マーケティング22の法則: 売れるもマーケ 当たるもマーケ

  • 東急エージェンシー
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884970239

感想・レビュー・書評

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  • 第1章 一番手の法則:一番手になることは、ベターであることに優る
     マーケティングの基本的な課題はあなたの商品やサービスが他に優っていることを顧客に納得させることだ、と信じている人が多い。
     その考えは間違っている。もしあなたの商品のマーケットシェアが小さく、もっとシェアの大きい、予算も豊富な競合商品相手に戦いを挑まなければならないのだとしたら、たぶんあなたのマーケティング戦略はスタートから間違うことになる。あなたはマーケティングの第一の法則を犯したからだ。
     マーケティングの基本的な課題は、あなたが先頭を切れる分野を創造することである。
     これが「一番手の法則」である。他に優っていることよりも、先頭を切ることのほうが大切なのだ。最初に顧客の心に入り込むことのほうが、最初に入り込んだ商品より自分の商品の方がベターであると人に納得させることよりもはるかに容易なのである。

    第2章 カテゴリーの法則:あるカテゴリーで一番手になれない場合には、一番手になれる新しいカテゴリーを作れ
     たとえ顧客の心に最初に入り込めなかったとしても、希望を捨ててはいけない。一番手になれる新しいカテゴリーを見つければいいのだ。それは考えるほど難しいことではない。

    第3章 心の法則:市場に最初に参入するより、顧客の心の中に最初に入るほうがベターである
     第1章の一番手の法則にはどこか誤りがあるのだろうか。そんなことはない。ただ、「心の法則」がこれに修正を加えるのだ。市場に最初に参入するよりも顧客の心の中に最初に入り込むほうがベターなのである。一番手の法則においては、心の中に最初に入り込むことはあまり強調されないが、実はこれこそマーケティングのすべてである。市場に最初に参入することは、そうすることで、心の中に真っ先に入り込めるという限りにおいて重要であるに過ぎない。

     あなたが他人に強い印象を与えたい場合には、その人の心の中に徐々に入り込み、ゆっくりと時間をかけて好意を醸成しようとしたのではだめだ。心というのはそんなふうには動かない。心の中には一気に入り込まなければならない。
     徐々にではなく一気に勝負すべき理由は、人々は自己の心を変えたがらないという点にある。いったんあなたが人々にこうだと認識されたら、一巻の終わりである。あなたはこれこれのタイプの人間であると、彼らの心にファイルされてしまうのだ。もはや別のタイプの人間にはなれないのである。

    第4章 知覚の法則:マーケティングとは商品の戦いではなく、知覚の戦いである
     多くの人がマーケティングとは商品の戦いであると考えている。長い目で見れば結局、最良の商品が勝利するのだと。
     マーケティングの担当者はもっぱらリサーチをし、「事実を把握すること」に没頭している。彼らは真理がわがほうにあることを確認するために状況を分析する。そして自分たちの商品こそベストであり、ベストの商品が最後には勝つとの満々たる自信を抱いて、市場での戦いに臨む。
     こうした考えは幻想である。客観的な現実というものは存在しないし、事実というものも存在しない。ベストの商品などありっこないのだ。マーケティングの世界に存在するのは、ただ、顧客や見込客の心の中にある知覚だけである。知覚こそ現実であり、その他のものはすべて幻である。
     あらゆる事実は相対的なものである。それは、あなたのマインドと、だれか別の人のマインドによって異なる。「私は正しく、隣の人は間違っている」とあなたが言う時、実は何を言っているかといえば、隣の人よりも自分のほうが認識力が優れているということなのだ。

    第5章 集中の法則:マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、見込客の心の中にただ一つの言葉を植えつけることである。
     会社が見込客の心の中に一つの言葉を植えつける方法をみつけることができれば、信じがたいほどの成功を収めることが可能である。複雑な言葉である必要はない。独自な言葉である必要もない。辞書からすぐに引っ張りだせるような、簡単な言葉がべストである。
     これが「集中の法則」である。ただ一個の言葉、ないしはコンセプトに焦点をしぼり込むことによって、心の中にそれを『焼き付ける』のである。これこそ究極のマーケティングにおける供え物だ。

    第6章 独占の法則:二つの会社が顧客の心の中に同じ言葉を植えつけることはできない
     自分の競合会社が顧客の心の中にある言葉を植えつけていたり、あるポジションを占めている場合に、その言葉を植え付けようと試みるのは無駄である。

