知らない言葉も沢山あったけど、何よりスピード感・疾走感が気持ちよくて、どっぷりハマって読了。
私の中で忍者はファンタジーの産物という、何となく忍者という存在そのものが疑わしい…と思っていたけど、読んでみると、一人一人のキャラクターがたっていたし
背景もしっかり描かれていて、とても面白かった。
元々、スパイ小説や映画が好きなので、時代こそ違えどそれと同じと思えば、楽しみ方も誰が怪しいか推理するのも楽しみの一つだと感じた。
武内さんの本、他にも読んでみよう。
2024年3月31日
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叡智の図書館と十の謎 (中公文庫 た 85-2)
- 多崎礼
- 中央公論新社 / 2019年2月22日発売
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「煌夜祭」に続いて読みました。
こちらも短編集になっていますが、物語の本筋に辿り着くお話が10話。
時代も国(?)もバラバラのお話。
多崎さんの作品は、綺麗な書きぶりだなぁと感じます。そして、とても読みやすい。
レーエンデ国物語も早く読もうと思いました。
2024年4月6日
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卵の緒 (新潮文庫)
- 瀬尾まいこ
- 新潮社 / 2007年6月28日発売
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瀬尾作品3冊目。
今まで読んだ瀬尾さんの本の中で一番好きな本だった。
ちょっとだけ複雑な家庭に、ほんのり温かみを感じる本を読みたいときに、瀬尾さんの本はしっくりくる。そしてじんわりあったかい。
2023年10月21日
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渦 妹背山婦女庭訓 魂結び (文春文庫 お 73-2)
- 大島真寿美
- 文藝春秋 / 2021年8月3日発売
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近松半二の生涯を書いた小説。
この本読むまで知らなかったです、半二さん。
何なら、近松門左衛門の愛弟子かな?と思っていたら
それも違い、私淑して「近松半二」と名乗り始めたらしいことを知りました。
本書はほぼ関西弁で書かれています。義太夫の語り口調のような。
続編もあるようなので読んでみます!
2024年4月24日
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新世界より(下) (講談社文庫)
- 貴志祐介
- 講談社 / 2011年1月14日発売
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貴志祐介さん初読み作品。世界観やその世界の歴史などの背景がものすごく練られてて圧倒された。
解説本とかあったら読みたい気がする。
SFホラーであり、ディストピアであり、全体的に暗く残酷なお話。
それでもどっぷりその世界に浸ってしまうほど、設定がしっかりしていた印象。
グロい部分もあった上に、精神的な気持ち悪さがつきまとって苦しかったけど、星5つけてしまうのなんでだろう…ww
2023年8月24日
高1のときの教材だったことを最近思い出した。
与えられた「教材」としてではなく、ちゃんと自分の「読み物」として芥川龍之介の作品を読むのって
多分これが初めてな気がする。
大人になった今読んでも、やっぱり好きになれなかった。
生きるために悪に染まるのはいいのか
理由さえあれば悪事を働いてもいいのか
そんなことを言いたかったのだと思う。
…のだが。
「文学を嗜む」には、私には敷居が高い。
これを機に日本文学を読み漁るか…?
いや、やっぱり勇気がない(笑)
2023年7月30日
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煌夜祭 (中公文庫 た 85-1)
- 多崎礼
- 中央公論新社 / 2013年5月23日発売
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雰囲気は、百物語を想起させる設定。
夜寝る前に1章ずつゆっくり読んだ。
ファンタジーにどっぷり浸かりたい気分だったこともあり、ページをめくる手が止まらなかった。
各章の登場人物のつながりがとてもおもしろかったし、あら?この人はっ…!という驚きが心地よかった。
魔物が人を喰らう、血生臭く少しダークな世界ではあったけど、魔物は悲しい生き物だった。
読み終わる頃には、この世界から抜け出したくないなぁという気持ちに。
他の作品も読んでみたいです!
2023年8月6日
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会社を綴る人 (双葉文庫 あ 64-02)
- 朱野帰子
- 双葉社 / 2022年9月8日発売
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ポンコツアラサー男子である主人公・紙屋の唯一の特技は
「文章を書くこと」。
老舗製粉会社に就職したものの、あまりの仕事のできなさに「何もするな」と言われる日々。
そんな紙屋が文章を書くことで社内の問題を少しずつ解決していく、というストーリー。
ライバル(?)の女性があまりにも卑屈すぎて
この女子ごるぅあ…ってなったり、
紙屋のダメっぷりにも「え…」ってなったものの
人の心を動かす文章が書けるのは、正直いいかも。
お仕事系小説とはいえ、少し毛色の違う話だったけど、
社内にあふれる様々な文書に焦点をあてた小説というのは
なかなか新しい感じがして面白かったです。
2024年2月27日
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祖母姫、ロンドンへ行く!
