ディア・ドクター [DVD]

監督 : 西川美和 
出演 : 笑福亭鶴瓶  瑛太  余貴美子  香川照之 
  • バンダイビジュアル (2010年1月7日発売)
3.75
  • (175)
  • (365)
  • (265)
  • (45)
  • (12)
本棚登録 : 1606
感想 : 356
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569634863

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あまり評価しない。同監督作では「永い言い訳」の方がずっと良い。悪くはないがそんな絶賛されるほどの作品ではない。これがキネ旬1位??余程、不作の年だったのかな。
    八千草薫と鶴瓶の背中並べのショットぐらいかなあ、いいなと思ったのは。

  • アマゾンビデオ/日本/2009年西川美和監督/笑福亭鶴瓶出演

    先日見た訪問看護のドキュメントのほうが遥かに面白かった。耳が悪くて、「降圧剤」というのを「コーク」と聞き間違いして大笑いするエピソードが出てくるが、その程度のことで笑いにはならない。そうしたズレがあちこちにある。2009年はこんな感じだったのだろうか。地元の人の芝居が臭いということと、ついでに笑福亭鶴瓶は好演で彼の存在感がないと成立しないドラマだが、うまいとは言えない。さんまを連想するわざとらしさ。ニセ医者であることの内部の葛藤というのも描いてないわけではないがどうもピンとこない。



    キネ旬20091位

  • 僻地の医師不足の問題、終末医療の在り方、村社会の温かさや怖さなど、いろいろなことを考えさせられる映画だった。

    伊野は薬の営業?の仕事をしながら医療現場を間近で見て、人々を救うことのできる医者への憧れを抱き偽医者になったのだと思う(医者である父の影響もあったのかも。単純に金儲けしたいという気持ちもあったかもしれないが……)
    そして僻地の医者として人々に信じられ、頼られる中で、本当に自分が人々の役に立っていると感じてやめられなくなったのだと思う。実際、偽医者であっても僻地に医者がいるという安心感で、村の人々の助けになっている面もあった。
    しかし、娘に心配をかけたくないという癌患者を前にして、医者としてどのように接するのが正解なのかが分からず、彼女への個人的感情もあって、伊野なりに一生懸命癌や癌患者への接し方について勉強し、結局嘘をつくことに決めたものの、最後には患者と家族を引き離す良心に耐えられずに逃げ出してしまった(と、私は解釈している)。不器用で、「医者」としては間違った選択だったとはいえ、そこには伊野なりの患者への愛情があったのだと思う。

    ラスト(伊野が駅のホームで突然消える、癌患者の女性の入院先に突然現れて微笑み合う)の解釈が謎だが、伊野と患者との間に流れる確かな信頼関係を感じられてとても良かった。もしかしたら、このシーンは現実の出来事ではなく伊野の願望のようなものなのかも知れないけれど……。

  • 素晴らしいです。いやもう素晴らしい。お見事でした。西川美和監督、そらもう大好きだもんですから、観る前からね、「まあ、90点くらいは期待できそうですなあ?」って、ある意味偉そうな生意気な感じで、観始めてたんですが、いわんや90点をや。138点くらいでした。100点満点で。ま、余裕のよっちゃんでの満点超え、ですね。満点設定の意味ないやん、ってところですが、すみません。そんな感じです。

    鶴瓶師匠演じる医者の伊野治は、もういきなり映画開始のしょっぱなから、ニセ医者だったことが判明するんですが、そのニセ医者判明後の伊野を刑事が追う、現在の物語、いわゆる刑事パート。あと、瑛太が演じる相馬啓介が、研修医として上和田村にやってきて伊野の下で働き始め、伊野の失踪へと至るまでの過去の物語、いわゆる瑛太パート。現在と過去の、この二つのパートが交互に展開する話の流れ、うーむ。お見事です。

    オイオイ、冒頭いきなりネタバレしてるやん、コレ大丈夫かよ?ともね、思ったりもしながら観てたんですけどね。一応ちゃんと、時系列に沿って、まずは瑛太パートで話を進めて、で、伊野の失踪。んでそっから後半突入、刑事パートがスタートしまっせ、ってすれば良いんちゃうの?とかも思った、思ったよ観てて。

    でもやっぱ、この現在と過去を同時に語るこの感じが、ええんだろうなあ。これで正解なんだろうなあ、とかね、観終わってシミジミ考えながら、結局はそう思う次第。

    西川監督、いっぺん、完全に編集を変えて、時系列に沿った流れでこの映画、番外編で撮り直してくれへん?とか無茶を言ってみたい。いっぺん、そっちの流れでも、観てみたい。無茶言い過ぎですね。すみませんね。

