プレイフル・シンキング

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  • 宣伝会議
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883352203

感想・レビュー・書評

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  • 学びの本質はinstractionではなくconstractinn。『実践する』⇄『振り返る』。憧れの人に近づいて自分の領域を広げよう。It's cool!の賛同。

  • 「プレイフル」という言葉が個人的にとても気に入った!

    特に「紙コップのメッセージ」には感銘を受けた!

    まだわからないところが多いが、
    ワークショップを学ぶ入り口としては良いと思う!

  • 私のWSの歴史はこの本から始まりました!出会いは上田先生にこの本を渡され3日で読んでねといわれ、しかも大事なところには、線を引いてきてね。といわれました!笑 今思えばなんたるむちゃぶり!
    でもとってもこの本にインスパイアされて、学ぶことの楽しさを知ることができました。

  • 仕事に対する考え方が少し変わった。仕事がつまらないから辞めようかとか、うまくいかないとか悩んでいる人は一読の価値あり。

  • 著者の上田信行氏はハーバードの大学院で教育学を修め、現在は同
    志社大学で教える教育学者。専門は学習環境のデザインとメディア
    教育だそうですが、企業や個人向けにワークショップを数多く主催
    してきた実践家でもあります。このため、軽めの一冊ながら、適度
    なアカデミックさと実用性を兼ね備えた内容に仕上がっています。

    本書で言う「プレイフル」とは「物事に対してワクワクドキドキす
    る心の状態」のこと。なぜワクワクドキドキが重要かと言うと、そ
    ういう状態の時に人は最も深く学ぶから。そして、ワクワクドキド
    キできる心の状態は、「どんな状況に置かれても、自分とその場に
    いる人やモノを最大限に活かして、新しい意味を創り出そうとする
    姿勢」から生まれると著者は言います。

    要は、自分の目の前にある状況をどう認識し、そこからどういう意
    味を作り出せるかが重要だということです。目の前の状況に押し潰
    され、無力感に陥ってしまうのではなく、自分を成長させてくれる
    良い機会だとワクワクドキドキしながら前向きに立ち向かっていく。
    それがプレイフルに振る舞うということで、誰でもその気になれば
    身につけられる振る舞いだと著者は言います。

    その時に重要になることの一つが「他者の存在」をどう勘定に入れ
    るかということです。自分一人ではできないことでも、「あの人と
    だったらできそうだ」と思えるときがあります。というか、たいて
    いの物事はそうでしょう。「他者含みの自信」が自己の領域を広げ、
    自分の憧れの世界に到達できる可能性を高めるのです。このことを
    「憧れの最近接領域」という素敵な言葉で著者は表現します。

    他者の力を借りることでできることが増えるだけでなく、自分が潜
    在的に持つ成長の可能性までをも伸ばすことができるということを
    身をもって実感するのは仕事の場面においてではないでしょうか。
    つまり、職場は大人にとっての学びの場であり、働くことは学びそ
    のものだと言えるのです。このような労働観が当たり前になれば、
    社会はもっとプレイフルでハッピーなものになります。

    毎日をワクワクドキドキに満ちたものにするために、是非、読んで
    みてください。

    =====================================================

    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    「世界とはこういうものだ」とあなたが感じている世界は、見方を
    変えればいくらでも違った世界に見えてくる。つまり、あなたの認
    識によって世界を作り変えることができる。

    「実践する」⇄「振り返る」というプロセスを繰り返しながら、人
    は学んでいくと考えられる。

    「困難」を意味する英語に「ハードシップ(hardship)」という言
    葉がある。これに対して、困難を乗り越えるときに感じる楽しさの
    ことを「ハードファン(hard fun)」という。ハードシップだけで
    は、人生はただつらいものになってしまう。それではつまらない。
    人生を楽しく豊かなものにするためにもプレイフル・シンキングで
    もってハードシップをハードファンに転換し、プレイフルに成長し
    ていけることを読者に伝えていきたいと思う。

    楽しさこそが学びのプロセスを深化させていく。楽しいことこそが
    本質なのである。

    ①プレイフルとは、真剣に向き合うこと
    ②プレイフルとは、柔軟であること
    ③プレイフルとは、協調のためのエンジン
    ④プレイフルとは、実現できそうな予感にワクワクすること

