Thinking, Fast and Slow

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  • Penguin
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (499ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780141033570

作品紹介・あらすじ

The "New York Times" Bestseller, acclaimed by author such as Freakonomics co-author Steven D. Levitt, Black Swan author Nassim Nicholas Taleb and Nudge co-author Richard Thaler, "Thinking Fast and Slow" offers a whole new look at the way our minds work, and how we make decisions. Why is there more chance we'll believe something if it's in a bold type face? Why are judges more likely to deny parole before lunch? Why do we assume a good-looking person will be more competent? The answer lies in the two ways we make choices: fast, intuitive thinking, and slow, rational thinking. This book reveals how our minds are tripped up by error and prejudice (even when we think we are being logical), and gives you practical techniques for slower, smarter thinking. It will enable to you make better decisions at work, at home, and in everything you do.

感想・レビュー・書評

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  • 【要約】
    ・私たちの脳は、直感に頼るシステム1と、意思決定に関わるシステム2でできている
    ・人は楽をしたがるためシステム2を使いたがらないが、意識して使うことで能力を上げることができる
    ex)バットはボールより1ドル高く、合計で1.1ドルであるとすると、ボールはいくら?
    ・人は言葉によって考えや行動を無意識に変えてしまう
    ex)しわという言葉を聞いて歩みを遅くする/お金という概念が人を個人主義的思考にさせる
    ・人は素早い判断をしがちなため、顕著な特徴に引きずられてしまう「ハロー効果」や、都合の良い情報ばかり集めたがる「確証バイアス」が起こり、誤った結論を出すことがある
    ex)ジェームズは親しみやすい?と聞かれただけで機械的にそう思い込んでしまう(確証バイアス)
    ・素早く判断したいときに人は、より簡単な質問に置き換えて答えようとする「置き換えヒューリスティック」や、より親近感のある方、覚えやすい方を選ぶ「利用可能性ヒューリスティック」といったバイアスに陥りやすい
    ex)事故死の方がインパクトがあるため脳卒中より死亡する人が多いと勘違いしてしまう
    ・人は、確率を意識しているにも関わらず起こりやすさよりも自分の予想に注目してしまい、確率を無視してしまう。人は何事も平均に回帰するということを忘れがちだ。
    ex)5回連続で赤いタクシーが来たから次はきっと黄色だ
    ・人は現在の気持ち(経験)と、ある出来事が終わった後の感想(思い出し)をどちらも記憶するが、思い出しの記憶の方が優勢である。そしてそれは後半の記憶を強調しやすい等のバイアスがかかる
    ・人は仕事に必要なエネルギーによって、システム1が優勢の「cognitive ease」と、システム2が優勢の「cognitive strain」を使い分けている。前者は創造的だがミスを犯しやすく、後者はミスは減るが創造性は減る。
    ex)説得力があると思われたいなら、繰り返し言うことで相手のエネルギーをあまり使わないcognitive easeをひき起こそう
    ・人は伝え方次第で同じ確率でも違う捉え方をしてしまったり、印象に残ったことは確率を無視して考えてしまったりする
    ex)100人に10人と言われるより10%と言われる方が確率が高く感じる
    ・人は効用に従って合理的に行動すると言われてきたが、そうとも限らない
    ex)1億持ってカジノに行って5億にした人と9億持って5億にした人の5億は果たして同じ効用?
    ・そこで筆者が提案したのが「期待理論」である。人は最初に持っていたものに影響を受けやすく、敏感さも変わる
    ex)1000円持ってたときと2000円持ってたときの、確実にもらえる500円と50%でもらえる1000円は異なる/1000から900になるのと200から100になるのは異なる
    ・人はcognitive coherence(認知一貫性)を使い、概念や考えを説明するのに自分のイメージを作り上げ、頼り過ぎてしまう
    ex)夏と言ったら暑いと思い込んで寒い日でも半袖で出かける
    →reference class forecastingといって過去の経験から予測する方法や、長期的なリスクを考える方法によって回避できる

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40182577

  • 展示図書 思考力フルスロットル!!! 
    「考えを学ぶ」「考えを鍛える」「考えを描く」図書
    【配架場所】 図・3F開架
    【請求記号】 141.8||KA
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/378802

