モモ (岩波少年文庫(127))

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141276

感想・レビュー・書評

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  • 間違いなく名作です。決して色褪せません。訳もレイアウトも見事です。開いて3ページ目にはもうこの世界観に引き込まれることと思います。

    あくせく急ぐほど、時間はなくなる…ほんとにそうなんですよね。



  • フェリーの中で読み終えた本。
    読んでいる時の「時間の流れ」は全く違うものでした。

    時間を節約して節約して、
    時間に追われ追われて、
    いつも時間のことを気にして、
    それでも、「時間がない」
    と思っている自分はいつのまにか
    「灰色の男」と契約を結び、時間を奪われているのだと気が付きました

    コンテンツや体験だけ詰め込んで、
    確かに充実はしているし、
    前には進む。

    でも、何かが抜けている。

    時間とは、
    単なる物理的な時計で測れる時間ではなくて、
    その人が自分自身を生きる味わい。

    それぞれの人がそれぞれの自分の時間を持っていて、
    それは「生命の花」。

    「モモ」で描写される、
    「宇宙的時間」の描写は、
    涙が出るほど美しい。

    時間は耳に聞こえない宇宙の音楽。

    それぞれがバラバラの自分の時間を刻みながら、
    宇宙ではそれがオーケストラのように大調和の音楽を奏でている。

    アウグスティヌスが神に告白しながら考察する時間論や
    ピュタゴラスの「ハルモニア・ムンディ」(宇宙の音楽)や
    時空を超えて人間の全てを受け止める弥勒菩薩像のような
    それらと同じような感覚を覚えました。

    どの人にも、
    他とは比べられない最高に美しい花があり、
    それは唯一無二のもの。

    私たちの文明は、
    いつのまにかこっそりと気が付かれないうちに、
    自分の時間を失い、
    「時間の花」を凍らせて、
    時間を溜めているようで、
    実際のところ、時間の奴隷になっているのではないでしょうか。

    想像力、空想力というものはなくなっていきます。

    意味のわからない作業をとにかく、時間内に効率よく終わらせる。
    それが、学校や仕事で求められることの全てになっていきます。

    無気力、退屈、
    そして、昨今の精神病の増加も、
    「灰色の男」が気が付かれないように、
    私たちの社会を支配しているのかもしれませんね。

    測れる時間、流れる時間だけを大切にするのではなく、
    一人一人が、
    「自分の時間」を取り戻すこと。

    時間を味わうこと。

  • モモという主人公の女の子が皆の時間を取り戻しに行く物語。灰色の男たちがみんなの知らぬ間に時間を盗んでいるので、奪われた時間の花をそれぞれの持ち主に返すために時間マイスターの助けを借り、最後は無事成し遂げることが出来た。時間とは何か。現代社会で生きる私たちにもう一度時間のあり方、考え方を問い直させてくれる物語だった。

  • 大人も十分楽しめる、むしろ大人のほうが心に響いて考えさせられる内容。50年も前に書かれたということにびっくりするほど現代社会に当てはまる。子どもにも読ませたい。

  • ずいぶん昔に書かれた本だけど、今にも通じる

    時間泥棒みたいに効率化合理化便利に時短に
    ばかりすすめている
    それをしないわけにもいかないけど、
    それと引き換えに失ってる豊かさがありはしないか?確認しながら、時間を大事に豊かに暮らしたい

  • もちろんタイトルは知っていたけれど、読んだことがなくて、たまたま複数人がおすすめしているのを見て買った(が、誰がすすめていたか覚えていない)。
    友達と遊ぶときに平気で1ヶ月先の予定になってしまうのが寂しい。何にそんなに追われているんやろう。モモたちが広場に集まっているのが羨ましい。
    読み継がれてる古典はやっぱりおもしろい、小説のおもしろさを久々にたっぷり浴びた。

  • 1人1人の時間の流れはそれぞれ違っていて、だからこそ時間の使い道をきちんと考えていかなければいけないなぁと感じいりました。それはただ時間を効率的に使えばいいということではなく、その使う人が有意義さを持って使えば、万事良いことになる。
    掃除夫のジッポも、おしゃべりなジジも、カメのカシオペイアも、マイスター・ホラも、もちろんモモも、みんな1人1人が自分の時間をちゃんと持ってて大好き。
    私も「自分の時間」について考えてみよう。

  • すごく深い!!
    8歳の娘のために買いました。とても楽しんでくれてました。
    そして、自分も読んでみて、はっと気付かされることが多く、これはむしろ大人が読むべき本だと思いました。
    ふるいほんですが、時代背景は明かさず!過去かもしれないし、未来かも知れない。
    仕事に忙殺され、常に何かに追われている感覚。子供目線から心の豊かさを失っている大人への風刺。子供の頃のような豊かな想像力を持ち続けられる大人でいたいと痛感しました。
    ファンタジーとしても社会風刺としても最高の作品に大興奮でした!

  • T図書館 再読
    《著者》
    1929年南ドイツ生、当時大不況
    シュルレアリスムの画家エドガーエンデの息子
    演劇がお金にならず、1960年頼まれて絵本を書く「ジムボタンの機関車大旅行」ドイツ文学賞受賞
    1971年世間の喧騒から逃れローマへ移住
    モモ執筆
    1973年モモ出版、ドイツ児童文学賞受賞
    夢想家、思想家
    1989~1995年翻訳家の佐藤真理子氏と結婚

    《内容》
    円形劇場跡に迷いこんだモモ
    施設から逃げ、名前は自分で名付け、聞き上手の才能があり、町の人から好かれていた
    灰色の男たちが登場し人間の時間に対してある計画を企てていた…

    《感想》
    子供の頃に読んでも、たぶんカメがかわいいなと思うだけで、時間に追われる大人の方が響く作品だと思う

    時間を花に例えるのは素晴らしいと思った
    宙をたゆたっている大きな振子があって、その振子が池のへりに近く度に美しい花が咲き、戻ると花はしおれていく
    あれはお前だけの時間なんだと、マスターホラがいう
    モモだからこそ行くことができた時間の国
    美しい世界だった

  • 好きなセリフ

    もしその心が時間を感じ取らないような時には、その時間はないも同じだ。ちょうど虹の七色が目の見えない人にはないも同じで、鳥の声が耳の聞こえない人にはないのも同じようにね。でも悲しいことに心臓はちゃんと生きて鼓動しているのに、何も感じ取れない心を持った人がいるのだ。

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