- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903908250
感想・レビュー・書評
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これはいい本。反日デモ等を行う隣国・中国に対して条件反射で反感を抱くのではなく、なぜ相手がそうするのか考えてみましょう、という本。大学の講義を文章に起こしたものであり、素人相手に話すことを前提としているため、難しいところはほぼなく、読みやすかった。
新聞等で反日教育等の記事を読んで「なんで今更そんなことを」をムカッときていたけれど、この本を読んで印象が変わった。本当に反日思想のためにデモを行っているのではなく、現政治体制に対する不満を反日というオブラートに包んで表明しているらしい。
中華思想も非常にしっくりきた。アメリカはこうだ、フィンランドはこうだ、だから日本は駄目だと言われるけれど、それぞれのお国事情があるのだから、日本は昔ながらの立ち位置でやればいいじゃないかという。
他にシリーズがあるようなので、是非読みたい。今回は私もど素人だったけど、教育学科で学んだものとして、教育論はどう映るだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
阿Q正伝
王化政策
日中の世界像の〈ずれ〉を中心的な論件にした中国論 -
分厚かったけど、スラスラっと読みました。
中国に流れている、中国的心理というか中国的考え方がわかりやすかった。
異文化コミュニケーションってこうゆう心理を理解するところから始まるんだなー。反日教育、田中角栄の日中外交、尖閣諸島問題、なんとなくつながった気がします。
結局こうゆう根っこの深層心理を理解しないと、物事は前に進まないね。 -
何かと日本とトラブルの多い中国。その病理について内田先生の言説を求めるつもりで読む。
反日デモが起こったりするが、中国政府はコントロール出来ているフリをしているだけ、という。かなり制御の難しい国家になっている。病理を暴くというより、相手の身に置き換えて考えてみよという態度。急いで結論を出すデメリットもある。そう言われれば、コッチも中国嫌いだと騒ぐこともないか。
小室直樹さんの本だったかな、朝鮮は自分の力で独立を勝ち取っていないので、そのコンプレックスが反日心理の奥にあるとあった。
でも日本の現在の姿は、昨日まで鬼畜といっていたマッカーサーに開放して貰ったお蔭だから、国家の基礎に危うさがある。憲法を改正したら解決するようなことじゃない。今の日本はアメリカの属国。それに疑問を感じていない自分がいる。
王道思想と国境を争う国家感がまったく違うものというのは判るが、王道思想の中心は皇帝の徳が周囲を感化することにあるはずだから、現在の中国にそれを求めるのは難しいのでは。そう思うと、アジアの共同圏に疑問符がつくのだけれど、どうでしょう。
物凄く納得したこともあり、考え込んでしまう言説もたっぷり。僕自身、まだまだ近代を引きずった考えしかしていないことを思い知らされた。
読み応えは十分過ぎるほど。何年か経ったら、読み返してみようかな。そして、急がずゆっくり中国のこと、日本のことを考えよう。 -
最近の中国を見て、根底にある文化と社会の飛び去るような発展のギャップが理解できない感じがしているのですが、この本はそれを解き明かしてくれたように思います。私のように文系で育っている人間にはとてもわかりやすいです。
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内田樹の大学での授業(ゼミ?)の内容を一冊にまとめたミシマ社の出世作でもあるとことの書籍を初購入。とてもよくできた本。増補版は最近のブログ内容も入っていて、それがよいのかどうかはよくわからない。こういう本を読むと、知性のレバレッジのかけかたとしての大学は正しいなと思う。教える側にとっても教えられる側にとっても。想像だけれど、ゴルゴ13におけるサイトウタカオプロダクションもこのような知性の働き方をしているのでは?
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自分が不勉強なせいもあるんですが、
中国の人たちの持つメンタリティがいまいちわかんなくて。
それぞれの出来事の専門的なあれこれは
よくわかんないだろうと思ったので、この本はちょうどよかった。
中国の根本にどういう考え方があるのか。
それを丁寧に読ませてくれた感じがする。
華夷思想って面白いねぇ。
そりゃ私たちに中国が理解できないはずだし、
中国に私たちが理解できないはずだなぁ。
だって立ち位置が違って、
お互いその立ち位置から動かずにものを言うんだものね。
華夷思想のいうもののもつ曖昧さって、
結構日本の持つ曖昧さと相性がいい気もするんだけどな。
だって国境はっきりさせようぜ!とか、
私たちの方が優位なのよ!とか言わなきゃ、
ある程度放っておいてくれるんでしょう。
日本が常にどこかの国の下位となる位置にいるって話も面白かった。
でもそこで好き勝手やってなかなか快適にやってます、
っていう状態はなかなかいいよね。だって快適なんだもの。
とか、そういう風なことを思いました。
全部はっきりきっちりさせるのって大変よね。
いろいろ考えられて面白かったです。 -
中華思想、中国近代史、チャイナリスクについて、勉強になりました。