ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025> 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025> [Kindle]

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  • 「第一に、ゼネラリスト的な技能を尊ぶ常識を問い直すべきだ。」

    未来の働き方の本。

  • --読書メモ 2015/10/19--
    ・現状のまま2025年になった場合と努力した場合の2025年の未来予想図が書かれている

  • 過去と現在の状況から予測できる2025年の社会を、目に浮かぶような描写している箇所が興味深い。確かにそうした社会変化の兆しは表れているし、それに近い状況が少なからず発生するのだろう。ただ、それが太い潮流となるのか、多様化の一端に留まるのかは分からない。とは言え、将来を見通す力をつけるうえでは参考になる書籍である。
    時間と集中は重要で、プロになるには1万時間が目安という。1日3時間で年間1千時間、10年間で1万時間ということになる。そうすると、これから何かのトップになることを目指すと、1日何時間割けるかがポイントになるということだな。
    仕事や職場は人生の一部ではあるが、重要な一部であることに違いない。それを有意義にすること、不愉快なものでなくすること、自らの能力伸長や社会貢献に展開すること、など、これまでとは異なる仕事の価値観と成果が求められるようになる。
    近い将来には、どこで生まれたかではなく、才能とやる気と人脈が経済的運命の決定要因になる、というのは意味深い。とは言え、性別や人種、エリアおよびそれに起因する貧富の差は関連する要因になはるだろう。それでも突き抜けるのは、才能とやる気がベースにあり、それから積み上げる人脈が大切ということなんだな。
    これから重要なのは、知的資本、人間関係資本、情緒的資本とされていたが、最後の情緒的資本とは、最近読んだEQと通底するものは同じ。自らをコントロールし、他社との関係をコーディネートできないと、自ら描く成功にはたどりつけないのだろう。
    行動をシフトするには、①普段あまり行かない道を歩くこと、②人との付き合いの面でカメレオン人間になること、③プルを心がけること、とあるが、これらを実践しないといけないな。特に②は気を付けたい。
    働き方のシフトのうち、第一のシフトは、高度な専門技能を磨き、自分ブランドを磨くこと。第二のシフトは、少人数の盟友グループ・バラエティに富んだ大勢のネットワーク、打算のない友人関係の3種類の人的ネットワークを育むこと、第三のシフトは、家庭や趣味、社会貢献などの面で充実した創造的経験をすることを重んじる生き方に転換すること、ということだった。これらは私個人にも大切だし、日本社会にも大切な考え方だと思う。

  • 2025年、私たちはどのように働いているのか。ITがさらに進化した世界で、昼夜なく仕事に追われ、生身の人間と接することもなく孤独を感じる日々か。それとも、世界中の同志と議論を交わし、本当にやり甲斐を感じる仕事に打ち込める毎日か。どんな未来も、今なら選び取れる。そのためには、3つのシフトが必要だ。
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    3つのシフトとは、ジェネラリストからスペシャリストへ、独占から恊働へ、消費から生産へ、という3点。既にいろいろな本を読んできてしまったので、よくよく考えたらさほど目新しい点はなかったな、という感想。「こうしなさい」という主張がある本ではないからかもしれない。さまざまな可能性を提示して、「あなたはどうする?」と投げかけるような本だった。

    目新しくないとはいえ、シフトが簡単だという意味ではなくて。価値観にもよるのだろうけれど、2と3はかなり意識を変えないと難しいと感じた。

  • かなり、厳しいが説得力あるお話。

    まずは自分の価値を差別化する。

    そして、3つの人脈を持つ

    価値観を変化させる。

    根底にあるのは、増えていく選択肢をその選択の結果を認識したうえで自分の意志で選べるかということ。

    いつの間にか温度が上がってゆであがってしまうようなカエルにならないよう、気を付けて人生を歩んでいこうと思う。

  • SF作家ウィリアム・ギブズン「未来はすでに訪れている。ただし、あらゆる場に等しく訪れているわけではない」

    【未来の先にある、向こう数十年の世界を形づくる5つの要因】
    ①テクノロジーの進化
    ②グローバル化の進展
    ③人口構成の変化と長寿化
    ④社会の変化
    ⑤エネルギー・環境問題の深刻化

    【メガ企業とミニ起業家の台頭】
    テクノロジーの進化に伴い、仕事とビジネスの環境が複雑化する結果、世界を舞台にビジネスを行う巨大なメガ企業が台頭する。その一方で、様々な産業のエコシステム(生態系)の中で、無数のミニ起業家たちがコラボレーションを通じて価値を生み出し始める。

