The Remains of the Day: Winner of the Nobel Prize in Literature (Vintage International)
- Vintage (1990年9月12日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9780679731726
感想・レビュー・書評
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古きよき(?)イギリスの執事の話。英語も少しトラディショナルな感じです。
執事はどうあるべきか、どのような執事が理想かといった価値観が現れています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私の英語力では正直かなり手こずりました
でもkazuo ishiguroの天性の文章力には第一印象ではまり込んでしまっていたので、途中で投げ出すことなく、でも途中何週間もページをめくらない日々などもありながら、数か月かかって最後まで読み終えました
普通のイギリス人でも「ちょっと読みにくい」という感想を持つ英語で終始しているのですらすら読めるタイプではないですが、その‘読みにくさ`ももしかしたら読み手の理解度を成熟させるのに必要な時間として計算されているのかもしれないとも思える、心身にじんわりとIshiguwa worldが染み渡っていくのに酔いしれる時間がなんとも心地よかったです
そしてそんな酔いしれている私にとっては、ラストの落ちがあまりにも意外でしたが、(ここまであれほど重厚な雰囲気だったのに、それ?な感じで)これもイギリス流のブラックユーモアな肩すかしをされたようで、なんだかんだ最後は小さくほくそえんでしまったのもなんだかよかったです
私がとても好きなタイプの文章で、また時間がかかるとは思いますが次はすでにアマゾンで手に入れた彼の新作かでヴュー作、どちらを先に読み始めるか迷っているところです -
先日、分子生物学者の福岡先生がKazuo Ishiguroの人生をたどる番組に出演されており、その番組の内容に惹かれて本書を購入した。これまでKazuo Ishiguroの作品は読んだことがなかったが、ブッカー賞を受賞した本作であり、また職場の先輩も強く推薦されておられたことから、読んでみることにした。
ハリウッド映画に出てくるようなストーリー展開の激しいアメリカ的な作品に慣れていた私にとって、戦時中のイギリスを描いた彼の「文学的な」作品は、読みこなすのに多少骨が折れた。一つの文の中に修飾節や句が多々入り込み、またイギリス特有の控えめな表現なのだろうか、それをあえて婉曲的に伝えようと謙遜するフレーズも含まれ、特に中盤の内容理解は正直なかなかうまくいかなかった。しかし音読してみると不思議と意味は完全にわからないまでも、Kazuo Ishiguroのつむぎだす美しい英文が一つの音楽のように頭に入ってくる。
極力感情表現を抑えた文章で描かれる執事Stevensの描写に、仕事へのプロ意識、父への思い、数十年使えたDarlington卿への敬慕、政治の舞台にひそかに関わっている自負、Ms Kentonに対するやさしさが行間から伝わってくる。またイギリス西部へのたびの途中に広がるイギリスの地方の美しさが、文体から見事に浮かび上がってくる。旅の途中、執事Stevensの胸に去来するある種の後悔や、それでもそこにdignityを見出してきた彼の人生の重みが、彼自身の回想の中に語られる。
Kazuo Ishiguroは、「記憶」というものを一つのテーマにこの作品を書き上げたというが、記憶を回想するプロセスの中で、人生の様々な場面が思い出され、そこに伴う感情が、冷静に淡々と抑制の効いた語りで紡がれていく、すばらしい文学作品であった。 -
この本の英語はちょっと難しいかも。主人公が執事というだけあって、かなり丁寧な言葉使い。
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TOEIC600ぐらいから。ほぼクロニクルなのでそんなに混乱なく読みやすい本だと思います。主人公スティーブンスの自慢たらたらの話が続きますが、年寄りのごにょごにょだと思って許してあげてください(笑)優秀な執事だったスティーブンスの父親がぼけてやば〜くなっていくのを思い出してみたりしているのですが、自分もそうなってきつつあることに、気づいていないのが、プライドのため気づかないふりをしているのか。哀れを誘います。
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英国のとある「卿」に仕えた執事の話。
時代も変わり、雇い主も変わり、彼が過去を回想する物語。
第二次世界大戦、大英帝国の衰退、アメリカ資本主義の台頭
そんな流れの中で、彼がいかにして自分のdignity(尊厳?)を保てるか
そもそもその「dignity」たるものは何か、について話している。
「いかにも」イギリス的な生真面目さと、鈍感なほどの考え方もご愛敬。 -
めっさ良いです。
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今まで読んだ小説の中でもベスト。美しく、切なく、哀しく、愛しい。