ハサミ男 (講談社文庫) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • ブクログでおすすめされていた一冊
    いきなり自殺未遂から始まる斬新な話で面白かった
    偶然が重なり過ぎでは、というオチだが刑事の犯人への迫り方は納得出来た
    終わり方も好きなので作者の別の作品も読んでみたい

  • どこからミスリードをしてた?と最初の方から何度も読み直してしまった。
    硬めの文章であるのに何故か読みやすい。
    最高でした。

  • タイトルですでに誘導されていたのか…と驚いた。
    今まで日高の視点だと思っていたのが、実は別の女性の視点で、その女性は心に闇を持っていて…

    ハサミを錐のようになるまで研ぎ続けるって相当な執念。
    でも、終わりは妙に爽やか。

    見事に騙された。

    他のも読んでみよう。

  • ”あらすじ”
    関東近郊で猟奇殺人が二件発生した。被害者は共に女子高生。彼女達の遺体には喉元にハサミが突き立てられていた。マスコミは被害者の様を見て犯人を”ハサミ男”と通称した。
    ハサミ男は次のターゲットである女子高生に目当てをつけ殺害する機会を窺っていた。
    そんな中その女子高生が喉元にハサミが突き立てられた状態で遺体として発見された。ハサミ男が第一発見者だった。
    「私が殺すはずだったのになぜ・・?」ハサミ男は事件の真相の解明に動きだす。

    ”感想”
    自分が殺すはずだった少女が自分と同じ手口で誰かに殺される、そんな衝撃的な展開から物語は始まります。
    分かりやすいストーリーに読みやすい文章でスラスラと読了しました。
    最後はそうだったのか!と予想を裏切られる展開でした。

  • とても面白かった。これトリック見破れる人いるの?

  • ふつうにおもしろかった
    最後が意外ではあるが感動程ではない

  • 連続殺人犯のハサミ男が次に目をつけていた少女を、自分の手口を模倣した別人に殺されてしまう。
    自分の獲物を奪った犯人を探すハサミ男と、ハサミ男の犯行だと考え捜査する警察・・・。
    途中で、あれ、この犯人って?と思い戻って読み返したのに、勘違いだったかと思ってしまった。
    勘違いじゃなかった!!
    ミステリはどれだけ読んでも騙されてしまう。
    でも、それが楽しい!

  • 美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!

    もう一回読む。

  • 何も知らずに読みたい本、ともあれ、「叙述トリック」ってのを差し置いて、小説として面白い。

    完全にミスリードに乗っかっていたけれど、途中から「犯人こいつじゃない?」って気づいてしまった。「殺戮と・・」のほうが叙述トリックにはまった感じはあった。

    ただ、『ハサミ男』という作品は、「犯人」と「探偵」と「警察」と「被害者」の立場や見え方がコロコロ変わっていく感じが面白いかな。読者を含め、それぞれが「自分の主観でしか他者を捉えることなんかできない」っていうことに、改めて気づかされる。
    「普通」とか「殺人の理由」とか、「相手がどういう人か」なんてことは、結局本人以外にはわかりようがないんだよね。そういうことを上手にミステリーにしているのが、上手だなあと思った。
    とくに前半部が、すごくおもしろかったです。 

  • 叙述トリックの代表作として「殺戮にいたる病」とともに必ずリスト上位に入る作品なので、かねてから気になっていた本書。
    帯で「古典にして、大傑作! えっ、まだ読んだことがない!?」なんて煽りに煽られたら、これはもうミステリ好きとしては読むしかないじゃないか。いや、読むのはもはや義務でしょ。

    というわけで、楽しみに読んでみました。
    そして、はい、「え~~~っ! どういうこと~!!」と私はなりました。

    この手のものを読みなれている方たちにはこのトリックは定番中の定番だそうで「途中で分かったのでつまらなかった」という人もいるようですが、私はただただ文章に身を委ねて読んでいったので、まったくわかりませんでした。
    あるページで「は!?」となり、「え?どこから??」と、見事に作者の思う壺でした。

    美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる連続猟奇殺人犯「ハサミ男」の話ですが、「殺戮にいたる病」のあの半端ない読者置き去りの見事な倒錯観あふれる暗く重い文章にくらべると、こちらはユーモアや皮肉さえ感じるからっとした文章です。食事の描写はおいしそうだし、途中出てくるプロファイリングとか刑事の観察眼など、私は興味をもって読めました。

    ただ肝心の叙述トリックですが、これは定番中の定番というのはよいとして、最後の種明かしがアンフェア、ずるいとは思います。そこに至るまで読者にはまったくなんの情報も明かされていないので。「殺戮~」が最後の一言ですべてをひっくり返した見事さと比べると、これは、う~ん、個人的には反則だと思います。
    叙述トリック目当てで本書を読む方には、その点がどうにも評価できないところになるのではないでしょうか。

    ただ、再読してみたところ、文章にはどこにも齟齬はありませんでした。”驚愕の叙述トリック”を成立させるために文章が文章になっていない作品もあるなかで、その点は私的に大いに好評化です。
    けれどどうしても冗長なのは否めないし、多分に衒学的というかケレン味に富んだ文章なのも否定しません。作者が自分の考えを登場人物にそういった”蘊蓄”という形をとって語っているので、そこを興味深いと感じられるかどうかも本書の評価が分かれるところでしょうか。

    そして私が考える本書の読みどころは、再読したら感じたんですが、この本の売りとなっている叙述トリックではなく、「わたし」と「医師」によって表現される「心の闇」だと思いました。「多重人格」と一言で表現してしまう精神の問題を、「医師」が説明しています。
    「医師」のほうが”本体”であって、「医師」の心に巣くう「怪物」が「わたし」だと。だから「わたし」の心の中は「からっぽ」で、だから人を殺してもなにも感じないのだと。
    だから本書ではハサミ男誕生にいたる「わたし」の過去はいっさい語られていないし、これという殺害動機も書かれていない。とにかく「原因」を究明して「安心」したい読者は置いてけぼり。謎は謎のままなので読者は消化不良を起こすのではないでしょうか。

    でも、それは作者の狙いのような気がします。
    理解しているつもりでも、他人のことなんて一面しか見えていないんだぞ、と。
    こういった犯罪が起こると、きまってなされる精神分析によって「分析」して「分類」して、だったらうちの子は大丈夫と「安心」する、そんなことを見透かされている感じがします。

    ハサミ男は、「レアな限定品を見つけて興味をもったから買ってみた」のと同じ世界線で、「頭のよさそうな美少女を見つけて興味を持ったから殺してハサミを突き立ててみた」、ただそれだけなのでしょう。

    法治国家である私たちの社会では、秩序を乱すこういう輩は捕まえなければなりません。
    だからこちら側に立てば「(犯人が)どんな生い立ちだろうと、心にどんな闇を抱えていようと関係ない。あるのはただ犯行を犯したという事実」なので、警察の威信をかけて捕まえてほしいと望みます。

    だからでしょうか、あのプロファイラーが最期にとった行動によってハサミ男が再び野に放たれてしまったラストはなんとも言えない気分になりました。


    ====データベース====
    美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。
    精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!

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著者プロフィール

1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。著書に『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』(いずれも講談社文庫)がある。 2013年2月、逝去。

「2022年 『殊能将之 未発表短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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