    で、なにがホンマモンでなにがマガイモンなのか?ってかホンマモンとマガイモンの違いって何?愛のある嘘と愛のない正直とはどっちが大事なの?これからの超高齢化社会の日本の医療はどうなるの?親と子の正しい関係ってなんなの?正しくなくても、エエ関係ってなんなの?そして医者とはどのような存在であるべきなのか?などなど。

    まあ凄くねえ、コ難しい問題を、凄くこう上手く見せてます。上手すぎてビビる。西川監督やっぱ凄い。いやもう凄い、ただただ凄い。なんでこう、こんな画を撮る事ができるんだろうなあ。こんな物語を紡ぐことができるんだろうなあ。なんでこんなに、俺の心の琴線に触れまくるんだろうなあ、素晴らしいんだよホンマに。

    飄々おとぼけ系の岩松了&頑固一徹不機嫌真面目正論キャラ系の松重豊の、でこぼこ刑事コンビ、エエ味出してますね。とくに松重さんのキャラがお気に入り。正論ガンガン。そして物語の背景を解説してくれすぎ。あんた喋りすぎやろ解説しすぎやろ?のキライはちょっと感じましたが、物語の進行役、一般論を言いまっせ代名詞キャラとして、物語を円滑に語る役目を十二分に果たしていた気がします。

    瑛太演じる、軽薄若手研修医が、真っ当に正しく成長していく過程も、シンプルで好きですね。あれはヒッジョーに真っ当な若者成長青春物語やんか。鶴瓶師匠と瑛太君との「先生こそがホンマモンの医者です!俺はニセモンなんや!いやホンモンです!お前に何がわかんねん!」的あの問答。ほぼコント。最高の見事な一世一代のコントですよアレは。で、伊野が失踪した時に、田んぼに飛び込んで何かを必死に探そうとするあの演技。バリ好きです。ああいう感じが、バリ好きです。

    余貴美子も、まあもう上手い、上手すぎる。あの肝っ玉母さんキャラの頼れるところ、もうねえ、、、素敵だねえ、、、鶴瓶師匠演じる伊野が、肺気胸?の患者さんでしたっけ?あの人が診療所に担ぎ込まれてきてマジでテンパる時に見せた「あんた!しっかりしなよ!」のあのハッパのかけかた。そしてあの時の伊野の額の脂汗の凄さ。あの場面、、、くう。もう。凄いんだから。あの緊迫感。

    あと、井川遥は、この世のものとは思えない程、圧倒的に美しかったです。マジでもう超絶美人さんやな、って痛感。あの人、凄いですね。ホンマにもう、美しいです。いやもう。

    これは勝手に思っただけなんですが、西川監督と言いましたら、是枝裕和監督のお弟子さん、ってな立ち位置だと勝手に思ってるんですが、

    この映画の刑事パートでの、刑事役と他の登場人物の、刑事の取り調べっつーか詰問っつーか、そんなん受ける場面の描き方。是枝監督の「万引き家族の」後半の、刑事と主要登場人物との取調べパートと、似てるな、ってね、思ったんですよね、描き方が。

    で、「万引き家族」より、この「ディア・ドクター」の方が、発表って、全然前やないですか。となると、勝手に思っただけなんですが、是枝監督が、西川監督の撮り方を参考にしたんでは?ってね、思ったんですよ、ええ。個人的に。「おお!師匠が、弟子の作品を参考にしたのか!?」ってね、なんだかね、テンションね、ダダ上がりしたんですよね。あくまでも個人的に、そう思っただけなんですけどね。

    あと、冒頭のあの薄闇の中の画。村の若者が、伊野の白衣を道端で拾って、自分で着る場面。あれが、物語の後半で、伊野が失踪する直前に、八千草薫演じる鳥飼かづ子に対して、白衣を脱いでそれを振って見せて、白衣捨ててトンズラする、あの凄く絵になる場面。あっこに繋がるんだな、って感じとか、マジ凄い。

    伊野は、あの白衣を脱いで振って田んぼのあぜ道に捨て去ることで「俺は白旗あげるよ!医者の演技するの、止めるよ!あんたは、娘さんと、どうかこの後上手くやっておくれよ!」ってね、無言でサヨナラ告げた、ということですよね?ってかあの伊野の遁走は、アレは、間違いなく鳥飼母娘への、愛だと思うんだよなあ~。どうかあんたら二人、どうか、こっから僅かな時間しか残っていなかったとしても、どうか仲良くしておくれ!っていう。そう思うんですよ僕は、どうしても。

    ジョジョの奇妙な冒険第一部で言うと、ディオ・ブランド―が、ジョナサン・ジョースターに対して「おれは人間をやめるぞ!ジョジョ―!!」っていうあの感じ?いや違うと思うけど、まあおんなじくらいの名場面、っていいますか。

