- 安楽死が合法の国で起こっていること (ちくま新書 1759)
- 児玉真美
- 筑摩書房 / 2023年11月9日発売
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安楽死が合法の国では安楽死の条件と対象がすべり坂を下りるように拡大して本人の意思で行うものから本人以外の判断で与えるものになってきていて、そこに「無益な治療」論や「パーソン論」「臓器提供(のための)安楽死」が悪魔合体している現状が紹介されているだけでなく、日本もこれらの動きと無縁ではないということが著者の実体験も交えて明らかにされていて、中途半端な障害者として衝撃を受けたし、「なぜ」死を望むのかということを考え続けてほしいとの提言には納得した。安楽死や尊厳死についてだけでなく、臓器移植や社会福祉に関心のある人にはぜひ読んでほしいし、できれば関心のない人にも読んで知ってほしい良書です。
2024年2月24日
- 改訂版 もっとよくわかる!腸内細菌叢〜“もう1つの臓器”を知り、健康・疾患を制御する! (実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ)
- 福田 真嗣
- 羊土社 / 2022年11月19日発売
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腸内細菌叢と人体の間に関係があることに興味を持って便移植などの情報も知っているつもりでしたが、これほど研究が進み、健康や病気の制御に役立てようとされているとはまったく知りませんでした。今後はもっと積極的に情報を追いかけてみようと思います。
2023年12月5日
- パスタでたどるイタリア史 (岩波ジュニア新書)
- 池上俊一
- 岩波書店 / 2011年11月18日発売
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19世紀末に出版されたアルトゥージのレシピ本が現代に直接つながるイタリア語を作り、イタリアという統一国家を作ることに貢献した、という部分と、母=パスタ、パスタ=母、という部分、野菜食いからパスタ食い、という部分に、イタリア社会におけるパスタを中心とした食文化の存在感の大きさを感じた。
2023年7月11日
- ウクライナ: 歴史の復元を模索する (社会科学の冒険 18)
- 早坂真理
- リブロポート / 1994年12月1日発売
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独立後間もないウクライナを中心に、ポーランド、リトアニア、ベラルーシの入り組んで複雑な歴史の中から自分たちの歴史を復元しようと模索する学術的、社会的な動きが紀行文風にまとめられていて知識が少なくても分かりやすい良書。現在進行中の戦争で戦場になってしまった都市が歴史的、文化的にどのようなところだったのか、雰囲気も含めて詳しく知ることができたし、登場する人々も戦争で亡くなったり今も戦ったりしているかもしれないと考えさせられた。
2022年7月9日
登場人物とストーリーをシンプルにすることに注力しすぎた感じでストーリーから外れた部分での主人公たちの生活が見えてこなかった。
2022年6月21日
- 国境を超えたウクライナ人
- オリガ・ホメンコ
- 群像社 / 2022年2月3日発売
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極東地域に大きなウクライナ人コミュニティがあったこと、シベリア出兵や満州国などでこのコミュニティと関係があったことを初めて知りました。
2022年6月17日
- 古代文明と気候大変動 -人類の運命を変えた二万年史
- ブライアン・フェイガン
- 河出書房新社 / 2005年6月10日発売
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気候変動と人間社会というほかではなかなか見られない視点からまとめられていて、中世ヨーロッパが受けた気候変動の影響(中世温暖期)も分かって参考になったが、扱っている範囲が広すぎて最後まで興味を維持するのが大変だった。
2022年2月12日
- フランス中世の社会: フィリップ=オーギュストの時代
- アシル・リュシェール
- 東京書籍 / 1990年5月1日発売
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だいぶ時間がかかってしまったが、今まで持っていた“中世”貴族のイメージがかなり変わって面白かった。十字軍の騎士たちが「蛮族」呼ばわりされたのも当然だし、鎌倉武士たちと大して変わらないとも思った。この時代に過酷なまでに踏みつけられていた農民たちがどうして生き残って生産力を増やし、人口を増やしていけたのかもっと知りたい。
2022年1月21日
- 図説 中世ヨーロッパの暮らし (ふくろうの本)
- 河原温
- 河出書房新社 / 2015年2月23日発売
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当時に描かれた図画や現在の写真をカラーで豊富に掲載してあるので、ほかの書籍では文章から想像するしかなかった部分も補足することができたし、この書籍の説明も理解しやすかった。特に、当時の農家の建物については理解が深まったと思う。ただ、「中世」という長い時代を割と薄い書籍にまとめてあるために「中世」の中での変遷や地域差などは分かりづらく、この書籍を導入部としてさらに興味ある分野について深めていくと良いと思う。
2021年12月4日
- 黒死病: ペストの中世史 (INSIDE HISTORIES)
- ジョン・ケリー
- 中央公論新社 / 2008年11月1日発売
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多数の資料を基にした解説だけでなく、ノンフィクション小説やドキュメンタリーのように記述されている部分もあって、当時の各地の様子が目に浮かんで記憶に残りやすかった。特に、ペストで妻と五人の子供を一度に亡くした男性の話は印象に残った。ただ、資料の不足からか1348~1349年のペスト流行の終息直後の復旧・復興に向かう様子についての解説や記述があっさりとしていて空想するしかなかったのが少しだけ残念だった。