    変化を怖れる人は、「努力しても自分は変わらないのではないか」
    と思い、変化を楽しめる人は、「努力すればいくらでも変われる」
    と思う傾向がある。

    「よく見せたい」よりも「よくなりたい」と思う気持ちが、あなた
    を成長させていくのである。

    可能性は状況の中にあると考えてみてはどうだろうか。可能性とは
    あなたという「個人」だけに備わっているものではなく、あなたを
    取り巻く「状況」に埋め込まれているという考え方だ。(中略)
    「あなたひとりでどれだけのことができるか」という視点ではなく、
    「あなたはこの状況をどれだけ活用できるか」、そして「他者とど
    れだけ恊働できるか」という視点が重要になってくるのである。

    こうした他者との恊働によって開拓できる領域のことを、僕は「憧
    れの最近接領域」と呼んでいる。自分ひとりで憧れを目指すよりも、
    信頼できる仲間と一緒に目指したほうが、より憧れに近づくことが
    できる。

    心のゲージを自由にコントロールして、環境や状況に対して適応的
    に振る舞えることが、プレイフルであるということであり、人とし
    て成熟しているということではないかと思う。

    教育の現場では、教師が子どものうしろからそっと手を添えて、子
    どもの学びを手助けすることがある。これを「足場をかける(足場
    つくり:scaffolding)」という。

    僕たちが「失敗」と名づけているものは、じつはある時点での「現
    象」にすぎないと考えることができる。(中略)本当の失敗とは、
    その時点で前に進むのをあきらめてしまうことなのではないだろう
    か。

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    ●[2]編集後記

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    東京は梅雨が明け、暑い日々が続いています。が、どうも今年の太
    陽には力がありません。富士山の雪もまだ残っています。

    実は今年は太陽に黒点が現れていないようです。このような状態は
    1913年以来とのことで、今年は100年ぶりの太陽の活動極小期だそ
    うです。何か嫌な予感がするのは私だけでしょうか。

    昨日は夕焼けが綺麗でしたが、そういう目で見るせいかどうも何と
    なく秋っぽい。それでも久方ぶりの夕焼けなので、娘に夕陽を見せ
    てやろうと自転車を走らせていたら、東の空に大きな虹が2つも出
    ているのに気づきました。虹を見たのは何年ぶりのことでしょう。
    大きくてくっきりとした虹がビルの谷間から立ち上がる様に、「あ
    あ、虹ってこんなに綺麗だったんだなあ」と素直に感動しました。

    やはり虹に気づいた人達が、空を見上げていました。皆、一様に携
    帯を構えているところが現代的ですが、皆で空を見上げ、虹を見て
    いる姿はなかなか良いものだなと思いました。

    いったいあの時間に、何人の人が虹に気づき空を見上げていたのか
    はわかりませんが、見ず知らずの人々が、確かに同じ時刻に何かを
    共有していた。その事実に心が動かされます。

    娘も、初めて見る虹に興奮していました。娘の目に虹がどういうも
    のに見えたのかはわかりませんが、寝る前にも虹の話をしていたの
    で、きっと忘れ難い体験だったのでしょう。

    虹には人の心をワクワクさせる力がありますね。

  • 前向きということを違う形で表現。そうだよなぁ。同じ時間を費やすのにどう活かすかは自分次第。

  • あんまり「思考法」と名のつく本は読まないのですが、認知科学や「学習環境デザイン」専門の方の本で、ダンナもすすめるので読んでみた。学習環境デザインといえば、ラーニング・コモンズの環境設定などにも関連します。この本は、そちら向けの本ではなく、その知見を仕事にも応用しようという話。プレゼンの方法など、色んなアイディアがあって、なるほどねえ、と思うことがたくさんあった。しかし私は、けっこう普段から楽しく仕事をしているので(楽な仕事をしている、という意味ではありませんよ!)、ああ、そうだねえ、くらいの感じだったかも。すみません、「こう考えたらこうなりますよ」みたいな話にはどうも違和感があるもので・・・。仕事って、自分のためじゃなくて、仕事の結果を必要とするもの(人や人に限らない受け取り手)のためにやる、っていうのが究極の目的なわけで、自分を成長させようよ、が目的のようになると少し違う気がするんです。よりよいものを提供するためには、絶対自分の成長が必要なわけですけど。意識が内に向いてるか、外に向いてるかの違いでしょうか?どちらがいい、悪いって話でもないのでしょうけれど・・・。立て続けに仕事に関する本を読んで、あれこれ考えているところです。