     リサーチャーというものは、あるアイデアをどこか他の会社がすでに占有している場合でも、その事実を決して告げはしない。それどころか、大々的なマーケティングキャンペーンを実施するようクライアントを促すのである。その論拠は、十分に金を投入すれば、そのアイデアを自分のものにできるというのである。ところが、これまた間違った考えなのだ。

    第7章 梯子の法則:採用すべき戦略は、あなたが梯子のどの段にいるかによって決まる
     顧客の心を真っ先につかむことをマーケティングの第一目的とすべきなのはその通りであるが、仮にその努力が失敗に終わっても、それで戦に敗れたというわけではない。二番手、三番手のブランド用に使える戦略がいくつかあるのだ。
     すべての商品が同じに作られているわけではない。顧客の心の中には、購買決定をするにあたって用いる序列尺度が存在する。
     商品のカテゴリー毎に、顧客の心の中に商品の梯子が存在するのである。各々の梯子段の上にブランド名が乗っかっている。レンタカー業界の場合を見てみよう。真っ先に顧客の心の中に飛び込み、梯子の最上段を占めたのはハーツであった。エイビスが二番目に、続いてナショナルが三番目に飛び込んできた。
     あなたのマーケティング戦略は、いったいあなたが顧客の心の中に入っていったのは何番目だったのか、そしてその結果、梯子のどの段を占めているのかによって決まる。もちろん高ければ高いほどいい。

     これっぽっちも喜びを伴わず、生涯で一度だけ購入する究極の商品の場合、その梯子には段が一つもない。ベイツビル製棺桶の名を聞いたことがおありだろうか。おそらくないだろう。ところがこのブランドは市場の約50パーセントを占めているのである。

    第8章 二極分化の法則:長期的に見れば、あらゆる市場は二頭の馬の競走になる
     マーケティングを長期的視点でとらえれば、競争は二大主役(一般的には、古くから信頼されているブランドと新進ブランド)の間の全面戦争に収斂されていくのが普通である。

     マーケティングは長期的には二頭の馬のレースになるものだということを知っていれば、あなたが短期の戦略を練る際に役立つことだろう。

    第9章 対立の法則:ナンバーツーの座を狙っているときの戦略は、ナンバーワンの在り方によって決まる
     強さの中には弱さが同居している。いかにナンバーワンが強力であろうとも、ナンバーツーを目指すものにとっては形勢逆転のチャンスがあるものだ。
     ちょうどレスラーが相手の力を利用するように、企業もまた、ナンバーワン企業の強みを弱点へと転じるべきである。
     あなたが梯子の上から二段目にしっかりした足場を築きたいのであれば、まずあなたの上段にいる会社を研究しなさい。その会社の強みはどこか。どうすればその強みを弱みに転じることができるか。
     あなたがしなければならないことは、ナンバーワンのエッセンスを見つけ出し、顧客にそれと反対のものを提供することである(言い替えれば、相手の上を行こうとしないで、相手との差別化を図るのである)。これが、しばしば見られる伝統企業対新興企業の図式である。

    第10章 分割の法則:時の経過とともに、一つのカテゴリーは分割し、二つ以上のカテゴリーに分かれていく
     一つのカテゴリーは単体としてスタートする。例えばコンピュータがそうだ。しかし、時が経つにつれて、このカテゴリーはいくつかに分割されていく。

    第11章 遠近関係の法則:マーケティングの効果は、長い時間を経てから現れる
     長期的なマーケティング効果は、短期的な効果の正反対である場合が多いのである。

    第12章 製品ライン拡張の法則:ブランドの権威を拡げたいという抗しがたい圧力が存在する
     私たちの提示する法則を破ることが刑罰を伴う犯罪であるとしたら、アメリカの企業の大部分は刑務所入りするはめになるだろう。
     本書の法則のうちで、断トツに破られている法則といえば、何と言っても「製品ライン拡張の法則」である。さらに悪いことに、ラインの拡張は企業サイドが意識的な努力をほとんどしないでも、連続して起こるプロセスなのである。それは、あなたがたいした努力もしないのに、中味がふくらんでいくタンスや机の引出しのようなものである。
     ある日、ある会社が、たいそう旨みのある単一の商品に脇目もふらず没頭しているかと思えば、翌日には、その同じ会社が多くの商品ラインを抱え、延び切った戦線の下で損失を被っている。

