人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  人工知能や機械学習の著書を読むと、だいたい本書が参考図書として登場する。確かに、わかりやすかったし、要点がよくまとまっていると感じた。


    ・私の考えでは、特徴量を生成していく段階で試行する必要があり、その中で自分自身の状態を再帰的に認識すること、つまり自分が考えているということを自分でわかっているという「入れ子構造」が無限に続くこと、その際、それを「意識」と呼んでもいいような状態が出現するのではないかと思う。

    ・私の解釈でざっくり言うと、「人間がきちんと考えて知識を記述していくためにどうしたらよいか」を考えるのが「ヘビーウェイト・オントロジー」派と呼ばれる立場であり、「コンピュータにデータを読み込ませて自動で概念間の関係性を見つけよう」というのが「ライトウェイト・オントロジー」派である。

    ・ライトウェイト・オントロジーのひとつの究極の形ともいえるのが、IBMが開発した人工知能「ワトソン」である。

    ・シマウマというシンボル(記号)と、それを意味するものがグラウンドして(結び付いて)いないことが問題なのだ。これをシンボルグラウンディング問題という。

    ・そもそも学習とは何か。どうなれば学習といえるのか。学習の根幹をなすのは、「分ける」という処理である。ある事象について判断する。それが何かを認識する。うまく「分ける」ことができれば、ものごとを理解することもできるし、判断して行動することもできる。「分ける」作業は、すなわち「イエスかノーで答える問題」である。

    ・特徴量をどうつくるかが機械学習における本質的な問題
     人間は特徴量をつかむことに長けている。何か同じ対象を見ていると、自然にそこに内在する特徴に気づき、より簡単に理解することができる。

    ・いままで人口知能が実現しなかったのは、「世界からどの特徴に注目して情報を取り出すべきか」に関して、人間の手を借りなければならなかったからだ。

    ・これまで人工知能がさまざまな問題に直面していたのは、概念(シニフィエ)を自ら獲得することができなかったからだ。

    ・私は、ディープラーニングを「人工知能研究における50年来のブレークスルー」と言っている。もう少し正確を期すなら、…人工知能の主要な成果はほとんど人工知能の黎明期、すなわち1956年からの最初の10年ないしは20年の間にできている。その後いくつかの大きな発明はあったものの、どちらかといえば、「マイナーチェンジ」であった。
     しかし、ディープラーニングに代表される「特徴表現学習」は、黎明期の革新的な発明・発見に匹敵するような大発明だ。特徴表現をコンピュータが自らつくり出すことは、それくらい大きな飛躍なのである。


    ・私の意見では、人工知能が人類を征服したり、人工知能をつくり出したりという可能性は、現時点ではない。夢物語である。いまディープラーニングで起こりつつあることは、「世界の特徴量を見つけ特徴表現を学習する」ことであり、これ自体は予測能力をあげる上できわめて重要である。ところが、このことと、人工知能が自らの意思を持ったり、人工知能を設計し直したりすることとは、天と地ほど距離が離れている。
     その理由を簡単に言うと、「人間=知能+生命」であるからだ。

  • 人工知能の基礎を掴む上で、よいバイブルとなる本。

  • -

  • Audibleで視聴済み。初Audible(笑)
    そして、その後Kindle版も購入。それぐらい良い本。

    「最近AI,AIって騒がれてるけど、ビッグデータでAIがうんたらって何やねんな?」みたいな疑問を抱いている人、「過去のAIと今のAIの何が違うか?」みたいな人にはお奨め。あと、一番は

    「このまま人工知能が発展し続けると人類は人工知能に滅ぼされる!!」

    という幻想をイイカンジに打ち砕いてくれる名著です。まじで電書だけじゃなくて紙でも売れば良かったのにと思う。

    人工知能の系譜や、種類、ばくっとどう言うことをやっているかみたいなことを押さえられるので、入門書的に使うも良し、或いは営業トーク用に知識を仕入れるのにも使えます。

  • 人工知能の入門。過去のブームと現在の状況をわかりやすく解説する。そういえば、SEに成りたての頃、エキスパート・システムが流行っていた。会社でも説明会があって、if then elseのお化けのような定義をどうやって専門家から引き出して作っていくのだろう?と思った。現在はAIの第三次ブームでディープ・ラーニングが突破口になるという。

