaamosさんの感想 · 2011年3月7日]

ああ、面白おかしく語られるけれども、どれも身におぼえがあったりして、私にとっては現実世界の延長線を物語と一緒に終始歩まされている感覚でいた。それが不思議と苦痛に思うことなど全くなく、人間なんて糞喰らえの裏側にある、誰よりも人一倍人間が好きであるような観察にむしろ好意。ハルムスはこれで三冊目なのだが、もっともっと読みたい知りたいと思わされる作家の一人である。

[かじりさんの感想 · 2011年1月27日]

老婆はビルから落ちた老婆をみようと窓から身を乗りだして転落死しました。
その老婆をみようと身を乗りだしたつぎの老婆も転落死しました。……

終始こんな短編。
厳しい弾圧下でここまで徹底した前衛的文学が生まれるなんて！
芸術の奔流をみた気がしました。

ロシアかっこいいなー、、

[くまざわさんの感想 · 2010年8月28日]

めちゃくちゃ面白かった。ロシアの不条理文学の先駆者である彼の作品は、当時の政治や社会がからんで生み出した最高傑作。このどうしようもない空気感は現代人にも共感できて、ひたすらいい、と褒めたい。

[nishiibeさんの感想 · 2010年8月28日]

「ひとりのフランス人にソファがプレゼントされた…」が一番好き。どの椅子に座るか決められないというだけの話。

[lonesinkerさんの感想 · 2010年7月10日]

これは拾い物でした。陰惨な現実から生まれるナンセンスの世界。竹内浩三の遺したナンセンス小説を思い起こさせます。

[おきさんの感想 · 2023年7月4日]

ハムルスさんの世界観にハマってしまいました。読んでいても感情が揺さぶられるような話では無いのに、不思議と心が落ち着いてくる。「結局、ただそれだけ」という懸念に近いものを感じるし、何かを悟っているようにも感じる。
時代の背景についてもっと知りたくなったし、ハムルスさんの心情もより理解したくなった。
日常的に道化のような格好をして歩いてたらしいけど、かなり変人として見られてたんだろうなぁ…