aorinの本棚

中学生にしてプロ棋士となった孤独な少年、零の物語。残酷な境遇に心を傷める人がたくさん出て来るが、羽海野チカ作品らしく本当に冷たい悪人は存在せず、いたわりと癒しに満ちた暖かい物語だ。

とにかくこの一巻のインパクトはすごい。冴えない男のどん底の生き様を気持ち悪く綴った一作かと思わせておいて、かすかに不気味な兆候を見せ始めた世界は加速度的に不条理に飲み込まれて行く。怖い。とにかく怖い。

混沌としたものに対峙せざるを得ない一巻に比べ、いくぶん情報を得て俯瞰で見ることができる二巻ではちょっとトーンダウンするが、三巻あたりからまた気になる展開が続く。
怖いけど気になって見ちゃう…そんな漫画。

いわゆるBLものとはかけ離れたリリカルかつキラキラ輝く繊細なファンタジー。巻末に学園BL入ってますが、他は特にBLである必然性もなく、少女だと思えばまったく少女として成立するお話ばかりです。
作者はこういう世界が大好きなんだろうなあと思わせる、素敵な短編集でした。

ドロドロと甘い情念とショコラと欲望渦巻く、息苦しいほどに面白い漫画。目が離せない。ああ、美味しいチョコが食べたい。チョコ買いにパリまで行きたいわー。

全四巻大人買い。とてもひさしぶりに、大好きだと声を大にして言えるジャンプ漫画。上質なおとぎ話だと思うが、これが打ち切りとかまったくもって意味がわからない。
とは言え、言いたいことは言えていてまとまってはいるし、巻末読み切りも素敵だった。ジャンプじゃ無理だろうが、第二部とかやってくれないものかなあ…。日野家の皆さんも宇宙猫も紳士も大好きだ。