2021年12月3日
- くおんの森 2 (リュウコミックス)
- 釣巻和
- 徳間書店 / 2010年1月13日発売
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まだ十分内容を消化できなくて楽しみきれなかった。繰り返し読んだ方が良いかもしれない。
2021年5月30日
- 大奥 (ヤングアニマルコミックス)
- よしながふみ
- 白泉社 / 2005年9月29日発売
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読んでみたら優れたSFで、今まで食わず嫌いで手を出さないでいたことを後悔した。
2021年5月30日
- くおんの森 (1) (リュウコミックス)
- 釣巻和
- 徳間書店 / 2008年11月20日発売
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話の密度が高くて、なじむのに少し時間がかかりそうだが、面白い題材を扱っていると思う。続きを期待している。
2021年5月25日
- どろろ (3) (秋田文庫 1-19)
- 手塚治虫
- 秋田書店 / 1994年3月25日発売
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終わり方が急で残念だった。
2021年5月23日
- 縄文人の世界 (朝日選書 557)
- 小林達雄
- 朝日新聞出版 / 1996年7月1日発売
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解説書と期待していたが、学術的な解説よりも、学術的な事実から湧き上がる著者の思いを書きつづったような部分が目立って、どこまで参考にして良いのか分からなかった。
2021年5月18日
- 縄文時代の商人たち: 日本列島と北東アジアを交易した人びと (新書y 12)
- 小山修三
- 洋泉社 / 2000年8月1日発売
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三内丸山遺跡を中心に、縄文時代の各集落や地域をつなぐ、情報や物、人の交流について、それまでの考古学に批判的な考古学者たちが語り合った対談集。「商人」というキーワードによって交流の様子が思い浮かびやすく、理解しやすかった。
この本が今から20年前の2000年に発行されていたと知り、今ならさらに刺激的な話を聞けるではないかと思う。
2021年5月16日
- 歴史の愉しみ方 - 忍者・合戦・幕末史に学ぶ (中公新書 2189)
- 磯田道史
- 中央公論新社 / 2012年10月24日発売
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啓蒙短編エッセイという感じで、短時間で面白く読めた。また、磯田先生が茨城大学を去られた経緯も分かって良かった。
2020年12月20日
2019年6月4日
離農など経営問題だけでなく、農作業中の事故による家族の死やBSE、原発事故、難病など、重い出来事が取り上げられています。ですが、娯楽作品のような劇的な展開や大団円といった展開はありません。掲載されている5本の短編の登場人物たちは、皆、自然体で、淡々と、それでいて、最終的には力強く前向きに出来事に向かっていきます。この登場人物たちの様子に、私は人間の力をとても感じ、勇気をもらいました。「農民文学」を読んだのは初めてでしたが、他の作品も読んでみようと思います。
2018年10月22日
- 「医療的ケア」の必要な子どもたち:第二の人生を歩む元NHKアナウンサーの奮闘記 (シリーズ・福祉と医療の現場から)
- 内多勝康
- ミネルヴァ書房 / 2018年8月9日発売
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元NHKアナウンサーによる、分かりやすく話しているような文章で読みやすかった。
書かれている「『医療的ケア』の必要な子どもたち」は身体障害に対する支援と医療的ケアの両方が必要な子どもを主に指しているように感じたが、就学やレスパイトなど、短腸症候群の患者や家族の悩みや不安と共通するところが多く、共感した。
また、2018年の出版と内容が新しく、筆者が勤める“もみじの家”など、医療的ケアの必要な子どもたちへの支援を行っている団体についての最新に近い情報が具体的に紹介されていて、医療的ケアの必要な子どもや家族が利用を考える際に具体的にイメージできるのではと思うくらい参考になった。
2018年10月21日
- 災害時要援護者支援対策
- 有賀絵理
- 文眞堂 / 2014年4月10日発売
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柔らかく、読みやすい文章でサクサク読めました。この本を入口に、さらに様々な本を読んでいくと良いように思います。
2018年8月21日
- ガラスのお腹: 22週5日で生まれて
- 海月まき子
- 新風舎 / 2004年8月1日発売
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表題は赤ちゃんのことではありませんでした。
2018年8月18日
- 重症児者の防災ハンドブック―3.11を生きぬいた重い障がいのある子どもたち
- 田中総一郎・菅井裕行・武山裕一
- クリエイツかもがわ / 2012年3月23日発売
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防災のための備えとして地域との良い関係を構築することが強調されていたが、差別や偏見がある場合には多大な労力を必要で、この労力に耐えきれずに備えが進まない患者や家族も少なくないと思う。特に、普段は独力でなんとか生活できる、または、災害などの特殊な状況時のみ特定の困難がある程度の患者や家族の場合は周囲からの適切な支援が必要になると思う。
2018年8月14日