    第13章 犠牲の法則:何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならない
     「犠牲の法則」は「製品ライン拡張の法則」の反対である。あなたがもし、今日成功することを望むのであれば、あなたは何かを放棄しなければならない。犠牲にできるものとしては、三つのものが考えられる。すなわち、製品ライン、ターゲット市場、絶えざる変更の三つである。

     マーケティングとは、ある種の心理戦争である。すなわち、知覚をめぐる戦いであって、商品やサービスをめぐる戦いではないのだ。

    第14章 属性の法則:あらゆる属性には、それとは正反対の、優れた属性があるものだ。
     第6章(独占の法則)において私たちは、あなたの競合会社が顧客の心の中に植えつけている言葉やポジショニングと同じものを、あなたが植えつけることはできないと指摘した。あなたは独自の言葉を見つけ出して顧客に植えつけなければならない。何か別の属性を探し出さなくてはならないのである。
     一般に会社は、あまりにもナンバーワン企業をまねしすぎるきらいがある。「あの連中は何が有効か知っているに違いない。だから、それと同じことをしてみよう」と考える。だが、これはいい考え方ではない。
     ナンバーワンと張り合えるような正反対の属性を探してみるほうが、はるかに利口やり方だ。ここでのキーワードは「正反対の」である。「同じような」ではだめだ。

    第15章 正直の法則:あなたが自分のネガティブな面を認めたら、顧客はあなたにポジティブな評価を与えてくれるだろう
     問題点を認めることは、企業や人間の本性に相反する行為である。長年にわたり私たちは、ポジティブ思考の持つ力ということを頭の中に叩き込まれてきた。「ポジティブ思考」は、無数の書物や記事のテーマだったのである。
     だから、顧客の心の中に入り込む一番効果的な方法はまずネガティブ面を認めて、それをポジティブ要素に変えることだと聞けば、あなたは驚くかもしれない。
    「エイビスはレンタカー業界で、ナンバーツーに過ぎません」
    「スマッカーといった名前では、せめて品質をよくせざるをえないのです」
    「一九七○年型フォルクスワーゲンは、いつまでも醜いスタイルのままでいます」
    「ジョイ。世界一高価な香水」
     いったい、どうしたことだろう?なぜ正直の一服が、マーケティングのプロセスでこんなにも効果を発揮するのだろうか。
     まず何よりも正直は、相手の心を開かせる。あなたが自分について語るネガティブな言葉は、即座に本当のこととして受け入れられるのである。これに対して、ポジテイブな発言は、せいぜい疑って見られるのが落ちだ。とりわけ広告においてはそうである。

    第16章 一撃の法則:各々の状況においては、ただ一つの動きが重大な結果を生むのである
     歴史の教訓によれば、マーケティングにおいて実効を上げうる唯一の行動は、一回きりの、大胆な一撃である。さらに、いかなる状況においても、実質的な成果を上げうる作戦行動は一つしかありえない。

    第17章 予測不能の法則:自分で競合相手のプランを作成したのでない限り、あなたが将来を予測することはできない
     たいていのマーケティングプランにそれとなく含まれているのが、未来についての仮説である。けれども、未来予測に基づいて立てられたマーケティングプランは、たいがい失格である。

    第18章 成功の法則:成功はしばしば傲慢につながり、傲慢は失敗につながる
     エゴ、つまりうぬぼれはマーケティングを成功させるうえでの敵である。

    第19章 失敗の法則:失敗は予期することもできるし、また受け入れることもできる
     大成功を遂げたウォールマートには、会社として失敗に対処することを可能とする、また別の手法がある。それは、サム・ウォルトンの「構え、撃て、狙え」の手法と呼ばれるものだ。そもそもは、彼の修繕癖が生んだ手法である。
     ウォルトンは、だれしも射撃の度ごとに、毎回標的に命中させられるものではないということを、よく承知していた。だからウォールマートでは、だれかが新しい企画に失敗しても、罰せられることはない。ウォールマートの社長はビジネス・ウィーク誌上で次のように述べている。「もし何かを学び、その何かを試みれば、その人は何かを得るはずだ。許せないのは、同じ過ちを二度犯す人間である。」
     ウォールマートが多くの大会社と違っているのは、同社がいまのところ、あらゆる会社に侵入するおそれのある「私的配慮」という悪質な病原菌に冒された様子がないことだ。マーケティング上の決定は、第一に、意志決定権者のキャリア、第二に、競争状況ないし敵に与えるインパクトを念頭に置いて下される場合が多い。私的な配慮と公的な会社の事情の間には、抜きがたい攻めぎ合いがあるのである。