  • 改めて見てみるとすごくいい本。今日、ある失敗により深く反省&ネガティブになっていたけど、この本をパラパラ見て、失敗は成功のもとマインドを少し取り戻した。

  • 久しぶりの五つ星評価。
    プレイフルとは、「物事に対してワクワクドキドキする心の状態」のことで、プレイフルな状態を生み出すための思考法が「プレイフル・シンキング(playful thinking)」である(p16)。
    ビジョナリー・カンパニーの次はプレイフル・カンパニーであり、これは「個々人が真剣にかつ楽しみながら仕事に取組み、ワクワクドキドキする協働作業から新しいアイデアやイノベーションが生まれてくる組織」をさす(p139)。
    組織(大学)で働く者として、プレイフル・シンキングを心掛け、プレイフルな学びの場を提供したい。

    イラストが可愛らしく、文章も分かりやすい。すべてにおいて高評価な本だ。

  • すごく面白かった。
    可視化、言語化の大切さがあらためて、
    新鮮な角度から見えてきた。

  • 人生楽しんだもん勝ち。仕事も楽しんじゃおう!"つまらない"ものは"おもしろくない"夢中になってとりくめば、どんなことも"おもしろく"なる。これからの時代は『プレイフル・カンパニー』…個々人が真剣にかつ楽しみながら仕事に取り組みワクワク、ドキドキしながら仕事をする。こんな時代だからこそ、活気ある職場が必要。あなたが、動けば状況は必ず変わる。あなたが一歩を踏み出すことで周囲になにかしらの影響を与えられる存在になれる。

  • こんな感じで知的好奇心を刺激するサービスいいなぁ、作りたいなあと思わせてくれた本。

  • 著者は、教育工学を専門とされており、「Carol S.Dweck」の「認知的動機づけ理論」をベースに、学習環境とメディア教育について研究されている。その活動の一環として「ネオミュージアム」という実験的アトリエをつくられるなど、実践的活動を展開されている。

    この本は、「プレイフル」つまり、物事に対して「ワクワクドキドキ」する心の状態をどのようにしたらつくれるのかを、マインドセット、学びのモデル、協働の観点などからひも解いている。「教育学の専門家から見た職場のデザイン」という点で学びがあった。

    とても平易に解説されており、実践的な例も多く、読後すぐに「プレイフル」になる動機が湧いてくる。

  • 教育工学を専門とする大学教授が書いた本。
    著者はなかでも学習環境デザインという分野を専門としているようで、本書ではどのような環境があれば人は学ぶモチベーションを高めるのか、それを職場でどのように生かすのかについて説明されています。

    今年読んだ中で最も面白かったうちの一冊です。
    とても読みやすくてお勧めです。

    学ぶとは、何かを教えるとか、与えて行われるものではなく、自分で気づいてもらう、自発的に自分の興味あることをつきつめていってもらう。僕はそう思ってます。だから、学習者のモチベーションをいかに高めてあげるか、やる気を引き出してあげられるかに興味を持っています。
    本書においては、モチベーションは個人の能力や思考というよりも、周囲の環境で変えることができるという視点で考察されており、多くの示唆を得ることができました。

    6章以降に書いてある、プレイフルな環境をつくる事例も豊富でとても参考になりました。職場にパーティとりいれたい!

  • 2011 4/7読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
    @ochyaiが以前、すすめていた本。
    図書館い入るまで待ったので読むまでだいぶ日が経ってしまった。
    サブタイトルにある通り、仕事を楽しくする、「知的好奇心や興味のスイッチが入って、夢中になった状態」(p.20)にする思考法、プレイフル・シンキングの話。
    著者は教育工学の専門家。
    第6章「人をプレイフルにする環境の力」がとても面白かった。

  • 教育工学の専門家である大学教授が書いた一冊。

    研修事業をやっているが僕らの研修は
    何かを教える、というよりも自分で気づいてもらう
    という研修なので、この本の思考と似ているのかな?
    と思って読んでみた。

