ケアしケアされ、生きていく (ちくまプリマー新書) [Kindle]

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  • 筑摩書房
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感想・レビュー・書評

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  • ちくまプリマー新書「ケアしケアされ、生きていく」読了。

    著者の竹端さんがゲストで話をしている朝日新聞ポッドキャストを聞いていて、「迷惑をかけるな憲法」という言葉と、「昭和九八年的世界」という見方が面白い(というのか興味深い)と思って、紹介していた著書をさっそく読んでみました。

    著者の先生が大学で学生と対していて、今の学生たちが、あたかも「迷惑をかけるな」という「憲法」があるかのように振る舞っていると気がついたらしい。

    「他人に迷惑をかけない」という「憲法(誰もが知っている暗黙の了解)」を守って生きるために、自分が生きづらくなっている。自分を「ケア」の対象から外してしまって窮屈に生きている、と。

    そして著者の竹端さんも、ご自身が「社会福祉学」という分野にいるにも関わらず、ご自身に娘が生まれて、子育てに参加するようになって、はじめてわかったことがあったという。

    すでに元号は「令和」になっているけれど、社会が男性中心で回っていた「昭和」の世界を引き続き生きていて、男性は仕事、女性はそれ以外の全てのケア、という役割分担が、当たり前のように引き継がれてきてしまっていることに。

    生産性を重視するあまりに、「他人のケア」どころか「自分のケア」までおろそかにして、「ケアレス」になっている社会を、今一度見直してみよう。

    という感じの内容でした(あ、違ったらごめんなさい)。



    (ここからぽやーんとした私の感想)

    ・「迷惑をかけるな憲法」
    ・「昭和九八年的世界」
    ・自立とは「依存先」を増やすこと
    ・ケアすることで自らもケアされている

    というキーワードには、なるほどなぁ、と思いながら読んでいたのですが、視点が「男性中心社会であることに気がついた男性」だなぁ、ということに、ちょっと居心地の悪さを感じた、かも…。

    家庭の細々としたこと、子育て、介護などを女性に押し付けてきているのはダメだから、ケアに参加してみよう、そうすれば自らも得るところがあるよ。と言われても、押し付けられてきた女性からは、どういうアクションをするorどういうメンタルで対峙すればいいのか、というのがよくわからないなぁ、とか…。

    どうやらこの本は中高生向けに書かれているとのこと。

    若い人たちに、男女問わず、こういう考え方をして行こう、昔の「昭和的」な慣習に引きづられないようにしよう、と呼びかけるにはいいのかもしれませんね。

    「ケア」という言葉の解像度をもうちょっと上げてから読み直せば違うのかも。私の中の「ケア」の解像度が低すぎるのかもしれないなぁ…

  • 本書を読むと、自分に、そして他者へのまなざしが温かくなります。
    「ケア」という単語から、福祉や支援など、一方向的な営みについての文章を予想していましたが、作者の方が福祉を研究する上で、私たち自身のケアに着目し、ケアのできていない社会「ケアレス社会」について論じたものでした。
    「自己責任論」「頑張れば報われる」という、呪いが自分自身へのケアをできなくさせ、それによって他者へのケアができない状況を生み出しているという主張が、日本社会の「生きづらさ」を端的に表していました。
    私自身が今まで苦しんできたこと、身近で生じている苦しみへの1つの答えになるような内容でした。
    「自立」「自己責任」「頑張れば報われる」ー
    どれも、聞くと身構えてしまう言葉ですが、そんな自分の感覚を肯定してもらうような感覚になりました。

  • <すぎゆかさんの推薦書>
    2024年1月ご紹介

  • やや現状分析や論理は荒く感じたが、著者のメッセージは非常にエモーティブに感じた。
    大事なことが書いてあるようにおもったが、受け止め方がうまく自分の中で消化できていない。また、いつか読みたい。

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著者プロフィール

竹端寛(たけばた・ひろし):1975年京都市生まれ。兵庫県立大学環境人間学部准教授。専門は福祉社会学、社会福祉学。主著は『「当たり前」をひっくり返す―バザーリア・ニィリエ・フレイレが奏でた「革命」』、『権利擁護が支援を変えるーセルフアドボカシーから虐待防止まで』(共に現代書館)、『枠組み外しの旅ー「個性化」が変える福祉社会』(青灯社)、『家族は他人、じゃあどうする?』(現代書館)など。


「2023年 『ケアしケアされ、生きていく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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