- 椹野道流
- 小学館 / 2023年4月20日発売
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今年一の本に選びそうなエッセイに出会ったあああ!
80歳を超えた祖母と孫娘(著者)の、ロンドン旅行の話。
「一度でいいから、お姫様のような旅行をしてみたい」という祖母の一言から、
一族総出で5泊7日の旅支度を整えていざロンドンへ!
私、ほとんど一人旅だったしこんな周りに暖かい目があるような旅なんてしたことないから、
いちいち新鮮だったし、
ずーーーっと温かい気持ちで読めた!
あああ素敵!
何が素敵って、おばあちゃんの品の良さよ!(わがままだけどな!ww)
人生の先輩としての祖母の一言一言に
とんでもなく沢山の含蓄・哲学が含まれてるし
何より、ホテルの従業員の皆さんのおもてなし精神が本当に素晴らしい。
スイートルームに泊まってりゃぁ、当たり前!という見方をしたくもなったけど
なんか、そういうのじゃないんだよなぁ。ほっこり癒されまくった。
この本はずっと手元に置いておきたい。
2023年8月2日
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ののはな通信 (角川文庫)
- 三浦しをん
- KADOKAWA / 2021年6月15日発売
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ただの同性愛を描いた作品ではなかった…!
三浦さん、そこいくかーーー!と驚いた作品だった。
女子高時代から40代になるまでの2人の女性の書簡体小説。
最初の方は女子高生特有の、ミーハーっぷりやいかにも女子っぽい秘密主義な雰囲気。
なんとなく、女子校時代を長年引きずってダルい…と思う瞬間も多少はあったけど、手紙のやり取りが深くなっていき、大人になり、2人の世界が変わっていくのがわかった。
運命。情熱。愛情。
年をとって変わったものと、変わらないもの。
ここまで濃厚な書簡体小説って初めてだ。2人分の人生を体験した気分だった。
しをんさんの作品て、こんなのもあるんだ!と驚きもあり、印象的な1冊となりました。
2023年5月9日
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創竜伝(14) 月への門 (講談社文庫)
- 田中芳樹
- 講談社 / 2022年12月15日発売
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文庫になるのに、何年かかってんの⁈って、半ギレ状態で本屋で購入しました。
講談社ノベライズと講談社文庫って、うまくスライドできない社内的・大人の事情があるのか?と思わずにいられないですww
次の15巻で最終となるわけですが、マジで私が生きてる間に出してくれるのか心配。
これまでずーっと文庫版で全巻読んでるので、既に最終巻が出てるノベライズや電子で読む気はさらさらないのです。
内容は、もはや13巻の内容を覚えてないから全く新しい気持ちで読みましたww
色々破壊しまくるし、妖怪も出てきまくって、とりあえずドタバタしてる印象。
これまでのシリーズ全部を通して、著者は日本という国が好きではないのかもなぁ…と思わずにいられない描写は多々ある。
場面転換が分かりにくく、1行挟むとかしてくれればまだ読みやすかったんじゃないか…?と、素人目から見ても明らかに構成が悪い印象。
急にスマホやSNSが出てくるのも刊行がこの時代だから、というのは大目に見るとしても、過去の流れ上、整合性のとれない、無理な展開が散見されました。
著者ご自身の年齢的なこともあるのかもしれませんが…周りの方々の助力がもうあと二、三歩届いてなくて残念、という一言につきます…。
それでもここまで読んだからには、最終巻までちゃんと読みたい!
