限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭 [Kindle]
- NHK出版 (2015年10月29日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (666ページ)
感想・レビュー・書評
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これまでの産業の進化と文化のつながり、その歴史の紐解きから、今起きていること、これから起こることを論じている。表面的な世の中の変化の根底にある流れを理解出来た。
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これからはすべてが費用ゼロで使えるようになってくる。
そうすると、収益を上げて新規投資ができなくなるので、資本主義が成り立たなくなる可能性がある。
貧困をなくすには電力を提供することが大切。 -
3Dプリンターや自動配送のマシンが安く入手できる時代が来た時、この本に書かれている未来が到来するのだと思う。
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いま、私たちは一大パラダイムシフトに立ち会っているらしい。なぜそんな変化が起こっているのか?パラダイムシフト後の社会はどうなるのか?が知りたくて本書を手に取った。
著者はジェレミー・リフキン。欧州委員会やメルケル独大統領のアドバイザーも務める大物。限界費用ゼロ社会という切り口で、豊富な実例を根拠に、ポスト資本主義のビジョンを示す本。
■要約
1 「資本主義から協働型コモンズへ」
資本主義では生産性が極限まであがる。生産性が極限まであがると、利益が出せなくなる。資本主義は失敗によってではなく大成功によって終りを迎える。エントロピーの増大による気候変動などのつけも、それを後押しする。次に来るのは協働型コモンズによる共有型経済。移行はすでに始まっており、21世紀の半ばまでにはほぼ移行するのではないか。資本主義は残るだろうが、経済の端っこに追いやられる。
2 「限界費用がほとんどゼロになる社会」
財を一つ増産したり、サービスを一回増やしたりするのにかかるコスト(限界費用)がほぼゼロならば、それが生産性の最高水準ということになる。IOTが限界費用ゼロ社会を支える。IOTは3つのインフラ(コミュニケーションの手段、エネルギー源、移動手段)をより効率的する。
3 「移行後の社会の価値感」
無一文から大金持ちになりたい→持続可能な生活の質を求める
所有→アクセス
市場における交換型経済→共有型経済
生産物の量で測るGDP→生活の質を重視する指標
従来の通貨(見知らぬもの同士の集団的信頼に裏打ち)→地域通貨、時間通貨(社会関係資本に裏打ち)
希少な「もの」を求める気持ち→実は潤沢に存在しているお互いの受容や信頼、仲間を求める気持ち
などなど。
■まとめ
気候変動をとめつつ、健全な社会を実現させるとてもよい移行という風に見えた。が、完全なシステムというのは存在しないと思うので、欠陥もあるのだろうか。すでにある格差はどうなるのか?人類には競争の本能があるからこんなユートピア無理では?それでも残るインフラの維持に従事する人は?などの疑問にも著者なりの回答をしていたように思うが、文章ぎっしりで、何回も寝落ちしながら読んだので、見落としていることが多そう。網羅的で読み応えのある本だったので、単元ごとに精読する形で再読していけたらいいなと思った。 -
これから起きる限界費用がゼロに近づく社会に関して大変革のメカニズムを説き、確かな未来展望を描かれていて、個人的にはESG投資とかの流れが来ているのもよく理解できました。
ただし、エネルギー部分に関しては風力や太陽光は気候の変動が出版された時よりも大きいため、石炭や原子力の可能性も残しておく必要があるかと思う。 -
概要:
・コミュニケーション/エネルギー/輸送に掛かる費用が0に近づいていくことで、資本主義が終わりに近づいて、協働型コモンズなるものが到来する
・そこではIoTやビッグデータ処理,自動運転,再生可能セネルギー等が重要な働きを持つ.
2020年から見て限界費用ゼロ社会に近付いたかどうかと言われると,「コミュニケーションの無料化は進んでいるもののエネルギー,輸送は依然無料化には程遠い.また無料になったコミュニケーションも資本主義の枠組みを飛び出るものではない.」ではなかろうか.
・データとデータサイエンスを駆使したロングテールを回収するビジネスが可能になった.→コンテンツを解放し,行動履歴や利用履歴を利益の源泉とすることが可能になった.→コンテンツを解放するインセンティブが発生した.
・コンテンツがそもそも飽和しつつあり,デフレになっている.→大量に投下されるSNS投稿,動画,音楽,漫画,書籍などなど.→多くのコンテンツが無料,半無料で公開されるようになった.(サブスク,広告を伴い:資本主義の枠組みからでない.)