    この本を読んでいる最中にまた新しい研修プログラム
    を思い付いたのでさっそく企画書に落とし込んでみよう。

  • 上田先生は同志社女子大学の先生で、奈良にネオミュージアムというアトリエを設立されて数々のワークショップを実践されている。
    ビジネス書っていうほど堅苦しくないけれど、それでも、認知心理学や学びということを切り口に書かれているので、“愉快”な類のおもしろさではない。
    そして、感動するって言っても、涙を流す類のものでもない。


    なのに、あたしは感動して、なんだかうるうるしながら読んでいた。


    中原先生や長岡先生がお勧めしている本を読んでいたこともあって、聴いた理論や言葉が随所に出てくるので、初めて知った!という知的好奇心的な欲求を満たしてくれたわけでもない。
    でも上田先生の「プレイフル」な語り口でどんどん引き込まれて、なんだか「可能性を信じられる」ようになってくるから不思議。


    社内広報の戦略を立てる際にあたしが思ったこと。


    funnyなおもしろさではなくinterestなおもしろさを追求したい



    それまでの社内広報はゆるくてぬるいおもしろさやつながりを求めていたように感じていた。売上状況すら広報されていないってどういうことよ?という憤りもあって、きちんと会社や仕事のことを発信していきたいと思っていた。それが会社や仕事に誇りを持つことに遠からずつながるんじゃないかってね。


    で、いろんな企画を立ててひとつずつ実施しているんですが、その中で、メンバーの何気ないけど意味がある言葉にスポットを当てて、その人の仕事観を紹介するというものがある。
    非構造的なインタビューをしながら、その人の仕事観を訊いていくって作業はなかなかしんどいけれど、作られた、準備された言葉じゃないからその人の本質をついているような気がする。


    その中で、前回の記事に登場してくれた車いすの男子が言っていたこと。
    彼は、一からAccessを勉強して、検索ツールを開発した。
    一から勉強するって大変じゃない?その原動力ってなんなの?と訊いたら


    もしかしたらおもしろいかも、って思えば、覚えることそのものが楽しくなる


    まさにプレイフル・シンキング!
    彼にとって、新しいことはタイヘン!ではなく、そのこと自体がおもしろいことなのかもしれない、という未知の扉を開けるものなんだ。


    上田先生が書かれていたことと、彼が言っていることはイコールだと思う。
    はじめてのことをうまくやれるかな?と不安に思う「Can I Do It?」タイプではなく、彼は「How Can I Do It?」よりももっと先かもしれない、そのこと自体を楽しんじゃえって思っている。
    (ちなみにこの車いすの男子24時間テレビで須藤元気とともにロッククライミングに挑戦したこともある。)


    はじめてのことも働くことも、楽しいことなんだ。
    はじめて英語に触れた中学一年生の頃、誰もが、これでエイゴが喋れるようになるんだ~ってわくわくしたと思うんだよね。(結果はさておき)
    その気持ちが大事なんだと思う。


    オトナになってもはじめてのことはたくさんあるし、それを「Can I Do It?」と思うのではなくって、どうやったらできるかな?そしてそれを楽しもう!って思うこと、それこそがオトナが学んでいくときに必要なものなんだね。


    そして、上田先生が書かれていた「憧れの最近接領域」。
    これはもともと、ヴィゴツキーとかいう学者が提唱した、ツールを用いることや誰かのサポートを得ることでその人の能力の可能性は広がるという「最近接領域」の理論を上田先生が発展的にしたもの。
    平たく言っちゃうと、みんなでやればもっともっといろんなことができるよ、ってこと。


    うん、そう思う。
    仕事って、ひとりじゃできないことは言うまでもないことだけど、誰かひとりスーパーマンがいたからって業績がぐぐーんと上がったりするものでもないし、素晴らしい成果物ができあがるものでもない。
    つまりは、協働することによって1+1は3にも4にもなるよ、ってこと。


    あの人とだったら、こんなことができそうだ、と自分の可能性をどんどん広げていくこと、自分ひとりではできない憧れの領域も誰かとだったら踏み込めるんじゃないか?ってこと・・・それ自体もステキだけど、そう思うこと自体もステキ
    そして図々しくも、あたしの行きつく先の目標は「あの人とだったら」って思ってもらえること、そんな風に思える、思われることもステキ
    ステキなことだらけ。


    あたしはこちこちなマインドセットに陥りがちだけど、「How Can I Do It?」の精神を忘れないように、ちょっとでもしなやかに、Growth Mindsetを育てていこう。
    そしてプレイフルを忘れずに、仕事にも学びにも生活にもワクワクドキドキしていこうって思った。