    【ゆでガエルの喩え話】
    煮えたぎるお湯の中にカエルを放り込めば、あまりの熱さにカエルはすぐ鍋の外に飛び出す。では、カエルを冷たい水の入った鍋に入れて、ゆっくり加熱していくと、どうなるか。カエルはお湯の熱さに慣れて、逃げようとしない。しかし、しまいには生きたままゆで上がって死ぬ。
    鍋の中のカエルと同じように、私たちは仕事の世界で「気づかないうちに積み重なる既成事実」に慣らされてはいないか。

    『可処分時間―新しい自由の指標』by オーストラリアとフィンランドの研究チーム

    2030年には、途上国と先進国の人口比が70億人対13億人になるという予測がある。

    豊かな国の人々はえてして、心理学者フィリップ・ブリックマンとドナルド・キャンベルの表現を借りれば、ハムスターのように、いくら走っても前に進まない「満足感の踏み車」の上を走り続けている。

    一体化が進んだ世界では、ごく一握りの地域が世界経済の牽引役になる。高い能力を持った人材が世界全体に均等に散らばるのではなく、一部の土地に集中する傾向が強まるからだ。トロント大学のリチャード・フロリダは著書『クリエイティブ都市論』で、そういう世界を「凸凹な世界」と呼んでいる。
    ジャーナリストのトーマス・フリードマンは『フラット化する世界』で、世界がフラット(平坦)になりつつあると主張したが、むしろ世界は凸凹になっていくと、フロリダは考えている。
    「凸凹な世界」は、クリエイティブ・クラスター(創造的人材の集積地)、巨大生産拠点、メガシティ(巨大都市)、地方部の4つのタイプの地域にわかれるという。

    問題解決のプロセスで多様性がいかに大きな強みとなるかは、歴史を見ても明らかだ。第二次世界大戦時にイギリスなどの連合国がドイツ軍の暗号「エニグマ」の解読に成功したプロセスは、その典型と言えるだろう。
    ロンドン近郊のブレッチリー・パークに設けられた暗号解読施設には、数学者や暗号学者だけではなく、さまざまな専門分野のエキスパートが集められた。エンジニア、言語学者、道徳哲学者、古典学者、古代史学者、さらにはクロスパズルの達人も解読作業に加わった。こうした多様な人材のアイデアと知恵を組み合わせることによってはじめて、「エニグマ」は解読されたのである。

    アメリカの物理学者フィリップ・アンダーソン「量は質に変化を生み出す」

    西ヨーロッパでは、60年以上生きる男性の割合が1800年には全体の25%にも満たなかったが、2010年には90%以上に達している。
    Cf. ドラッガーは早くから寿命が飛躍的に上がっていることが、社会動態に多大な影響を与えることを指摘していた。

    《第8章 第一のシフト―ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ


    ①専門技能の連続的習得:未来の世界でニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、浅い知識や技能ではなく、高度な専門知識と技能を身につける。その後も必要に応じて、ほかの分野の専門知識と技能を習得する。

    ②セルフマーケティング:自分の能力を取引相手に納得させる材料を確立する。グローバルな人材市場の一員となり、そこから脱落しないために、そういう努力が欠かせない。

    働き方の未来を形づくる5つの要因の影響が本格化するにつれてとくに重要性を増す専門技能としては、生命科学・健康関連・再生可能エネルギー関連、創造性・イノベーション関連、コーチング・ケア関連の4つが挙げられる。

    クリエイティブ・クラスの人々は、具体的にはどのような職に就くのか。ドイツの未来学者マシアス・ホルクスは、100以上の創造的な職種を著書で列挙している。
    アニメーター、建築家、著述家、クリエイティブ・ディレクター、DJなど...。

    中世の職人の時代、ガラス工芸や陶器づくり、椅子の装飾などの専門技能を習得しようとする見習いの若者は、まず同じ作業を何度も何度も繰り返した。そのプロセスを通じて次第に技能が向上し、出来上がる作品の質が高まる。アメリカの社会学者リチャード・セネットは、この現象を「反復練習の効用」と呼んでいる。
    同じ作業を繰り返してはじめて、技能や知識を血肉化できるのだ。セネットの観察によれば、高度な知識と技能を身につけている職人は、先輩たちの仕事ぶりを観察し、何度も練習を重ねることにより、言語化・マニュアル化できない暗黙知を吸収していた。

    成功を収めている企業には、独特な要素、類まれな要素がある。私たちはそういう要素を「シグネチャー(署名)」と呼ぶ。自筆の署名が他人にまねできないように、ライバルにはまねできない特徴的な要素を備えているのだ。
    Cf. HBSのマーケティング研究者ヤンミ・ムン「ホスタイル・ブランド(敵対的ブランド)」Eg. ミニクーパー