2023年2月11日
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地球にちりばめられて (講談社文庫)
- 多和田葉子
- 講談社 / 2021年9月15日発売
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失われた母国の、同じ言語を話す人を探す旅。
「パンスカ」という独自の言語を作ったHirukoという人物から話が始まる。…独自の言語を作った、という内容に関心を持ち、本書を手に取った。
Hirukoが話すパンスカを、どういう言葉で表すのかな?と思ったら、なるほど、ほぼほぼ体言止めかー、と感心。日本に来たての海外の方がそんなふうな喋り方をするのと似ている。
正直、やや読みにくかったけど、旅の終わりがどうなるのか気にはなるので、続編はいつか読もうと思う。
2023年6月6日
久々に読んだミステリーは、鮮やかであり、そうきたか!と感動もしつつ、最悪であったww
そ、そんなああああ!!!と。
こういうオチもあるのだなと思う一方で
世の中のミステリーのオチのパターンは、もうそろそろ出尽くしたのではないか、と感じる。
読後、頭の中は、あの仄暗い方舟から抜け出せないままである。
間違いなく記憶に残る一冊。
2022年10月21日
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モモ (岩波少年文庫(127))
- ミヒャエル・エンデ
- 岩波書店 / 2005年6月16日発売
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大人になってから、この本を読むなんて
正直思わなかった。…というか、それまではこの本は「絵本」だと思っていたからだ(滝汗)
時間の使い方とか考え方、せわしなくなる世界のことを憂い、エンデは早くから予知していたのかなぁと感心。
(後書きにある、汽車で出会った謎の人物については、不思議な感じ。とても興味深い)
モモの才能の一つは、「人の話を、じっくり聞く」ことだと思うのだけど、それ一つとっても、エンデが何に警鐘を鳴らしていたのかを考えると
またそれも感心する。
2022年10月27日
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ライフトラベラー 人生の旅人 (喜多川 泰シリーズ)
- 喜多川泰
- ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2013年8月13日発売
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Kindle Unlimitedにて読了。1時間もかけずにサラッと。
旅に出る前の心構え、と言えばあまりに単純だが
大きな捉え方をすれば、人生の歩み方、と言う方がしっくりくる印象。
海外へ一人旅に出るときにいくつか思ったことが書いてあり、少し懐かしさもあり。
内容全般、若いときに読んだらグッと刺さったのかもしれない。出会うタイミングがオバサンになってからというのが少し残念(笑)
大人になると自然と気がつくこと・分かること・
見えてくることが、いくつか書いてある。
自分自身への問いかけ本としてはアリなのかも。
2022年8月30日
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月と六ペンス (新潮文庫)
- サマセット・モーム
- 新潮社 / 2014年3月28日発売
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画家のゴーギャンがモデル。
どこまでゴーギャンについて史実に基づいているかは分からないけど
登場人物である画家のストリックランドの人でなしっぷりに終始イライラ。
でも、芸術家なんてきっとそうなのかもしれんなー。
刹那的に生きることに美徳や芸術的価値を見出す人もいれば
ただ己が信念に突き動かされるままに
衝動的な感覚だけで生きる人もいるのかも。
本棚に残しておこうと思う。面白い本だった。
あと、やはり和訳の大切さよ!
とても読みやすくて有り難かったです。
モームの他の本も読んでみたいと思います。
いつかまた読み直そう。
2022年11月5日
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お柳、一途 アラミスと呼ばれた女 (朝日文庫)
- 宇江佐真理
- 朝日新聞出版 / 2022年6月7日発売
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舞台は、明治維新の動乱の時代。
長崎のとある一人の女性が男装をして、榎本武揚を補佐するフランス語通詞(通訳)として活躍する話。
※ご想像のとおり、題名の「アラミス」は、フランス人作家、デュマの「三銃士」の1人であるアラミスからとられている。
この時代の話は、やたらと登場人物が多いし、
異国との政治的な関わりもたくさんあるので
日本史苦手な私は、読み進めるのに少し不安があったけれど
何となく「読まねば!」という思いに駆られ、
気がつけば一気に読了。
その男装通詞の存在を示す資料は残っていないらしいけど、モデルとなった人の資料がほんの少し残されていたとのこと。
政治に関わる仕事に女人禁制とされていた時代、
存在した証拠が闇に葬られたであろうとしても
少しでも資料が残っていたのは少し嬉しく感じた。
動乱の時代でも、女性が異国人相手にバリバリ活躍してたのかと思うと、何ともかっこいい。
珍しくあとがきもしっかり読んで、胸熱でした。
Kindleで購入・読了したけど、文庫本も手元に置きたいと思う。
2022年8月9日
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大事なことほど小声でささやく (幻冬舎文庫)
