借りたもの。
ヨーロッパの中でも理性(左脳的思考)に偏重した価値観から、感性(右脳的思考)の重要性を、脳科学の見地から訴える一冊。
それはロジカル(左脳的思考)に凝り固まった人たちに、感性の重要性を伝えている。
労働者のグローバル化に伴うアジアの台頭や、AIの発達でナレッジ・ワーカーがそれらにとって代わられること……
これから求められるスキルは、労働でも情報処理でもない。コンセプト(創造する人、他人と共感できる人)だという。
そのために必要なものが感性である。
1.「機能」だけでなく「デザイン」
2.「議論」よりは「物語」
3.「個別」よりも「全体の調和(シンフォニー)」
4.「議論」ではなく「共感」
5.「まじめ」だけでなく「遊び心」
6.「モノ」よりも「生きがい」
実例を挙げつつ、すぐにできる「6つの感性」の磨き方について提案。
アメリカ陸軍の事例を挙げて、ゲームが人を夢中にさせることに注目し、『America's Aamy』( https://www.americasarmy.com/ )を作り、陸軍入隊のプロモーションにする事例は興味深い。実際のシミュレーションでもあるよう。そこでは軍隊として必要なスキル――任務遂行に必要なチームワークとルールの遵守――を疑似体験する。
ゲーム――ないがしろにされがちな“遊び”にもルールがあり、その疑似体験が現実の困難に対してのシミュレーションでもある。
山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』( https://booklog.jp/item/1/4334039960 )に言及されていたMFA型人材、ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ『女神的リーダーシップ』( https://booklog.jp/item/1/4833420678 )に紹介されていた共感能力、小暮真久『人生100年時代の新しい働き方』( https://booklog.jp/item/1/4478102244 )に紹介されていた五感を鍛えるエクササイズに近しいものなど、私がかつて読んだ本に関する言及が既にされていた。
10年以上前に出版された本だが、現在求められている(話題になっている)スキルや姿勢について話しており、著者の先見の明に驚きつつ、時代がようやく追いついた、と思った。
- 感想投稿日 : 2019年2月9日
- 読了日 : 2019年2月9日
- 本棚登録日 : 2019年1月21日
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