  • 人工知能の過去から現在を冷静に記述してある本。,第一次、第二次そして現在の第三次AIブームの特徴・廃れた理由などわかりやすい。,また、第三次AIブームの火付け役となった「ディープラーニング」についても説明してあり、,「特徴表現学習」という壁を人類が少しづつ越え始めていることがわかる。,,個人的には「あとがき」が最も読むべき。,筆者の研究者としての足跡・葛藤・その瞬間瞬間で目指したものが記載されており、,胸が熱くなる。

  •  松尾豊著『人工知能は人間を超えるか――ディープラーニングの先にあるもの』(角川EPUB選書/1512円)、松尾豊・塩野誠著『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」 』(KADOKAWA/1512円)を読了。仕事の資料として。

     松尾豊・東大准教授は、まだ若い(1975年生まれ)のに、日本を代表する人工知能研究者の1人と目されている方である。
     『人工知能は人間を超えるか』は、人工知能の概説書。人工知能の歴史と現状、そして「ディープラーニング」というブレークスルーによって今後人工知能がどう社会を変えていくかの展望が、手際よくまとめられている。

     全7章のうちの2章~4章が、人工知能の歴史の概説に充てられている。ここは、著者も「読み切るのは、少し骨が折れるかもしれない」と書いているとおり、私のような文系人間にはやや難しい。しかし、ここを読んでおくことによって、そのあとの章がすんなり理解できるように作られている。

     人工知能についての非常に優れた概説書・入門書であり、知的興奮にも満ちている。巧みな喩え話をちりばめるなど、わかりやすさへの工夫が随所に凝らされている。私のようなド素人にも人工知能の概略が理解できるのはスゴイ。

     もう一つの『東大准教授に教わる~ 』は、実業家(株式会社経営共創基盤のマネージングディレクター・パートナー)の塩野誠との対談形式。
     タイトルの印象から、読者の多くはわかりやすい入門書を期待するだろう。だが、じつはまったく入門書的ではない本だ。対談の中身は半ば哲学的といってよいものだし、話があちこちに飛んでまとまりに欠ける。『人工知能は人間を超えるか』がよく整理された構成であるのとは対照的。

     私は先に『人工知能は人間を超えるか』を読んだので、そこで得た知識によって『東大准教授に教わる~』も面白く読めたが、こっちだけ単独で読んだらわかりにくいと思う。
     部分的には目からウロコの話や卓見もたくさんあるのだが、入門書としてはオススメできない。「人工知能をめぐる知的雑談集」といった趣の本である。

     というわけで、『人工知能は人間を超えるか』のほうをオススメ。

  • 著者も「おわりに」で書かれているように、素人でもAIが何かがわかるような資料を作ってと依頼された際の骨子だと言うように、素人でも非常にわかりやすいと思う。

    専門家はやっぱりシンギュラリティは来ない派が、多いですね。

    この本は3年弱ほど前の本だが、ブームはまだまだ終わってはいない。どの企業でも活用しようと躍起になっている。

    ただ、AIを謳う企業が多すぎて、ユーザ企業としては非常に選びづらい状況じゃなかろうか?

  • 人工知能の未来へ、示唆に富む提言。
    特徴量をパソコンが捉えられるようになるブレイクスルーが、パソコンに知能をもたらす。

    OSの問題はとても重要だ…

  • 人工知能について分かりやすくまとまった本。面白かったです。
    最近耳にするディープラーニングについてもしっかりと章をとってあります。
    図表が貧相なのが残念。

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著者プロフィール

1953 年、新潟県五泉市生まれ。1978 年東京教育大学教育学部芸術学科(彫塑専攻)卒。1989 年、毎日新聞社主催・毎日郷土提言賞富山県優秀賞受賞。
著書に『新潟街角の芸術̶̶野外彫刻の散歩道』(新潟日報事業社,1987)、『富山の野外彫刻』(桂書房,1991)

「2015年 『パブリックアートの展開と到達点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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