ハサミ男 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「ハサミ男。冷酷な殺人鬼。連続少女殺人犯。少女を絞殺し、のどにハサミを突き刺すシリアルキラー」

    ハサミを研ぐ。

    研げば研ぐ程、よく切れる。

    研げば研ぐ程、鋭く刺さる。

    研げば研ぐ程、自分が映る。

    狂った、顔が。

    ハサミを研ぐ。

    「チョキ、チョキ」

    /////

    『葉桜…』に続き超名作ミステリを読了。後世に語り継がれるのも頷けました。

    ただ…ネタバレに気をつけて生きてきたのに、1番の読み所に気づいてしまったのが個人的に凄くショック…嗚呼生まれ変わってまた読みたい…

    全体の構成は素晴らしいし、唸ったし、面白かった!思わせぶりな位置から始まる「第一章」とか!

  • 最初に感じた違和感を、あれ?ワタシというだけで主人公が女性だと思ってはいけないな、と自分で反省したことをまたひっくり返す必要があるのか!と切り替えきれず真相が判明したときに何度も行ったり来たりしてしまった。思い込みをうまく利用させて、読者も警察も騙されて、してやられた感満載です。また頭から読み直そうと思います。

  • どんでん返しミステリーてことで聞いており以前より気になっていてようやく読みました。

    最初からハサミ男視点だったのに驚かされたが
    警察(探偵役なんだなと思いながら)視点からも描かれる

    今までは叙述はあまり好んでいなかったが
    これは叙述だからこそ引き込まれた感

    ん?と思いながら読み進めていたのが
    まさかミスリードだとは。

    残酷なのに最後まで憎めなかった、ハサミ男、、、

    なんとも言えない気持ちになったが
    引き込まれて読み進めたので個人的には読んでよかった一冊です

  • 『ハサミ男』は、殊能将之のデビュー作で、1999年にメフィスト賞を受賞した小説です。この作品は、同年に人気ミステリーランキングである「このミステリーがすごい!」で9位に選ばれ、2005年には豊川悦司と麻生久美子の主演で映画化されました。
    物語は2003年の東京を舞台にしています。街では、女子高生2人が似た手口で殺害される事件が発生し、警察とマスコミが注目していました。両事件とも、被害者の喉にハサミを深く刺されていることから、マスコミは犯人を「ハサミ男」と名付け、彼は連続猟奇殺人犯として大きな注目を集めていました。
    ハサミ男の謎
    ハサミ男は次の犠牲者を選定し、入念な下調べを進めていました。しかし、その最中に自分の手口を完全に模倣した殺害方法で亡くなった犠牲者を発見します。自分よりも先に誰かが犠牲者を殺害したことにショックを受けたハサミ男は、犯人が誰か、その動機は何かを解明するために調査を始めます。


    ヨビノリたくみ先生の紹介動画
    物語は、美少女をターゲットにした連続殺人事件から始まります。犯人は被害者の元に巨大なハサミを残すことから「ハサミ男」と呼ばれるようになります。犯人の特徴として、狙われる女性は全て知性が高いことが挙げられています。
    物語の転換点と主要なテーマ
    物語の中で、ハサミ男は自分の手口で殺された第三のターゲットを目の当たりにし、自分が犯人ではないにも関わらず、なぜこのような事件が起こるのか疑問を抱きます。これが物語の重要な転換点となり、主人公が真犯人を追い求める旅が始まります。この物語の魅力は、シリアルキラーである主人公が自身の事件を解決しようとする独特の設定にあります。
    作品の魅力と読後の印象
    この小説の最も印象的なポイントは、細部に渡るトリックと、その解明時の驚きです。読者は物語を通じて様々な謎解きを楽しめ、最終的には著者が仕掛けたトリックの真価を理解することができます。特に、物語の終わりに登場する名セリフは、読者に強い印象を残し、物語のトリックが明かされた瞬間の感動を一層深めます。
    読者への推奨
    この本を一度読んだ後、再度読み返すことを推奨しています。そうすることで、初読時には気づかなかった著者が仕掛けたトリックや物語の細かなポイントに気づくことができるでしょう。『ハサミ男』は、その緻密かつ大胆なトリックで、これまでにない読書体験を提供します。
    『ハサミ男』は、独特のプロットと予測不可能な展開で読者を魅了する小説です。緻密に計算されたトリックと、物語の深い理解を求める読者に対する挑戦が、この作品の大きな魅力となっています。