     訳本 ファスト&スロー:あなたの意思はどのように決まるか? もあり

  • 行動経済学のベストセラー。著者ダニエルカーネマンは2002年ノーベル経済学賞。
    古典的な経済学は人の合理的判断を前提としているが、本書では実際の人の判断が合理性を欠く場面を列挙し、法則性を導こうと試みている。具体的には、研究データをもとにヒューリスティクスやバイアスの影響を観察している。著者の功績は経済学の分野では非常に大きく、経済学が実社会へ一歩近づいたという観がある。

    個人的に気に入った点は、Sytem1とSystem2という区別である。System2が広範な情報収集と解析から導かれる合理的な意思決定であり、大きな労力を要するのに対し、System1はいわば思考のショートカットで、意思決定の正確性があまり問題にならないときに精度を犠牲にして限られた情報から瞬間的な判断を可能にする。大衆の行動を観察していると合理性を欠く場面は多く見受けられるが、著者はこれを"合理性の欠如"と表現するのではなく"合理性とは異なる別のシステムを用いて判断している"と解釈する。これは非常に的確な指摘だと感じた。人は"頭が悪い"から非合理な選択をしているのではなく、よく考える必要がないから"賢く労力を節約して"選択をしているのである。

    一方で、本書ではほとんど触れられていなかったが、System1とSystem2への依存の程度、およびSystem2に頼ったときの判断の合理性に関しては大きく個人差があると感じる。特に、日常的にSystem2を行使している種類の人はSystem2による合理的判断の能力が向上するため、高い合理性をもって判断することが可能になる。データにおける偏りから集団全体について議論するのみでなく、こういった個人差についての議論も興味深いものになるであろう。

    さらに議論を発展させると、合理的判断をより理想的な意思決定であると考える人が多いようであるが、それは本当にそうであろうか。合理的な判断は再現性の観点で直感的な判断に優るが、それはすなわち同じ状況では誰でも同じ意思決定をするということを意味し、独自性の欠如、ひいては多様性の実現の阻害となるように感じられる。このような価値判断は本書では述べられていない。しかし、イーロンマスクが出資するNeuralinkでは脳内埋め込みチップの研究を進めており、さらに技術が進歩すれば合理性のみを補強するということも可能になると推測される。はたしてそれは理想なのか、「理想的なテクノロジーの活用とはなにか」という観点で議論を進めていくことも必要かもしれない。


    最後に本書であまり気に入らなかった点。とにかく長い。個人的研究体験をもとにしたやや随筆調で書かれており、情報密度が薄い。個人的にはもう少し情報を圧縮したタイプの書籍を好むため、やや退屈であった。行動経済学関連の多くの書籍は本書の解釈本に過ぎないため本書を読むことには大きな価値があることには違いはないが、万人に勧められるタイプではないかもしれないと感じた。

  • 2月頃から3か月はかかってしまった…。
    久々の、英語での読み応え。

    認知心理学で、意思決定プロセスを分析したもの。

    ・ system1:野生的「直感」による意思決定。素早く意思を決定できるけれども、中立的に見ると間違いも多い。

    ・ system2:じっくり考えるもの。総合的な判断ができやすいが、時間がかかる上に、人は極めてlazyなので、このsystem2が働くことは少ない。

    これを知り、自分の直感を後から分析することが多くなった。
    前者によりぱっと思いついたこと、ぱっと出てきた強い確信、感情は一見正しいと思いがちだけど、後から検証してみると、?となることも。

    今まで、認知心理学がよくはわからななかったけれども、system1は、unknown riskがいっぱいの野生下で生きるための知恵。
    心理学って、心のクセ・偏りを言葉にして自らを知るものか。

    ・同じ金銭的負担でも、費用と考えるか損失と考えるかで、捉え方が異なる。損失の方が、よりネガティブな感情を抱きやすい。選択は、現実に縛られているのではない―system1は現実に依拠してないから。
    (framing effect)

    p.368
    ・もしも選べる選択し結果が良いこと(gainを得ること)であれば、ギャンブル(不確実性)よりも確実性をとりやすい。
    一方で、ネガティブな結果(outcome)の中で選択する場合は、ギャンブル(不確実)な方をとりやすい。

    p.372
    ・燃費が12mpgの車から14mpgの車に乗り換える場合と30mpgから40mpgに乗り換える場合、どちらが環境改善効果は高いか?(等距離を走る場合)
    →うっかりガロン当たり(リッター当たり)の消費量で比べてしまいがちだけど、距離当たりどれくらい消費するか、で比べてみると…??