    【ガリヨン・ツリー型のキャリアを築く】
    精力的に仕事に打ち込む期間と、長期休養して学業やボランティア活動に専念したり、仕事のペースを落として私生活を優先させたりする期間を交互に経験し、ジグザグ模様を描きながら仕事のエネルギーや技能を高めていくのである。

    【キャリアのモザイクをつくる】

    「ポッセ(同じ志をもつ仲間)」:アドバイスと支援を与えてくれる比較的少人数のブレーン集団。
    ↓ポッセの重要な点。
    ①比較的少人数のグループで、声をかければすぐに力になってくれる。専門技能や知識がある程度重なり合っている必要がある。専門分野が近ければ、お互いの能力を十分に評価できるし、仲間の能力が活かしやすい。
    ②ポッセのメンバーは以前一緒に活動したことがあり、あなたのことを信頼している人たちで無くてはならない。知り合ったばかりの人ではなく、あなたのことが好きで、あなたの力になりたいと思ってくれる人であることが重要だ。
    ③充実したポッセを築きたければ、ほかの人と協力する技能に磨きをかけなくてはならない。他人に上手にものを教え、多様性の強みを最大限に活かし、たとえバーチャルな付き合いでもうまくコミュニケーションを取る技能が不可欠だ。

    【ビッグ・アイデア・クラウドの特徴】
    ・ビッグアイデア・クラウドは、自分の人的ネットワークの外縁部にいる人たちで構成されなけれなくてはならない。友達の友達がそれに該当する場合が多い。自分とは違うタイプの人間とつながりをもつことが重要だ。
    ・ビッグアイデア・クラウドは、メンバーの数が多いほうがいい。ポッセは最低3人いれば成り立つが、ビッグアイデア・クラウドは何百人ものメンバーで構成される場合もありうる。

    【カメレオン人間になる】by イギリスの経営学者マーティン・キルダフ
    カメレオン人間は、それぞれのグループで求められる資質に合わせて、自分の振る舞い方を修正するのがひときわ得意。
    カメレオンは周囲の環境に合わせて体の色を変えると言われるが、カメレオン人間は、しゃべり方や言葉遣い、人前で表現する価値観、身に付ける服装などを変える。
    Cf. 「セルフモニタリング(自己観察)」が重要となる。

    キケロ「世界で最も強い満足感をもたらす経験とは、地球上のあらゆる題材について、自分自身に向かって語るのと同じくらい自由に話せる相手を持つことである」

    「自由からの闘争」by ドイツの心理学者エーリッヒ・フロム

    私たちが働き方の未来を築くうえで最も大枠となる環境をつくり出すのは、国と政府だ。私たちの職業人生は数十年単位で続くが、政府の指導者は企業経営者と同様、数年単位で職を務める。そのため、未来を考える際に近視眼的になることが避けられない。

  • 未来予測が物語仕立てで面白い。悪い未来のエピソードの片鱗が既に自分の仕事に垣間見える。(でも、スケジュール管理してくれる秘書ソフトがあるだけ、悪い未来のほうが今よりマシな気も。)良い未来になるためには、どうすればいいか、まだわからないけれど、単に知的生産とか高付加価値という従来の手法に加えて、目的を持って働き、自分を意味づけし、ネットワーク化していかなければならないと思った。

  •  これからの働き方や働くことの意味について3つの「シフト」に整理して様々な角度から論考を加えている。内容的には妥当だと思うが、やや冗長な部分が多い印象。しかし、ペルソナの設定から次第に主張点に持っていく話の流れはうまい。自分自身の仕事への取組み方などを想起しながら、著者の主張を追って行くと、自ずと自分の生き方をもう一度見直してみることが促される、そんな本であった。

  • 本書は、2025年の働き方の未来図を「5つの要因」と「3つのシフト」を骨格に予測しています。様々な情報も取り込んでおり、示唆に富む指摘も随所に現れます。良くまとまった「良書」だと思います。

    <未来を形づくる5つの要因>
    ・テクノロジーの進化
    ・グローバル化の進展
    ・人口構成の変化と長寿化
    ・社会の変化(生活スタイルの変化、価値観の変化)
    ・エネルギーと環境問題の深刻化

    <3つの働き方のシフト>
    ・ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
    ・孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
     (未来に必要となる三種類の人的ネットワーク)
    ・大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

著者プロフィール

リンダ・グラットン
ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授。世界経済フォーラムの「新しい教育と仕事のアジェンダに関する評議会」責任者。世界で最も権威ある経営思想家ランキングであるThinkers50のトップ15にランクイン。「人生100年時代」の提唱者として2018年には「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命された。


「2022年 『まんがでわかる LIFE SHIFT 2(ライフ・シフト2)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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