    物語の最終盤は、もう、ファンタジーになりますよね。伊野、駅のホームで、刑事のすぐ近くでタバコ吸っててもバレない&電車が通過したら画面から消え失せてる、の演出とかね。かづ子の病室に、病院食の配達の係役?で登場して、最後に再会して終わるの演出とかね。あっこは、もう、ファンタジーです。あっこらへんはもう、物語の整合性は求めていません。

    あのファンタジーの画は、嘘でいいんですよアレは。もうあっこの場面は。嘘でもいいから、あったかいもんを、観客に見せたい、っていう、西川監督の優しさ、だと、勝手に解釈しました。あっこらへんは、だから、ファンタジーで良いんです個人的に。うん。なんか、是枝さん作品で言うところの「ワンダフルライフ」に似たテイスト、感じましたね。

    あかんなあ。あまりに好き過ぎて、書きすぎ語りすぎに、なってしまう。いやもうでも、本当に本当に、良い映画でした。まだまだ書き足りないけど、終わります。一人でも多くの方と、この映画について語り合いたいな、ってね、思いますね。

  • みんな少しずつ嘘をついていて、それが切なくも温かい。ガサツな人には分かりにくいかもしれないが、いい映画。

  • 2009年日本
    笑福亭鶴瓶、香川照之、瑛太


    展開も淡々としてて、鶴瓶の演技もそれなりによく、なかなかいいじゃんと思った前半ですが、だんだんと尻すぼみになっていった感じがあります。
    なぜ鶴瓶が失踪したのか(いや、、、鶴瓶ちゃうけど伊野って医師)
    なんか、無理のある展開になった感が否めない。

  • 医師は患者とどのように接するべきかという問題に向き合った秀作と感じた。

  • 瓶さんの演技、すきだな
    公衆電話のところが特に

    西川美和さんの描く作品、
    もっと観てみたい

  • 本音は今上映中の『永い言い訳』を観たい。
    でも金銭的にも、体力気力、時間的にもムリ。
    というより仕事以外、
    家から必要以上に出てはあかん。
    (原作は読了してます)

    先日、同じ西川美和さんのこの映画を
    テレビ放送していたので予約録画。
    数回に分けて観終える。

    鶴瓶の狸っぷりがお見事な一言。

    手塚さんの「ブラック・ジャック」にも
    この手の話しがあったのが記憶にあるから
    これ半分は実話じゃないのかなぁ。

    よーく医師の資格がないのに
    あっさりと審査が通るもんだと思いつつも

    資格があるない、うんぬんじゃなくて
    自分から手助けしようと
    しっかりと一人一人を診るのは大事ね。
    村の人が全員喜んでるんだもの!

    実際に大学病院へ付き添う身として
    縦割行政的な心ない診断しかしない
    医師を見ていて腹がたってくる。
    開業医だってレントゲンの数は慎重なのに
    何度の負担の掛かるMRIやCT撮らせてきた上で
    無意味なレントゲンを沢山撮らすのかと。
    過剰な医療被曝だろう!

    レビューに戻るけれど
    研修医役の瑛太がゾッコンするの理解できる。
    自然と高齢者ばかりな村に
    率先してくる医師そんないないでしょ。
    金も取らずに在宅診断するのは
    村の人には神のような人だよ。

    偽医者は確かに違法で犯罪なんだけれど
    偽だろうが本物だろうが
    診てくれることが村の人には何よりなの。

    観ていて伏線ある箇所も多かったし
    一つの嘘が鶴瓶演じる伊野の嘘に繋っているのは
    観る側もハラハラしましたよ。

    騙されたのは村の人たちだけれど
    誰一人として伊野を批判しないし
    ここまで盛り上げてしまったのも村の人たち。

    実際、偽医者は困るけれど
    出来れば熱意ある医師に診てもらいたい
    ってのが、映画と自分の実情をあわせての本音。

    伊野も村の人も幸せなひと時だったんだうね。
    伊野はビクビクしながらだけど(笑)

    西川さんは何が大事なのかとか
    心底にある心情部分を描くのが巧いね。

全356件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。在学中から映画製作の現場に入り、是枝裕和監督などの作品にスタッフとして参加。2002年脚本・監督デビュー作『蛇イチゴ』で数々の賞を受賞し、2006年『ゆれる』で毎日映画コンクール日本映画大賞など様々の国内映画賞を受賞。2009年公開の長編第三作『ディア・ドクター』が日本アカデミー賞最優秀脚本賞、芸術選奨新人賞に選ばれ、国内外で絶賛される。2015年には小説『永い言い訳』で第28回山本周五郎賞候補、第153回直木賞候補。2016年に自身により映画化。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×