キッズ・リターン [DVD]

監督 : 北野武 
出演 : 金子賢  安藤政信  森本レオ  丘みつ子  北京ゲンジ 
  • バンダイビジュアル
4.02
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569630872

感想・レビュー・書評

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  • 落ちこぼれの高校生マサル(金子賢)とシンジ(安藤政信)は、高校が受験ムードになっても悪戯やカツアゲなどをして勝手気ままに過ごしていた。
    ある日、カツアゲの仕返しに連れて来られたボクサーに一発で悶絶したマサルは、自分もボクシングを始め舎弟のシンジを誘うが、皮肉にもボクサーとしての才能があったのはシンジであった。
    ボクシングの才能がないと悟ったマサルはボクシングをやめ、以前にラーメン屋で出会ったヤクザの組長(石橋凌)のもとで極道の世界に入り、二人は別々の道を歩むことになる。
    高校を卒業しプロボクサーとなったシンジは快進撃を続け、マサルは極道の世界で成り上がっていった。
    しかし、ジムの先輩ボクサー・ハヤシ(モロ師岡)からボクシング界の悪しき慣習を吹き込まれたシンジは、安易な道を選択するようになり、大事な試合で惨敗。
    一方、敵対する組から組長を狙撃され、親分に反抗して粋がるマサルもヤクザの制裁を受ける。
    若さが裏目に出て苦い挫折をした二人は、通っていた高校の校庭でかつてのように自転車の二人乗りをしていた。シンジは冗談混じりに本気の質問をマサルに問いかけた。
    「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」「バカ野郎、まだ始まっちゃいねぇよ」
    北野武、バイク事故後の監督復帰作。
    たとえ親友同士でも才能の優劣があって人生の道筋が別れてしまったり、才能の限界や悪い先輩の甘い言葉で足を引っ張られ挫折したり、真面目に働いても不幸にあったりほろ苦い青春模様がリアル。
    挫折した主人公ふたりに対する目線に武の優しさが感じられる傑作青春映画。安藤政信の抑えた演技が、印象的。

  • 素晴らしい青春映画。漫才、ボクシング、ヤクザ、女など、対象は違えどなにかに賭ける若者たちの志と失敗を鮮やかに描く。
    乾いた演出、編集、久石譲の手による音楽、すべてがはかなさと切なさにあふれている。
    たけしは出でおらず、ヤクザの世界もサブ的な装置。その重しがないことが、それぞれの青春群像を印象づかせることに成功している。唯一ステップアップをしているのが無垢に己の道を信じた漫才師というのも、たけし事故直後の第一作ということを考えるとまた感慨もあるというもの。あらすじにするとなんでもないが、見ると奥深い。
    また、ジムの会長、ヤクザの親分、どれもが清濁併せ持った「普通の人」であるのがいい。分かりやすい人間は教師位のものだ。
    各役者陣。金子賢は演技イマイチ、安藤政信は寡黙な役に合っていた。ボクシングジムの会長(山谷初男)・コーチ陣はみんな達者だった。喫茶店のお母さんも人情味があっていい。石橋凌の貫禄はさすが。
    なお、冒頭とラストの自転車シーンの構図に込められた意味を解説しているサイトがあり、参考になった。言葉は嘘をつくが、行動は嘘をつかない。それが人であり、映画なのだ。

  • この映画の授業をサボって屋上にいるシーンは忌野清志郎のトランジスタ・ラジオをイメージして撮影したと、たけしの誰でもピカソという番組で言ってた。なんかたけしのそういう感じが好きだ。

  • 中華料理屋の息子…

  • 見て損はない

  • 初めて観た十代終わり頃だったか、衝撃を受けた。
    衝撃の感覚は例のラストの台詞に象徴的だけど、それよりもそこから流れ出すメインテーマが何よりも刺激的だった。すごく好みの楽曲で、すぐに自分でも似たような曲をつくったりした。とても影響を受けた。曲にのみ。ボクシング始めようなどとは考えもしなかった。
    登場人物も話もおもしろく印象的なシーンもいっぱいあるけど、この映画と言えば映画それ自体よりもこの曲、という印象。

  • サイドストーリーが絶妙。
    成功も挫折も事故も失敗も人生はいろいろ。
    何度でも始められる。
    映像の対比や構成が巧い。

  • 勢いだけ、素直なだけ、真面目なだけ、では上手くいかない
    いきがっていられた学生時代から、大人社会に入って、重たい暗いものにぶちあたる若者たちの青春

    ロードワークの陸橋で、まっすぐ走るか、寄り道して走るかの違い
    イントロとエンディングが繋がってリターン(人生やり直し)する
    など、なるほどと思う構成や構図を見つけるのが面白かった

    ボクシングのキレキレパンチ一発で、いきがってたヤツが倒されて
    強い者と弱い者の、上下関係がすぐに入れ替わってしまうのが面白かった
    パンチ一発がキレイに決まる。そのシンプルな切れ味の気持ち良さは、これぞ北野映画だなーと思う

