大統領の執事の涙 [DVD]

監督 : リー・ダニエルズ 
出演 : フォレスト・ウィテカー  オプラ・ウィンフリー  ジョン・キューザック  ジェーン・フォンダ  アラン・リックマン  テレンス・ハワード 
  • KADOKAWA / 角川書店
3.56
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感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988126209124

感想・レビュー・書評

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  •  アイゼンハワーからレーガンまで34年に渡りホワイトハウスで執事を務めた黒人の実話を映画化。

      何度も逮捕されながら公民権運動に走る息子と執事といういわば白人に従う仕事を選んだ父。終盤の展開は色々考えさせられる。
     30年なので、一人一人の大統領のエピソードは薄くなるが、この映画はやはりこの時間の長さが重要なポイントであると思う。アメリカという国は黒人が奴隷同然の扱いを受けていた時から黒人の大統領が誕生するまで、人一人の人生の長さで間に合ってしまうのだ。それってやっぱりすごいことだと思う。

  • 【MEMO】



    *「闇は闇を追い払えない
    闇を払えるのは “光” だけだ」




    冒頭で引用されるキング牧師の言葉が 心に重く響く


  • アメリカ大統領に仕えた黒人執事を窓口として、アメリカの公民権運動の歴史やその背景を描いだ伝記映画。
    白人・黒人の差別意識はアメリカのトップを巻き込んだ内戦と化していった歴史があり、それまでには各人種間の激しい対立があった。

    何より悲しくなったのが、セシルの長男ルイスと活動仲間であるキャロルが飲食店での座り込み運動のために、涙ながらに訓練しているところだった。
    今作で描かれた座り込み運動とは、当時の飲食店に「黒人専用席」といって好きなところに座ってサービスを受けることができない制度に由来し、黒人人権運動家たちが、その黒人専用席以外に座り続けるという運動だった。
    そのためには、移動しろ、と言われるだけではなく差別用語をひらすらに浴びせかけられ、熱いコーヒーをかけられても頑なに座り続けなければならない。
    だからこそ、その練習のために、敢えて罵声を浴びせさせるという訓練をしていた。
    運動に参加している人間はそんなこと露ほど望んでおらず、むしろ嫌悪しているというのに、「あえて」その状況に立つことによって、非暴力的に周囲にその異常性を訴えなければならい。
    だとしても、その試練は過酷すぎるように思えた。
    訴える以上、そこまでのリスクを負わなければならないのかもしれない、だた一杯のコーヒーを自由な席で飲むために?
    あまりにもリターンが小さすぎるようだが、だた一杯のコーヒーを飲むことをはじめとした些細なことでさえ、黒人というだけで彼らは比較され、社会の制度の中でも別の存在として扱われる仕組みが出来上がってしまっている。
    たったそれだけだが、彼らが望む「自由」のためにはそうしなければならなかったのだろう。
    そうせざるを得ない状況と立ち向かうために身を切るような戦いが、非常に胸を打つ。

    その激しさを物語るのが、KKKという白人主義の団体が起こしたバスの爆破事件だまるで亡霊か屍者のように浮かび上がる白三角頭巾の集団は手に松明を持って、バスを取り囲む。人種が違うというのは決定的にここまで行動を起こさせてしまう。
    そもそもアメリカ自体移民の国だ。元々根付いていた人々を排除、あるいは吸収して成り立っている。そんな人たちからすると、やっと見つけた自分たちの国を外部の人間に介入されたくないという気持ちがあったのかもしれない。
    それは誰にとっても身近な感情であると思う。
    誰だって、ぽっと出の存在に、どうこう言われたくないという気持ちを感じる機会はあるだろう。

    ホワイトハウスバトラー(執事)で給仕に従事していたセシルには苦々しい思いもあっただろう。自身の経験からしても、その歪さは感じ取っていたとしても、農場で見た彼自身の父の悲劇が、彼を黒人専用席に座らせるようにしている。
    それを当たり前のようにしていれば、殺されることはない。
    待遇がおかしくても、最低仕事を失うこともない。
    彼は自分の身を、そして家族を守るためにずっとそうしてきたのだ。
    しかしセシルの息子のルイスは「白人の大統領に仕えている」と思ってセシルに反発してしまう。悲しいかな、決して執事という仕事時代は並大抵のことではできない。空気のように立ち振る舞い、相手の表情を見て求めていることを感じ取る。2つの顔を持ち合わせて、使い分けなければならない。
    いわゆる私と公を完全に断ち切ることが前提に求められる。
    だからこそセシルはホワイトハウスで信頼を勝ち得てくることができたのだろうし、時代に応じてアメリカという白人だけではない国の葛藤を間近で見ることができた。
    公民権運動の最中であれば裏方を見ていながら、2つの顔を持ち合わせているために、傍観することしか許されなかった。