    大学院に行ったことで長岡先生の授業を受講した。長岡先生の授業を受講したから中原先生に出会えた。そして、あたしが「本を読む」モードだったこと・・・偶然の積み重ねに感謝してもしきれない。



    ところで、あたしがうるうる来ちゃう理由ってなんだ?
    年とともに涙腺が緩~くなってることは否めないんだけど、悲しかったり、悔しかったりしても泣くけど、最近はどうやらエナジャイズされると涙が出るらしい。
    なんでだ?元気づけられて泣くなんて病んでるのかな?それとも、とーっても敏感になったってことかな? 

  • 先の「『見せかけの勤勉』の正体」と同じく、こちらもモチベーションを扱った本。著者はキャロル・ドゥエックの下で学んだ方らしく、ドゥエックの『「やればできる!」の研究』と同様のスタンスをとっている。しかし、前掲書には書いていないことも色々とあって面白かった。中でも僕が面白いなと思ったのは、「やる気」を個人の資質ではなく、「課題の意味付けと状況を自分でコントロールできそうだという見通し」と解釈したり、「できそうだ」という見通しの中に他人の存在を介在させたりして、学習を状況の中で捉えているところだ。本書の前半は、このような学習観の提示に使われている。

    その上で、後半になってワークショップ的な学びのあり方について具体的に論じている。特に第6章「人をプレイフルにする環境の力」は、ワークショップに関わる人であれば読んで損はないと思う。ワークショップのモデルとして「イタリアンミール」モデルや「つくって、かたって、ふりかえる」TFKモデルが提唱されていたり、振り返りを促すために「体験する場」と「振り返る場」を実際に分けてしまう、というアイデアがあったりなど、さすがに第一人者の経験に裏打ちされた有益な知見がある。

    一般書なのでとても親しみやすい語り口だが、学術的な裏付けもあり(それは巻末に彼の「学びとメディア」ストーリーという形で紹介されている)、具体的なアイデアの紹介もありで、けっこう面白い。中原淳さんなどがブログで紹介している理由もわかった。ワークショップ的な学びに興味のある人にはお薦めの一冊です。

  • 見方を変えれば気持ちも変わる
    目標をデザインしよう
    足踏みしないでチャレンジしてみよう
    形にしないと始まらない
    もっと他力を頼りなさい
    人をプレイフルにする環境の力
    プレイフルな場としてのパーティの可能性

    ちょっとした心の持ちようで、つらい仕事を楽しめるor自分にとって意味あるものにしていこうという本。自然とできなくても、自分の考え方の癖を理解して違う方向からも考えてみることで負のスパイラルから抜け出せるのかもしれない

  • 【読書メモ】

    ●「Can I do it?」と「How can I do it?」

    ●物事に積極的にかかわろうとする知的好奇心にあふれる自分と、それを俯瞰して眺めるもう一人の冷静な自分をもつこと。その両輪をうまくまわしながら革新を生み出すことが、プロフェッショナルである。

    ●プレイフルに働くということは
     ・真剣に向き合うこと
     ・柔軟であること
     ・協調のためのエンジン
     ・実現できそうな予感にワクワクすること

    ●人がプレイフルであることを阻害しているのは、自分が変わっていけるという予感をあまり持つことができない、硬直した心のあり方なのである。

    ●フィックストマインドセット vs グロウスマインドセット
     ・固定的知能観⇔成長的知能観
     ・よく見せたい⇔よくなりたい
     ・失敗は過ち⇔失敗は自己投資
     ・自己防衛型⇔課題挑戦型

    ●まず、物事を固定的に捉えがちなあなたの思考を、自由に解き放つ必要がある。あなたの考え方が唯一の考え方ではないこと、あなたが認識している世界が唯一の世界ではないことをまずは知ってほしい。見方を変えることで世の中が違って見えてくれば、あなたの感じ方や考え方が変わってくるはずだ。

    ●その鍵となるのが「メタ認知能力」である。「メタ」という言葉には、「高次の」という意味があり、「メタ認知」とは物事を俯瞰したり、多角的な視点から眺めてみることである。あなた自身を、もうひとりのあなたが、上や横から眺めている状態をイメージしてみてほしい。

