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- / ISBN・EAN: 4933364611390
感想・レビュー・書評
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王妃というより1人の孤独な女性としてのマリー・アントワネットを、パステルカラーをふんだんに用いた映像美で表した作品。
14歳でオーストリア王室からフランス王室に嫁ぎ、元は敵国同士だったためにフランス宮廷人からは「オーストリア女」だの「スパイ」だの陰口を叩かれる。しかも、夫のルイ16世とは夫のせいで性生活がないために子供ができないのに、「不妊症」だの「失格」だの全部彼女のせいにされて見下される。心の拠り所である筈のオーストリアからの母の手紙ですら、「このままではあなたの地位は不安定」、「安心できない」、「早く(王子を産め)」を繰り返してくる。
マリーは、その息苦しさから束の間だけでも逃れようとでもするように、靴やドレスをはじめファッションに莫大な金をつぎ込み、パリの舞踊会での夜遊びに繰り出す…。
そんな彼女にも、ようやく子供ができるけど…。
現代女性の視点から見たら、マリーの窮屈な立場にモヤモヤすることが多くて、泣いたりイラついたり、それを忘れるために買い物や遊びに熱中する彼女の姿に、苦言を呈するどころか、「わかる!じゃなきゃやってられないよね〜!」と隣で肩を叩きながら乾杯してシャンパンを飲み干したくなってしまう。
そんな女心を助長するかのように、彼女がお金をつぎ込んだ色とりどりの靴やスイーツ等がポップな音楽をバックに次々に映し出されていくシーンなんかでは、ウキウキしてしまう。
この映画のターゲットは、そういう女性層だと思います。
そして意外と、彼女の母としての姿は愛情があって素敵。
物語は、フランス革命の始まりで終わります。この辺は、まったく伏線がなかったわけでもないですが、少し唐突というか、つなぎ目が悪いです。
彼女の最後はあまりに有名だし、監督が描きたいことでもないから、ばっさりカット、ということかもしれません。
まあ、ヴェルサイユのかごの鳥だったマリーにとっては、革命が起きるほどだった当時の激しい世界情勢って、それぐらいに無縁と思っていたのかもしれない、と思うと納得できるラストではあります。
彼女の最後の虚しげな表情は印象的で、それまでの彼女を見ていると、なんだかつられて悲しくなってしまいます。
歴史映画ではなく、女子映画と思って見るのがいい映画です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マリー・アントワネットは大好きだから、公開時にも見に行きました。
女子が好きな要素がたっぷり。
パステルカラーも良いし、美味しそうなスイーツも満載。
個人的にはプチ・トリアノンでの生活の衣装がすっごく良い。
当時パリの民衆からはその衣装は嫌われたみたいだけど。
とにかく華やかさを重視で、フランス革命に至る重たい要素はなかった。
この映画としてはそれで良かったと思う。
今の時代まで語り繋がれているマリー・アントワネットってやっぱり偉大だと思う。 -
マリー・アントワネットの心の内が豪華な衣装の中から匂い、なかなかよかったのではないか? オーストリア・フランス国境での儀式。オーストリアからは一切身に着けていたものを持ち込むことは許されず、着衣をすべて脱ぎ去りフランスの服に着替え、オーストリア皇女からフランス王太子妃として国境を超える、この場面、たった一人で敵地に行くのだな、という雰囲気がよく伝わってくる。実際は14歳だがちょっと女優さんが年取ってるな、と思ったが、最後の革命の場面のためにこの映画はある、という感じがして、覚悟のできた王妃に変わっていた。
豪華絢爛な衣装に目を見張る。大きなスクリーンでみたらさぞよかっただろうなあ。2年前に「マリーアントワネット展」で再現されていた王妃の居間がほとんどそっくりな形で出てきたのには驚いた。当たり前か。アメリカ独立戦争への財政支援などもさりげなく出てきて、ポイントは抑えてあった。
キルスティン・ダンスト