    とりとめもないピックアップになってしまった。
    伝記映画としては大統領の任期を順繰りに辿るので理解しやすいかもしれないが、世界史や近代史を知っている人であればより良く理解できるかもしれないし、これを機に調べてみるのも良いかもしれない。

  • BSジャパン録画>2013年米。実話から着想を得たストーリー。フォレスト・ウィテカー(主人公セシル)が大変良かった( ノД`)!!歴代大統領の執事をした事で本音と建て前(白人の前で振る舞う自分と素の自分)を使い分けて賢く生きてるなぁと、とても強かだったんだなぁと感心。
    良い話でした。何度かウルウル泣いてしまった。相変わらず見境のない、人種差別に対する不当な扱いには憤りを覚える事然り。当時、実際に起こった事件なども映されている。
    少年期にいい人に出会えたお陰で主人公セシル・ゲインズ(F.ウィテカー)がいい人に育って良かった。彼の努力の賜物でもある。
    こういった黒人の人種差別を扱った映画作品は数多くある。ヘルプ~,ミシシッピー・バーニング,マルコムX等々。。
    歴代大統領の配役がなかなかwwロビン(アイゼンハワー)やA・リックマン(レーガン),J.キューザック(ニクソン)出てたわwwロビン登場には嬉しくなった♪

  • 実話がベースの物語とのこと。
    アメリカ社会の移り変わり、特に黒人差別問題・公民権運動に歴代の大統領がどのように対峙したのか、日本にいるとあまり馴染みがない問題を知ることができる映画でした。
    フォレスト・ウィテカーは名優として名高いですが、個人的には今まで観た作品ではそれほどパッとしない評価でした。ですが、本作では彼こそがこの役をやるべきだと納得させられるほどの説得力でした。
    アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガンと7人の大統領に仕えた黒人執事がいたこと、その息子はそういう父に反発し、黒人公民権運動に身を投じていたこと、その立場ゆえの二人の対立と最期の和解という社会史と家族の物語、その長い時間の中での変化をとてもうまく見せてくれますので、お薦めします。

  • アメリカ黒人の闘いの歴史が分かる素晴らしい作品。どれだけ虐げられてきて、オバマ大統領の当選がどれだけすごいことなのか。Yes,we can.の言葉にどれだけの重みがあり、黒人が勇気づけられただろうことを感じた。
    今も尚、根深く残る人種差別問題。肌の色や人種関わらず、人と人として認め合う世界に。

  • 事実を元に作られた話で、歴代大統領の側で人生を全うした人物の物語。
    黒人差別について日本人の思う差別とはかなり想像の域を画しているとは思っていましたが、そう覚悟して観ても想像の上を行きます。
    タイガーウッズがマスターズを勝った時、白いつなぎを着た黒人が涙を流しながらアテストの会場まで列をつないだというエピソードがありましたが、黒人が普通の人間でいられるまでに、ほんとに色んな場所、色んな時代、色んな人々が闘って勝ち取ったのだなということがよくわかります。
    素晴らしい作品だと思います。
    ぜひ一度。

  •  黒人差別が残る中で、アメリカ大統領の執事に上り詰める。長男が公民権運動に傾倒して困らせる中で、葛藤を持ちつつ主人に忠実に執事を務めるが…

     最後に誕生した米国史上初の大統領に会うところで終わるが、その大統領が8年後の評価として、一発屋で終わったのは悲しい。

     彼の主要支持層の都市部の黒人層からそっぽ向かれて、共和党に席を譲る結果になったのは、歴史の重さを感じる。

  • 主役の俳優さんが適役で良かった。

  • いい映画だった。

    アメリカの歴史をざっとおさらい出来た。
    黒人差別がごく最近まで普通に行われていたことを恥かしながら知らなかった。

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