    第20章 パブリシティの法則:実態は、マスコミに現われる姿とは逆である場合が多い
     万事が順調であるとき、会社はパブリシティを必要としない。パブリシティを必要とするのは、たいてい困った時である。

    第21章 成長促進の法則:成功するマーケティング計画は、一時的流行現象(ファッド)の上に築かれるのではない。トレンドの上に築かれるのだ
     ファッドは大洋の中の波浪であり、トレンドは潮流である。ファッドはしばしばパブリシティの対象となるが、トレンドはほとんどならない。
     波浪と同じようにファッドも視覚に捉えることは容易だが、大急ぎで激しい上下運動を繰り返している。トレンドは潮流と同じく目にはほとんど見えないが、長期的には極めて強力な力を発揮する。
     ファッドは短期的現象であり、それなりに利益をもたらしてはくれる。しかし、会社に大きく貢献するほど長続きはしない。また悪いことに、会社はファッドをトレンドと取り間違えて、ギアを高速に入れる場合が多い。この結果、会社は過剰なスタッフと多額な生産設備、それに流通ネットワークを抱えて立ち往生することが少なくない。
     一方、ファッションとは、繰り返し現われるファッドである。例えば、女性のミニスカート、男性のダブルのスーツがこれに当たる。ハレー彗星は、七五年毎に現われるという点で、ファッションである。
     ファッドが消滅したとき、会社はしばしば財務的に大打撃を受ける。

    第22章 財源の法則:しかるべき資金がなければ、せっかくのアイデアも宝の持ち腐れとなる
     もしあなたに良いアイデアがあり、あと必要なのはちょっとしたマーケティング上の助言だけだと考えて本書を選んだのだとしたら、この章は、そんな考えに冷水をかけることになるだろう。

     たとえ世界最高のアイデアであっても、それを実現するための資金がなければ、あまりモノにはならないのである。投資家も、起業家も、さまざまなアイデアの発明家も、自分たちの優れたアイデアに必要なのは、専門的なマーケティング上の支援だけだと考えているように見受けられる。
     これほど的外れな考え方はない。マーケティングとは、顧客の心の中で争われるゲームである。顧客の心の中に入っていくには、資金が要る。そしていったん入り込んでも、そこに留まるにはまた資金が必要なのである。

  • マーケティングの22の法則 | 箇条書きで内容をまとめてみた|白田|雑記note @srtmsr https://note.com/srtmsr/n/nae321879acb5 #note

  • マーケティングの法則が事例とともに紹介されている。自社や自社サービスがハシゴの何番目にいるかをメタ認知することが重要で、また、ハシゴの何番目かによって戦略が変わるという話が特に勉強になった

  • マーケティングの基本書
    知覚の戦いであることがよくわかる

  • これを読んでから「ブランディング22の法則」を読むことがおすすめ
    何度でも読みたい

  • マーケティングの基本的な法則を詰め込んだ本

    売れるためにはいかに顧客の心に入りこむかが大事、ベターでなく一番手の法則、カテゴリーの法則など
    採用する戦略はどの梯子にいるかで決まる梯子のポジション
    競合に対して自社の特徴を出す対立の法則
    短期の成功に固執するのではなく長期的に見る遠近関係の法則

    戦いにおける第一の原動力は力の原則で大きければ大きいほど有利だが、顧客のここの中で展開されるマーケティング戦争にぴたりと照準を合わせ続けることができなければ有利な立場を失う

  • マーケティングの法則が具体的な例とともにわかりやすく説明されていて、改めてマーケティングが失敗するのはこれらの法則に従わないとき、というのが整理された。古い本ではあるけれど今読んでも納得できる。

  • 1番になることが重要
    あまり理解できなかった

  • #感想
    「マーケティングには法則がある」という立場のもと、22の法則に関して述べている。

    内容自体は、「ブランディング22の法則」「コトラーのマーケティングコンセプト」などと被ることが多く、新鮮さはなかったものの、体系的にマーケティングの基本について整理している点は良かったと思う。

    #メモ
    「マーケティングとは商品の戦いではなく、知覚の戦いである(知覚の法則)」
    「マーケティングの効果は、長い時間を経てから現れる(遠近関係の法則)」
    「成功するマーケティング計画は、一時的流行現象(ファッド)の上に築かれるのではない。トレンドの上に築かれるのだ(成長促進の法則)」

  • マーケティングとは知覚をめぐる戦いである、だそうです。

    藤平オススメの本ということで読みました。

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