・エネルギーと輸送の無料化はまだまだ遠い.※輸送は資源や燃料といったコスト面の制約も強い.詰まるところエネルギー問題でこれは産業革命あたりからの永遠の課題
所感(2020年からみた答え合わせ?):
・資本主義から協働型コモンズというより,
・こういう本は100%真に受けちゃいけないなあと感じた.
ー限界費用ゼロ社会を実装する・しようとする人が書いた本ではなく,理想論なってしまう.誰が,どういうモチベーションで,どういうビジョンでIoTが張り巡らされたネットワークを設計し,実装し,展開するのか?という疑問もあるし,風呂敷を広げまくったせいか,抽象的な言葉や表現が多く,分量に割りに入ってこない.
・しかし,100%受け止めはいけないが咀嚼して,疑問を抱き,考えながら読むとちょっと先の未来が見えるかもしれない.GAFAの台頭はこの本と結び付けられるだろう.これらの企業はインターネットを中心にプラットーフォームを構築してデータドリブンなビジネスをしている.しかし,これらの製品を見渡してもエンドポイント同士が繋がるP2P的な仕組みは展開されてないように見える(データはプラットフォーマーの利益になることにしか使われないのが基本)
・知りたいところがスポーンと抜けているから理想論感があるんだろうなあ
IoTなどの技術→グローバルNW構築(誰が,どうやって,実現性は?)→生産性の拡大(ここの間は何よ!)→財とサービスがほぼ無料になる.(資本主義社会がまさにやっていることでは?無料になった際はコモディティにとして価値が目減りして行っただけでは)
現にIoT(現代ではスマホ,スマートスピーカー等)やそのデータを駆使する団体は利益を第一に私企業である.
・しかし部分,部分では正しいところもある.例えば,デジタルコンテンツの無料化はサブスクリプション,電子書籍や動画共有サービスの台頭で達成されている.(しかし,たとえそれが無料でも広告で稼ぐ,資本主義の枠組みで取り扱える商品にすぎないが)
・無料の財はたくさんあるしサービスもそれなりに揃っている(特に日本の公共サービスは世界屈指じゃないか).それでも我々が満足できないのは”足るを知る”ができない,人間の致命的な性質によるものと思われる.限界費用ゼロ社会というものができても,その中で費用を払えるものと払えないものでヒエラルキー,嫉妬,妬み,羨望が生まれるんじゃないだろうか.
・シェアリングサービスの登場は共有型経済の誕生と言えるのか?金融資産の格差が広がった結果,財を持つものが固定化され,財を持たないものに余剰を貸し与え,賃料を取る地主ー小作農の関係の現代版ができたと考えればガチガチの資本主義だし,一方で無料化されるコンテンツは単にコンテンツのアーカイブが増えすぎて,消費者も減り,一方でICTの発展等でチャネルが広がり,作成も簡単もなった.つまりコンテンツがデフレしてるだけじゃないだろうか.
・3Dプリンタの普及→輸送コスト消滅.(CADだけ送り,地産地消.必要なものをその場にあるもので製造する)ってできたらまあ夢があるよね.それは何十年後だろう?