    ●言われたとおりの課題をこなすのではなく、自分ならどうするかという視点で課題を捉えなおしてみる。これが「自分なりに課題を設定しなおす」ということである。

    ●新しい仕事に取り組むときに不安を感じるのは、「私にできるだろうか」と自分自身に意識が向いてしまうことに原因があるのだということはすでに述べた。ここに大きな落とし穴がある。課題を自分ひとりで抱え込もうとしていることである。そうではなく、可能性は状況のなかにあると考えてみてはどうだろうか。可能性とはあなたという「個人」だけにそなわっているものではなく、あなたを取り巻く「状況」に埋め込まれているという考え方だ。誰と一緒に仕事をするのか、どの道具を使うのかも含めて状況をメタ認知し、可能性の広がりを感じてみるとよいだろう。同じように、「能力」や「知識」もあなたの頭のなかだけにあるのではなく、他者の存在も含めた状況のなかにあると考えるのである。

    ●あなたが潜在能力を十分に発揮できるのは、可能性をもった存在としてあなた自身を認識したときである。だから、他者から厳しく評価されたときは、それを卑屈に思うのではなく、自分の現状認識を上方修正するきっかけにしたいものである。

    ●僕たちが「失敗」と名付けているものは、じつはある時点での「現象」にすぎないと考えることができる。本当の失敗とは、その時点で前に進むのをあきらめてしまうことなのではないだろうか。

    ●異なる考え方や価値観に出会ったときは、否定せずに、まずは受け止めてみよう。そして、「自分の考え方に取り入れられるかな」と柔軟に考えてみて、あなたの境界線が広がるかどうかを試してみるとよいだろう。

    ●たとえばチームで課題に取り組むとき、あなたは相手と協働していきたいと思っているのに、相手の態度がそれほど乗り気ではない場合もあるだろう。そんなときは、あなたのメタ認知をフル回転させてみてほしい。相手がなぜ乗り気でないのかを考えてみるのだ。状況をメタ認知してみることで、お互いの関係構築を阻害している要因やその改善策が見えてくるかもしれない。見えてこなくても、そこに何らかの原因があるということに思いが至るだろう。それだけでも、気分を害されたあなたの気持ちは少しは収まって、相手と建設的な話し合いをしてみようと思えるようになるかもしれない。

    ●状況をメタ認知できたら、次のステージとしては、対話を通して共感的な理解を得ていくことだ。「あなたはこの仕事についてどう感じているの?「何かやってみたいことはある?」といった問いかけを通して、相手がなぜ乗り気でないのか、その理由を探っていくとよい。

    ●年次が上がるにつれて、規模の大きな仕事を任されるようになると、社内や社外を問わずチームで協働して課題に取り組む機会も増えてくるだろう。まずは仕事のやり方や取り組みの姿勢を理解し合うところからスタートしなければならないこともある。仕事をするということは、価値観や考え方の違う人たちと、いろんなレベルでの話し合いと合意を重ねながら、ひとつひとつ階段を上がっていくことでもある。

    ●そこに立ちはだかるのが、わかりあえない壁である。そのようなとき、「プレイフルな対話」が状況を変えていく鍵になる。あなたがその課題をどうとらえているのか、どうしていきたいのか、相手に何を求めているのか、そして相手はどう考えているのか。建設的な対話を試みることが、一つの突破口になるのではないだろうか。それでもわかりあえないことはあるだろうけど、どこまでわかりあえて、どこからはわかりあえないのかを知るだけでも、対話を試みた価値はあるだろう。

    ●これからの時代に注目されるのは「プレイフルカンパニー」である。プレイフル・カンパニーとは、個々人が真剣にかつ楽しみながら仕事に取り組み、ワクワクドキドキする協働作業から新しいアイディアやイノベーションが生まれてくる組織のことだ。

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著者プロフィール

同志社女子大学現代社会学部現代こども学科特任教授、ネオミュージアム館長

実験的アトリエとして奈良県吉野川のほとりにネオミュージアムをつくり、1990 年以来、現在まで 50 近くの実験的ワークショップを実施している。現在、人と人が織りなすコミュニケーションから豊かな学びの場をつくる「プレイフル・ラーニング」という新しい考え方を構築し、実践的な研究を続けている。

「2020年 『プレイフルシンキング【決定版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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