    登場人物
    ハサミ男:主人公。26歳。警察庁の記録では「広域連続殺人犯エ十二号」だが、ハサミを凶器に使うことからマスコミに「ハサミ男」と命名される。自殺志願者で毎週のように様々な自殺方法を試みるが、いつも失敗に終わっている。肥満体型を気にしているが、ダイエットする気はない。美味しいものが大好きで、いつも食べ過ぎてしまう。氷室川出版でアルバイトとして働く傍ら、次の犠牲者を探している。
    医師:ハサミ男が自殺未遂をするたびに面談する相手。年齢は60歳ほどで純白の短髪。痩身で丸い黒眼鏡をかけている。博識で皮肉屋。引用癖のある詭弁家。ハサミ男に真犯人の調査を促す。
    樽宮 由紀子(たるみや ゆきこ):私立葉桜学園高等学校に通う高校2年生。東京都目黒区鷹番に住む。才色兼備。ハサミ男の3番目の犠牲者として狙われるが、その前に別の人物によって殺される。
    小西 美菜(こにし みな):埼玉に住んでいた高校1年生。ハサミ男の第1の被害者。
    松原 雅世(まつばら まさよ):東京都江戸川区に住んでいた高校2年生。ハサミ男の第2の被害者。
    椿田 亜矢子(つばきだ あやこ):樽宮由紀子の親友。
    岩佐 邦馬(いわさ くにま):葉桜学園高等学校の体育教師。35歳。樽宮由紀子と性的な関係があった。
    岡島(おかじま):氷室川出版に勤める部長。50代の女性。頭が切れる。佐々塚(ささづか):氷室川出版に勤める正社員。30代半ばの小男。
    山岸(やまぎし):氷室川出版に勤めるアルバイト。30代。
    樽宮 一弘(たるみや かずひろ):樽宮由紀子の継父。とし恵とは再婚同士で、前妻とは死別している。
    樽宮 とし恵(たるみや としえ):樽宮由紀子の母。前夫とは由紀子が3歳の時に離婚。
    樽宮 健三郎(たるみや けんざぶろう):樽宮由紀子の義理の弟。一弘の連れ子。兄が2人いるが既に独立している。
    黒梅 夏絵(くろうめ なつえ):フリーライター。ピンクハウスを愛好している。

    【警察関係者】
    磯部 龍彦(いそべ たつひこ):目黒西署刑事課の刑事。27歳。階級は巡査。二枚目だが童顔で見た目は20代前半。推理小説が好き。堀之内にパートナーとして抜擢される。
    下川 宗夫(しもかわ むねお):目黒西署刑事課の刑事。昇進試験に合格できないため万年巡査部長であるが、「長さん」と呼ばれ周囲からは慕われている。キャリア嫌い。中学二年生の息子がいる。
    松元 順三郎(まつもと じゅんざぶろう):目黒西署刑事課の刑事。尋問の達人で必要な情報を聞き出すのが得意。ヘビースモーカー。
    進藤 誠斗(しんどう まこと):目黒西署刑事課の刑事。階級は巡査。磯部の後輩。おとなしく優しい性格。大学時代は写真部に所属しており、コンクールに入選した。
    村木 晴彦(むらき はるひこ):目黒西署刑事課の刑事。階級は巡査部長。皮肉屋で時に大胆な言動をする。天然パーマで長身。クラシック音楽とオーディオのマニア。
    上井田 嘉暁(うえいだ よしあき):目黒西署の刑事課長。階級は警部。禿頭と顎鬚が特徴。温厚でフェアな人物で誰にでも敬語で話す。頑固な個人主義者。
    堀之内 靖治(ほりのうち やすはる):警視庁科学捜査研究所の犯罪心理分析官。キャリアで階級は警視正。目黒区女子高生殺害事件の捜査のため目黒西署に出向する。

  • 多くの読者、そして真犯人以外の登場人物たちも、きっと騙されたことだろう。
    そしてこの余りにも残虐非道な行いは、本当にこれで終わるのか。
    作品としては完結したようだが、もしこの作品の世界が実在していたとしたら、本当に「ハサミ男」の影に怯えることなく生活することができるのだろうか。

  • ハサミ男、というタイトルから騙された
    叙述トリックが見事

  • 叙述トリックが織り込まれた作品を初めて読みました。この本にそれが組み込まれていることも読んだ後に知ったので、めちゃくちゃ騙されました。

    正直前置きが長いとも感じましたが後半の急展開と追い上げがあり、読み進めていくほど作品にのめり込んで、読む手が止まらない作品でした。

    また前半部分の中に後半の急展開に繋がる要素も織り込まれているので読み返したくなる作品でした。面白かったです。ぜひ!