・”便利”の消費から”意味”を求める消費へのシフト
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3Dで60万円の家建てるプロジェクトなどで言われていること
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歴史的に見れば、文明や社会の変革は、
コミュニケーション、エネルギー、交通/輸送
の3つのインフラがリンクしながら変化することで引き起こされている。IoTは限界費用がゼロという特徴から、まさにこの3つを抜本的に変化させる可能性を秘めており、共有型経済に必要な分散化を実現するのに最も適した技術である。
ここで出てくる3Dプリンターなど最近のテックは人件費をかけず固定費のみで生産できるものが多いな。 -
「本書は文明評論家として名高いジェレミー・リフキンが、今起こっている経済パラダイムの変換から、その未来予想図までを克明に描いた一冊である。その目線は私企業的なものよりも視野が広く、それでいて個人レベルのあり方までを丁寧にイメージさせてくれる。『フリー』『シェア』『パブリック』、そして『Makers』とこれまでに連なってきた潮流を「IoT」という概念で統合し、一つの世界観へまとめていく」
「あらゆる方面から分野横断的な議論がなされ、様々なモノが削ぎ落とされていくなかで、浮き彫りになってくる人間らしさとは何か。」
「人間の根源的欲求とは、どこまで根源的なものなのか。そしてそれは環境の進化によって、どのように変容を迫られるのか。」 -
インターネットによって限界費用がゼロになった世界とは?的な話しだったと思う。
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ちょびちょび読み進めてきたリフキンの『限界費用ゼロ社会』を読み終えた。間違いなくここ数年では必読の書。そういえば落合さんはリフキンを仮想敵に現在の著書を描き進めてるとおっしゃってた。協働型コモンズによって資本主義のルールに書き換わったとき、あらゆる局面でゲームチェンジが起こる。その胎動を一望できる一冊。
インフラには三つの要素が必要で、そのそれぞれが残りの二つと相互作用し、システム全体を稼働させる。その三つとは、コミュニケーション媒体、動力源、輸送の仕組みだ。no.497
資本主義市場は私利の追求に基づいており、物質的利益を原動力としているのに対して、ソーシャルコモンズは協働型の利益に動機づけられ、他者と結びついてシェアしたいという深い欲求を原動力としている。no.594
ローズ「コモンズの喜劇」no.4050
「フリー」には、二つの意味がある。価格が「フリー」、すなわち無料であることと、稀少性による束縛から「フリー」、すなわち「自由」であることだ。no.7199 -
3Dプリンターやほぼ無料のエネルギーによって限界費用が下がりますよと言うお話し。
古くは産業革命、その後もテクノロジーの進化の度に人々は拒否、否定してきましたが好む好まざるに関わらず変化の波は襲ってきます。
パラダイスシフトはもう始まっています -
かかれている多くの現象は、個人としても目の当たりにしてきたことであり、納得できます。
そして、これからの時代に向けて、過去に人々がどういうことを言ってきて、今どう考えられているかということを、様々な学者・政治家・事業家・・・などが語ってきたことを読むことができます。
でも、私には、別々の論理に見えることも、色々なことが同時に語られているように思えてしまいました。もう少し考えてみると、もう一度読んでみたくなるかもしれないです。 -
新たなコミュニケーション/エネルギー/輸送に掛かる費用が0に近づいていくことで、資本主義が終わりに近づいて、協働型コモンズなるものが到来するという事らしい。
いろいろと、裏付けになるような過去と現在の対比に関する資料が多く提示されるが、消化不良になってしまった。3Dプリンティングに関する説明は、自分で自分を作る発想とかどこに行っても、材料があれば、そこから製造が始められる点などの指摘は興味深いものがあった。
中盤以降は、コモンズの連呼でちと読み疲れてしまった。
ただ、この本を読んで、資本主義が終わって、協働型コモンズなるものが主流になると思えたかというと、うーんと唸ってしまう。 -
しだいに多くの財やサービスがほほ無料となる世界で、知的財産の保護にどんな妥当性があるのか?
これで飯食ってる人間からすると、かなりきつい指摘です。
財を形成する材料やサービス提供のためのインフラは誰が負担するのでしょうね。そこには不平等に頑張らされてる人がいるのでは。どれだけ頑張っても得られる利益は同じだとしたら、頑張る人も頑張らなくなるのではないかと思います。
半ボランティア的に携わる人もいるのでしょう。ただ、それだけで全世界の人を賄いきれるのでしょうか。やはり、ある程度行動に対するインセンティブは必要ではないかと。そのためのツールの一つが知的財産だと思ってます。
少なくとも、私はインセンティブか欲しいです。感謝というバーチャルなものだけではなく、金銭などのリアルなものも。 -
IoTの時代となり、経済の仕組みだけではなく、コミュニケーション、エネルギー、輸送等の仕組みを通じて、モノやサービスの生産にかかる費用がほぼゼロとなり、稀少性を基本とした資本主義の時代が、潤沢を基本とした共有経済に移行してきているという話。
話題が幅広くかつ長いのでついていくのがやっとだが、昨今の身の回りのサービス環境やものの考え方の流れから理解できる話ばかりであり、なんとなく最近世の中変わってきているなという漠然とした感覚を言葉としてすっきりまとめてくれたという印象。
3Dプリンタとか太陽光発電とか、正直本書が絶賛するほど技術的に進化しているのか?という疑問を感じなくはなかったが、今後の世の中の流れとしてはそちら側に移行するのだろうということで納得はできた。