  • 1996年日本
    金子賢、丘みつ子、森本レオ


    ほろ苦い青春のお話、、、北野武監督作品です。
    若さ故に失敗する2人、、、ボクサーにやくざのお話♪ 若さゆえの失敗って誰にでもありますよね。
    武監督、、自身のことをやんわりと描いているのでしょうか。

  • 十数年振りに見返した。
    宮藤官九郎がちょい役で出演していたなんて!
    それはさておき、この挫折と再生の物語は、シンプルであるだけに、力を持っている。人間のどうしようもなさを肯定しつつ、きっと二人の主人公は同じようなことを繰り返していくんだろうけれども、その休息のような束の間の時間に、この世界に存在していることそのものの美しさが、幸福が、あらわになる。

  • 北野武監督の青春映画。
    高校生の落ちこぼれ2人が、ボクシングとヤクザの別々の道を進み、その過程を描いた作品。
    たけし映画にしては、あまり厚みを感じない内容だった。

  • うひゃあ、何年ぶりに観たかねえ?久々に観返しましたよ。やっぱ、こう、素晴らしいな。なんでこんなに、好きなんかねえ?多分、残りの人生で、あと100回は観たいな。それくらい、好きですね。

    プロローグ、「あれ?こんな物語の始まり方だっけ?」って、ちょっと最初、ビックリしたけど。いきなり、エンディング部分から始まるんですね。覚えてなかったんだなあ、結構。


    マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?

    ばかやろう、まだ始まっちゃいねーよ!


    という、言わずもがなの名言中の名言で、とにかく有名ですよね。
    北野武監督の映画では、最初に観るのには、一番向いている?気がします。
    個人的には「あの夏、いちばん静かな海。」が最も好きなのですが、これもホンマに大好きですね。素晴らしいよなあ。

    この話は、嘘か本当かはしらないのですが、あのあまりにも有名な名言を二人が語る、校庭の自転車のラストシーンのとらえ方、日本とフランスでは真逆の価値観になるそうです。

    日本人は、多くの人が、あのラストに
    「いくつになってもやり直しはできるんだ。どん底を経験しても、俺たちは復活することができるんだ。決して、諦めてはいけない」
    という、未来への希望を見出すのに対し、

    フランス人は、多くの人が、あのラストに
    「もう完全に人生ドロップアウトした二人が、何言ってるんでしょうね。希望なんか、もう、無いでしょ。これまででもで、散々、チャンスはあったのに、君たち二人は駄目な方にダメな方に行っちゃったでしょ?始まってもいない?んなわきゃない。哀れですねえ」
    という、諦められない人々への悲哀と絶望を見出すのですって。

    本当なのかしら?どうなのかしら?あくまで、噂として聞いた話だけなので、なんとも分からないのですが。でも、北野監督は、どちらの意味を込めたんだろうなあ?両方なんだろうなあ、って気はします。で、自分は、どちらかといいますと、、、やっぱ、前者の見方ですかね。どうしても、希望を、感じちゃいますよね。

    で、今回、十数年ぶりに観返したのですが、個人的にグッとくる役どころは、モロ師岡演じる、ボクサーのハヤシ、でしたねえ。人間という存在の、弱さ、狡さ、汚さを、完璧に表現しているなあ、と思って、切なくなり過ぎました。

    モロ師岡、素晴らしい演技でした。ある意味、あのハヤシこそが、人間という存在の最も邪悪な部分を擬人化した役どころではなかろうか?でも、だからこそ、本当にこう、好きなんですよね。身につまされるんですよね。

    めっちゃ印象的なシーンが、あるんですよ。
    いつも行く居酒屋のお気に入りの席に、弱そうな若者が座っていた時は「おいてめえ、どけよ。俺、この場所が好きなんだよ!」って凄んで、自分が働いている工場?の、先輩のおじさんが座っていた時は、卑屈に別の席に座る、というあの立ち回り。

    ハヤシ、という人間そのものを、全て表しているなあ、アレで、と思いましたね。北野監督、素晴らしい。

    あと、エンディングロールの、
    安藤政信(新人)
    っていう注釈。何故か、ツボです。その(新人)、いるんかい?っていうね。ツボだなあ~。安藤政信を見出したタケシ監督の眼力、畏るべし。金子賢も、本当にハマり役だったよなあ。
    あと、ボクシングジムの会長役の山谷初男も、好きですね。怒り方とか、本当にこう、なんか好きなんだなあ~あの存在感。

    あ、クドカンこと、宮藤官九郎も、凄いチョイ役で出演してます。今となっては有名なネタですよね。

    主人公のマサルとシンジの家族、一切、出てこないんですよね。そこら辺の、映画に必要なものと不必要なものを潔いまでにバッサリと決める話の作り方も、好きだなあ。久石譲さんの、あの有名すぎるテーマ曲も、素晴らしいよなあ。

    あかん、いつまでたっても書き終わらないくらい、とにかく大好きだ。本当に、良い映画ですね、コレ。

  • 安藤政信さんが大好きで手にとった
    心にどんよりした黒いものが残った
    気づかないようにしていた気持ちを
    えぐり出されたような…
    それでも爽快感が残るのが、この作品の魅力