監督:ソフィア・コッポラ
2006アメリカ・フランス
2018.11.10BSプレミアム -
ドラマチックではなく、とにかく退屈だけど、衣装とお菓子がかわいいのなんの。カワイイを集めた写真集のようなものだと思えばよし。キルスティン・ダンストの笑顔がキュート。
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ソフィア・コッポラ印のgirly&Rockな作品。
等身大のふつうの女子が、身の回りのことと素直な感情で向き合う。
ただ、そのふつうの女子は王妃でした。
80年代のロックが、MTV的な、享楽の雰囲気に合っている。
まるで、現代人(バブルくらいの人々)がカツラをかぶって、仮装で集まり、わいわいやっているように見えてくる。
フランスの話なのに英語。
この映画の本質として、英語がかなり似合っている。
例えばヴィスコンティの映画で英語版があるが、あれには、違和感を感じてしまう。
イタリア人が撮ったイタリアの話なのに、世界に向けて英語??という気持ち悪さ。
だが、この映画はフランスの話なのに、英語でよい気がする。
ある意味フランスのスノッブさを批判しているような、外部目線の切り取り方として納得感がある。
その他、良いところ
・映像が美しい。
→ どのショットも、かわいく絵になる。
・ロックの選曲
→ オープニングのギャングオブフォー
かなりかっこいい。
・ラストの静止画(写真)の締めが、かっこいい。 -
マリーアントワネットの嫁入りからヴェルサイユを追われるまで(処刑は割愛されている)を瑞々しく描いた作品。お輿入れの時、侍女、服、愛犬までも引き離され身体1つで外国に放り出される不安。宮廷では「オーストリア女」と密かに蔑まれ、自らも娼婦上がりの王の妾をシカトする側に回る。世継ぎを産んで立場を安定させることを期待されるも、肝心の皇太子は錠前オタク、狩好きで不能。プレッシャーの憂さを晴らすようにお菓子や衣装、賭け、舞踏会などの享楽に溺れる。
仮面舞踏会や誕生会などマリーの心が動いた場面では現代の音楽が、形式張った場面ではチェンバロの古典音楽が流れる。パステルカラーの衣装やお菓子は安っぽくなく、素敵。
あえて田舎風に作ったプチトリアノンは、銀座で養蜂とかも同じセンスかな。第一次産業の本当のしんどさを知らず、表層の楽しい所だけをおいしいとこ取り。
オペラで拍手しても誰も追随しなくなったシーンは悲しい。ヴェルサイユの大きさとマリーのちっぽけさの対比が随所で見られる。おバカな女と思う人もいるかもしれないが、どんなに外の様子を知らされても、ヴェルサイユに住んでたらパリの吹き溜まりのようなエネルギーは伝わらないから危機感持ちにくいよね。
情熱はなくとも、最後には夫と同志のような関係になれたのは救いかな。
観てる途中食欲を刺激されてクッキーとチーズを食べてしまいました。 -
「恋をした、朝まで遊んだ、全世界に見つめられながら」
王妃、マリーアントワネットの生涯。ではなく、
女の子、アントワネットの日常。を可愛く切りとった作品
1カットずつ額縁に飾りたくなるほど素敵です。
不思議なのが、コッポラ作品の
キルスティンダンストは魅力的に見えるんだよね。
特に、草原を歩いてる時とか…
音楽も良い。
The StrokesのWhat Ever Happened
Bow Wow WowのAphrodisiacだったり。
I Want Candyが流れたときに登場したマノロの靴と、
一瞬写ったスニーカーの演出も、さすがコッポラさん。
女の子にはたまらない映画だと思う。きっと -
突き抜けてやがるぜ。これはこれでありだと思った。現代のアメリカ娘がいきなりフランス王妃になりました、みたいな。アメリカ人が史実だけなぞって、ヨーロッパの歴史の重みを取っ払っちゃいました、っていうよくある感じの映画。ポップでキュートで大味で下品。ヨーロッパ人には作れないだろう。
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キルスティン・ダンストがブス可愛い。
食べ物が美味しそう。
ルイ16世がかわいい。
悲劇なのかそうでないのか、不思議な読後感。