    →「枠づけ」次第で異なった印象を与えるもの。

    p.373
    ・運転免許証の裏にある「事故死の場合に臓器を寄付しますか?」の質問。
    寄付率が高い国は、「寄付を希望しない」人がチェックする様式で、寄付率が低い国は「寄付をしたい」人がチェックする様式。
    なぜなら、system2はめんどくさがり。回答が事前に準備されていない場合は、どっちの回答が良いか考えなくてはいけない。→考えなくて良い、チェックしない、に流れがち。

    (何ページか忘れた)何かが続くと、次も同じことが起こると思いがち。
    ところが、確率論的は正しくないよ、という話。
    (例:赤7、白3の玉が箱に入ってます。一つずつ取り出します。赤が4つ続きました。では、次の色は?)

    p.385
    ・人は、痛みも楽しみも、最高潮(peak)と終わりの時しか覚えていない。
    離婚だって、嫌な思い出しかなかったとしても、実際は幸せなこともあったはず。
    (例:痛みを感じさせる実験。痛みの時間が長くても、痛みだけの場合と比べ、心地良い刺激で終わった場合の方が好む人が多い、実験結果。

  • 面白い。人は自分が思う以上に思い込みをしていて、客観的で論理的な考え方を実践できていない。面白い…が長すぎて挫折…。

  • 閲覧室 141.5||Kah

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    【英国PR】
    Thinking, Fast and Slow
    Auther:Daniel Kahneman

    The phenomenal international bestseller - 2 million copies sold - that will change the way you make decisions

    'A lifetime's worth of wisdom' Steven D. Levitt, co-author of Freakonomics
    'There have been many good books on human rationality and irrationality, but only one masterpiece. That masterpiece is Thinking, Fast and Slow' Financial Times

    Why is there more chance we'll believe something if it's in a bold type face? Why are judges more likely to deny parole before lunch? Why do we assume a good-looking person will be more competent? The answer lies in the two ways we make choices: fast, intuitive thinking, and slow, rational thinking. This book reveals how our minds are tripped up by error and prejudice (even when we think we are being logical), and gives you practical techniques for slower, smarter thinking. It will enable to you make better decisions at work, at home, and in everything you do.
    https://www.penguin.co.uk/authors/32854/daniel-kahneman.html


    【breif Table of Contents】
    COLOPHON
    DEDICATION
    CONTENTS

    INTRODUCTION 003

      PART I. Two systems
    The characters of the story 019
    Attention and effort 031
    The lazy controller 039
    The associative machine 050
    Cognitive ease 059
    Norms, surprises, and causes 071
    A machine for jumping to conclusions 079
    How judgments happen 089
    Answering an easier question 097

      PART II. Heuristics and biases
    The law of small numbers 109
    Anchors 119
    The science of availability 129
    Availability, emotion, and risk 137
    Tom W's specialty 146
    Linda : less is more 156
    Causes trump statistics 166
    Regression to the mean 175
    Taming intuitive predictions 185

      PART III. Overconfidence
    The illusion of understanding 199
    The illusion of validity 209
    Intuitions vs. formulas 222
    Expert intuition: when can we trust it? 235
    The outside view 245
    The engine of capitalism 255

      PART IV. Choices
    Bernoulli's errors 269
    Prospect theory 278
    The endowment effect 289
    Bad events 300
    The fourfold pattern 310
    Rare events 322
    Risk policies 334
    Keeping score 342
    Reversals 353
    Frames and reality 363

      PART V. Two selves
    Two selves 377
    Life as a story 386
    Experienced well-being 391
    Thinking about life 39

