街を変える小さな店 京都のはしっこ、個人店に学ぶこれからの商いのかたち。

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  • 京阪神Lマガジン
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874354278

感想・レビュー・書評

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  • 左京区は最後の砦です。

  • 京都の学生が多くいる左京区の本屋さん(恵文社 一乗寺店)の店長が書いた本。

    書店がつぶれていくなか、独自の選択(古本や雑貨も)によりオリジナリティーを保ち、わざわざ遠くからも訪れるような有名な本屋さんのようです。

    確かに、大学生の時にこんな本屋さんがあったら、何度も通うだろうなと思える魅力的な雰囲気。
    ある意味京都というこじんまりしたコミュニティの中に属して、横のつながりがあるから成り立つという部分にも関心。

    著者が、ガケ書房の店長と対談する中で、自分たちの店に来ること自体が目的になっていることに危機感を抱いていたのが、印象的だった。ふつうはそれでうれしくなってしまうと思うが、常に媒体でありたいという、本屋さんのことを本質的に考えている姿勢に、じわじわ感動をした。

    あとは、話題としては脱線するが、著者は四条河原町付近の開発ぶりというか商業路線を嘆いていた。私も最近京都観光をして、たしかにブレードランナーの都市のようになったあのあたりの雰囲気に違和感を抱き、共感をした。
    観光時に、嵐山のグローバルな観光客の大量発生にも感じたが、最近は、本来の京都の良さが失われる部分もあるのかなと。観光地で、観光客もいるけど、のんびりしているなーという雰囲気が好きだが、結構殺伐としているところも多くなってきたな。

    そんな中、恵文社の京都らしさは、価値があるのではと感じた。

  • 京都には、競争を勝ち抜いておおきくなることよりも、変わらぬあり方で老舗の暖簾を守り、長くあり続けることこそが価値とする考え方が昔からある。
    という一節が印象に残った。

  • SPECTATOR「小商い」で紹介されていたテーマとかなり合致するところがあって、読みながらワクワク興奮した!興味本位な一見さんになってしまいそうだけど、恵文社一乗寺店、ぜひ行ってみたい♪

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  • 何気なく書店で見つけ、手に取った本だが、これは思わぬホームランだった。
    私の学生時代のメインステージ、京都市左京区にあるユニークな書店「恵文社一乗寺店」の堀部篤史店長が綴るエッセイ風の軟らかい小規模店舗分析論だが、その堀部氏の感覚が私にとってあまりに過不足なく的確に感じられる。
    個人的ノスタルジックど真ん中を、これでもかというぐらいに突いてくる。
    恵文社一乗寺店は決して何でも揃っている大型店舗ではなく、偏りのある棚作りと運営スタイルこそが"合う"人にとってこの上なく魅力的な店なわけだが、この本自体もそれと同様に、互いの感覚に依る信頼性を担保に内容の質を保証している、と表現することができる。
    「俺も今の生活を捨てて左京区で何か店でも始めるか…」などという危険な妄想が脳を一瞬よぎるほどだ。

    「一冊だけポツンとあったんではダメです。関連させて初めて生きてくる」と、三月書房の宍戸恭一氏が指摘されているように、本は例えそれ単体のみでは映えなくても、周りに並べられたものとの相乗効果でより魅力を増す。
    この本もまさにそんな効果に中てられて買い物かごへと放り込んだ品であり、またインターネット上の書店ではなく、実店舗だから巡り会えた一冊であることを鑑みると、さらに感慨深い。

  • 京都市左京区一乗寺という京都の中心部から外れた街中で本屋を営む店長・堀部篤史氏が、自らの生まれ育った左京区を中心に、京都にある自分にとってなくてはならない、京都らしいと感じられる個人店を紹介した本。

  • 2015/6/8読了。
    文化的な嗜好品を扱う個人店のあり方についてのエッセイ。
    京都市左京区の雰囲気を著者は東京の中央線沿線や下北沢に例える。僕はあの辺りの雰囲気が嫌いで、だから本書に出てくる店の多くにもあまり行ってみたいとは思わないが、著者や店主たちが語る言葉の中には肯けるものが多かった。
    印象的なところをいくつか。コストパフォーマンスを度外視した価値観に基づくお金の使い方を、著者は幸田文から引用して「くろうとの金の使い方」と呼び、それを居心地のよい街を守るための「投票活動」と言う。当たり前のことなのだが、ぴたりとはまる良い表現だと思う。
    もうひとつ。「大型書店が存在しないことには、小さな街の本屋もなりたたない。」これも現在の個人店のあり方を正確に捉えている言葉だと思う。
    人と人とのつながりが大事、というのはあまり好きな考え方ではないが、徒歩でつながれる人どうしの緩やかなつながりが街という緩やかな商圏を形づくるのは確かなことだと思うし、そういう商圏のほうが僕は好きだ。
    さて、そこで一介の消費者である僕にできることは何か。明日も行きつけの喫茶店に行き、行きつけの本屋で買い物をしよう。そこがスターバックスや蔦屋書店になったら困るから。

  • 『インターネット上にあらゆる情報が詰まっていたとしても、それを検索する語彙がなければパソコンもただのハコ。ウェブ検索が「知る」ことの最短距離として定着したここ10年ほどで、関心のないものごとに触れる機会がずいぶん貴重になった。じぶんのなかの「検索ワード」を増やさなければ、生きた棚はつくれないのだ。』p189

    検索ワードを蓄えるために街を歩き、映画を観て、本を読み、人と語るんだ。

  • 2015.5.16
    街の中の一部として、お客さんの声に耳を傾けながら、自分の中にあるものを使ってそれを棚に表現していく。街の中でのスタンス、地域の人にとってどういう場所なのかを理解した上で、どういう店にするのかの方向性を作って、それを表現していく。街の人の集まる場を作る。日々の街歩きや人とのコミュニケーション、新しい分野を知ることで、自分の引き出し(検索ワード)増やして、仕事に反映させる。本は他と関連させて初めて生きる(三月書房)。

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