黒猫 [Kindle]

  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 有名な作品だが、初めて読んだ(ではなく聞いた)。面白かったが恐ろしかった。

  • 絞首刑を目前に控えた殺人犯の奇妙な告白。
    心優しき妻と、愛する動物たちに囲まれて質素に生きていたはずの男が、いつのまにか黒猫の影をもった悪魔に追い詰められて殺しに手を染めるまでを一気に駆け抜ける。

    酒癖の悪さが性格を変えたのか、それともこれが男の本性だったのか。
    黒猫は悪魔の化身か、それとも男が作り出した幻影か。

    「一匹の畜生が私にーいと高き神の像に象って造られた人間である私にーかくも多くの耐え難い苦痛を与えるとは!」
    子供の頃からおとなしくて情け深いと知られていた、お前はどこへ言った。
    自分で、「自分を情け深い」などと言う男は、信用ならない。
    この男には潜在的に悪鬼のような極悪の本性が隠されていたと考えたほうが腑に落ちる。

    という訳で、男の狂気があらわになるにつれて、正常と異常の境目が曖昧になっていく感覚が味わえる。

    決して後味は良くないけれど、短編ならではの潔い終わり方をするので、読後感は意外にさっぱり。
    海外怪奇小説の入門編としてチャレンジするのにちょうど良い本。

  • 昔読んで・・・でも内容忘れてましたが・・・読んで思い出しました・・・怖い・・・

  • 2022年3月度「100分de名著」ポースペシャルで取り上げられていたので読んだ。引き締まった文章。物腰柔らかい、動物好きな男性が、酒におぼれて愛猫を殺害してしまう。その後に彼を襲う不幸。ラストの段で、畳み掛けるように記されているくだりが見事。

  • ネコが可哀想...最後は自業自得で自滅してくれて少しスカっとしたけど、それでもネコが可哀想...

  • 最後にちらっと出てくる壁に塗り込められてしまった死体の描写、細かくされているわけではないのに、何故だかありありと目の前に映し出されて背筋がぞわりとしてしまった。

  • 本当に怖い。「黒猫」が怖いというイメージは、この本によって植え付けられたのでしょう。しかし最も恐ろしいのは人間です。アルコールに溺れた挙句、動物への虐待を繰り返す語り手です。猫のプルートォはそんな人間に罰として、「死」以上に恐ろしい「恐怖」という極刑を与えたのです。

  • 3-

  • あらすじ:動物好きだった男(私)が酒乱で心を乱して虐待をするようになり、ある時特に好んで飼っていたプルートォという黒猫を、自宅の樹に吊るして絞殺してしまう。その日のうちに自宅で家事があり、家が燃え、それ以来、男はプルートォの影を恐れるようになる。ある時、プルートォとよく似た黒猫を発見した男は、罪滅ぼしのためかその猫をまた飼うこととして、連れて帰る。しかし、この猫の特徴だった「プルートォにはなかった白い毛」が徐々に絞首台のような形に見えてくるに従い、男はまたこの猫を嫌うようになる。
    かつて住んでいた穴蔵に妻とこの猫と一緒に訪れたとき、男はこの猫を殺そうと斧を振りかぶる。しかし、猫を気に入っていた妻はこれを阻止しようと間に割って入り、男の斧で殺されてしまう。
    男は殺してしまった妻を、穴蔵の壁の中に埋めて死体を隠蔽した。それで安心してしまうが、後日家宅捜査にきた警察に遺体の場所がバレなかったことで満身し、妻を埋めた場所を叩いてしまう。その時、男は人間のものとは思えない奇妙な金切り声を聞き、そのために反対側の壁によろめき倒れる。警察がその場所を調べると確かに遺体が埋まっていた。男は、その死骸の頭の上に、あの猫の姿を見た。


    感想:黒猫というモチーフは非常に中二心を擽るが、海外の作家が黒猫を題材に小説を書くとキリスト教的な要素と絡めて悪魔として書かれるのか、と思わせてくる作品だった。
    私はあまり海外の作家を読まないが、その理由のひとつにやたら滅多日本語に翻訳すると読みにくくなる、という点がある。この作品も例に漏れず、どこまでが男の主観で書かれたもので、事実とかけ離れたものなのかというのが非常に分かりづらかった。特に最後、結局男は猫を殺したのかどうかも、ただ話の筋を追うだけだと事実はわからないまま終わる。文体は平易なのにこの分かりにくい事実と主観の入り乱れが、面白いと言えば面白いが、分かりにくいと言えばわかりにくい、厄介な読後感だった。

  • 【壁】
    エドガー・アラン・ポー作『黒猫』
    ただ読むだけでは面白くないので、図書館にあった翻訳本でいちばん古いもの(1985年)と新しいもの(2016年)で読み比べ。

    1985年版『まごころのない・わるぶった・うわべだけ』
    2016年版『下劣・軽薄・忠誠心』
    使われている漢字の量や種類、表現がここまで違うのかと意外な発見があった。

    ただ、読み終わったあとの恐怖感は新旧同様。
    とくに壁の中から黒猫が現れるシーンは・・・。

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