- 森沢明夫
- 幻冬舎 / 2015年8月5日発売
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スキンヘッドのゴツいオカマさんが営むバーの
常連客達にまつわる短編集。
一人一人の背景や境遇はもちろん、日々抱える悩みや人生に立ちはだかる壁。とても分かりやすく書いてあって読みやすかった。
ゴンママみたいな人がいて、こんなバーがあったら
絶対毎日行くだろうなぁ。
あと、カクテルそれぞれに「カクテル言葉」(花言葉のようなもの)があることを知り、
それも楽しく読めたのもよかったなー。
2022年7月13日
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後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)
- 篠原悠希
- KADOKAWA / 2016年12月22日発売
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久々にハマった中華ファンタジー小説。
この作品も作家さんも、初読みであったわりに、かなりハイペースで読了。そのくらいストーリー展開もテンポよく、各キャラクターの背景や人格についても丁寧に書かれていたように感じた。
なんとなく、精霊の守り人シリーズを思い出したのは、いいとこの坊ちゃんが王・王国の手先から逃げる、という共通項のせいか。
ということで、2巻へいざ。
2022年1月13日
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神さまを待っている (文春文庫 は 57-1)
- 畑野智美
- 文藝春秋 / 2021年10月6日発売
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しんどかったー…。何度も何度も、途中で本を閉じて深呼吸が必要だった。
私もブラック企業で働いたり、つまずいたりしたせいで、精神・物質両面で貧困を味わった時期が長かった。20代の頃って、楽しいし体力もあるけど、何だか貧しかった記憶がつきまとう。
その頃を思い出すには、十分すぎる心理描写だった。ほんとにリアル…。
2023年8月16日
あー…読み終えてしまったーーー。
ボリュームを感じるような「The伏線回収!」みたいなものはそれほどなかったけど、なんだかんだ面白かった。
こうして読み終えてタイトルをみると、よくできたタイトルだなと感じました。
この本を読んで嫌な気持ちになった方は、ぜひこの後、「オー!ファーザー」で面白く味わい深い父親達の世界に浸ってほしいですww
伊坂作品は読後感が素晴らしい。
だからこそ、この後何を読むか若干ハードルがあがるんだよなーww
そういうの含めて、好きな作家さん。
2023年7月12日
何度も新しい人になって、新たな感覚を得て別の新しい人になるのに、前の人の記憶がおぼろげだったり、鮮明だったり。
変化を遂げると、何かが欠落していたり、人が持つ感情への理解がなかったりと、
それまでの記憶や経験が次の変化の際、大いに役立つ、というのとはまた少し違う。
「不滅のあなたへ」を思い起こさせるような感じだった。(アニメ版しか見たことないけど)
終始掴みどころがないように感じたけど、
何度も変化して、性別も年齢も変わる半端な生よりも
結局、人の命に始まりと終わりがある方が何倍も楽しくて難しくて挑戦的で好きだなー、というところに
着地しました。
とにかく、印象に残る作品。
2022年9月7日
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月まで三キロ (新潮文庫)
- 伊与原新
- 新潮社 / 2021年6月24日発売
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帯に「気づいたら、泣いていました」ってついてたけど、それよりも装丁が一目で気に入って手に取った小説。
月とか星とかが出てくると、なにか無条件に反応してしまう。
6話の短編集、文庫本にはさらにもう1話ついてました。
帯に書かれてあるような涙は出なかったけど
すーっとしみるようなお話ばかりでした。
音楽好きとしては、「天王寺ハイエイタス」が好きだったかも。
2023年7月6日
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百貨の魔法 (ポプラ文庫 む 3-1)
- 村山早紀
- ポプラ社 / 2021年4月7日発売
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多少のファンタジー要素はあったけど、グッと引き込まれる話や、登場人物の背景と星野百貨店との繋がりもしっかり描かれていて、読み応えがあった。
私も商業施設の運営をやっていた身。今はその建物すらなくなってしまったが、自分が働いていた頃のことを色々思い出しながら読んだ。
本作、村山さんご自身による取材と、想像力で書かれた作品とのこと。あとがきを読んで、百貨店業界が窮地に立たされているその事実にもしっかり言及されていて、なぜかそんなところで涙してしまった。悲しいことに、実店舗では物が売れない時代が到来してしまった。
ネットショッピングが悪いとは言わないし、私も頻繁に利用している。
でも、こうやって生身の人間のやり取りが少なくなったことや、星野百貨店の従業員たちがみせる目配り・気配りがなくなっていくのは、やっぱり淋しい気もする。
こういったホスピタリティ精神こそ、百貨店に限らず、日本人にあってほしいと願うからかもしれない。
創業者の思い入れ、地域の歴史などが建物の隅々にまで染み渡っている星野百貨店。
姉妹作も読んでみようと思う。
2023年8月1日