星の子 (朝日文庫) [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • 何も起きないことがじれったくもあり、でもこの小説はこれでよかった。自分の置かれた場所から逃げない主人公がかえって斬新。そして、読んで半年経っても、心に残っている場面があるのがすごい、純文学として力のある作品ということだと思う。同級生や先生に両親の異常な姿を見られるシーン。それを、自分の親だと告白するシーン。今村夏子さん好きです。

  • 今村夏子 さんの小説には弱い者が印象的に出てくる。
    弱い者は自分より少し強い者にひどい扱いを受けたりする。
    弱い者の一人である僕達読者はそれを見て怖くなる。

    今作は宗教を通してその構図が描かれる。
    主人公が当たり前と思っていることがまわりには当たり前でないこともおもしろいところ。

    弱い者が宗教にのめりこむのはよくある話なので、弱者と強者が入れ替わったり、強者が宗教にのめりこんで弱者になることを選んだりなど、もうひとつ新展開を入れても良かったのではないかと思う。

  • 幼い頃は病気がちだったちひろと、娘を救いたいがために怪しげな宗教にのめり込む両親。
    物語はひたすらに、徹底してちひろの目線で進んでいく。ちひろが知らないことは書かれていない。ちひろは両親のことをありのままに受け入れているので、おだやかな”普通の”家庭のように見える。でも、見え隠れする両親の異様な宗教へののめり込みっぷりが、不穏なピースとして全体に散りばめられているので、最後までぞわぞわしながら読んだ。
    少しずつ大人への階段を上っていく15歳のちひろは、これから両親とどのようにして接していくのだろう。

    描写がとても好みの雰囲気で読みやすかった。特に会話文が言葉遣いも自然でするする読める。

  • 林ちひろは、中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく…。野間文芸新人賞を受賞し、本屋大賞にもノミネートされた著者の代表作。

  • 幼少のころから当たり前だった考え方や習慣。
    大きくなるにつれて、少しずつ芽生える周囲の人との違いや違和感。
    ここでは新興宗教が中心になっているけれど、それぞれの価値観や集団の空気は、人間関係を容易に傷つける。
    それで切れてしまう関係もあるけれど、基本的には家族は続いていくんだなあ。

  • 緩やかな虐待ともとれるが、それは自分が外の人間だから。それだけ。

  • 最初に病児の治療から始まるので、奇妙な宗教に家族が流されていくのも仕方がない、という環境でのいい子の話。やるせない気持ちになるが、思い切り不幸か、幸せになるかどちらかに振ってほしい。

  • 新興宗教にのめり込んだ両親の元で育った女の子が主人公。小さな時から親の愛を受けて育つが、いつからか両親ともに新興宗教にのめり込み、女の子もその集会とかにいつも参加する。でも中学校ではだんだんと周りの人たちから、親のことを悪く言われたりし始める。ではこの女の子は両親のことをどのように思っているのか、それが最後までよくわからなかった。女の子自身もよくわかっていないのだろう。物語は淡々と進み、そのままふっと終わってしまう。色々と余韻は残るが、よくわからない物語でもあった。

  • あることをきっかけに怪しい宗教にのめり込んだ両親。そしてそれにつきあわせる主人公。

    子どもの視点で描かれる、「当たり前のこと」と「違和感」。
    最後の場面は、とても印象的。読み手それぞれによって受け止め方は違うだろう。
    どこかはかなくて切ない。

  • 結局何?

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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