黒猫 [Kindle]

  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 3-


  • 「人間は誰しも最善の判断に逆らってまでも悪を実行しようと切望する傾向を持っている」


    これが主人公の主張だ。これにより、主人公はペットを虐待し、愛猫を殺し、そして妻まで手にかけてしまう。さらに殺人を隠そうと画策する。


    このようになったのは酒のせいだと主人公は言う。


    自分は悪くない、悪いのは猫だ、妻だ、酒だ。自己陶酔し、見事なまでの論理で自己を正当化している。


    ***************


    なんと弱い。。。弱い人間なんだ。


    天邪鬼なんかに負けてどうする!


    酒のせいになんかするな。


    周りのせいにするな。自分で責任をとれ。


    人間には智慧があり、理性があるじゃないか。


    天邪鬼になんかに負けてどうするというのだ。







  • あらすじ:動物好きだった男(私)が酒乱で心を乱して虐待をするようになり、ある時特に好んで飼っていたプルートォという黒猫を、自宅の樹に吊るして絞殺してしまう。その日のうちに自宅で家事があり、家が燃え、それ以来、男はプルートォの影を恐れるようになる。ある時、プルートォとよく似た黒猫を発見した男は、罪滅ぼしのためかその猫をまた飼うこととして、連れて帰る。しかし、この猫の特徴だった「プルートォにはなかった白い毛」が徐々に絞首台のような形に見えてくるに従い、男はまたこの猫を嫌うようになる。
    かつて住んでいた穴蔵に妻とこの猫と一緒に訪れたとき、男はこの猫を殺そうと斧を振りかぶる。しかし、猫を気に入っていた妻はこれを阻止しようと間に割って入り、男の斧で殺されてしまう。
    男は殺してしまった妻を、穴蔵の壁の中に埋めて死体を隠蔽した。それで安心してしまうが、後日家宅捜査にきた警察に遺体の場所がバレなかったことで満身し、妻を埋めた場所を叩いてしまう。その時、男は人間のものとは思えない奇妙な金切り声を聞き、そのために反対側の壁によろめき倒れる。警察がその場所を調べると確かに遺体が埋まっていた。男は、その死骸の頭の上に、あの猫の姿を見た。


    感想:黒猫というモチーフは非常に中二心を擽るが、海外の作家が黒猫を題材に小説を書くとキリスト教的な要素と絡めて悪魔として書かれるのか、と思わせてくる作品だった。
    私はあまり海外の作家を読まないが、その理由のひとつにやたら滅多日本語に翻訳すると読みにくくなる、という点がある。この作品も例に漏れず、どこまでが男の主観で書かれたもので、事実とかけ離れたものなのかというのが非常に分かりづらかった。特に最後、結局男は猫を殺したのかどうかも、ただ話の筋を追うだけだと事実はわからないまま終わる。文体は平易なのにこの分かりにくい事実と主観の入り乱れが、面白いと言えば面白いが、分かりにくいと言えばわかりにくい、厄介な読後感だった。

  • 猫が可哀想。ラストが秀逸。短編ながら引き込まれた。

  • 【壁】
    エドガー・アラン・ポー作『黒猫』
    ただ読むだけでは面白くないので、図書館にあった翻訳本でいちばん古いもの(1985年)と新しいもの(2016年)で読み比べ。

    1985年版『まごころのない・わるぶった・うわべだけ』
    2016年版『下劣・軽薄・忠誠心』
    使われている漢字の量や種類、表現がここまで違うのかと意外な発見があった。

    ただ、読み終わったあとの恐怖感は新旧同様。
    とくに壁の中から黒猫が現れるシーンは・・・。

  • おなじみ、エドガー・アラン・ポーの「黒猫」を青空文庫で読み返してみる。
    この話、自分的には古今東西怖い話のベスト3の1つと思っていたのだが、結構細部を忘れていた。

    黒い猫の視線がどこまでもどこまでも追ってくるような怪奇譚である。

    短く、緊迫した構成。語り手の男が破滅に向かっているのがひたひたと感じられ、それはなぜか、徐々に明かされていく手腕が鮮やかである。
    男は生来、優しく動物好きな性格であったのに、酒で身を持ち崩す。飼っていた動物を次々に冷たくあしらうようになり、一番かわいがっていた黒猫のプルートォの片眼をえぐるという怖ろしい所業に及ぶ。やがて猫の傷は癒えるが、プルートォは男をひどく恐れるようになる。それを見て男の憎悪は募る。かろうじて残っていた理性をかなぐり捨てさせたのは、男に宿る「天邪鬼(PERVERSENESS)」の気質だった。
    人が持つ、
    悪のためにのみ悪をしようとする(to do wrong for the wrong’s sake only)
    原始的な衝動に駆られ、男は遂に、猫をくびり殺してしまう。
    ここから男は転落の一途を辿る。

    プルートォとは冥府の神の名でもある。
    男の中に呼び覚まされた衝動は、あるいは、悪魔の囁きによるものだっただろうか。
    どこまでも男を許さず追いかけてくる漆黒の獣。
    闇に光る眼は、人の内なる悪をひたと見据える。

  • 全てがラストのために書かれているような印象。収縮していく恐怖は純度の高い良い物であるかなと。

  • 結局男は何故あれ程までに憑かれてしまったんでしょうかね?黒猫を介した悪意だけとも思えず、かと言って単に気がふれてしまっただけとも思えない。でも何となく誰にでも潜んでいるような志向と思えなくもない。
    良い意味で、後味の悪い小品であるかと思われます。

  •  初めて読みました、ポーの作品。
     名前は江戸川乱歩がペンネームの参考にしたということで知っていましたが、作品は読んだことがありませんでした。
     元々海外モノの推理小説はシャーロックホームズしか読んだことがありませんでした。
     推理小説というよりも、犯人の独白を綴った内容でした。
     ミステリーにつきものの謎は存在せず、展開を楽しみに読む感じでしょうか。とても有名な物語ですね。
     読んでいる途中でオチがわかり、有名なのでどこかで聞いたことがあったのか、「あ、この話だったのか!」と思いました。この発想がポーのすごいところなんだと感じました。

     <以下引用>
     この恐ろしい殺人をやってしまうと、私はすぐに、きわめて慎重に、死体を隠す仕事に取りかかった。

     これって普通のこと、感情の流れでもあるのかなと思いました。罪悪感と同じくらいだまってたら、バレなければ、そんな負の気持ちがあるんじゃないかなと思いました。
     私はそんな人間の気持ちが怖く思うし、普通のようにも思えました。

  • 小作品。ですが怖さは十分に堪能できました。

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