  • 初めて海外の著書(日本語翻訳ではあるが)を読んだ。度肝を抜かれた。ものすごく面白い…。
    これを機に海外の著書もどんどん読もうと思った。

    【続きを読みたくなるようなあらすじ】
    ↓(ネタバレはなし)↓

    この話は、ハサミを用いた無動機殺人を繰り返し、「ハサミ男」と呼ばれ世間に恐れられているシリアルキラー本人からの視点と、それを追う刑事たちの視点が交互に描かれている。
    ハサミ男は今回で3回目のターゲットとして殺す機会を伺い尾行していた。何度もターゲットの足取りを確認し、何曜日は何時頃にどのようなルートで帰宅するかを何ヶ月にも渡り慎重に機会を伺っていた。今日がチャンスの日であることを確信し、先回りして自宅ルートで待機していたのだが、全くもってターゲットは現れない。まあまたどこかで機会はあると思い、帰路につこうとしたところ、公園の茂みに何やら人の足のようなものが見え…。
    確認すると、そこにはなんと自分がつけ狙っていたターゲットが死体として転がっているではないか。しかも!首にハサミが突き立てられている。ハサミ男の手法と同じだ。なんといってもハサミ男である本人(私)から見ても、これはハサミ男の犯行に違いないと思うほどだったからだ。
    でも今回の犯行は私はやっていない…!!その場から逃げようとした時、「どうしたんですか?」と声をかけられてしまった。そこで決めた。「人が死んでるんです…っ!警察に連絡を!!」私は死体第1発見者となることに。
    しかし事情聴取を受けられるにはまずい。なんて言ったって、今日が殺しのチャンスだと思い、機会を伺っていた為、犯人として疑われるには十分な持ち物「ハサミ」を私は所持してしまっている。そこで茂みにハサミを投げ入れ咄嗟に隠した。後にそれが見つかり「2本目のハサミ」として事件の波乱を起こすとは思いもしなかったが…。
    ハサミ男は真犯人を見つけるべく「第1発見者として被害者を弔いたい」と葬儀に出席をしたり、ジャーナリストに成りすまし、被害者の関係者に事情聴取をしたり。と大胆な行動を起こす。そんなハサミ男から見て真犯人に迫っていく視点と共に、一方で警察側も第1発見者が怪しいとしてハサミ男に迫っていく視点が交互に描かれ展開していく話。
    ハサミ男が導き出した真犯人とは…!また、警察はハサミ男を捕まえることができるのか…!
    ハサミ男・警察・真犯人の三つ巴のような話が気になる方はぜひ。



    ↓ネタバレあり↓




    ここからは叙述トリックについての感想
    ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓




    ハサミ男が女性ではなかろうか。というのは序盤、3番目のターゲット(今回の被害者)を観察していた時に「わたしから見ても……同世代の男子からは…」の表記であったり等、色々散りばめられていた所があり、予期していた事ではあった。けれども、警察(イソべ)目線から書かれた第1発見者についての名前や身体的特徴を細々と書かれ、葬儀に出ていたり2本目のハサミについて動揺したりと、同じ状況を重ねることにより、男であったか…とまんまと騙されてしまった。
    この手の「○○男」と大々的に謳っているものは特にありがちな叙述トリックなので、どうせそうだろうとタカをくくって予想していたのにも関わらず、見事に自然な誘導で最終的には騙された。そういった点においては良い意味で2度裏切られた気分だった。
    さらに真犯人においても、警察(イソべ以外)が目をつけて調査していたという点に関しても、非常に自然(アンジャッシュのすれ違いコントを何場面に渡り展開しているといった感覚)でまんまと2週目を読むはめになった。
    最終章で
    女性特有のそこまで太っていなくても自分をデブであると認識し、自虐する傾向にある所を複数回描写に取り入れることにより、他者からみた美人な人物。と自分から見た地味なデブという人物、2人の別登場人物だと思わせることに成功。このトリックに拍車がかかったと分析した。

  • ・すいすい読める。
    ・ちょっとわけわかめ。
    おもしろいけど趣向と違ったんだなー

  • ほんタメ(ヨビノリたくみさん)

    https://www.youtube.com/watch?v=9xqaPzO0nI4
    「どんでんマニアが選ぶ、どんでん返しミステリ傑作3選」で紹介されていたので読んでみた。

    少女が殺され、首にハサミが突き刺さった状態で発見される。同様の事件の2件目が起こり、犯人はハサミ男と呼ばれ始める。
    ハサミ男は3人目のターゲットを決め、行動を観察し、殺害するチャンスを探している。いざ実行しようとすると、殺害前に何者かに殺害され、殺害方法も同じであった。
    ハサミ男は模倣犯を探し始める。


    本のタイトルは覚えていたもののどんでん返しものだということをすっかり忘れて、読み進んだ結果、完全に騙されてしまった。
    早々にハサミ男の正体は明かされ、警察も目を付けるのだが、操作がニアミス続きで中々進展せず、やきもきしてしまった。
    ずいぶん進行が遅いなと感じたところで、意外な真実が明らかになるのだった。


    ハサミ男が何度も自殺を試みるシーンがあり、また女子高生の殺害方法もグロく感じてしまい、少し苦手な話だった。

    それにしても警察は勘違いの捜査から真犯人を取り逃がしてしまい、ポンコツ過ぎた。

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著者プロフィール

1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。著書に『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』(いずれも講談社文庫)がある。 2013年2月、逝去。

「2022年 『殊能将之 未発表短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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