  • 安藤政信が幼い!寺島進が若い!やべきょうすけが高校生!と本筋に関係ないことばかり目についてしまうけど、
    いいなぁ青春。しょうもないことしてみたり当たって砕けたり悟ったふりをしてみたり。

  • レンタル>やっぱり1度観た事あったかも?久石譲さんの音楽が印象的で聞き覚えあり。いわゆるキタノ・ブルーってものを拝見。悪ガキ少年達の青春群像劇。いつも一緒にいた2人が各々の道へ進み、挫折を味わうが、それでも生きていく…。人生に終わりはない。いいですね。クドカンが出てる(驚)、この映画にまつわるエピソード…津田寛治さんは素人同然だったが、この役のお陰で売れ始めたとか。安藤政信君はまだ新人になってる(笑)やはり2人の最後のセリフにやられます(^^)♪

  • Kids Return
    1996年 日本
    監督:北野武
    出演:安藤政信/金子賢

    落ちこぼれの高校生がボクシングを始めるも、誘われた友達のほうが才能を発揮して、最初に始めたほうは挫折するというのはよくある構図。そこからプロボクサーとチンピラへと二人の道は分かれ・・・。青春映画の名作。あまり安っぽい言葉で言いたくないけど、二人の関係性にいわゆる「萌え」を感じた女性は多いと思われ(笑)ラストの二人のやり取りは邦画史に残る名セリフだと思います。

    (1997/1/9)シネマセレサ

  • 2015/10/24

  • 落ちこぼれ不良高校生のマサルとシンジ。マサルにボクシングジムに誘われたシンジは見事に才能が開花。誘った方のマサルは才能が無い事を自覚し極道の道へ。。。
    2人の青春と卒業後に目の当たりにする現実の厳しさが上手く対比されています。挫折後も前向きに生きようとする二人に元気を貰いました!

  • 北野武作品の中でも最も高評価だったので鑑賞してみました。
    合う合わないってここまであるんですかね?
    めちゃくちゃ面白くなかったーー。残念。
    時間の無駄。
    普通の生活を送ってきた人なら共感できる部分は皆無では?
    一言で言うと、『だっさっ』。以上。

  • 制作年:1996年
    監 督:北野武
    主 演:金子賢、安藤政信、森本レオ、丘みつ子
    時 間:108分
    音 声:日:ドルビーサラウンド


    高校時代の同級生だったシンジとマサルは、ある日、偶然再会し、バカなことばかりにエネルギーを費やしていた昔のことを想い返した。
    18歳の秋、シンジとマサルはいつもつるんで行動し、学校をサボってはやりたいことだけを楽しむ毎日を送っていた。
    ある夜、ヤクザに絡まれたシンジとマサルは、それを咎めた組長の迫力に素直に感動を覚える。
    そんなころ、以前にカツアゲした高校生が助っ人に呼んだボクサーにのされてしまったマサルは、自尊心をひどく傷つけられ、自分もボクシングを始めるのだった。
    酒もタバコもすっぱりやめたマサルは、毎日ジムに通って練習に励んだ。
    そんなマサルに連れられてジムを訪れたシンジも、なりゆきからジムに入門することになった。
    ところが、遊び半分の初めてのスパーリングで、マサルに鮮やかなカウンターを浴びせたシンジは、筋の良さをジムの会長に認められ、本格的にプロを目指すことになる。
    面白くないマサルはジムをやめ、あの時出会った組長のもと、ヤクザの世界に足を踏み入れてしまった。
    マサルは学校にも来なくなり、シンジは気まずい思いを抱いたまま、互いに顔を合わせることもなくなって、それぞれの日々が過ぎていった。
    高校を卒業したシンジは、いよいよプロボクサーとしてデビューし、着実にその才能を伸ばしていた。
    マサルは組のいざこざを利用して、今では子分をかかえてシマを任されるまでにのし上がっている。
    ある日、マサルがシンジを訪ねてジムにやってきた。
    ふたりは、お互いにそれぞれの世界でトップに立った時にまた会おうと約束する。
    しかし、敵対する組のヒットマンに組長を撃たれたマサルは、組同士の利害を考えて事を荒立てようとしない親分に楯突いて、厳しい制裁を受けた。
    シンジは先輩ボクサーのハヤシに悪習を吹き込まれて体調を乱し、大事な試合に惨敗する。
    ともに苦い挫折を迎えたふたりは、それぞれの世界から身を引くのだった。
    シンジとマサルは久しぶりに高校を訪れ、自転車にふたり乗りしながらグランドを走っていた。
    「俺たちもう終わっちゃったのかなあ」
    と尋ねるシンジに、マサルは
    「バカヤロウ、まだ、始まっちゃいねえよ」
    と答える。

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著者プロフィール

ビートたけし。1947年、東京都足立区生まれ。72年ツービート結成。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。著書多数。

「2020年 『浅草迄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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