- Amazon.co.jp ・電子書籍 (383ページ)
感想・レビュー・書評
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ホロリとさせられたのは意外
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『夏への扉』、なんと日本で映画が作られるというので話題になっている。中身を全然知らないのでネタバレをくらわないよう、古典的名作とされる本書を読むことにした。
タイトルからして思春期の少年のひと夏の出来事だろうと読みすすめると、その想像とは猫が出ること以外全く合っていなかった。主人公は30歳の技術者で違うにもほどがある。
この思い違いは竹宮恵子の『夏への扉』のアニメ化のときに聞きかじった情報が自分の脳を支配していたためらしい。
名作であるが、悪女の罠にはめられ何もかも失う主人公、の展開は、社会人になる前に読んだらいまいち感情移入できなかっただろう。ある程度歳がいけばこそ、ベルがどれだけやばい女かを理解できる。
主人公の境遇が理解でき、感情移入できないとこの作品の評価は全然違うものになる。いくつかの偶然が物語を動かす上での必然と思えず、都合のいい展開に見えてしまうかもしれない。
しかし、そのいくつかの奇跡のような偶然が、胸のすく展開に導いていく。作者はこのように偶然を操らなければいけないのか。そんなことも学べたと思う。
なお、この小説はガチのSFだが、どちらかと言うとコメディ寄りで、いくつもギャグシーンがある。「レナード・ヴィンチェント」という名前などクソ笑う。いくらでもシリアスにできるだろうに、ぶれずにギャグに振るところも見習いたい。
「猫好きの人間にむかって、猫好きのふりをすることは難しい。」これもまさに真実である。作者が猫好きであることには一点の疑いもない。
ズィム軍曹もきっと猫好きで、たまに制服に猫の毛がついているのではないか、ぐらいまで想像した。 -
ある映画を見に行った際、予告編でこの小説を原作にした映画が上映されることを知った。予告編に興味を持ち、どんな小説か気になったので手に取った。
予告編からはあまり想像がつかなかったが、本格SF小説だった。これまでSFはほとんど読んでいなかった(しいて言うなら星新一くらい)が、主人公が技術者なのもあって、共感を覚える場面が多く引き込まれ、すぐに読み終えてしまった。
主人公の感情や場面が強引に切り替わるのでちょっと読みづらかった。昔の小説って感じ。 -
買ってずっと積ん読だったけれど、山崎賢人主演で映画化と知り慌てて。
大好きな作品になった。
自分が生まれる前に書かれていて、主人公は紀元2000年を見てみたいという。その時点がもう私にとっては20年も過去なのに、そんな中コールドスリープやタイムマシンでまた未来や過去に。楽しかった。 -
主人公に災難が降りかかって以降は面白く飽きさせない内容になっており、1日で読みきってしまいました。
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1970年12月、夏への扉を愛猫ピートに寄り添い、探すダン。友人と恋人に裏切られた彼は30年間のコールドスリープを経て2000年に目覚める。連れてくるはずだったピートはいない。30年後の世界であることに気づいた彼は…。この物語の書かれた1956年から想像された2000年は、現実の2000年とはかなり違う。それでもこのSFが無理なく名作として読めることが素晴らしい。SFとして気になった部分も、前半の伏線を一気に回収された後には些細なことに思えた。予備知識全くなしで読めたことが嬉しい。読後感も素晴らしかった。
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コールドスリープと時間旅行と、猫。
猫にご飯を与えてる描写で「え、それを食べさせるの!?」みたいなシーンがあって、そこにだけやたら時代を感じてしまった。