    CONCLUSIONS 408

    APPENDIX A: [419-432]
    APPENDIX B: [433-448]
    NOTES [449-481]
    ACKNOWLEDGEMENT [483]
    INDEX [485-499]

  •  タレブ先生に「アダム・スミスやフロイトの著作に匹敵する新たな古典」と言わしめた、「行動経済学」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6 の始祖であり「プロスペクト理論」等で2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン先生の40年に及ぶ研究の集大成。
     と言っても、一般読者向けに書かれたもので、各章10ページ程度で(と言っても40章近く有りますが。。)意表を突く様な興味深い事例が多く紹介されてますので面白く読めます。(英語も平易です。)
    人間の脳の働きを、直感的な「速い(ファスト)思考(システム1)」と論理的な「遅い(スロー)思考(システム2)」の相互作用とみなす、進化心理学の「二重過程理論」https://en.wikipedia.org/wiki/Dual_process_theory#cite_note-Stanovich.26West-11 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%86%E6%80%A7 を使って説明し、前者(システム1)が、意思決定の際に様々な認知バイアスを引き起こし(間違った判断をし)てしまう症例が各章に解説されていきます。
     では、こうしたバイアス、エラーがあることを本書によって学べば、明日から経済学が想定する様な合理的な正しい意思決定ができる様になるのでしょうか?(→プロのトレーダーはバイアスに打ち勝ってトレードしている、と書かれてます。)
     カーネマン先生は結論でこう仰ってます。
    「私たちは、自分自身の判断や意思決定をどうしたら向上させられるだろうか。・・・一言で言えば、よほど努力をしない限り、ほとんど成果は望めない。・・・システム1に起因するエラーを防ぐ方法は、原理的には簡単である。認知的な地雷原に自分が入り込んでいる徴候を見落とさず、思考をスローダウンさせ、システム2の応援を求めればよい。・・・だが残念ながら、最も必要なときに限って、こうした賢明な手段はめったに講じられないものである。」(P.417)

    文庫版はこちら↓
    http://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B9%E3%83%88-%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC-%E4%B8%8A-%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E6%84%8F%E6%80%9D%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E6%B1%BA%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%81%8B-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E6%96%87%E5%BA%AB/dp/4150504105/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1451131749&sr=1-1&keywords=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B9%E3%83%88%26%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC+%28%E4%B8%8A%29%3A 

    動画
    10分でわかるアニメ書評
    https://www.youtube.com/watch?v=uqXVAo7dVRU 

    本書出版時のカーネマン先生のGoogleで講演
    https://www.youtube.com/watch?v=CjVQJdIrDJ0 

    書評等
    ファスト&スロー(上・下) ダニエル・カーネマン著 「直感」と「論理」から意思決定を考察 (東京大学教授 松井彰彦)
    http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50768610Z10C13A1MZA001/ 

    「ファスト&スロー」(カーネマン著)より
    http://blog.livedoor.jp/randdmanagement/archives/52114722.html 

    書評 「ファスト&スロー」
    http://d.hatena.ne.jp/shorebird/20130403 

    バカが多いのには理由がある問題の大半は”ファスト思考”という意思決定機能が大きく関わっているらしい。
    http://matome.naver.jp/odai/2140482621278319401 

    二つのSystem
    http://www.avocado-fes-thought.com/psychology/2-systems/ 

  • 9か月もかかって読み終わった。いつものことながら、最初の半分ぐらいを読むのにすごく時間がかかったが、最後の1/4は3週間ぐらいで読めてしまった。読んでいるうちに、すいすいと読めて、面白くなる本だった。半分から4/5ぐらいの部分はなるほど、なるほどと読めた。ゆっくり読んで ためになるというか いろいろ考えさせられる本である。アメリカでベストセラーになっているというのが すごいなと思う。日本では全く売れていないのに。今月は emperor of all maladiesも日本発売となっているが、どれほど売れるやら。まだ書評にすらのってない。それに、内容が古くならないうちが面白いんのだが。
    それにしても英語の本が翻訳されるスピードというのはすごいものがある。9か月もかけて、なんで英語で読んでいるんだろうというと、ゆっくり読むことに意味が確かにあるはずである。

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